さみしい夜の句会報 第123号(2023.6.25-2023.7.2)
第123回の参加者は78名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。
「さみしい夜の句会」のリアル句会を9月~11月実施にて現在調整しています。その後は6ヶ月に1回くらいのペースで全国のどこかで開催していくつもりですがどうなることやら。Twitterから始まった句会らしくTwitterからの投句も受け付けますのでお楽しみに。開催日時、場所は近日中に発表します。
◆ 参加者(78名)
しまねこくん、宮坂変哲、たろりずむ、ダリア220、藤井皐、小沢史、何となく短歌、太代祐一、syusyu、涼閑、凪ちひろ、似鳥、西脇祥貴、花野玖、ひうま、元さん、ぱさ、西沢葉火、水の眠り、鴨川ねぎ、片羽anju 雲雀、とるばどーる、Tatsuo Kanase、石川聡、蔭一郎、菊池洋勝、Ryu_sen、流天、はゆき咲くら、佐竹紫円、輪井ゆう、ちゅけ⁽彩緒、萩原 アオイ、東こころ、雷(らい)、思雨(スイ)、温(ハル)、しろとも、奥 かすみ、石原とつき、モリマサ公、短歌初心者、あをみさき、黒穂2022、宮原 凱、黒穂+、Tomoko、睦月ヨシ、おかもとかも、30のゆく宛のない独り言、岡村知昭、みさきゆう、森砂季、Born Slippy(モンモン)、とし、とびら、む~みんママ、まつりぺきん、上峰子、千春、鷺沼くぬぎ、さー、moca、雪夜彗星、うたたね凛、岩瀬 百、こたろう、えみ、ツマモヨコ、カゲキ・ちゃけぞう、かのん、抹茶金魚、あさのつき、M*A*S*H、新出既出20、白石ポピー、虫追篤、月波与生
◆ 7・7、5・7・5 (川柳・俳句)
膣口に残る感触アイスティー ダリア220
梅雨冷に一万バレルの世迷言 岩瀬百
夏なんてポンジスキーム二人乗り ツマモヨコ
うたかたの和服を脱いだ白兎 千春
梅雨晴れ間ギャルの半生盗み聞く しろとも
ブラウザの戻るボタンに八百比丘尼 まつりぺきん
地下道に暗がりなくてさみだるゝ 花野玖
スクラムの足を数へてみてごらん たろりずむ
家主には知らせずに飼ふ冷蔵庫 しまねこくん
地味だけどグラジオラスな性技持つ ダリア220
Nothing’s gonna change my worldを切り裂くそこが晴天だ 藤井皐
眠れない生理の夜に鯨鳴く モリマサ公
日曜が嫌い明日は月曜日 宮坂変哲
膝を買うならバーコード決済で 小沢史
花々のひらくちからが避難する 太代祐一
蚊遣火やけむり見る目は二つだけ syusyu
どの花も予定調和を生き朽ちる 涼閑
セーブする勇気がなくて眠れない 似鳥
離散以来涙は課税対象だ 西脇祥貴
短夜のネオンの端のくすみかな ひうま
油彩1号ミドリムシ 西沢葉火
方舟に乗り損ねたか三葉虫 鴨川ねぎ
きみは蓮、わたしは牡丹、生き還れ 片羽雲雀
若竹の打掛纏ふ写真有り とるばどーる
真逆だなぁピンポンパンで日が沈む Tatsuo Kanase
らあめんのなるとのなかのとっても「の」 石川聡
噴水の右と左で舞う夫婦 蔭一郎
面倒見の良い班長や燕の子 菊池洋勝
ユーラシアプレートに盛る温野菜 Ryu_sen
捨てられた窯場にのこる土の夢 流天
真夜中に流す涙の涼しさよ 佐竹紫円
梅雨空にうつろな口を開けた甕 輪井ゆう
お元気でいらっしゃれよとBAR巣立ち ちゅけ⁽彩緒
あじさいを向日葵に換え夏の恋 東こころ
あった面倒がまとまらない日記 雷
快い酔いに水差すしゃっくり煩わし 思雨
思いたい人は思えよ青時雨 あをみさき
静止画像の爆音というキメラ 黒穂2022
没句にも私らしさをマーキング 睦月ヨシ
窓ガラス散歩へ二人羽織だぜ おかもとかも
回復を祈るゴマアザラシへ雹 岡村知昭
学校に研ぎ澄まされた牛がいる 森砂季
所詮人はナメクジウオだったんだもの む~みんママ
雨乞いを静かに鰓を開きつつ 上峰子
涙にはBGMを虎が雨 鷺沼くぬぎ
灼熱のエスカレーター最後尾 さー
百年後旅を許さじ熱帯夜 雪夜彗星
さくらんぼの種で「し」を書くテレワの朝 うたたね凛
くちなしや今は聞こえぬ祖父の歌 こたろう
セルモーター 涙声消し 火を入れる カゲキ・ちゃけぞう
宝石を いざ独り占め さくらんぼ かのん
牝山羊の蹴りで屋根が跳ぶ五分前 抹茶金魚
半夏生足を失う蛸喰らう あさのつき
ボルシチにトマトを入れぬ時もある M*A*S*H
