#3 安倍元首相の死後、朝日新聞の川柳が批判されている

川柳のいま
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安倍元首相の死後、朝日新聞の川柳が批判されている

安倍元首相の死後、7月15日、16日朝日新聞に載った川柳が批判されている。
どんな川柳かというと

2022年7月15日付 (西木空人選)
 還らない命・幸せ無限大(福岡県 桑原正彦)
☆高裁も最高裁もなかりせば(東京都 土屋進一)
 銃声で浮かぶ蜜月政と宗(神奈川県 石井彰)
 銃弾が全て闇へと葬るか(千葉県 鈴木貞次)
 去る人の濁りは言わず口閉ざす(千葉県 安延春彦)
 これでまたヤジの警備も強化され(栃木県 大塚裕)
 梅雨明けと言われ機嫌を損ねたか(東京都 塩田泰之)

☆が特選句ということだろう。選者のコメントも付いていて
一句、東電旧経営陣に13兆円賠償命令。二句、これで確定。三句、旧統一教会。四句、あってはならぬ。五句、国葬話まで。六句、警察大失態。七句、近頃の空。

同じく2022年7月16日付 (西木空人選)
 疑惑あった人が国葬そんな国(福岡県 吉原鐵志)
 利用され迷惑してる「民主主義」(三重県 毎熊伊佐男)
 死してなお税金使う野辺送り(埼玉県 田中完児)
☆忖度(そんたく)はどこまで続く あの世まで(東京都 佐藤弘泰)
 国葬って国がお仕舞(しま)いっていうことか(三重県 石川進)
 動機聞きゃテロじゃ無かったらしいです(神奈川県 朝広三猫子)
 ああ怖いこうして歴史は作られる(福岡県 伊佐孝夫)

同じく選者コメントもから
一句、国会虚偽答弁118回。二、三句、批判句際限なく。四句、なぜ国葬か。五句、日本国の弔い。六句、テロリズム=政治目的のために暴力に訴えること。

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この川柳に関する反響記事を読む

記事のリンクのみ記載。詳細は各々の記事にて参照のこと。

朝日川柳、安倍元首相の国葬“ネタ”にして大炎上 (SAKISIRU)
朝日川柳が物議「コラかと思った」「ビックリ」 7本全部が安倍氏国葬皮肉る (デイリースポーツ)
朝日新聞の川柳投稿コーナーの酷いはしゃぎぶりに「朝日は赤報隊から同じこと言われたらどう思う?」という声 (日刊経済ツイ信)
朝日新聞の川柳に批判殺到。言論は自由だが、責任が伴い市場に淘汰される (選挙ドットコム)
朝日新聞が「疑惑あった人が国葬そんな国」などの川柳を選出し批判噴出 (ガジェット通信)
茂木健一郎氏、朝日新聞の川柳に持論「野暮、粋ではない」 (livedoorNEWS)
ラサール石井、朝日新聞の川柳で安倍元首相の「国葬」反対 「侮辱」の声も (デイリースポーツ)
朝日川柳が「安倍さんの死に幸せ無限大」と誤解されて大バッシング アゴラ
朝日新聞 朝日川柳 入選欄が安倍さん叩きで酷いことに…  (まとめダネ!)

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時事川柳としてそんなに酷いのか?

日頃から朝日新聞の川柳を読んでいる人ならわかるのだが、西木空人氏の選はいつもこんな感じなのである。句意が朝日新聞的に直線なので時事川柳としてはあまり面白くないのだが、それが朝日新聞の「時事川柳」なのだ。読売や毎日が載せる「時事川柳」とは違って当たり前だろう。なので茂木氏の「粋、野暮論」はまるであさっての議論。また新聞川柳の場合、たとえ川柳であれ事実じゃない事は載せられない。この点掲載句に事実と異なる点があるか再度14句を読んでみる。

ない、というかすべて(朝日新聞だけでなく)報道されてきたことばかりである。これが間違いというなら報道自体が間違いということになる。

ようするに、川柳としての出来や、誤ったことを書いているのが「酷い」のではなくて、死者に鞭打ち死者を嗤ってるような言葉を「酷い」と言っているのだろう。
感情的になっているのだ。(特に犯罪者のように選者の顔を載せている、まとめダネ!の怖ろしさ)

