画像提供:Jill Wellington ( Pixabayより)
さみしい夜の句会報 第176号(2024.6.30-2024.7.7)
第176回の参者56名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。
私(月波与生)は川柳の老舗『川柳番傘』誌に川柳を提出するし、ここほかのネット川柳にも書いているし、俳人の野間幸恵さん主宰「Picnic」誌にも川柳を書いてます。多分日本で最もウイングの広い川柳書きのひとりだと思いますが、提出する川柳は、特別書き分けているでもなく提出してそれぞれでボツになったり「この句いいね」と言われたりしています。フィールドを意識するより自分が書きたいもの(表現したいもの)をはっきりさせたほうがいいよ、というのを一昨日青森市で開催された「川柳ステーション2024」への参加、投句参加だった昨日の「らくだ句会」の映像を夜見ながら感じたのでした。
◆ 参加者(56名)
水の眠り、クイスケ、しまねこくん、何となく短歌、桑原雑、帰ってきた笛地静恵、syusyu、西脇祥貴、遼旅、ユミヨシ、おかもとかも、花野玖、しゅん、みさきゆう、THE FULL-SHOW、蔭一郎、汐田大輝、くろさわたお、桂月、石川聡、宮坂変哲、牛田悠貴、ユタカⒷ、佐竹紫円、しんいち、胡椒 黒、、まつりぺきん、カゲキ・ちゃけぞう、牛田悠貴、西沢葉火、涼、ダリア220、片羽 雲雀、エミリー・メープル・ボーン、古城エッ、しゅがお、メタル麺、花咲めだ香、ハッカ飴、深名、遼旅、平松泥沸、石原とつき、雷(らい)、 souko守宮、城水めぐみ、うつわ、もん、mugwort、さー、馬勝、辻恵太、輪井ゆう、森砂季、名犬 ぽち、月波与生
◆ 川柳・俳句
いちはやくタコに沁み入るクエン酸 汐田大輝
ホチキスに悪い遊びを覚えさす 汐田大輝
ムヒ臭し友の首すじ半夏生 帰ってきた笛地静恵
夏の夜は名探偵と倫敦へ 帰ってきた笛地静恵
悪友のフォアグラたちの肝だめし 帰ってきた笛地静恵
遠くで何か音が聞こえる ぬるし うつわ
金太郎飴の末尾で聴く弔辞 城水めぐみ
背のびした分だけ早く夏休み 宮坂変哲
セクシーにみえるガラスに麦茶を入れる 桂月
餃子屋の犬に嗅がせる遺留品 西沢葉火
誰でも良い誰かと響きあえたらな THE FULL-SHOW
話し方忘れる前に話して下さい THE FULL-SHOW
校則をドリンクバーで注がれる 牛田悠貴
ランドセルあけて散らばる東京都 牛田悠貴
異教徒の免除決定通知あり クイスケ
お茶請けにアンティオキアをたずさえて クイスケ
♪ の一音に千の中島みゆき 西脇祥貴
千年に一度の恋の1日目 くろさわたお
胸元の匂い僅かにサイボーグ みさきゆう
割印の半分が押される夏野 蔭一郎
風水により本棚は雨ざらし 蔭一郎
ピストルが歯に挟まって話せない もん
ぴゅたらぴゅたらコもれびまるごとダク 石川聡
鍵穴にしてみれば不安しかない しんいち
流しそうめんな筆記体なここを譲れない 石原とつき
*
本物が持てる稼業で水鉄砲 馬勝
蚊を打つ様を見てより叔母に近づかず syusyu
興味無いだろ?交換様式Dの正体知ってる 遼旅
ちょっとした光り物まずそのままで おかもとかも
半夏生わんこそばなど食べに行く 花野玖
ハイライトが不味いのに喫む 雨乞 ユタカⒷ
寝違えを昨日の蛇のせいにする souko守宮
なにひとつ出来ないままに天気雨 まつりぺきん
カウンターに置いたメットが話し相手 カゲキ・ちゃけぞう
労働は疲れるだけでつまらない 涼
さよならと言って私わからないから ダリア220
白む空やさしいままでいてほしい 片羽雲雀
百千鳥食う吾輩はトレッシム エミリー・メープル・ボーン
モヤモヤがボヤボヤしてると憎しみに しゅがお
噛み合わぬ話にっこり礼を言う 雷
でたらめに念仏など呻いてみる 遼旅
知らぬ間にオルターエゴが成仏す 平松泥沸
あさましき指やクレヴァスの憂鬱 mugwort
イライラを隠せないままパンツ干す さー
お別れ次第線状降水帯 輪井ゆう
*
初対面ですが切れ字を差し上げる 月波与生
理想論ばかりの青いぬらりひょん 月波与生
◆ 短歌
