さみしい夜の句会報 第77号を発行しました

さみしい夜の句会
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さみしい夜の句会報 第77号(2022.8.7-2022.8.14)

第77回の参加者は86名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。

繰り返しになりますが、ご投稿はテキスト入力(こちらでコピー可能な形式)にてお願いいたします。画像でのご投稿の場合週報には記載できませんのでご了承ください。
句評は以前の作品に対するものでも書き込み下さい。できるだけ週報に記載いたします。

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◆ 参加者(86名)

岡村知昭、空模様、kiyoka、mugwort、小沢史、白水ま衣、しまねこくん、石川聡、風池陽一、syusyu、najimi、fuu_、茶熊さえこ、日下昊、蔭一郎、西脇祥貴、桔梗菫、達毘古、天やん、日月星香、海馬、生・存、宮坂変哲、弌定住佳、池田吉輝、西沢葉火、−恷庵−、まつりぺきん、玖、雲上晴也、あ、crazy lover、藤井皐、太代祐一、蜜、hyuutoppa、東こころ、以太、Ryu_sen、思雨(スイ)、なゆた、石原とつき、馬勝、木野清瀬、菊池洋勝、千春、立木由比浪、高田月光、鴨川ねぎ、雷(らい)、せば、HAKUBIKI、涼、相見美緒、電車侍、歌眠、水の眠り、月硝子、涼閑、𝒮𝒜𝒴𝒜、伽羅、蛙星、めい、高良俊礼、和泉明月子、みや、星野響、輪井ゆう、棚場田敦也、夜想詩人、風花(かざはな)、岩瀬百、たろりずむ、落ちる星々、Tomoko、さぶきち、さとすぃ、ゆりのはなこ、森内詩紋、楢崎進弘、nori、ハブコウゾウ、天乃絵留、洞窟おでん、けいたろう、月波与生

