さみしい夜の句会報 第233号(2025.8.3-2025.8.10)
第233号の参加者は59名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。
戦後80年の8月。この月になると時事川柳が増えるのだが #さみしい夜の句会 においても時事川柳は少ない。というか現在時事川柳を書いているのは高齢者ばかりになっているのではないかという危機感を持っている。同時に最近のあまりに言葉重視意味性無視の感が強いネットを主とした川柳にも危機感を感じている。活動のフィールドを狭くしていくことはこれからの川柳にとってあまり幸福なこととは言えないと思うのだが。
◆ 参加者(59名)
クイスケ、月硝子、しまねこくん、何となく短歌、石川聡、なさわご、宮坂変哲、笛地静恵、西脇祥貴、リンネリンク、ぺろぼっこ(のろわれたぺろ)、TATSU、コマミ屋(狐狸屋)、西沢葉火、カオルル、空野つみき、yuto_pachypodium、汐田大輝、蔭一郎、鈴木正巳、しろとも、塩の司厨長、冬野志奈、あしあと、菊池洋勝、季川詩音、霧雨魔理沙、しんいち、gru、山田真佐明、舞風 奏-かなで-、水の眠り、t o d o r o .、音羽、ちゅけ彩緒、千春、夏風、海月漂、雷(らい)、もりや、山羊の頭、りょーこ、萬某、まどけい、非常口ドット、よしぴこ!、砂原妙々、岡村知昭、古城えつ、リコシェ、匂蕃茉莉、都まなつ、無作為、さちの扉、サバシンジ、コマさん、京野正午MASUTOMI_JOH、月波与生
◆ 川柳・俳句
朝焼けの肉球色の錬金術 クイスケ
ソルフェジオ周波数からヒロシマへ クイスケ
好きだったメロンアイスのヘタのふた 都まなつ
あみあみのあみめがいつかめだかとる 都まなつ
犬猿の仲でいようねスイカバー 都まなつ
南風吹く練歯磨きはバナナ味 カオルル
八月の空へシーツをひるがへす カオルル
水色の空に白雲今朝の秋 カオルル
目玉焼きまず白くなる岸辺より 笛地静恵
五歳児のまま歳を取る男たち 宮坂変哲
ずぶ濡れになって歩いた蝉時雨 宮坂変哲
とりあえず走れ少年夏来たる 宮坂変哲
向日葵は知らない月の優しさを 宮坂変哲
戦車から金子兜太が降りてくる 蔭一郎
くるくると手がかり開く万華鏡 蔭一郎
間違えて秋に入ってしまう蛸 蔭一郎
くるくると手がかり開く万華鏡 蔭一郎
石舞台で半導体のロックフェス TATSU
無になったムルソー激怒 長崎忌 TATSU
密約をしようか婚約の前に 西沢葉火
他人事でなけりや何事熱帯夜 しまねこくん
昼寝部を会社に立ち上げて部長 しまねこくん
陰嚢の皺で認証する立秋 しまねこくん
原爆忌地の冷ゆるまで水を撒く 冬野志奈
生首で踊っていたい試着室 汐田大輝
十字路で水ようかんを脱ぎ捨てる 汐田大輝
キクラゲのくしゃみ太古よりつづく 汐田大輝
懐かしい住所ある葉書の裏の猫 雷
泣き衣羽織り女が四肢失くす 音羽
タマシイの話をしようトラベリン 山田真佐明
青林檎子宮の重さ測りかね 菊池洋勝
長崎や慟哭のごと秋の蝉 鈴木正巳
舌の根のしびれパインとわたくし共依存 石川聡
子守唄乱反射する冷凍庫 空野つみき
霧の庭から飴玉の包み紙 空野つみき
頬紅を落とし忘れた大理石 空野つみき
*
縫い代でいたがった中島みゆき 西脇祥貴
酸っぱさか痛さかパインは未だ青く 狐狸屋
木漏れ日が僕を照らすや田水湧く yuto_pachypodium
スポイトで吸う満月の罪悪感 しろとも
立秋の隙間に手刀 塩の司厨長
そろばんの日蔵に眠りし大福帳 冬野志奈
ネコバスから降りてくる乳酸菌 しんいち
追憶を畳んでしまう夜でした 千春
寂しさ色に染まる空 海月漂
原爆忌地の冷ゆるまで水を撒く 冬野志奈
いつまでも昼寝しているジャンヌ・ダルク もりや
意を決して消して消してもこの中に 山羊の頭
蝉の声今年はすぐにひと休み りょーこ
しらしらと青野に斜塔発情期 よしぴこ!
