さみしい夜の句会報 第100号を発行しました

さみしい夜の句会
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さみしい夜の句会報 第100号(2023.1.15-2023.1.22)

第100回の参加者は107名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。

2021年2月に35名の参加者で始まった「さみしい夜の句会」も、おかげさまで100号(100週)を迎えることができました。コロナ禍の中リアル句会が開催できず代替的に始まったネット句会ですが、句会の新しい領域を開いたと思います。夏雲システムが使いやすくなり、簡単にネット句会を開催できるようになったのも大きいです。「さみしい夜の句会」もネット句会ではありますが、リアル句会の泥臭さも取り入れながら、あまりスマートにならずどんくさく運営していきます。今後ともよろしくお願いいたします。

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◆ 参加者(107名)

宮坂変哲、しまねこくん、抹茶金魚、はかなし、片羽anju 雲雀、屑乃ハコ、syusyu、流天、蜜、うめたかな、凪ちひろ、西脇祥貴、しま・しましま、たろりずむ、桔梗菫、輪井ゆう、とるばどーる、元さん、菊池洋勝、天やん、rira、海馬、しろとも、ヨダレウルフコマソン(仮)、みさきゆう、おかもとかも、石原とつき、森内詩紋、西沢葉火、花野玖、Ryu_sen、さー、徳道かづみ、ともなう、日下昊、秋鹿町、藤井皐、汐田大輝、梓川葉、さくら、小沢史、財前、ひとり遊び、山田真佐明、雪上牡丹餅、M*A*S*H、馬勝、せば、野々原 蝶子、一福千遥、東こころ、日月星香、りさ、蔭一郎、まつりぺきん、水の眠り、雷(らい)、hyuutoppa、何となく短歌、えふぇ、電車侍、碧乃 そら、すずめ、かのん、休也 | 絵と短歌、金瀬達雄、とわさき芽ぐみ、涼閑、夜間戦闘、白石ポピー、石川聡、ゆりのはなこ、タダノナイコ、ちゅんすけ、Kaorin、井本和彰、人見弐一、岡村知昭、高良俊礼、星野響、紺野水辺、SEN、みんみん、雲心、みや 水也、べ、須能がる↑、水須ゆき子、鴨川ねぎ、太代祐一、む~みんママ、木野清瀬、ほたる、しみずわかな、岩瀬百、ミルクティー、千春、浜本亜矢子、mikisuzu、つきはら、しろくまきりん、おとないやいやえん、新出既出20、諧真無子、かきもちり、カズノpub.、月波与生

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◆ 7・7詩、5・7・5詩

糸は糸らしく正月に住む 千春

ぎみあきゅー鳴く夜明け前ぎみあきゅー 岩瀬百

宛て先が書いてあるけどホッカイロ しまねこくん

呼気からはヘヴィメタルを検出し おかもとかも

エレベーターにもつれた声を吐かせたい 海馬

小正月お気に入りから非表示に 木野清瀬

お願いがあります陸から座薬らしく抜いて 藤井皐

蓮根の穴に詰め込まれる鼾 秋鹿町

膝ついて転んでしまった日のソナタ しろとも

よその子にsoupと名付けられた石 おかもとかも

君のくしゃみで流れ星 紺野水辺

冬の星グリッサンドでかきまぜる 星野響

乱読の末路に芥子の花を見ず 高良俊礼

親不孝通りの犀を尾行する 岡村知昭

茶の花やとある句会は百回に 井本和彰

血管を泳ぐ身と成る寒の鯉 syusyu

焼きたてのアンデパンダンくださいな 西沢葉火

シンデレラゾーンを前線がとおる Ryu_sen

どこまでもスクロールして春の野や 抹茶金魚

海からの小瓶のように知る手紙 さー

目玉と鼻の手触りや福笑 菊池洋勝

国富論(はらぺこあおむしによる) 海馬

チューリップの対義語はブーヒップ たろりずむ

雨傘が売れる人類滅亡後 たろりずむ

平家物語を逆から読んでいく戸籍 雷(らい)

私以外を生きる私が涙だす目のごみ 雷(らい) 

