さみしい夜の句会報 第75号を発行しました

さみしい夜の句会
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さみしい夜の句会報 第75号(2022.7.24-2022.7.31)

第75回の参加者は80名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。

Webショップ「満天の星」では、8月から試験的に中古本の販売も少しずつ始めます。個人からお譲りいただいた本なので1冊限りが多いですがよろしくお願いします。
また、断捨離等で不要になった詩歌の本を無償で引き取り、新しい読み手へお繋ぎいたします。廃棄を予定されている方はご一報ください。

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◆ 参加者(80名)

たなかゆみ、古都梨衣子、−恷庵−、太代祐一、蔭一郎、しまねこくん、風池陽一、岩瀬百、syusyu、涼閑、以太、玖、宮坂変哲、西脇祥貴、天やん、まつりぺきん、相見美緒、ゆりのはなこ、najimi、石原とつき、海馬、藤井皐、紺野水辺、丸山タロ、石川聡、汐田大輝、あ、白水ま衣、伽羅、電車侍、東こころ、星野響、雲上晴也、ちゅんすけ、日月星香、桔梗菫、雷(らい)、crazy lover、kubotahiroko、輪井ゆう、石原とつき、Ryu_sen、longroof、水の眠り、菊池洋勝、キラワレモノ、fuu_、みや/水也、鴨川ねぎ、弌定住佳、達毘古、西沢葉火、小沢史、おたま、和泉明月子、夏野ネコ、月硝子、日下昊、高田月光、生・存、夜想詩人、木野清瀬、hyuutoppa、SUNNY、馬勝、岡村知昭、、む~みんママ、卯月俊、くるい咲き、たろりずむ、鷺沼くぬぎ、嶌りす、俳句愛 大本伸彰、F・骨、楢崎進弘、森内詩紋、catch_you、eririca、HAKUBIKI、月波与生