氷には伝導しない熱があり私の心を閉じ込めている 古城エッ
ぷるぷるのプリン パラソル パイナップル 半濁音はぴかぴか光る 水の眠り
「人妻です」「セックスレスです」賞味期限切れた食パン撒くような裏垢 ハッカ飴
授かった背中の羽をばれぬよう仕舞ってきょうも人へと戻る 胡椒 黒
「売切」の文字赤々と いつだって三ツ矢サイダーはここにいない 佐竹紫円
生ぬるい空気がうまく吸えなくて僕の換気がうまくいかない ユミヨシ
*
僕の手をすり抜けていくアルタイル君は彼女に会えたでしょうか 月立耀
逢えぬきりでいる想い人今宵なら夢の銀河に来てくれますか 何となく短歌
男女四人で雑魚寝して息を殺した声が聞こえたらそれは犬笛 桑原雑
スナップエンドウの筋が残ってる 細い背中を僕は追えない メタル麺
あと一枚、あと一枚と泣きながらひとを人にする閻魔になった 深名
あの時に 素直になれたら 違う現在(いま)人生なかなか 上手くはいかぬ 辻恵太
◆ 詩・短文
#さみしい夜の句会 引用と返句
『誰かが読んでくれてます。』
淋しい私輪の中に入れた
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短い文藝をジャンルレス受け入れてくれる
そんな素晴らしい場所見つけて
自由律続けてて良かった
アナタの言葉わたしに響き
後は皆を見倣うのみ (THE FULL-SHOW)
今日コナンやらんやんけ
まぁちょいと動画と音楽聴いて寝よ。
おやすみ (しゅん)
さみしい夜の蛸
と打ち間違えてました。
#さみしい夜の句会
です。すみません。(蔭一郎)
◆ 作品評から
お茶請けにアンティオキアをたずさえて クイスケ
~美しい。一読、気持ちが良い。お茶漬け。米、茶、湯等々。日本から中国へ。そこから、シルクロードのはじまりの土地。アンティオキアへ。想像力が飛ぶ。ユーラシアの食の歴史を旅する。規模雄大。#現代川柳 とは、想像力の飛翔距離のことであろうか。(帰ってきた笛地静恵)
風水により本棚は雨ざらし 蔭一郎
~運をつかむためなら何を失ってもいい!という気概を感じますが、本棚は自身の知識や教養を表している気がします。引き換えに差し出すにしては代償が大きすぎますね。「風水」という言葉が雨風にさらされることにかかっていて面白いですね。(森砂季)
初対面ですが切れ字を差し上げる 月波与生
~気合。あなたの句は、「ぞ、なむ、か、や、こそ」を使うことで、遥かにしまる。お若いのに、韻文の感覚のある方と、お見受けした。芭蕉や蕪村は読まれたか。「ですが」のためらいがいい。おせっかいと思われてもいいのだ。月波さんは、笑いを誘う状況を見つけるのが、実にうまい。(帰ってきた笛地静恵)
理想論ばかりの青いぬらりひょん 月波与生
~背丈ばかりひょろひょろと伸びて。頼りない。地に足がついていない議論。視線を合わせない。青年をディスっているようだが、そうではない。やさしいのだ。相手は、まだ人間になっていない。妖怪の時代。現実にもまれて人間になる。これからいろいろと厳しいぞ。がんばれ。(帰ってきた笛地静恵)
噛み合わぬ話にっこり礼を言う 雷
~いいですね。こういうのは好きです。(名犬 ぽち)
もういいや疲れた死にたい地下鉄のホームに並び会社へ向かう ユミヨシ
忘れたい匂い 雨の日の清潔 包帯として死にたいと打つ みさきゆう
~人はいろいろな場面で「死にたい」と思っている。(月波与生)
射的屋に心当たりの温泉地 帰ってきた笛地静恵
~そういえは以前行った山の奥の温泉地にも射的屋があったなあと思い出す。なにも娯楽がない場所の射的屋はさぞかし繁盛したのだろう。(月波与生)
半夏生わんこそばなど食べに行く 花野玖
~岩手は、いろいろと、うまいですよねえ。そばも、うどんも、焼肉も、タコなどの魚介類も、野菜も、みんなみんなうまい。「など」が効いています。結句の断定も強い。観光もいいが、まず「食」だ。夏に負けない。体力をつける。(帰ってきた笛地静恵)
一回も名を呼ばれずにイヌは死ぬ クイスケ
~生きていて哀しいエピソードの上位に入りそうな「一回も名を呼ばれずに死ぬ」。そういえは月波与生と言う名をいまだ間違えて書いてくる人が少なくない。哀しい。(月波与生)