ローソクと私が黙っていれば済む まつりぺきん

新雪に押忍がたくさん落ちている おかもとかも、

掌に乗る大きさの滝凍る しまねこくん

生まれては消えるエロ垢冬銀河 馬勝

立ち上がって真昼 パクチーの不遜 秋鹿町

シマウマの鍋が名物 徳道かづみ

廻らない猿の周りに月が出る しまねこくん

チャンバラに折られるためのモノサシか 輪井ゆう

なまはげがちやんとスリッパ履いてをり しまねこくん

セーターの胸の丸みや五時間目 雲心

枯葦やジャンセンの裸婦立てる膝 雲心

三日月の指輪を買って冬の恋 東こころ

近頃は人参も優しくなった 宮坂変哲

背水の、愛してるって言わない決意 片羽雲雀

梅下にも生命みなぎる冬苺 屑乃ハコ

うつせみのやがて呑まれて波のなか 流天

サクラサクきみのほっぺにもサクラサク 蜜

水面に浮いた落ち葉が波紋の元 桔梗菫

初春や写真立ての笑む子に膳 天やん

欠けたもの拾い集めて春近し rira

冬探しながら歩きで路迷い ヨダレウルフコマソン

よってたかって駅をかくすとは象だった 石原とつき

碧石の凸凹撫づる久女の忌 花野玖

ご機嫌な歯ぐきも見せてトイピアノ Ryu_sen

一瞬の死を味わうための深呼吸 徳道かづみ

蟠り捨てる工夫を捨ててみる ともなう

新雪にシロップかけ回す七日目 日下昊

初春の月と思えば明石焼 汐田大輝

お隣で眠る貴方に夢で会う 梓川葉

寒がはり繊維多めの黒マスカラ 小沢史

終電を逃して駅で緑茶ハイ 財前

大寒に 星は煌めき 透き通る ひとり遊び

ふりかえるとき岬はいつも美しい しま・しましま

暗がりの部屋に一葉寒見舞 山田真佐明

justiceが世に響くまで叫びます 雪上牡丹餅

今はまだ戦争してる。どんど焼 M*A*S*H

腐っても鯨であることの事実 せば

大寒日安静必須プチ手術 日月星香

くすり飲みたばこを吸ってさらだ喰う 蔭一郎

シャコタンの箱乗り娘風になる 水の眠り

大寒の朝しんと落つブレーカー hyuutoppa

早番は家も会社も雪を掻く syusyu

午後の陽も 温くなりしや 寒の鯉 電車侍

ゆっくりと歩く石蕗も綿毛 せば

大寒や 吾子の未読が 気にかかる かのん

いつまでも闇に慣れない目をしてる しま・しましま

無精卵は有精卵の無事祈る 金瀬達雄

ひんやりと胸内濡らす夜半の雨 涼閑

白く濁るため息浴びる夜更ける 白石ポピー

冬だからさみしい夜が増えるんです 梓川葉

デジタル化遅れた私紙ってる ゆりのはなこ

幸せとツイート逆剥けが増える ちゅんすけ

鈴蘭やドライブ好きになる魔法 人見弐一

好かれては散財の末にごり水 ともなう

肩すくめ あんまんの肌しばし撫で SEN

阪神忌荒ぶる自然の畏れ知り みんみん

消し忘れ⇄私の部屋には無い灯り べ

別れの数だけピアス開ける 須能がる↑

今時は辞表を伝書鳩で出す 鴨川ねぎ

スマートフォンに米粒を遣る 太代祐一

括ってはいけない支援障害児 ほたる

彼女をください ミルクティー

ほっとするほうを玉子でとじてみる 月波与生

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◆ 7・7、5・7・5以外の短詩    

右側の前から二十五番目の足が前世で言う利き手です たろりずむ

友達と「く」だけで会話するノリがあって「く」だけの賀状が届く たろりずむ

ふゆふくは乾きづらいね縁側はあったかいねと猫語で話す タダノナイコ

下書きで終わったように飲み込んだあなたの息の花束ください とわさき芽ぐみ

薄氷ダダンと踏んで冬の蜘蛛欠片は刃 団地切り取る 夜間戦闘

