さみしい夜の句会報 第90号を発行しました

さみしい夜の句会
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さみしい夜の句会報 第90号(2022.11.6-2022.11.13)

第90回の参加者は98名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。

満天の星より川柳&エッセイ『トイレの後には電気を消して』(川合大祐・千春)に続いて川柳句集『ランダムウォークパラダイス』(涼閑)が発行されます。今後も本句会の中から創作集を発行していく人が現れてくることを期待しております。『さみしい夜の句会』合同作品集の参加も絶賛受付中です。

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◆ 参加者(98名)

蜜、IZU、しまねこくん、池田吉輝、kubotahiroko、ゆりのはなこ、麻丹mani、風池陽一、さー、syusyu、花野玖、人見弐一、日下昊、内山晶生、森内詩紋、西脇祥貴、雪の空𝒮𝒪ℛ𝒜、わたしのみらい、とるばどーる、元さん、宮坂変哲、石原とつき、コネコノビッチ、西沢葉火、正念亭若知古、おかもとかも、あ、徳道かづみ、まいける、白水ま衣、石川聡、さ、汐田大輝、菊池洋勝、海馬、涼、棚場田敦也、まつりぺきん、柊秘密子、のこりか庵、抹茶金魚、藤井皐、岡村知昭、HAKUBIKI、望月華、しろとも、枡川零ト、雷(らい)、金瀬達雄、橘月子、蔭一郎、む~みんママ、水の眠り、星野響、てくてく、せば、電車侍、あんこ、雪上牡丹餅、水須ゆき子、ESG、ちゅんすけ、N、高良俊礼、睦月ヨシ、阿笠香奈、Ryu_sen、雲上晴也、木野清瀬、お気楽草紙、馬勝、日月星香、木之下ゆうり、直美、風斗kazeto、MIYA、Tomoko、鷺沼くぬぎ、上峰子、桔梗菫、鴨川ねぎ、高木タツオ、ピッピ、さこ(砂狐)、たろりずむ、Hina、輪井ゆう、みや 水也、涼閑、弌定住佳、土方あゆみ、U・Gao、嶌りす、楢崎進弘、齋藤清美、はる、月波与生

