さみしい夜の句会報 第115号を発行しました

さみしい夜の句会
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さみしい夜の句会報 第115号(2023.4.30-2023.5.7)

第115回の参加者は75名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。

川柳にはその年の作品賞を決めるようなものがありません。柳社や出版社に紐づいた個別の賞はありますが、全国からオープンで参加できるものは存在しません。川柳を始めて数年の頃いわゆる〈川柳界の大御所〉の方と話す機会があり「川柳作家を育てるオープンな作品賞ができてほしい」というような話をしたら「あなたが作れば?」というけんもほろろな塩対応をされたことがあります。悔しいなあ、死ねばいいのに。あれから数年が経ち「具体的進めてもいい時期では」と考え始めている今日この頃の満天の星です。

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◆ 参加者(75名)

凪ちひろ、しまねこくん、森砂季、屑乃ハコ、石川聡、片羽anju 雲雀、佐竹紫円、何となく短歌、岩瀬百、萩原アオイ、小沢史、daist、syusyu、石原とつき、水の眠り、西脇祥貴、とるばどーる、のんのん、まつりぺきん、元さん、おかもとかも、上崎、saku、宮井いずみ、奥 かすみ、抹茶金魚、石原とつき、西沢葉火、花野玖、すずしろゆき、雪上牡丹餅、ぱさ、菊池洋勝、Ryu_sen、たろりずむ、Tatsuo Kanase、こたろう、星野響、都 圭晴、しろとも、もゆら、入竹野乃子、乙ノ、弌定住佳、雷(らい)、とし、M*A*S*H、さー、みおうたかふみ、流天、Nichtraucherchen、森内詩紋、うたたね凛、Tomoko、おから村、Take、涼閑、此糸むら咲、黒い兎02、雪夜彗星、黒音、東こころ、電車侍、hyuutoppa 突波、かわいい霊夢です。ゆっくりしていってね〜、ゆりのはなこ、日下昊、みさきゆう、るび太郎、さくら、新出既出20、名犬 ぽち、むし、あらぴぃ、月波与生

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◆ 7・7、5・7・5 (川柳・俳句)

自販機に半径2Mの朧 入竹野乃子

信金の二階に干支の冷暗所 西脇祥貴

あをによし事後の過酸化水素水 西脇祥貴

くくるくぐるぐぐるガス燈のひかり 宮井いずみ

おにぎりの海苔の裏での圧迫死 西沢葉火

たんぽぽの高さに腰を落としなさい しまねこくん

与野党に分かれて蜂の巣を投げる しまねこくん

黒板に爪立てながら夏来る しまねこくん

春の果て無尽蔵ではない正気 上崎

朝顔蒔くビルの間のビルの跡 花野玖

非チャーシュー麺にもチャーシューついてくる さー

おっぱいが恋しいくらいお正月 抹茶金魚

少年は片付けながら暮れてゆく 西脇祥貴

兄よりも先に帰つてきたバイク たろりずむ

シャッターの裏で店主はたんぽぽに しまねこくん

容赦なく叩けば直る昭和の日 菊池洋勝

ほぼカニと円周率の求め方 宮井いずみ

上様がよくないものを植えている のんのん

時速100kmで過去になる桐の花 岩瀬百

おうし座のあなたにぴったりのほくろ おかもとかも

見たくないほうの三日月ですそれは 東こころ

滅亡の朝の同人即売会 まつりぺきん

アヴェ・マリア バイクを止めて藤の花 まつりぺきん

俺だけが何故ポンデリングの手錠 森砂季

猫せんせいのかわいい孤独 石川聡

卯の花やひとりの午後に打ち寄する 佐竹紫円

桐の花咲く満開のリスカ痕 小沢史

葉ざくらのつくりし罠をぬけられず syusyu

桐の花一つ呼吸の羽休め 水の眠り

白妙のマリンルックや夏来る すずしろゆき

NOT MY PM 言わせないルール 雪上牡丹餅

摩周湖へスラムダンクを決めてやる Ryu_sen

まーちゃんは地下へ潜った夏来たる Tatsuo Kanase

朝寝して霞む世界に一滴を こたろう

螢のみ映る廃プラネタリウム 星野響

なるべくやわらかなほうへまちがえる  しろとも

よく生きたはやく還ろう終らせて 弌定住佳

種をまく事からの料理始める 雷

海外で武者修行した鯉のぼり M*A*S*H

待っている 斧を三回投げ込んで みおうたかふみ

風吹いて連れ去るように風車 流天

名前には罪なかりけり黒揚羽 Nichtraucherchen

浮上するついに乙姫 西沢葉火

タイムワープした朝だった蓮華草 うたたね凛

花失せて闇の香りにむせぶ夜 涼閑

強かに 増える紫蘇に ゾッとして 黒い兎02

夜の駅独り紛らす燕鳴き 雪夜彗星

雛罌粟や ルドンの如く 眠き午後 電車侍

ここでその曲が来るのか四月尽 hyuutoppa

mr.寂しがり かわいい霊夢です。

今年初のうぐいす年間ランキング上位かな 日下 昊

大事なものなくしてわかるホントだよ さくら

はなびらをくちうつしする葉月まで 月波与生

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◆ 5・7・5・7・7(短歌)  