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◆ 7・7詩、5・7・5詩

全知全能を駱駝に頼まれる 岡村知昭

鬼ごろしとは政党の名前です 岡村知昭

随分大きく出ましたね銀河 太代祐一

手作業でなければ秋は立たないよ しまねこくん

割印に使ふオクラの断面図 しまねこくん

立秋の立は形状記憶シャツ しまねこくん

蝉の殻のと云ふ文字が脱皮して しまねこくん

カマンベールチーズと夜を見くらべる 海馬

頭痛あり向こうの空と鳴き交わす 海馬

ぽとぽととブルーベリーの涙落つ 鴨川ねぎ

あの夏の入道雲は骨の色 まつりぺきん

音だけの花火に黙らされている 岩瀬百

秋立つや正気戻さぬピアスあり 小沢史

鈴も嫁も義父母も寡黙な日 風池陽一

荒れ庭に冬瓜揺れて首級めく 月硝子

たましいを遠近法で再現す 白水ま衣

怪談は微妙じゃないとコスモス 石原とつき

思い出し笑いは火星では禁止 岡村知昭

猫とざすおれの桜木町の隅 西脇祥貴

この曲のサビは切なく冬瓜煮 hyuutoppa

立秋にため息とため息もどき 星野響

うちももが筋肉痛のたまごやき 石川聡

鏡で濾過したなみだ吸いこまれ 石川聡

冬瓜と両立しない経済史 しまねこくん

半音を上げると鯨は夜になる 白水ま衣

鉄塔のてっとうてつび傍観者 Ryu_sen

浮気した夜に2つになる満月 東こころ

明け方の狂った蝉をおぼえてる せば

東京はまだ翼竜であるらしい 西脇祥貴

幸先もふくめ墓所まで微塵切り 西脇祥貴

余りに悔しくて兵馬俑と踊る 藤井皐

お別れに草の花束渡される 蔭一郎

絶対に空気を吸って吐いている 蔭一郎

アロハシャツだけが出てくる蟹の穴 海馬

パイル地にアナタを半分アンダンテ najimi

一人分プールを温くさせて出る しまねこくん

軍艦と豚が混ざって秋になる 蔭一郎

オクラホマミキサーで勃った あ

猫じゃらし戦わなくて済んだ夏 まつりぺきん

後宮は埋めてプールに建て替へる しまねこくん

あやとりの蝶はふらふら喉元へ 小沢史

休日にクロマニヨンや素っ裸 風池陽一

男にも女にもなる青鬼灯 菊池洋勝

風鈴や嘘が上手くて風の神 木野清瀬

蛇苺詩人のくせに下手な嘘 馬勝

クロネコに月の射しこむダンボール 海馬

見逃してやつたオクラが引いた糸 しまねこくん

広告は個人の感想ですオクラ しまねこくん

カマンベールで尻取りに勝つ 白水ま衣

妖精を飛ばし初老の黒日傘 小沢史

孤独死の現場はドンキみたいだね ゆりのはなこ

羅や中席に円楽の枕 菊池洋勝

腕まくら明日スープになる冬瓜 高田月光

冬瓜を 一人切る深夜 kiyoka

白球の夏ジョックロックの咆哮 mugwort

平成の世より鬼の子増えはじむ syusyu

消灯を願ってバスの来ないバス停 najimi

また明日ね と嘘吐きながら fuu_

感情が止まれの指示に従うの 茶熊さえこ

盆休みルドベキアの誇る墓に参る 日下昊

足元に群れて咲いてた鷺草が  黎明

信長に露払いさせ、猿・狸 達毘古、

大雨やビル群が沈みし夕焼け 天やん

迎え火が目印と来る祖霊達 日月星香

盆路や一言あばよ次元逝く 宮坂変哲

消費電力削減盆路を行く 生・存

活字のみ棲まう世界の心地よさ 弌定住佳

秋曇「芒に月」の札を出す 玖

いつまでも湖風優しく魂迎 雲上晴也

靴底の小石が歯なら飛べないよ 以太

盆なれば 姿見せむや 吾が前に 思雨

鬱になる月を百回噛んだあと 千春

一陣の桜吹雪の舞い上がる 流天

たましひのとうすみ蜻蛉緋に果つる 立木由比浪

一歩目の前の記憶は舟で来た 雷

書ける人 心の中で 思ってる HAKUBIKI

真昼間外は陽射しが厳しそう 涼

雲の峰 キタノブルーの 海と空 電車侍

支配者の間接的なミミズ斬り 西沢葉火

ひとちがいですと俯き草の花 歌眠

改札を抜けて玉葱愛撫する 涼閑

師描きし美しき数式盆の月 伽羅

秋暑かな焦がれ火照りが残る朝 めい

無音部のこれは言葉を屠る水 高良俊礼

夢のなか風船だった重かった 輪井ゆう

ネガティブなんだけどまあいいや たろりずむ

考えごとしてブラジルの草取る八木もどき 落ちる星々

心配をしてもしても青い空 Tomoko

蓑虫のままであなたは海になる さとすぃ

いっせいにやまとなでしこたちのキス 月波与生

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◆ 7・7、5・7・5以外の短詩

いつからか 天井の木目は顔に 見えなくなった 大人になった なゆた

ネオン街を通るカップルを冷ややかな目で見るスーツを着た僕 空模様

寂しくなってきたし、会いたくなってきた。

寝れないよー。 𝒮𝒜𝒴𝒜

知らぬ間に傷つけていたかもしれぬあなたにかける言葉がないよ 蛙星

反射的にわたしを捨てて合わせてるそんなわたしがいちばん嫌い 和泉明月子

三千の夢を見ているそれからはもうないことを知っているから みや

帰り道我が身にまとう白い帆の受ける風さえ切り裂き進む 棚場田敦也

幸せは両の手にのるほどがいい辛いことなどひとつまみでいい 夜想詩人

運命も奇跡も縁も信じない今を生きていく願いを星に 風花

あなたにはあなたの正しさわたしにはわたしの正しさ正の字数える さぶきち

ドーナツをこんなきれいに食べ残しその後いっさい連絡がない 蔭一郎

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◆ 詩

年一度
逢える気がする
盆の夜
父母と親友
逢いに来て? (−恷庵−)

大人になったのか
世情がさせたのか
感じることは叶わないのか
内臓から湧きあがる鮮烈
汚れることもできないかなしみ
まるで不感症
泣くこともできない (crazy lover)

東海の小島の磯の白砂は
浪が高うて逆巻きて
我溺れ藻掻きて生死彷徨い
まるで蟹が泡吹くザマよ (蜜)
二度目が長崎にやってきた
これを地上の最後にと
三度目はないと
祈りあげる (水の眠り)

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◆作品評から 

信長に露払いさせ、猿・狸 達毘古、
 ~句もさることながら読点と中黒の使いかたが絶妙。カッコいい。 (蔭一郎)

猫とざすおれの桜木町の隅 西脇祥貴
 ~俺の頭の中の桜木町には、いつも猫を通って出入りをする。あの頃よく見かけた野良猫。今日、町の隅でよく似た猫が横たわっていた。まるでここまでの世界を閉ざすように。もう、思い出さなくていいんだね。(西沢葉火)

