さみしい夜の句会報 第76号を発行しました

さみしい夜の句会
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さみしい夜の句会報 第76号(2022.7.31-2022.8.1)

第76回の参加者は86名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。

川柳のことをいうと、毎年たくさんの大会が開催されていますが、その中からその年を代表するような句が生まれてこないのは何故でしょう。川柳大会とは言えもの凄い小さなセグメント(数十人~1,000人以下)の中での情報共有ですから、どんなに大きな大会でも全川柳人の1%以下にしか認知されていません。どう取り組めば認知度を1桁上げる(10,000人以上)ことができるのか試行してみる時期に来ているのではないでしょうか。

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◆ 参加者(86名)

mugwort、蔭一郎、太代祐一、白水ま衣、しまねこくん、風池陽一、月硝子、めい、syusyu、水の眠り、西脇祥貴、池内草月、天やん、思雨(スイ)、海馬、黒穂2022、−恷庵−、neconeco、まつりぺきん、雲上晴也、菊池洋勝、藤井皐、達毘古、伽羅、池田吉輝、日月星香、桔梗菫、石川聡、電車侍、木之下恵美、せば、ゆりのはなこ、高木タツオ、相見美緒(あいみみお)、Tomoko、雷(らい)、さこ(砂狐)、玖、以太、日下昊、あ、たなかゆみ、茶熊さえこ、む~みんママ、鴨川ねぎ、夏野ネコ、野口かねさ、MIYA、najimi、高瀬二音、岡村知昭、馬勝、千春、Ryu_sen、石原とつき、涼閑、木野清瀬、紺野水辺、西沢葉火、宮坂変哲、星野響、みしまゆう、小沢史、りんださん、みんみん、棚場田敦也、和泉明月子、naokom、蜜、hyuutoppa、児島成、弌定住佳、海月漂、たろりずむ、夜想詩人、風花(かざはな)、みや、生・存、岩瀬百、名犬 ぽち、俳句愛 大本伸彰、楢崎進弘、HAKUBIKI、茉莉亜まり、な、月波与生

