さみしい夜の句会報 第73号を発行しました

さみしい夜の句会
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さみしい夜の句会報 第73号(2022.7.10-2022.7.17)

第73回の参加者は72名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。

本日(7月17日)、川柳作家の川合大祐さんが「世界がはじまる十七秒前の川柳入門」と題した講義をZoomにて始めます。参加申し込みは締め切ってますがアーカイブでも視聴できるようです。それぞれが得意な方法で川柳を活性化する活動を始めとても刺激的です。創作は孤独な作業ですが活動をどんどん公開していくことで川柳を盛り上げていきましょう。

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◆ 参加者(72名)

菊池洋勝、しまねこくん、風池よういち、syusyu、む~みんママ、木野清瀬、crazy lover、水の眠り、達毘古、西脇祥貴、キンジョウ、輪井ゆう、弌定住佳、西沢葉火、以太、石原とつき、立木由比浪、雲上晴也、海馬、蔭一郎、ちゅんすけ、さとすぃ、藤井皐、にじむにじ、岡村知昭、落ちる星々、睦月ヨシ、鷺沼くぬぎ、玖、najimi、天やん、鴨川ねぎ、太代祐一、蜜、せば、城水めぐみ、児島成、馬勝、抹茶金魚、月硝子、めい、星野響、小沢史、東こころ、茶熊さえこ、MIYA、徳道かづみ、雷(らい)、玖々泉ろか、Tomoko、涼閑、電車侍、桔梗菫、日月星香、伽羅、思雨(スイ)、石川聡、夏野ネコ、風花(かざはな)、原点、ゆりのはなこ、宮坂変哲、Ryu_sen、たろりずむ、鷺沼くぬぎ、Millicent/Neu、みや/水也、黒穂+、ニシカワ、夜想詩人、日下 昊、楢崎進弘、月波与生