パンツの日M字の店のハンバーグ 菊池洋勝
 ~8月2日は女性が本命の男性にパンツをプレゼントする「パンツの日」。その言葉に触発されるように、M字、ハンバーク、と妄想が続いていく。(月波与生)

ドーナツをこんなきれいに食べ残しその後いっさい連絡がない 蔭一郎
 ~好きです (森内詩紋)

幸先もふくめ墓所まで微塵切り 西脇祥貴
 ~墓所もろともと読めなくもないけれど幸先とあるので墓所までの時間ということでしょうね。
(楢崎進弘)

夏野菜で終わる人生相談 Ryu_sen
 ~お悩みの回答が「茄子」「胡瓜」「トマト」とかで終わるのである。なんか人生もう少しのほほんとしてみようかと思えてくる人生相談。涼しくなったらあらためて考えようか。(月波与生)

鏡で濾過したなみだ吸いこまれ 石川聡
 ~ありがとうございました!勉強させていただきました! (nori)

割印に使ふオクラの断面図 しまねこくん
 ~おくらが割印に使えますか。(ハブコウゾウ)

蝉の殻のと云ふ文字が脱皮して しまねこくん
 ~ビビン!@から脱皮したのが「の」なのかな…と、でも「の」からの脱皮には 電気が走ったのですよ (天乃絵留)

マヨネーズのおそらくここが後頭部 白水ま衣
 ~マヨネーズは逆さにして保管というのが一般的なのでキャップ側が頭ということになり、円いキャップのどっかが後頭部なのだ、と思ったがアレは器でマヨネーズ本体じゃない。 (月波与生)

絶対に空気を吸って吐いている 蔭一郎
 ~間違いないっ (洞窟おでん)

ムエタイを唐揚げだったと思い出す 高木タツオ
 ~いや思い出さんだろという突っ込みはさておき、人間はみなおかしな考えを抱えて生きているものだと思う。川柳はそれを露わにする面白い装置だ。(月波与生)

東京はまだ翼竜であるらしい 西脇祥貴
 ~まだ誇りがあるということか、あるいは時代遅れということか、たぶん両方でしょうね。
(楢崎進弘)

頭痛あり向こうの空と鳴き交わす 海馬
 ~頭痛で鳴るのは空に包まれた頭蓋のなかなのだけれど、こちら・向こうと位置関係を内外から彼此へ変換したことで新しい頭痛的秩序が生まれた。(以太)

鬼ごろしとは政党の名前です 岡村知昭
 ~党首桃太郎に率いられた犬塚、猿田、雉島による四人の県政政党である。もちろん裏には市民の党がついている。 (以太)

立秋の立は形状記憶シャツ しまねこくん
 ~一年に四回も登場しながらその変節ぶりに誰の記憶にも残らなかった立。しかし手放されるたびに形状は時限装置として記憶されていたのである。三回の変節により忘れ去られたその当の立が、いま再び甦る。 (以太)

半音を上げると鯨は夜になる 白水ま衣
 ~音の変化は信号である。信号により人々の命をまもるためのカラクリが狂いはじめた。それに内包された闇、あるいはそのものを包む闇(どちらにせよ皮一枚!)があらかじめ定められた領域を踏み越えてゆく硝子細工の夜。楽譜は引き裂かれた。 (以太)

真夜中はマリーゴールドばかり咲く 玖
 ~マリーゴールドは独特の匂いで人を選ぶようです。マリーゴールドばかり咲く家にそれでも訪ねてくる人はいい人に決まってます。あなたの傍にマリーゴールドは咲いていますか? (月波与生)

腕まくら明日スープになる冬瓜 高田月光
 ~冬瓜を腕枕するシュールな景と、誰かに腕枕されて、転がる冬瓜を眺めているしっとり色っぽい景と両方浮かびました。好きです (けいたろう)

プールに行く友達がいなかった あ
 ~夏休みあるあるだなあとしみじみ。それでも行きたいときは一人で行ってプールで友達を作るのであった。今は現地で友達になることもなくひとりで呑気に泳いでいる。 (月波与生)

立ち泳ぎ専用プールの深さかな しまねこくん
 ~立ち泳ぎを覚えれば足が付かないとことでも浮かんでいられるので海で泳ぐには必須です。掲句は深さを気にしていますから足が付かないところではまだ泳げないのでしょうか。(月波与生)

ふいに吐きだす遠いクラクション 海馬
 ~先ほどの立ち泳ぎの句と同様「距離」が問題になっている句です。クラクションは音ですが聞けば音と自分との距離がおよそ分かります。人は距離が確認できると安心できるようです。(月波与生)

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