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◆ 7・7詩、5・7・5詩

氷水おいしい味のほうの嘘 紺野水辺

蝉の殻最初の夫は失踪す 木野清瀬

目覚めれば手からあふれる永久歯 小沢史

ポケットが付いた噂は厄介だ 白水ま衣

トルソーを跨ぐ感情2号線 Ryu_sen

ババ抜きをひとりでやれば暑気払い 蔭一郎

みつばちのささやきを経て土用波 蔭一郎

マスカラの涙を流し昆布干す 蔭一郎

ふるさとはプールの底に沈む村 蔭一郎

街中でダンボール蹴る音がする 太代祐一

マヨネーズのおそらくここが後頭部 白水ま衣

パンツの日M字の店のハンバーグ 菊池洋勝

々々々をおやゆびで潰す朝焼け 太代祐一

ふいに吐きだす遠いクラクション 海馬

睦言のする真夜中の歯科医院 太代祐一

消しゴムでまた水曜を消す仕草 まつりぺきん

水掻きを捨てた箸だと思われる 西沢葉火

母病んであの人も病む百日草 木野清瀬

これが汗これが涙でこれが血だ 太代祐一

プールに行く友達がいなかった あ

鳥も座って第三者委員会 Ryu_sen

夏野菜で終わる人生相談 Ryu_sen

魚跳ねる文字の谷間にぶつかって 千春

前戯なき戦いだった草田男忌 馬勝

プールサイドのアルマジロにもニキビ 岡村知昭

二列目も駆け出しそうな夏がキライ najimi

浮き雲をフェリー乗り場で渡される MIYA

正方形に憧れている駐車券 MIYA

ムエタイを唐揚げだったと思い出す 高木タツオ

真夜中はマリーゴールドばかり咲く 玖

光速や1.3秒前の夏 玖

たましいにサインをしてはなりませぬ 白水ま衣

茄子トマトカケス山鳩流星群 Tomoko

立ち泳ぎ専用プールの深さかな しまねこくん

ジェンダーとしての網目があるメロン しまねこくん

広島の日を締めくくる予告編 しまねこくん

青田道負けた試合の校歌かな 菊池洋勝

熱かったろう草のくすぐる向こう脛 海馬

とりあえず怒りはゴマで和えておく 白水ま衣

これは朱鷺これはかもめと鑑定士 太代祐一

夜風の影をうっかり踏んでいた 砂狐

狼少年になりたい薄い月が暑すぎる  石原とつき

食欲の読み間違いとして餃子 以太

万能になって人差し指を振る 西脇祥貴

炎昼にコーリングユーに溶けてみる みんみん

冷麺の海を遊泳するトマト mugwort

嘘泣きのように止みたるにわか雨 風池陽一

雉鳩の告解永く秋立ちぬ 月硝子

秋立つやあこをぐっすり眠らせて めい

秋立つや狂気は未だ鎮まらず syusyu

ギヤマンに注ぐ緑茶 涼(すず)一つ 水の眠り

ハイエナや冬待つ人の前にいる 天やん

心配の 成長速度 速すぎよ 思雨(スイ)

百年の後に原爆忌のかたち 黒穂2022

原爆忌空はただひたすらの青 neconeco

網のなか鮴の瞳と悪巧み 雲上晴也

山積みの隣人の塊ごと抱き抱え 藤井皐

謝罪時に日本はあるか原爆忌 達毘古

縦揺れの陸橋渡る原爆忌 伽羅

長過ぎる花弁の鮮やか百日草 日月星香

晴天の下で賑やかプール中 黎明

プールより溝へ溢れるごとく泣く 石川聡

睡蓮の 森を泳ぐや 眠き鯉 電車侍

紫陽花を労いてから切り落とし せば

JOKERを引いて線状降水帯 ゆりのはなこ

初盆はすべて仕事の手 雷

輸血して繁殖入りの核兵器 以太

待宵草の萼を剥いてやる日没 日下昊

パワハラに押し潰される管理職 茶熊さえこ

炎熱に涼しさ求め猫息絶える む~みんママ

海がみなソーダ水ならいいのにな 鴨川ねぎ

思い切りハッシュタグ切れてるし! 夏野ネコ

拍子抜けするような心地良い夜風 野口かねさ

宵の口夏雲だけ光るエデン 高瀬二音

ときどきは途切れ切ない糸電話 涼閑

一九九九年小の月僕らはいなくなるはずでした 宮坂変哲

古傷へ幻注げ夏銀河 星野響

寂しいを翻訳すれば冬の月 みしまゆう

いつまでも あなたと私 にわか雨 りんださん

書けば味気なく書かなければ伝わらぬ一語 棚場田敦也

かなへびの子に護られて炎暑 和泉明月子

炎天下 人の数だけ灼ける「東京」 naokom

片陰や人妻であり友であり hyuutoppa

つめたいな三十一円なんだそりゃ 児島成

雨音に隠す足音忍び夜 弌定住佳

満月を吐いてあなたを待っている 海月漂

花と思って食べちゃいました たろりずむ

炎昼の恋に溺れた身を悔いる 風花

あの涙返却期限切れてます。 生・存

毒舌の衣を剥がして食べている 岩瀬百

行進曲弾くと灰になるピアノ 月波与生

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◆ 7・7、5・7・5以外の短詩

タケノコの青春時代は束の間で校舎裏にて見下ろす告白 池内早月

漁り火を啄木八十と土方を過ぎて気づいた日乃出の夜更け 蜜

丁寧に濾過した涙は透明できっと魚も棲めるでしょうね 夜想詩人

あなたにも似合うのでしょう花時雨曇りの空は終ぞ見せずに みや

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◆ 詩

ほんとはね
寂しんだ。
ほんとはね
泣きたいんだ。
助けてって言いたいんだ。 (−恷庵−)

月も太陽と同じで、出と入りは、目に入り易く、実際大きく見える。(物理的にどうかは知らないが)
天空の小さな月を臨んで…
お月さん
高きにありて
さびしかろ (流天)