ペンギンに歌を聴かせるウクレレはパイナップルになる夢をみる みさきゆう

銀行に飾ってあったミニチュアのこたつでお茶によばれてみたい 凪ちひろ

本日のホモ・サピエンス・サピエンス感染数を告げるウイルス たろりずむ

切なさを前の景色と比べたら吹き飛んだみたいマクドナルドへ うめたかな

ひまわりのまどかなひかりポケットに入っていたのひなたのデニム とわさき芽ぐみ

梅一つ奇跡のように咲いていて体感温度二度上がる朝 さー

雲間から君をみている泣き虫でやさしい君をカレー食べつつ はかなし

大人びた横顔見せる姪っ子の頼んだネタは子供のままで とるばどーる

空にみるポツリポツリの星たちは優しさ触れた足跡みたい 元さん

びょうびょうとかぜ しんしんとゆき おやみなきまま 今日の久女の忌はも 森内詩紋

「すべて消去」「やる気スイッチ」手探りで身体まさぐる大寒の朝 何となく短歌

心からおめでとうって言ったじゃん よくはないから押さないいいね えふぇ

背が低いと言われて啜り泣く吾子の抱きしめる重さ、大きくなったよ 碧乃 そら

被害者意識をくらってますだからやられて発熱してて一人 すずめ

1月の 氷柱のひかり 昼の星 溶けとろかされ 春よこいこい 休也

心から血を流しつつ微笑んで言う「大丈夫」言霊になるKaorin

片意地を張る片田舎の片隅に、春の日を待つ菫のように 森内詩紋

言葉では共感しても試合では連携できず仲間と言い張る すずめ

もうないよ いないんだよと言えないよまだここにいる声が聞こえる 水也

父親の電源ボタンを探す子に契約終了なのよと話す ぽっぽ

今頃になり、あの人の心が分かり泣いている む~みんママ

木枯らしを告ぐを聞きたる一回り小さき鍋を求め帰りぬ しみず わかな

こんなにもさみしい夜に星じゃなく 空でもなくて「私」だなんて しろとも

ボクシングやらないだろうかっちゃんはたっちゃんがもし先に死んでも たろりずむ

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◆ 詩

higurashiさん 
higurashiさんの作品が
作品評の所に
私のツイートと 一緒に
載りましたよ (さくら)

有名な人が死んだことを告げるニュースを見て、
あなたが「誰か人が死ぬのは悲しい」言い、
あなたの言う「人」の中に、
私も含めてもらえることがとても嬉しいことを、
片思い、というのだろう、
私に何の才能もないことが、
何よりもこの世への復讐だと思いました、
花、といえばこの世の全ての花をさすけれど、
たった一輪のあの花を呼びたいとき、
花には人間のように名前がなかった、
そんなふうにして私は、
あなたの名前を呼びたかった、(野々原 蝶子)

片耳しか使えぬ
イヤホンを
星ひとつ
またたかぬ夜に
ふと差し出して(一福千遥)

やばい
寂しい
何コレ
どしよ
ほんと
寂しい(りさ)

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◆ 作品評から

うつせみのやがて呑まれて波のなか 流天
 ~本当にそう感じる時は、あります。(浜本亜矢子)

大人びた横顔見せる姪っ子の頼んだネタは子供のままで とるばどーる
 ~たまごかなぁ。。(mikisuzu)

欠けたもの拾い集めて春近し rira
 ~まだ完全とは言えないが、一区切りつけてと解釈しました(つきはら)
 ~集めたらお花畑になるニャン(しろくまきりん)

窓に住むさかなの指は五角形 秋鹿町
 ~「ありえないもの」を書いている。この生き物はまったくの嘘、何かの例え話なのか?そうではなく言葉にした瞬間すべては正しく「そこにある」ことになるのだ。(月波与生)