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◆ 7・7詩、5・7・5詩

真夏日の東京なんて唯のトレモロ najimi

蘆茂る雨に瞑想するゴリラ 石川聡

蘆茂るねばつく風の二丁目に 小沢史

月のした既読になってさらに恋 東こころ

虹二重やさしい言葉の裏の裏 木野清瀬

寝癖がいつも合歓の花に似ていた 海馬

ミシンかたかたうろ覚えのロシア語 海馬

青田道奨学金が返せない 馬勝

飛魚や空跳ねるとき息を止め 宮坂変哲

新月やあなたにあげた資生堂 原点

掌であたしを飼って金魚玉 風花

乙女座で圧力鍋はできている 岡村知昭

いたずらに版を重ねて十五才 西脇祥貴

来迎の千年前はとしまえん 西脇祥貴

寝たふりの君にSuicaをタッチする 太代祐一

ヒエッ! 夢みる子は示談 太代祐一

肝臓の裏は鍵盤ハーモニカ 以太

かけはしが(  )で閉じている流れ 西沢葉火

生返事誤解が誤解呼び暑し syusyu

点滴の袋の日付皐月かな 菊池洋勝

全員が眼鏡をかけている暑さ 蔭一郎

教頭よおまえのせいで蘆茂る 蔭一郎

竹藪に消えたセックス・ピストルズ 蔭一郎

鍵かけたかな引き返す青田道 蔭一郎

巴里祭やなにもない日に「萩の月」 玖

道連れにしよう尻尾を見せ合って 城水めぐみ

奥歯にものが挟まったようなミスチル 海馬

星人と交信すべく傘広げ 鴨川ねぎ

ポテトサラダの技術者ぎらい 太代祐一

ポチという犬を探しているのです  かづみ

あさがおもしにがお 石川聡

わたしにはほぼ致死量の善意です ちゅんすけ

地球儀のくうきが抜けてみな笑い 海馬

譲るのは百歩以内だ青田道 しまねこくん

盆踊りにまぎれて峰打ち 石原とつき

雨の日は犬を埋めてもいいらしい 以太

ポツポツと金魚の吐息めく弱音 せば

故郷にエンドロールの夕焼けや 風池よういち

取り扱い注意スマホとバカ息子 crazy lover

雲隠れさみしい月を追いかけて 水の眠り

崖のうえ真実叫ぶピエロたち 達毘古

そんなにも痩せてしまったのかケーキ 輪井ゆう

雨しずくトタン奏でる島の宿 弌定住佳

骨壺を飾る造花と万国旗 立木由比浪

宵山の人波おされ先斗町 雲上晴也

青鬼灯 あらこう見えて怖いのよ さとすぃ

青みがかった溜め息を吐く母艦 藤井皐

ツチノコのコスプレを脱ぐマトリョーシカ にじむにじ

ひらがなでかきたいことばがふってこない 落ちる星々

利きすぎる鼻が産み出すエンディング 睦月ヨシ

信号の赤尾を引く路面は梅雨寒 天やん

詐称して水の呼び名の朽ちたさを 抹茶金魚

ワクチンにひと夜抱かれし暑さかな 月硝子

幾重もの蛹を脱いで虹になる 星野響

合宿の参加予定にバツ付けた 児島成

指切りがカスタネットに挟まれる MIYA

南米からベトナム経由の鮭かじる 雷

眠い朝五月蝿く響く蝉の声 玖々泉ろか

訣別を決めた精霊流しの夜 涼閑

半夏雨 平成の世も 去りにけり 電車侍

離れると思いが募るずっといた 茶熊さえこ

亡き妻が植えた茉莉花咲き続け  黎明

涼んでる端居に見える夏の月 日月星香

逢ひに行く合歓の木深く眠る頃 伽羅

焼酎で夕涼む空救いなし 思雨

飛魚になれない君の背をさする 海のネコ

掌であたしを飼って金魚玉 風花

冷蔵庫悲鳴をあげる野菜たち ゆりのはなこ

唐突にタイムラインを堰き止める Ryu_sen

忖度という字にルビを振っておく  たろりずむ

宛先の無き微笑みの夕端居 鷺沼くぬぎ

むなしさをしばらく波にまぎらわし Tomoko

一切をかなぐり捨てて滝の水 黒穂+

おわかり?と父が食む寿司投票日 ニシカワ

雨脚が強くなる度に心は浮いてゆく 日下昊

どこまでが宗教でどこから人殺し? 月波与生

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◆ 7・7、5・7・5以外の短詩

ツイッターに別れを告げんと思いつつ夜更けに探すスマホかな む~みんママ

パンダにはなれぬヒグマの哀しみを猟友会に説くフィロソフィー キンジョウ

曇天の空間よりも手のひらのなま温かさ慈しみ 蜜

なかなかの独りよがりを詠みあげて「どんまい」もらう多分あしたも めい

残念なその他大勢 砂浜の一粒としてもまれて生きる めい

毒親のDNAは残ってて言葉も汗もなんだか臭い めい

星影のさやかな夜にささやかな言葉をささげ祈りをささげ 夜想詩人

夜半の月かたちばかりの涙雨ブルーグレーの空に囁く みや

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◆ 詩

難しき勉強本を選びたる

どれもどれとて易しく無くを

読むことで学生として知恵を得る

時間も限られ年老いるとき

いまならば学びを得しが叶うとき

ゆっくりでもよく進みゆきたい (Millicent/Neu)

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◆ 作品評から

ポテトサラダの技術者ぎらい 太代祐一
 ~レシピはいろいろあるだろうが、ポテトサラダを美味しく作るのは技術ではない。道具でもない。そう考える人間がいるなら軽蔑をする。ポテトサラダを作るのはもちろん、根性である。(西沢葉火)

ポチという犬を探しているのです  かづみ
 ~犬を探しているのではありません。名前を探しているのです。ポチという名前ならば、どんな犬でもかまいません。ポチと呼べば返事をしてくれる、そんな犬にもう一度会いたくて。(西沢葉火)

あさがおもしにがお 石川聡
 ~人間は中途半端な死体として生まれてくる、と寺山修司は言った。アサガオは朝に咲き、そして既に死んでいる。鏡に映った顔も、また。(西沢葉火)

開いたら指開かなければ蛍 しまねこくん
 ~「とべないホタル」という童話を思い出した。掌の中でゆっくり翅を開くのを見ているぼく。「ひらく」のリフレインで写生と心象を表している。(月波与生)

イタタマレナイをひろって口にいれ 石川聡
 ~何故口にいれたのか?イタタマレナイからである。何故拾ったのか?イタタマレナイからである。真実を知りながら知らなかったふりをするのはホント、イタタマレナイ。(月波与生)

来迎の千年前はとしまえん 西脇祥貴
 ~ひらがなのとしまえんがいいですね。すべてひらがなでもよかったのでは。(楢崎進弘)

ミシンかたかたうろ覚えのロシア語 海馬
 ~これは足踏み式のミシンですね。(楢崎進弘)

父おやをかぞえるためのコーラ瓶 川合大祐
 ~作者にしては珍しい父の句。こういう句を読むと(酔い夜ごと 童話集から 父消ゆる 酒谷愛郷)などが思い起こされ現代川柳は地続きであることがわかる。(月波与生)

手に取った本が逆さまのうちに読む 睦月ヨシ
 ~主人公が穴に落ちて真っ逆さま―というシーンを描いた絵本をとっさに開いてしまった。「あ、逆だ」と思い天地を逆にして眺め、次のページを開いて気付く。「あ、逆だ」 (月波与生)

教頭よおまえのせいで蘆茂る 蔭一郎
 ~寝返りがどちらの意味か解りました。(楢崎進弘)

主文から先に読み上げ系男子 以太
 ~主文とは「被告人を○○の刑に処する」という刑罰の言い渡し。結論が早いということだが逆に主文後回しとなると「死刑」に処されそうで怖い。~系男子のふわりとした着地がいい。 (月波与生)

どこまでが宗教でどこから人殺し? 月波与生
 ~はらわたのどのあたりからくそとよぶか   渡辺隆夫を思い起こしました。(石川聡)

初蟬の好きな木嫌いな木図鑑 蔭一郎
 ~図鑑、という川柳を最初に書いた句はどれなのかわからないが、以降すべてが二番煎じかというと面白いものは面白いし、自分が「面白い」と思ったらどんどん書いてみればいい。 (月波与生)

孤独死がふえる団地の公文式 馬勝
 ~少子高齢化を象徴する装置としての団地。定理でもあるかのように増え続ける高齢者の孤独死。これらのことを3文字で言い当てた「公文式」が効果的です。(月波与生)

鍵かけたかな引き返す青田道 蔭一郎
 ~強迫観念ですね。わたしも確認したにもかかわらずまた引き返します。(楢崎進弘)

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第73回句会報

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