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川柳人はどう見てるのだろう

今さらであるが
元々時事川柳は「寸鉄人を刺す」であり、力のない庶民が権力者を切るための文芸であった。
鶴彬の川柳が今でも川柳人に読まれているのは、未だ彼の川柳、彼の言葉にこの力が宿っているからである。今回の件で「痛いとこを突かれて感情的になっている」のであれば、それは朝日新聞川柳の勝ちだ。

そして、川柳人の中で
時事川柳が好きで時事川柳を書き、鶴彬の川柳を理解している(と思っている)人は
今回の騒動で自分の感情がどう揺れたかを冷静に確認してみるといい。

もしかしたら
あなたに時事川柳は向いてないかもしれないよ。

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追記1 (2022.7.19)

この記事の今日1日でのアクセス数の多さに、今さらながら「安倍元首相」のキーワードの凄さに驚いています。少し追記します。

要点を整理すると
今回の朝日新聞の川柳は通常運転であの日(安倍元首相死亡)だけ過激になったのではないこと。
朝日新聞の時事川柳は、句意が朝日新聞的に直線なので時事川柳としてはあまり面白くないこと。
川柳の内容に事実と異なる点はないこと。(嘘は書いていない)
批判の中には感情的な意見が多いこと。
元々時事川柳は力のない庶民が権力者を切るための文芸であった
となります。

句が粋じゃないとか定型じゃないとか川柳作品としての出来不出来をいうと
ややこしいので横に置きますが、時事川柳の発信としては間違ってはいません。

絶大なる権力を待った元首相が無名の青年に銃により殺害された。
犯人が言う殺害理由に元首相と特定の宗教との関りがあった。
その宗教は反社会的だと糾弾されており、元首相と「特定の宗教」とは祖父の頃から関りが深く、自らも広告塔のようなことを行っていたこと。

19日現在報道されていることの内容です。
しかしNHK始め主要メディアは参議院選挙が終わるまで「特定の宗教」の名を公表しませんでした。
この不健全さが今の日本の息苦しさです。

事件がきっかけで多くの国民が「特定の宗教と政治の不健全な癒着」を知ることができました。このように、権力者が隠しておきたいことを発信し浮き彫りにしていくのが、時事川柳の役割のひとつでもあります。その意味で不健全な世間を騒がした今回の朝日新聞の時事川柳は、「寸鉄人を刺す」役割を果たしたものとして私は支持します。

「時事川柳を詠みます。鶴彬の川柳も大好きです。そして現政権を支持しています」
という人がいるならば、これほど欺瞞に満ちた人もいないでしょう。
現政権が何処の政党であれ、です。

川柳書きとして自分の中にそういう要素がないか
今後もこのような事件が起きる度に確認しようと思います。
そして、自分がそういう欺瞞を抱えてしまったならば、川柳から身を引くつもりです。

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追記2 (2022.7.26)

その後です。

朝日新聞の回答はダメですね。
実名を川柳の投稿条件としながら、批判されても投句者を守るような発言はありません。
これでは投句者が萎縮してしまいます。
「すぐに謝るようなことをやるな」、子供でも分かることをやってます。

文春オンラインか書いたように川柳の批判は川柳で応酬すべきでした。

しかし「故人を批判するような人間は日本国民としてカウントしない」という圧力は、いつからこんなにも強くなったのでしょうか。とても気持ちの悪い世の中になりました。

安倍氏川柳への批判「重く、真摯に受け止める」 選出・掲載の朝日新聞社が回答(JCASTニュース)

『「安倍川柳」大炎上に質問状 朝日新聞の言い分』とは…夕刊フジ、日刊ゲンダイが報じた“2つの炎上” (文春オンライン)

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追記3 (2022.9.3)

全日本川柳協会副理事長の肩書を記した江畑哲男氏の意見が、『正論』10月号に掲載されたそうです。

『正論』10月号に江畑哲男論文掲載

いろいろな肩書をお持ちの江畑氏がその中の「全日本川柳協会副理事長」を記したということは、全日本川柳協会の意見であると解釈していいのだろうか。
『正論』誌のフライングだろうか。
タイトルは「朝日川柳はプロパガンダ」です。内容に興味のある方は『正論』誌で確認を。

しかし本件に対する日川協発の批判意見がガチガチの保守誌『正論』に載るとはねぇ。
鶴彬が草葉の陰で泣いてしまうような案件になってきたな。

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