#4 老人は死んでください国のため 宮内可静
この句が最初に登場したのは1997年12月、作者の宮内可静さんは78歳だったという。
なので、若者が老人に向けて書かれた川柳ではない。
老人が(自分を含む)老人に対して詠んだ川柳だ。
当時は賛否両論で騒然だったと樋口由紀子さんが金曜日の川柳で書いている。
実は高齢者の自殺は他の年代に比べても多い。
二十代も三十代も四十代も多いが景気が良くなって経済的に潤ってくると減る。
だから現在は危険なのだけど。
しかし七十代は他の年代ほど影響を受けにくい。
世の中がどうあろうと一定数の高齢者は常に死を選ぶ傾向があるのだ。
その理由は「迷惑をかけたくない」である。
そう考えたとき、この句は宮内さんの内面から湧いてきた自分の声に聞こえやしないか。