風媒花
実りの前に
誰知るや
届かぬ舟で
はないちもんめ (木之下恵美)

ネオンが孤独を呼んでいる
ポップに彩られた悲劇は
火花を散らして
愛されたいって叫んでる
「みんな自分が好きなんだ」
って思い上がって良いんだよ
アンダーグラウンドな極楽浄土で
一、二の三でブチ上がろう (相見美緒)

きっとまた
会えるよねと
首をかしげ
見送られるの
胸が痛い
わんこくんにいつもされます (たなかゆみ)

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◆作品評から 

広島の日を締めくくる予告編 しまねこくん
 ~予告編。教えてつかあさい。(名犬 ぽち)

マスカラの涙を流し昆布干す 蔭一郎
 ~涙によるマスカラの色落ちと昆布の色がリンクします。イメージとイメージの寄せが凄い(石川聡)

あれこれとジャッジ ジャッジの蝉の殻 水の眠り
 ~「ジャッジ」は文字通り審判のことか、それとも蝉の鳴き声か。空蝉は現世とも読めるので「あれこれとジャッジ」というのは「生きるうえでの判断」だろうか。(月波与生)

帰省ほどよく散らかった広い居間 高田 月光
 ~3,9,5という変則リズムは帰省した実家の落ち着き方か。実家の居間の「ほどよく」「広い」乱雑さが変わらない実家の「変化」を映し出している。 (月波与生)

真夜中はマリーゴールドばかり咲く 玖
 ~この句、凄くいいです。こう断言されると、説得力を感じます。(俳句愛 大本伸彰)

狼少年になりたい薄い月が暑すぎる  石原とつき
 ~狼と月の関係がきれいに決まっていて薄いから暑いへの転調もよいですね。(楢崎進弘)

ふるさとはプールの底に沈む村 蔭一郎
 ~切ないが、いいです青春18きっぷで出かけますか?(HAKUBIKI)

檄文の@の草書体 Ryu_sen
 ~檄文の字体は「ゲバ字、トロ字」というらしい。その中の@だけが別な文書からコピーしたのか草書体だという。女性からの文の一部だろう。それをお守りのように檄文の中に挿み込む。(月波与生)

行進曲弾くと灰になるピアノ 月波与生
 ~定型の韻律に即していないところに「行進」が躓ずくことへの祈念、音楽を「行進」に使うべからずとのメッセージ性が透けている気がしました。一読時は今の他国の有事を背景にした読みとなるのですが「灰になるピアノ」という格調高い詩のことばで現在過去未来と時空を行き来できる。強く美しい一句。(茉莉亜まり)

ミネラルウォーターに足洗うおんな 太代祐一
 ~「ミネラルウォーターで」ではない「に」。映像としてはミネラルウォーターと女は横並びになる。映画『勝手にしやがれ』のシーンのように。(月波与生)

炎昼にコーリングユーに溶けてみる みんみん
 ~ソプラノもありますし、高音のシンガーは数々あれど、炎昼、で、コーリングユーを連想されるとは、何とセンスのよい方でせう。あの高音の長い長い気だるさは、炎昼、に、ぴたりです。ただ、句は、に、に、が惜しいと思ひました。(syusyu)
 ~妙に印象に残る映像。なんですよねぇ (な)

乾電池切れて鎖骨があまくなる 小沢史
 ~「鎖骨があまくなる」がいい。夏の気怠さを感じる。すぐ取り替えないでしばらくそのままにしておくか、ゆっくりと時が止まる。(月波与生)

食欲の読み間違いとして餃子 以太
 ~川柳っぽい構造を使った以太句、そしてそれがまさかの、餃子賛歌……!!!(西脇祥貴)

生きている方の私が煮る魚 白水ま衣
 ~最初《生きている方が私の煮る魚》と読んでいた。というか自分なら(たぶん)こう書く。掲句、生きているのは魚ではなく〈私〉なのだがそれを別な〈私〉が見ている。ゆらぎ。(月波与生)

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◆ 第76回句会報ダウンロードはこちらから

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