さみしい夜の句会報 第169号を発行しました

さみしい夜の句会
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                  UnsplashElena Mozhviloが撮影した写真

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さみしい夜の句会報 第169号(2024.5.12-2024.5.19)

第169回の参加者53名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。

句集報作成のため毎回参加者の名前を入力、確認していますがここ数回で新しい人が結構増えたなという印象があります。総数がほぼ同じなのでフェードアウトされた方も同数くらいいらっしゃるわけですが、このように自然な形で新陳代謝が行われていることは組織体としてとても健全なことです。その中で新しい参加者の方より今回札幌で開催するリアル句会への申し込みがXからあったというのは、句会開催者としてとても嬉しいことです。

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◆ 参加者(53名)

しまねこくん、mugwort、蔭一郎、岡村知昭、花野玖、帰ってきた笛地静恵、syusyu、石川聡、もりや、クイスケ、西脇祥貴、水の眠り、西沢葉火、何となく短歌、石原とつき、菊池洋勝、りゅうせん、片羽 雲雀、汐田大輝、higurashi、谷下弱弱(たにしたつよし)、酔名、ユミヨシ、しろとも、まつりぺきん、crazy lover、山羊の頭、かれん、佐竹紫円、うつわ、エミリー・メープル・ボーン、古城エッ、メタル麺、おかもとかも、天乃ふみ、胡椒 黒、やは、れいすいき、小沢史、ハッカ飴、桂月、池田 突波、平松泥沸、奈津実、もふもふ、朝森たけ、Tomoko、石畑由紀子、カゲキ・ちゃけぞう、輪井ゆう、まんさく中村、月波与生