駄菓子屋の花火にもあるポルトガル 月波与生
◆ 5・7・5・7・7(短歌)
休むよう周りに言われるくらいには疲れた顔で生きてるらしい 何となく短歌
販売の広告よりも買取の広告多きバイクとピアノ たろりずむ
「死にたい」が たくさん届く夜だからちょっとくらいは 夢見させてよ とびら
傷ついたのはふたりのち雨になり下唇の皮が捲れる みさきゆう
ビニールの傘と言う名の温室で私はまるで熱帯植物 奥 かすみ
楽しみなことを作ってカレンダーに書いて給水ポイントみたい 凪ちひろ
雨の街シチュエーションが哀しげに孤独な距離が瞳に映る 元さん
何時見テモ月ノ隠ルヽ街ノ中出逢フ人サヘ最早居ナクテ ぱさ
思い出はきっと濾過されのこるもの 綺羅星だけをむねにとどめて 水の眠り
お砂糖が敷き詰められた時間帯すれ違う会話も溶けてゆく はゆき咲くら
しあわせなふりをしていた6月のさいごの日にさす目薬しみる 萩原 アオイ
「結局、南極はお祭りね。甘いものないかしら」ー内田百閒「冥途の奥へ」より 石原とつき
傷ついた心の痛み受け入れた君に出会った証の傷の 短歌初心者
誘惑は上にも下にも有りそうな太陽系の外の段落 宮原 凱
宇宙からしか見えないよユーラシアどこにでも行く誰にでも会う 黒穂+
高校の先生にはなれんかったけど お母さんにはなれたからいいや Tomoko
二人で食べていたものをひとり黙って食べてる 30のゆく宛のない独り言
もう恋はしないだろうと恒例のアンクレットは囚人のよう とるばどーる
残ってる愛のピースを集めても結果の分かるシュレディンガーで アルト
七夕に 出逢う二人に 想いはせ短冊に書く 未来の自分 とし
眠れずに何か求めて画面の向こう見知らぬ誰かに思い馳せて 月色萌果
ねえ烏 今から誰かの人生の深くに入っていくのこわいな えみ
◆ 詩
綺麗ね。
たくさん咲いてくれてありがとう。
キミ色の
花が天に向かって満開だ♪
−泣かないで−
と 花が言ってくれているようだ。(温(ハル))
◆ 作品評から
探偵の尾行に気づくかたつむり 蔭一郎
ジレンマのままに徘徊かたつむり あをみさき
~かたつむりの2句。探偵句は川柳の文法でしっかりと書いていて、ジレンマ句は徘徊の説明なっている(擬人法)のが惜しい。(月波与生)
friendの最後にsを消した跡 たろりずむ
~「最後に」がfriendsという言葉の最後、関係の最後の両方に効いている。思い付きから何度も検討(推敲)を重ねたのだろうと思わせる。(月波与生)
ブラウザの戻るボタンに八百比丘尼 まつりぺきん
~好きです。(新出既出20)
窓ガラス散歩へ二人羽織だぜ おかもとかも
~最初の読みは、上五の窓ガラス(主語)が散歩へ行く、しかも、二人羽織で。もう一つの読みは、窓ガラス散歩という行為へ、主体が二人羽織で。いずれにせよ、「だぜ」。詩的な流れが二人羽織あたりから怪しくなり、自慢げな「だぜ」でとどめ。最高です。(まつりぺきん)
ゴミ箱にブロックされているらしい 西沢葉火
~最近句会に来ないアカウントを訪ねてみるとブロックされてたりするので最近は訪問しないようにしています。ブロックした人の仕合せを祈るばかり。(月波与生)
独りで乳首揉む蛇の脱け殻 ダリア220
~「蛇の脱け殻」は私でありあなたなのだろうけどその前に「独りで乳首揉む」と書くには勇気がいる。男であれ女であれ。(月波与生)
雨乞いを静かに鰓を開きつつ 上峰子
~白石ポピーと申します。不思議で不穏な妖しさがある句ですね✨他にも何句か拝読しましたが、すごく素敵でした。(白石ポピー)
歯にしみるアイスにあえて挑む時大人は何かと戦っている 奥 かすみ
~日々ぼーっとしているようで大人は(タコも)何かと戦っているのだ。歯医者さんに行こう。(月波与生)
青パパイヤだろう夏至に形をあたえれば 石川聡
~元は写真付きの句ですが写真がない方が面白く読める。「青パパイヤが」動きそうで動かずうまくはまっている。(月波与生)
夏なんてポンジスキーム二人乗り ツマモヨコ
~「ポンジスキーム」なんていうタームが短詩のなかで活きることにくらくらくる。そうか夏はポンジスキームだったのか。(虫追篤)
離散以来涙は課税対象だ 西脇祥貴
~離散→ディアスポラ。涙→嘆きの壁。課税対象→ユダヤ商法、ベニスの商人。なんかのイメージが来ました。国が無くなるとすればZERO感MAX。(石川聡)