丁寧に圧しのばされた亡骸を何度もさしこむ初版の乱歩に 此糸むら咲

ゴム越しの射精のような安心と退屈ばかりの今日五月晴れ 萩原 アオイ

アナログの写真は日ごと色褪せてわたしと同じだけ歳をとる daist

竹林すくと立ちたる茶色の子伸び代という青い香りを 水の眠り

ああ、まただ締め付けられるこめかみに「水をください」頭痛が痛い 水の眠り

ストロマトライトな花束の各駅停車うつらうつら 石原とつき

その間合い私にちょっと遠すぎて拒絶するには微妙な距離感 屑乃ハコ

頑なにしがみついてるその指に血を通わせて鬼を逃がして みさきゆう

お土産の母が咲かせたバラの花あっという間に開いてしまった 凪ちひろ

死にかけて生まれた君が笑ってる世界は君を愛してるんだ片羽雲雀

芸術は沈んだ気持ちに付く気泡しゅわっとまとって3ミリ浮かぶ 何となく短歌

アルゴリズムに童貞気取り遠近法は始まってしまった 石原とつき

心配をしなくていいと祈る朝カーネーションの首はもたげる とるばどーる

西風に心奪われ逃がしてた初夏の嵐の風を追い越す 元さん

目覚めたと思わせる術をかけてくる睡魔の手口に踊らされてる saku

昔より チーズやワインが 美味しくて老いも熟して 美しくなれ 奥 かすみ

夏の声伝はる宵に佇めば小さき雨に濡るゝ肩哉 ぱさ

酒呑んで短歌の園で狂い咲く夜は寝ず もう鳥がさえずる 都 圭晴

その場所にほくろがあると知れたこと嬉しいけれどうんと淋しい のんのん

連休の行き交う人が活気づく嬉しさ滲みにっこり笑う もゆら

もし君が寝こんでしまったらリンゴみたいな満月をむいてあげる 乙ノ

コップには 君の口紅 鮮やかに 僕は迷わず 唇つける とし

晩春や晴れも曇りもせぬ始末私の空は黄砂で霞む こたろう

深呼吸してからグッと握りこむカストピンナの木肌の堅さ 森内詩紋

上手くやりたいと思うから手も声も震えて顔も赤くなるのよ Tomoko

しっかりと充電してもすぐ切れる私の心《バッテリー》の寿命が近い おから村

連休を取れる人達楽しんで人が減ったら何処かへ行こう Take

あの人が生きてこの世にいるからは私も生きていてもいいはず Nichtraucherchen

陽をもらい夜を照らす半月の光くらいで生きて行きたい 黒音

あかり消し六畳一間のドンキホーテわかってたまるかわかってたまるか ゆりのはなこ

もうこれで会うこともなく不要ゆえ君の愛せし黒髪を切る るび太郎

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◆ 詩

提出された作品はありません。

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◆ 作品評から

滅亡の朝の同人即売会 まつりぺきん
 ~きっと、滅亡の朝にも同人即売会は盛況なのでしょう…!情景が浮かびます。(のんのん)

あをによし事後の過酸化水素水 西脇祥貴
 ~事後という響きだけで強くなれる気がします。すきです…! (のんのん)

容赦なく叩けば直る昭和の日 菊池洋勝
 ~好きです。(新出既出20)

昭和の日帰つてくれよウルトラマン しまねこくん
 ~ウルトラマンが地球へ帰ってきたのは1971年。それから52年経った今、うんざりしてもういいかげん「帰つてくれよ」といっているのが2023年の地球人らしくていい。(月波与生)

カップ麺よりどりみどり昭和の日 花野玖
 ~「昭和の日」の句をもうひとつ。昭和の即席麺といえば「ハウス 本中華 醤」が美味しかった。戻ってまた食べたい。でも巨大な喫煙所である昭和にはもう住めないだろうな。(月波与生)

黒板に爪立てながら夏来る しまねこくん
 ~やめれやめれ!(名犬 ぽち)

はだいろは40色あり、みどりいろは9色あり、くろいろひとつ えびたからいち
 ~「はだいろは…」とやると人種的なこととして読まれるリスクがある。結果、イメージを小さくしてしまう。惜しいと思う。(月波与生)

毒のある人の言葉を反芻し口内炎もなかなか癒えない 奥 かすみ
 ~「口内炎も…」の転調が効果的。こういう人はストレス耐性が強い。にもかかわらず口内炎が治らないことを悩んでいるところが可笑しい。(月波与生)

コップには 君の口紅 鮮やかに 僕は迷わず 唇つける とし
 ~悲しく成っちゃった。゚(p’д`q*)゚。(むし)

ああ、まただ締め付けられるこめかみに「水をください」頭痛が痛い 水の眠り
 ~「頭痛が痛い」からすごく緊張が伝わってきます。
どうにもならない痛みを思い出しました。(佐竹紫円)

アヴェ・マリア バイクを止めて藤の花 まつりぺきん
 ~ロザリオのように垂れ下がる藤という想像をしました。藤の花言葉の一つが「決して離れない」、身籠るマリアの決意にも感じます。藤のタネは飛び出す勢いが強いそうで、そのイメージもバイクと重なりますね。とても素敵です!(森砂季)

聞いてるよ、それよりあそこ怪獣が、浮気? してるよ、ほら、怪獣が 峯ひろき
 ~〈聞いてるよそれよりあそこ怪獣が浮気してるよほら怪獣が〉 多用される「、」で読み手を止まらせるがそれほど不快でもない。(月波与生)

百歩譲って二歩下がる 西沢葉火
 ~〈幸せは歩いてこないので困る 北野岸柳〉を思い出した。譲って下がってなかなか先へ進まないのであるが、それもまた生きている味わいなのだ。(月波与生)

頑なにしがみついてるその指に血を通わせて鬼を逃がして みさきゆう
 ~なぜかグッときてます。運転中だったけれど。(あらぴぃ)

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◆ 第115回句会報ダウンロードはこちらから

第115回句会報(PDF)

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