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◆ 川柳・俳句

おじさんの本だけ残る子供部屋 帰ってきた笛地静恵

助けていただいたギロンです 帰ってきた笛地静恵

肉声が届く立体駐車場 かれん

タロットをめくって昼顔を咲かす 蔭一郎

夏場所の行司に姉からのLINE 蔭一郎

薄墨の手紙がすずらんに届く 蔭一郎

逢うときはリバーシブルの天道虫 蔭一郎

れんびんれんびん狐に雨の匂いする 石畑由紀子

永遠は舌で探すとみつかるよ 奈津実

緑さす森の奥から演歌歌手 しまねこくん

恋文に分子と分母夏に入る しまねこくん

西瓜の種届くのならば誰にでも しまねこくん

はみだして合唱団になる下着 小沢史

ride on time 恥丘は柔らかい やは

夏を起筆する兜太の句をえらび 石川聡

油汚れに人的補償 おかもとかも

払い過ぎ利息のような喉ぼとけ りゅうせん

スペアキー同士でずっと助け合う りゅうせん

デカ盛りパフェの第二次発掘調査 うつわ

図書室の本は薄明薄暮性 まつりぺきん

王冠がずり落ちている聖五月 汐田大輝

みつ豆やゆび環ないゆび匙すくふ syusyu

木苺や四粒喰らへど死なないよ syusyu

   *

雲の峰うがつガントリークレーン mugwort

誤らず薄むらさきの耳を削ぐ 岡村知昭

カルミアや乙女ら開く白日傘 花野玖

聞き覚えのある気のする周波数 もりや

前触れに透析の手を止めてるサロメ クイスケ

ふちんふちん身を切る中島みゆき 西脇祥貴

ワカメ等のラジオ海藻 西沢葉火

バロック調を分析を砂鉄に擬態語 石原とつき

自衛隊機の編隊や虻の声 菊池洋勝

フルシャンテ サンドウィッチ日和です 片羽雲雀

青挿やダム湖の底は父の里 花野玖

ときめきは地植えに向いてないらしい しろとも

オレは俺アタシは私云うても尚 crazy lover

死んだ子を背中に負い続ける母 桂月

掘りゴタツ掘り進めれば夏祭り 平松泥沸

テレパシーで遣いっぱしり もふもふ

   *

「捨てなくてよかったものです」が届く 月波与生

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◆ 短歌

夕飯は筍ですよ名も知らぬ人の敷地で採れたやつです ハッカ飴

「恋人でいるのを一旦やめよう」とバファリンと同じ成分の嘘 ハッカ飴

開かないアプリのデータは空にした25分後に雨がやみます 胡椒 黒

夏のはじめの発熱体「我が身」にはピーチフラッペが美味しいでしょう ユミヨシ

   *

うたせ湯を弥勒菩薩のかたむきの背にうけ蓮の花となりゆく 水の眠り

夕空を蝙蝠が飛ぶもう少し楽に生きろよ翼広げて 何となく短歌

立ち位置は「埋め草」こころが こわれぬように防備する コトダマ higurashi

スマホに溶ける僕の寿命小さな箱から大きな箱に 谷下弱弱

アルコール中毒じゃないかと気にして調べる人はほぼアル中ですよね 酔名

好かれたい当たり前の感情で隠しきれない皆そうなのよ 山羊の頭

あ、それは私にあった鱗です、秘密を知ってしまいましたね 佐竹紫円

穏やかにそよぐ葦辺と湖が初夏夕映えと描いたディプティク エミリー・メープル・ボーン

好きになる速度はやがて落ちてゆき1人静かに映画を観てる 古城エッ

カフェモカの余韻むりやりねじ込んでシュガー増し増し 風味の唇 メタル麺

「朝が来て酔いが冷めたら忘れてね」「恋は一方通行ですよ」 天乃ふみ

さみしいとさみしくないを繰り返すこの日常はいつまで続く? れいすいき

月めでる時も惜しいと我が時間帰る待つ星あればいいかな 山羊の頭

不自由が自由の様な顔をして両手両足拘束してて 朝森たけ

なんとなく他人(ひと)に怒れなくなりました なんとなく皆我が子に見えて Tomoko

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◆ 詩・短文

提出された作品はありません。

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◆ 作品評から

西瓜の種届くのならば誰にでも しまねこくん
 ~幸せの青鷺くらい青い鳥 真っ青じゃないから秀作デス(まんさく中村)

みつ豆やゆび環ないゆび匙すくふ syusyu
 ~甘味処。対面に座る。左利きの旧友。あ、薬指に指輪がない。くびれている。いつ離婚したのか。相手のことは、自分も知っている。無遠慮に、質問もできない。「ゆび輪」のひらがな書き。匙が掬う。日常動作の強いての結句の強調。旧かなづかい。どうしても、視線は指へ向く。日常の驚きの一瞬。(帰ってきた笛地静恵)

涙目に鶴を見つける 西沢葉火
~これを14音字にすると例えば
〈鶴を見つける母の涙目〉となり(誰が)が現れる。
ジュ二ークは(誰が)が隠され読み手に委ねられる。(月波与生)

早くザビエルになりたい もう夏 汐田大輝
 ~ザビエルはフランシスコしか思いつかないがそういうものになりたいらしい。川柳は誰も思っていないことを熱望してる人を受信する。(月波与生)

木苺や四粒喰らへど死なないよ syusyu
 ~キイチゴは蛇イチゴとも呼ばれ、食べてはいけないと言われていました。初句と二句は、切れ字と歴史的仮名遣いで、大人の意識。結句「死なないよ」で、子どもの自分に変身。ぺろり。友だちに舌を見せる。勇気を示す。「四粒」が効果的。半信半疑で口に入れた。だいじょうぶ。安心したところ。(帰ってきた笛地静恵)

川底に似た葉桜の肌触り 蔭一郎
 ~本人的にはあまり好きでないのかも知れないが彼のこんなさらりとした肌触りの句はいけてると思う。もっと書いてほしい。(月波与生)

星をあきらめながら棲むこの部屋に欠片を吊るさないでおくれよ みずほ
 ~「星をあきらめながら…」がいい。あきらめは敗北ではなく決意なのだろう。(月波与生)

撫で肩のスタン・ハンセン夏来たる 宮坂変哲
 ~スタン・ハンセンといえばウエスタン・ラリアットである。実際は撫で肩ではないがあの一撃KOシーンを見ると「夏来たる」感がある。(月波与生)

一本の花の一生だと思う同じ話を繰り返す祖母~ハッカ飴
 ~「一本の花の一生だと思う」の始まり方が素晴らしい。祖母と書き若い人なのだとわかる。(月波与生)

地下駅の卵管抜けて立夏の空 池田 突波
 ~地下駅の生温い空気を抜けて地上に出るとカンカン照りの別世界。まさに「卵管抜けて」なことだろう。(月波与生)

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◆ 第169回句会報ダウンロードはこちらから

第169回句会報(PDF)

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