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◆ 7・7詩、5・7・5詩

くちづけをまだ拒まれぬ花氷 木野清瀬

生きている方の私が煮る魚 白水ま衣

クリオネを歯間ブラシで押し出して たろりずむ

息をするだけしか書いてないバイト 蔭一郎

塩辛のくせに涅槃へ行きたがる 岡村知昭

氷屋のさっそく熱くなる鏡 岡村知昭

バジルバジルバジルとむしっても母 太代祐一

アボカドに歌の巧さは求めない 太代祐一

歯並びが恋の手本となりにけり 西脇祥貴

帰省しても帰省しても兄がいる 蔭一郎

浴衣着た女の子たちみなグワシ 蔭一郎

年齢不詳の廃疾菊挿しぬ 菊池洋勝

檄文の@の草書体 Ryu_sen

乾電池切れて鎖骨があまくなる 小沢史

初浴衣の柄に退屈を溶かす  生・存

対面をすれば無言のメロンかな しまねこくん

帰省ほどよく散らかった広い居間 高田 月光

本心は余れば冷凍するが良し 白水ま衣

DMを開いてうつくしい余韻 東こころ

舶来の薄荷煙草にして夜勤 西沢葉火

部屋の角反対側に帰省する しまねこくん

旧友と稲川淳二で涼む夜 longroof

信仰を始める「かしこ」と添えてから Ryu_sen

絡繰りが見えないときは目を閉じる kubotahiroko

傘立てはみんなの七月のお墓 蔭一郎

蝉の殻なかへ入れば乱気流 石川聡

サマーセールで述語になった 白水ま衣

足跡を入道雲で拭い取る まつりぺきん

膝カックンして欲しいのだ君だけに najimi

大仏と花摘む大仏の違い 西脇祥貴

粉々のうなぎパイ完膚なき負け 岩瀬 百

桃色に塗れば新種の蝉の殻 しまねこくん

過ちが無くてもメロンは切られる身 しまねこくん

ミネラルウォーターに足洗うおんな 太代祐一

夏茱萸のピアスを買いに森の道 紺野水辺

コンプライアンスの白兎、だね! 海馬

ハチミツを舐めにいくねと闇の奥 海馬

新郎新婦は夏風邪より水 石原とつき

昼寝覚出逢えたはずの知らぬ顔 玖

月下美人三十八万キロメートル 玖

デウス・エクス・マキナ豆腐の亀裂音 以太

把手が付いてる方がフィクションです 白水ま衣

糸電話すべてやさしい嘘だった ちゅんすけ

今日もまた吸っては吐いて吸って吐く 古都梨衣子

若者のキラキラ笑顔が可愛くて♪ −恷庵−

夕立に騒ぎだす子や通学路 風池陽一

ねえねえと並んで座り氷水 syusyu

座敷牢転生すればアメーバー 涼閑

氷水下品なほどに美しく 宮坂変哲

致死量の愛を貪る短夜かな 天やん

泣き言を言う相手なく虫が鳴く ゆりのはなこ

子宮は収縮する紫蘇のよき香り 藤井皐

先鋭化する夏茱萸は錆び朽ちる あ

守秘義務の時には苦し時鳥 伽羅

空蝉や 月光白き 森の中 電車侍

ゆらゆらと布袋葵の黙秘権 星野響

浮世絵の夕立に似て真っ直ぐの 雲上晴也

トランクに夏服詰めてお泊まり日 日月星香

揃った口でご飯お菓子と夏休み 黎明

Amazon装った事だけは分かる文字化け 雷

待受の貴方の目を逸らしLINE 輪井ゆう

あれこれとジャッジ ジャッジの蝉の殻 水の眠り

兵や鎧虚しき蝉の殻 宮坂変哲

今日髪染めてきた キラワレモノ

それでも待ちわびるフジロック fuu_

米一粒宿りし太古のアニミズム 鴨川ねぎ

会いたいが会ってみたいが意気地なし 弌定住佳

遺伝子のバトン渡して悲が主人 達毘古

お中元うちの前にはとまらねえ おたま

わたしにも等しく降りて蝉時雨 和泉明月子

好きだから割り勘にする夏雲雀 夏野ネコ

夏雲雀残らぬ側の悲歌永く 月硝子

夜が更ける程に慎ましい合歓の樹よ 日下昊

影なのに早く木陰に行けと言う 達毘古

生物部の育てし謎の夏の水 hyuutoppa

いつの日か、笑って囲もう、BBQ  くるい咲き

お月様いつまでも夜をください 卯月 俊

蜩や夕風に溶くメランコリー 鷺沼くぬぎ

踊り場に痴漢の指が落ちている 月波与生

蛇穴のひとつは母の手の匂い 月波与生

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◆ 7・7、5・7・5以外の短詩

「生きてよ」が重荷になった藍色の時代を灯す電球ソーダ 相見美緒

母親とキャベツについて話しする  雲が速くて、ひとりぼっちで 丸山タロ

青信号進め赤信号止まれ黄信号でとまどうペリカン 汐田大輝

やさしげな音を聞かせてこの夜はあなたの香り添わせて眠る みや

磨くのは艶を出したいだけなのに粗い鑢に磨り減るばかり 夜想詩人

あの世とこの世の間の崖っぷちを歩いています。 む~みんママ

「おきざりって、メトロノームのこと?」ところてんとも言うね 石原とつき

この前のふたりで行った青い星なんか汚いから消しといた 蔭一郎

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◆ 詩

止まない雨はない
というけれど
だって
悲しい
やっぱり雨は止まない (たなかゆみ)

noマスク no war
とびつきやすい
いいこと言っても根拠なし
無くならないのは誹謗中傷
いいさ、好きにすれば
正しいのか間違えなのか後になってからわかる
自らが思うよう
生きればいい
咎められない
あの世界からこの世界へ
この世界からあの世界へ
よーこそ (crazy lover)

さみしいときは、無理しないで
そのまま受け止めていればいいよ
さみしい自分だって、大切にしてあげよう(SUNNY)

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◆作品評から 

浴衣着た女の子たちみなグワシ 蔭一郎
 ~さみしくない(嶌りす)