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◆ 7・7詩、5・7・5詩

目の前をlieとlifeで舗装され kubotahiroko

ニ枚ずつ枯葉を留めるホッチキス しまねこくん

逃げ腰は新生活に欠かせない Ryu_sen

本能でハッピーセット買いました 雪上牡丹餅

そっと待つ友情に似たカロナール さー

手の甲にnakamahazureと筆記体 高木タツオ

綿棒と六角レンチの中間点 おかもとかも

上顎にナン張り付いたまま火葬 たろりずむ

パッチテストの結果芒のアレルギー 菊池洋勝

僕らには古賀新一がついている!  徳道かづみ

漬物になる瞬間を見逃した おかもとかも

胎内を冷やして冬の月の客 IZU

魂の要素としての冬景色 IZU

Stay foolishと鳴く兎林檎 白水ま衣

太陽と月の間に立つ案山子 しまねこくん

月蝕の間は石のラフランス しまねこくん

小太りで労務者風の魔法陣 馬勝

耳語のほうへ寝返りを皆既月食 藤井皐

カーテン越しの泣く声秋の金魚かな 菊池洋勝

かたくななくちびるひらき冬という IZU

孤独ではないジャングルだ敵がいる 徳道かづみ

マラソンが抜けたら下へ落としなさい おかもとかも

それなのにいまだきいろい洗面器 岡村知昭

冬だからこそ読めない駅名でトイレ 石原とつき

田んぼから二羽飛び立てばモノローグ 抹茶金魚

YMOをみたらし団子と書き換える 藤井皐

どんどん食ううどんで編んだ帽子まで 海馬

晩秋の口に合はない歯磨き粉 菊池洋勝

謀られて揚げしゅうまいになる狐 汐田大輝

千の手で千の枯葉を裏返す しまねこくん

団栗に顔描き足してから捨てる しまねこくん

セラピーが進む、枯葉の句を詠んで IZU

嗅ぎ慣れた毛布の中の華胥の国 花野玖

行く先を告げないままに沈む月 涼閑

ふり出しに戻れないまま虹を越え さこ

凡の字は種を抱く中島みゆき 西脇祥貴

猥談の片手にいじましいピストル 西脇祥貴

理由なき空っぽの闇でクリップ崩す 蜜

小鳥たち我が生徒ごと雲散らし 池田吉輝

君とみた彩雲 刹那、時を超え 麻丹mani

新米や掬いあげたき手のひらに 風池陽一

冬泉や坐に加へたきベルイマン syusyu

タイムラインが月に喰われてく 内山晶生

失恋をする前に散る冬木立 宮坂変哲

今夜の月はやさしい猫の目だ コネコノビッチ

けいこうとう に ひえきった あーけーど 若知古

雪野から貴女を探す雪の日に ゆりのはなこ

単管に大根装填するトルソ あ

慰め会しよ まいける

うおうお光る秋も長崎さかのまち 石川聡

風呂で寝て鼻から湯飲み飛び起きる 涼

ボロを着て走る鉄橋 生きてたよ まつりぺきん

玉ねぎの雪白の肌両断す のこりか庵

多分ボク 携帯依存 気づかない HAKUBIKI

冷めた顔夜に染められ硝子越し 枡川零ト

矢印をたどりそこねて鳩に会う 雷(らい)

アポなしでいつでも逢ってくれる風 金瀬達雄

偽物を倒したいから笑ってる 橘月子

友のLINEが壊れメールで悲しいとくる夜 む~みんママ

誤字という言い訳 水の眠り

りんどうがまたも後ろの正面に 星野響

旗竿地 理想郷への入り口 てくてく

オリオンを見上ぐ世界に僕ひとり せば

近所の池から海女が浮かび上がってきた 電車侍

戸袋に蜂おたがいに怖がって 水須ゆき子

青いレモン齧りもういちどプラトニックラブ ESG

ツイートはせずに毛先をツンツンす ちゅんすけ

生きたいの死にたいの冬の虹淡し N

銃弾の加熱に付いてくる訛り 高良俊礼

メタファーのファーから文字が溢れてく 睦月ヨシ

誰かのための光を灯す 阿笠香奈

巻き髪が既に気付いているプール 西沢葉火

ペイズリーに潜む花屋、肉屋 Ryu_sen

冬はじめ戦国以来の蝕の月 のこりか庵

段段を見上げるだけの冬初め 雲上晴也

チチでありハハであるけど冬木立 木野清瀬

ゆるキャラのゆるくない目に冴ゆる月 お気楽草紙

また来たと去年も言った青星    日月星香

菅原の獅子仰ぎ見て空青し てくてく

欠けたもの同士見つめ合ってら しろとも

ふにゃふにゃの矢印ひとつ掴めない MIYA

帰省終わり 無口になった吊るし柿 Tomoko

破線の間一つずつ埋め冬に入る 鷺沼くぬぎ

刈り取った文字らよ冬が来てしまう 上峰子

温くても薄着は辛い初冬では 黎明

溜め桝の底に澱んだ悲しみに 鴨川ねぎ

ワンチーム 世間の反応 「これ勘当」 ピッピ

どんぐりとアドラー心理学が転がっている Hina

秋の空昏く発光目が眩む 輪井ゆう

若死にの友は生命線長し 宮坂変哲

動かない景色を眺め日は暮れる 弌定住佳

地下で買うゼレンスキーと同じシャツ 月波与生

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◆ 7・7、5・7・5以外の短詩

羊水に飽きてきた頃雪が降りもう最期までこの町といる しろとも

姿見の位置をずらせば失くしたと思った川が流れつづける 蔭一郎

動物はもうこれ以上飼わないの日に背を向けて植える植物 とるばどーる

放課後の音楽室に現れたセーラー服に剣道の面 蔭一郎

型番の違う私の履歴書は月曜の朝 燃えるゴミに出す しろとも

月食を見てる時、あなたを思い出さなかったことを知った朝 わたしのみらい

低浮上 嶺に花咲く朱菊に盃 我眼下に地雷無し  人見弐一

サドルの代わりにブロッコリーだと手ぬるいわカリフラワーにしとけ 日下昊

切るべきか切らざるべきか全身にきつく絡んだイチゴのランナー 森内詩紋

投げつけるわたしの重い礫たち優しい想い包まれ返る 雪の空𝒮𝒪ℛ𝒜

青年よ硝煙燻る空に発ち穏やかな時に手向けの華を 柊秘密子

お前は両手にバラの花束を抱えてなお死にたいとか言うのか  望月華

イルミネーション絶対照らすなツリーの星が好きだったわたしを あんこ

渋滞の始まりは老婆の車で東名高速春うらら 人見弐一

欠けてなお月の光は戻るのに二人の心薄月のまま 木之下ゆうり

さらさらと流れてく川、記憶、舟 こない電車を待っている夜 みや

散りぎわの真っ赤にゆれるもみじの美それは優しい風のいたずら 元さん

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◆ 詩

私の血はくらい夜の海のように
何者かがぎらついた牙を研いでいながら也を潜め
莫大な無を孕んでいるかのように荒涼としている
ああどなたか教えてくれ
やたらに内側から叩きつけるものの正体を(棚場田敦也)