タクシーの日分厚き本を読みにけり まどけい
電柱を舐めるキリンに笑い出す 岡村知昭
夏の限りと鋏を握らないひと 無作為
*
腋の下を舐めて猫に嫌われる 月波与生
陽水が歌ったことのある校歌 月波与生
◆ 短歌
いつだって 孤独を抱いて生きている ひとりが楽と嘯きながら リンネリンク
*
雨怖い雷恐い水の香が立ち込めている一階に居て 月硝子
陽に倦んで蝉の声まで憎くなるスマホ開けばいつもこの夏 何となく短歌
死んでいく歴史に埃かぶらぬよう大事に保つ夏の弔い なさわご
枯草に 埋もれたメビウス踏みつけて 潰れたアリを 誰が見てるの? あしあと
元安の 八十路を込めた 灯籠に 白球献ぐ 潔白を欠く 霧雨魔理沙
熱帯夜、慣れるカラダに 鈴虫の音 束の間の立秋感じ 深く寝入る gru
もう何も自分の中を探しても 無いならあとは、 誰か教えて 舞風 奏
まわり道ばかりしている僕たちのランチは「ほんやくコンニャク」 からだ 水の眠り
世の中に うれしき風や 吹きや来む 問ふな身の内 会ふ訳なかろ 夏風
夜半すぎ蝉の合唱耳障り 風も吹けども気分は晴れず 萬某
スナックと同じように一日を貪るこれが至高の休日 非常口ドット
下着売り場の鏡わたしより疲れてて勝てる気がして立ち尽くしている 砂原妙々
カーブする銀河系の端っこで今日も見上げる有為の天川 古城えつ
誰も居なくなるころに寝てまだ誰も起きない時に起きているひと リコシェ
どうしても乗り越えられぬ物ありてマンション七階通路の手すり 匂蕃茉莉
広島忌今年も夏が来ましたと仏壇見つめる孫の姿 季川詩音
原爆忌孫の歴史の教科書で忘れもしない 過去を見つける季川詩音
シャンプーの香りの好きな彼のため銭湯を出る濡れ髪を梳き 笛地静恵
◆ 詩
あのとき僕は未成年だったか
こっそり出窓でレッドをなめ
今ならカーテンを締めたままでも
ジャックに月を浮かべてみせるよ(t o d o r o .)