粉々のうなぎパイ完膚なき負け 岩瀬 百
 ~うなぎパイに反応してしまった。異動の季節にはうなぎパイが飛び交う。異動という糖衣にくるまれた社会的な敗北の味と完膚なきまでに砕かれてうなぎエキスと化した鰻の運命との二重露光。
(以太)

月下美人三十八万キロメートル 玖
 ~難解です。数字としては、日本の面積ふうなんですが。(俳句愛 大本伸彰)

おきざりって、メトロノームのこと?」ところてんとも言うね 石原とつき
 ~言わないって(一応突っ込んどく) (F・骨)

ハチミツを舐めにいくねと闇の奥 海馬
 ~地獄の黙示録。(楢崎進弘)

この前のふたりで行った青い星なんか汚いから消しといた 蔭一郎
 ~壮大な不穏。カッコイイ(森内詩紋)

夏茱萸のピアスを買いに森の道 紺野水辺
 ~夏茱萸?初めて聞いた単語です。(catch_you)

茉莉花や校則変はりゆく女子校 syusyu
 ~茉莉花=マツリカ=ジャスミン。ジャスミン姫はディズニー映画のプリンセス像を大きく変えた。「校則変はりゆく」が現代的だ。(月波与生)

糸電話すべてやさしい嘘だった ちゅんすけ
 ~糸電話は声が違ったように聴こえる。嘘はほんとうのこととは違ったように聴こえる。そういえば、ほんとうのことではないのはやさしさである。ほんとうのことはいつも険しい。 (以太)

踊り場に痴漢の指が落ちている 月波与生
 ~映画「バーフバリ」を思う。踊り場という舞台設定も舞踊の多いインド映画に合う。もちろん痴漢の指を切り落とすのは間違いであり、切り落とすべきは首だ。(以太)

通訳に省かれた If possible, たろりずむ
 ~意図的に省かれた「可能ならば…」。多分相手の言葉のいくつかも省かれているのだろう。お互いそのことを知りながら会話は続く。(月波与生)

絡繰りが見えないときは目を閉じる kubotahiroko
 ~深い♡( ˘꒳˘) (eririca)

雨かしらと臍が呟いたやうな 藤井皐
ああこれが月の茸かいう貌で 藤井皐
 ~2句とも「奇妙な味」がする句。未だ「臍の呟き」は聞かないし「月の茸」も知らないが、そういうことが起きるだろうとは思う。日常は怖い。(月波与生)

出梅の太陽高し自涜かな 菊池洋勝
 ~自涜の句は〈法医学・桜・暗黒・父・自涜 寺山修司〉があるが寺山の句は同質の言葉をコラージュして想像力を肥大させるが、掲句はもっとあっけらんとしているのが今時だ。(月波与生)

蛇穴のひとつは母の手の匂い 月波与生
 ~一読、母がまだ眠っている蛇を引っ張り出したと読んだがそうじゃなかった。母の手自体が蛇なのだ。仲秋あたりから母の手である蛇は母を離れ、穴に眠る。その間の母の手は、実は母の手ではない。それは母しか知らないのだ。蛇が穴を出る仲春から初秋にかけてが、ほんとうの母の手なのだ。
(蔭一郎)

帰省しても帰省しても兄がいる 蔭一郎
 ~すごい このツイートでフォローしたくなりました(HAKUBIKI)

婚期を逃すダブル抹茶ティーラテ Ryu_sen
 ~ダブル抹茶ティーラテはスタバの人気メニューで売切れ続出らしい。婚期を逃す(売れ残り)と引っ掛けたのか。「婚期を逃す」という死語のような言葉を使ったのが面白かった。 (月波与生)

百足とは云へど指紋は一つのみ しまねこくん
 ~いっしゅん信じてしまいそうになるが、「そもそもムカデに指紋ある?」とワレにかえる。嘘を上手につく川柳の面白さ。 (月波与生)

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◆ 第75回句会報ダウンロードはこちらから

第75回句会報(PDF)

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