早番は家も会社も雪を掻く syusyu
 ~雪国に転勤した人が、毎朝出社前に一時間かけて家の周りを雪掻きし、出社後一時間かけて会社の雪掻きをした、という話を思い出した。そして早朝に住人の通勤通学のために道の雪掻きをしている人々がおられることも、句の向こう側に感じた。(おとないやいやえん)

雨傘が売れる人類滅亡後 たろりずむ
 ~あぁ、静かな中で孤独じゃないことを確認できた喜びを感じながら、その状況の滑稽さに自分で自分を笑っているような哀愁。素敵な句ですね。(まつりぺきん)

半角のアスタリスクのニュアンスで片方だけのルビーのピアス みさきゆう
 ~「半角のアスタリスクのニュアンスで」の切り取り方ががすごくいい。半角→片方の連絡も効いている。着地がピアスでよかったかどうか。(月波与生)

ローソクと私が黙っていれば済む まつりぺきん
 ~誕生日なのに家族の雰囲気が悪くなったとき。新しい仏壇写真に線香を添えるとき。縄で縛られて終わりを待っているとき。余命を知っているのが自分だけのとき。なんのローソクかな、と想像したら色々広がっていきました。どのシーンでも鬱屈とした理不尽さが漂うのが素敵です。(さー)

こんなにもさみしい夜に星じゃなく 空でもなくて「私」だなんて しろとも
 ~好きです。(新出既出20)

近頃は人参も優しくなった 宮坂変哲
 ~お早うございます。日向臭いトマトも。(諧 真無子)

実名で報道された鎌鼬 馬勝
 ~「鎌鼬」が実名なのか。最近は雅号の手紙ばかり増えてひがんだ実名はアルバイトを始めた。実名には朗らかであってほしい。(月波与生)

ボクシングやらないだろうかっちゃんはたっちゃんがもし先に死んでも たろりずむ
 ~めちゃくちゃ頷いてしまいました笑(かきもちり)

私以外を生きる私が涙だす目のごみ 雷(らい) 
 ~心のどこかで、私以外を生きる私を認めたくない、と思っている私がいます。それを確かめるような、強がりのような。その涙の本当の意味を知っているのも、やっぱり私なんでしょうね。素敵な句だなぁと思いました。(まつりぺきん)

読みたくて読みきれなかった本たちが 集う宇宙があるかもしれない ふら
 ~買うかどうか迷ってるうちに書店から消えてしまう本たちもきっとどこかに集っているのだろう。読む本は有限だが読めなかった本は無限だ。(月波与生)

ホンモノの寝言は空気より軽い おかもとかも
 ~空気より重いか軽いかでホンモノかニセモノかがわかる寝言。だから何だといわれようがその辺をはっきりさせておきたいのである。(月波与生)

シャコタンの箱乗り娘風になる 水の眠り
 ~ブルーバード、懐かしいです(とるばどーる)

くすり飲みたばこを吸ってさらだ喰う 蔭一郎
 ~くすり、たばこ、さらだ。どれにも一定の価値を感じて自ら摂取しているのに、どことなく投げやりな自分のこととは捉えていなそうな感じが好きです。矛盾があったとしても体の心の健康をとりあえず保ち、叶えたいもっと重視していることが他にあるようにも詠めて、好きです。(タダノナイコ)

ほっとするほうを玉子でとじてみる 月波与生
 ~この句好きです。玉子でとじたら、ふっくら感とか増すのかなあ……(森内詩紋)

地味グループの男子の私服が地味ながらに加瀬亮の部屋着っぽくて良かった たろりずむ
 ~「地味グループの男子の私服」を「加瀬亮の部屋着っぽい」と微妙に評しながら「良かった」で締める。肯定感があふれて気持ちいい。(月波与生)

食パンとショパンは似てる白の比率 屑乃ハコ
 ~「食パンとショパン」は語感が似てなくもないが「白の比率」に意表をつかれる。ショパンにとっての白の比率とは何だろう。言葉が立ち上がる。(月波与生)

三日月の指輪を買って冬の恋 東こころ
 ~ストレートだけどうまい。(カズノpub.)

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◆ 第100回句会報ダウンロードはこちらから

第100回句会報(PDF)

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