僕はアムンゼン隊長
僕は白瀬隊長
誰にも言わず進む、
ボクは。(ぺろぼっこ)
混雑からで計らって
りりり
目覚ましとも
キッキンタイマーとも
違う
秋でござんすよ
宣言とはむつかしく
間違っていたらなんて
かんがえたらねむくなる
逃げてばかりのわれは
選手先生を小学生の時分
しただけだ
秋の虫が宣誓をするとき
ひとはだまっている(ちゅけ彩緒)
◆ 作品評から
八月の空へシーツをひるがへす カオルル
~良いですね。。爽やかな句ですね。8月の空にシーツがひるがえる様が見えるようです。(さちの扉)
陰嚢の皺で認証する立秋 しまねこくん
~陰嚢に皺がどれだけあるかで季節を判断してる人なのかもしれません。「今日は暑い日だろう。」、「いや、寒いんだろう。」とか。(季川詩音)
象と別れて消しゴムの木を探す 岡村知昭
~消しゴムが木の実である世界の話。そこでは象とも言葉を交わせるのだ。象を愛せなかった故にオツベルは象と交流できた。(月波与生)
裸眼では右半分が玉子焼 汐田大輝
~今月運転免許更新があるので視力検査に備えて毎日目薬を差します。裸眼0.7以上、毎回ギリギリセーフなんですがこの句を読んだおかげで今回は玉子焼に見えるかも。注意せねば。(月波与生)
陽水が歌ったことのある校歌 月波与生
~どんな人にも、「母校」というのがあって、「校歌」があるはず。しかも、それが有名な人となれば、なおさら話題になるのかもしれません。「うちの校歌はあの人も歌ってたんだぜ。」って。(季川詩音)
広島忌今年も夏が来ましたと仏壇見つめる孫の姿 季川詩音
~敗戦から八十年。孫の世代であっても老いた。しかし、その眼光はなお鋭い。曾孫の世代へも、広島の思いは伝えられていくでしょう。静かで強い反戦歌。(笛地静恵)
水色の空に白雲今朝の秋 カオルル
~まだ本当に暑いけれど、ほんの少しだけ秋が来ているのかもしれませんね。(サバシンジ)
霧の庭から飴玉の包み紙 空野つみき
~庭が広いのか狭いのか読み手に委ねられる。そしてその霧の立つ庭に飴玉の包み紙がある。しかし「霧の庭から」の「から」が気になる。包み紙が飛来してきた?また、実は飴玉の包み紙から霧が発生したのではないかとも読め、写生句としては飴玉の包み紙の違和感がなんとも心地いい。(蔭一郎)
間違えて秋に入ってしまう蛸 蔭一郎
~蛸は夏の季語ですが、立秋を忘れて勢いのまま秋に入ってしまったのでしょう。面白いです。(季川詩音)
向日葵は知らない月の優しさを 宮坂変哲
~人間、誰かにしてもらってることの有り難さはなかなか気付けないものである。それは向日葵もきっとそうで、月から恩恵を受けていることはきっと知らないのだろう。(季川詩音)
ゆくあてもなくてUNIQLO入り浸り頼まれもせずTシャツたたむ 水の眠り
~UNIQLOあるあるなのかも知れないがうまく情景を切り取られた。「ゆくあてもなく」「頼まれもせず」とか丁寧に言葉を積み上げている。(月波与生)
高気圧からナルシシズムの香り 汐田大輝
~「ナルシシズムの香り」はそんなに悪い香りでないと思う。小麦色に日焼けした女性が微笑むCMで流れていた山下達郎の「高気圧ガール」。ナルシシズムである。(月波与生)
パーティーの外はヘモグロビンの森 空野つみき
~「ヘモグロビンの森」がいいね。HbA1c、糖尿病のリスクがありパーティ三昧の生活をして贅沢ばかりしていると高くなる数字。血糖値が高い男たちが彷徨う森。(月波与生)
原爆忌孫の歴史の教科書で忘れもしない 過去を見つける季川詩音
~戦争という言葉が死語になればいいなと思う。(コマさん)
頬紅を落とし忘れた大理石 空野つみき
~いつも拝読しております。 空野さんの川柳は宝石箱みたいなポエジーといいますか、本当に耽美的な世界観が確立されていてすごいなと感嘆しっぱなしです…。 毎日供給ありがとうございます! 突然の感想申し訳ありません、今後も密かに応援させていただきます(京野正午)
くるくると手がかり開く万華鏡 蔭一郎
~万華鏡を覗き始めたころは、どんな絵柄なのかもわからない。でも、くるくるとすると見えてくる。それを「手がかり開く」としているのかもしれません。(季川詩音)
シャンプーの香りの好きな彼のため銭湯を出る濡れ髪を梳き 笛地静恵
~かぐや姫の「神田川」の世界を思わせてくれる。いい。(MASUTOMI_JOH)