欠け欠けて
戻ると思わば
見られしも
いにしえの人
如何にか想わん (直美)

少し言っていいか 迷うけど
お酒やめて1〜2年が立つ。だけど 寂しい夜は一人酒が恋しくなって来ます。
久しぶりに飲みたい気分です。でも我慢致します。
1〜2年の成果を無駄にするわけにはいかないしなぁ…。(風斗kazeto)

夜が明ければ、また一日をはじめなくてはいけなくて、私はそれをつつがなくこなせなくて、死にたくなるのだろう。(望月華)

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◆ 作品評から

さよなら友達がほしかったわたし あわい花
 ~未婚男性の半数は67歳までに亡くなる事実があります。原因は孤独(loneliness)。回避するには川柳を始めるのがいいですよ。始めたい人は連絡下さい。(月波与生)

レシートの裏で小さく芋煮会 しまねこくん
 ~「芋煮会」といえば山形であるが仙台に住んでいた頃は山形とは違う味の芋煮会だった。青森県では豚汁を食べていた。「レシートの裏」はどんな芋煮会だろうか。(月波与生)

投げつけるわたしの重い礫たち優しい想い包まれ返る 雪の空𝒮𝒪ℛ𝒜
 ~素敵な言葉をありがとうございます。またお読みしますね(土方あゆみ)

月蝕の間は石のラフランス しまねこくん
 ~月の光ならラ・フランスを、冷えて美味しい果実に見せてくれるでしょう。だけど月蝕の赤黒い月は、ラ・フランスを石の色にしてしまいます。固く閉ざした果実。ほんとうの私。それも束の間。(西沢葉火)

冬泉や坐に加へたきベルイマン syusyu
 ~映画作家イングマール・ベルイマン。『処女の泉』は代表作のひとつ。『ある結婚の風景』では5時間のほとんどが、向き合う夫婦の会話だった。スウェーデンの冷たい景色。ベルイマンなら私たち二人の冷たい食卓も、ドラマにしてくれるでしょうか。(西沢葉火)

満月は生殖器から欠けてゆく 橘月子
 ~「女性が川柳をわやにした」と言ったのは柏原幻四郎師。女性の多い句会で「生殖器」の句は出しにくいよね、という雰囲気が表現の場を後退させてはいないか。(月波与生)

天井に高い高いの跡がある たろりずむ
 ~その跡をみるのがとても怖い。高い高いをされた幼子の笑い声と天井の窪みのコントラスト。読む者によって違う映像を句は見せる。 (月波与生)

魂の要素としての冬景色 IZU
 ~およそヴィクトリア朝の英国の夜かな?と思ったらチェコの画家でした。南欧はどうかは知らないけど、欧州の真ん中から北欧あたりは、特に夜が長い印象があります。特に冬。欧州でもメキシコ湾流が当たる場所では、比較的に暖かいイメージですかね。(U・Gao)

青いレモン齧りもういちどプラトニックラブ ESG
 ~老いたら皆プラトニックに戻る(嶌りす)

凡の字は種を抱く中島みゆき 西脇祥貴
 ~非凡の凡ですね。(楢崎進弘)

猥談の片手にいじましいピストル 西脇祥貴
 ~確かにピストルには性的なイメージがあります。セックス・ピストルズというまんまの名前のバンドもありました。いじましいというより過激でしたが。(楢崎進弘)

散りぎわの真っ赤にゆれるもみじの美それは優しい風のいたずら 元さん
 ~こんにちは、素敵な短歌ですね(齋藤清美)

アポなしでいつでも逢ってくれる風 金瀬達雄
 ~うまいなあ(笑) (はる)

愛人の検索履歴文化の日 馬勝
 ~愛人⇔文化の日で互いの言葉を深めている。こういう句を読むと「裏サラリーマン川柳コンテスト」を開催したくなってくる。(月波与生)

手塚治虫が直喩であった頃の空 白水ま衣
 ~手塚治虫は一貫して人間の汚い部分を描き続けた人だと思う。没して33年。人間は手塚が描いた以上に下品で卑しい生き物になってしまった。(月波与生)

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◆ 第90回句会報ダウンロードはこちらから

第90回句会報(PDF)

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