さみしい夜の句会報 第231号(2025.7.20-2025.7.27)
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◆ 参加者(54名)
クイスケ、季川詩音、非常口ドット、しまねこくん、菊池洋勝、宮坂変哲、しんいち、何となく短歌、汐田大輝、桂月、ぺろぼっこ、流離するおかん時々オクラちゃん桃瀬、石川聡、西沢葉火、カオルル、鈴木正巳、笛地静恵、ちゅけ彩緒、もりや、yuto_pachypodium、季川詩音、西脇祥貴、岡村知昭、しろとも、蔭一郎、ゐで保名、彩葉(いろは)、snuddle、水の眠り、リコシェ、舞風 奏-かなで-、古城えつ、牛田悠貴、ひいらぎ、千春、まどけい、都まなつ、影藤遥香、うさ耳うんうん、鈴木雀、空野つみき、リンネリンク、萬某、あきの つき、山田真佐明、東こころ、苺、冬野志奈、気まぐれさん、さちの扉、ジブラルタル峻、川上 黒冬、月波与生
◆ 川柳・俳句
ボディーランゲージ あなたは あなたは ここ ろ 空野つみき
蜂の巣か蟻の巣か決められないよ 空野つみき
そらいろの楽団を連れ練り歩く 空野つみき
夜に手を中島みゆきたち、手に手に手に手に手に手を 西脇祥貴
嘘は小腹に詰めて中島みゆき 西脇祥貴
ボールペンのかすれだけで描かれた絵画 蔭一郎
自転車のサドルは海の日もあつい 蔭一郎
蟬の胃のなかでぐっすり寝る大暑 蔭一郎
街路樹がもうやめたいと歩きだす 蔭一郎
どの店に入ってもある蟻地獄 蔭一郎
虫歯からぴょこと顔だす蟻地獄 蔭一郎
海のない町にも海の日有効券 都まなつ
海の日はシーラカンスの誕生日 しまねこくん
アサガオの蔓を正しく巻き直す あきの つき
万札を崩す友だちが消える 鈴木雀
大空をはみだす入道雲ドドン カオルル
昼寝覚まだたましひの戻らざる カオルル
泣きにゆくキリンだらけの鎌倉へ 岡村知昭
猫になる紙飛行機はどれですか 岡村知昭
耳鼻咽喉科の身代わりで来ています 岡村知昭
月が奇麗でフレグランスな蠅ですね 岡村知昭
三年は寝たふりをして毒を抜く 汐田大輝
人類にサヨナラをいうエベレスト 汐田大輝
古池にいないジャンルの蓮を推す 汐田大輝
去る者は追わずベローシファカ踊る 汐田大輝
看取りあと机に残るサングラス 菊池洋勝
サーカスのバスのタイヤの空気入れ(♀)西沢葉火
真夏日に前歯前髪前屈み しろとも
真実のしめ鯖サロメを一新し クイスケ
あくまでもパーカッションなえんがわと クイスケ
*
涼月や通学路に東京タワー 季川詩音
ディープキス君から奪う夏の風邪 宮坂変哲
潮騒を奏でるスーパーのカニカマ しんいち
熱帯夜スマホで熟語ばかり作る夜 桂月
ボットの底に 1センチ残った 麦茶の哀しみ 流離するおかん時々オクラちゃん桃瀬
貌のない仮面をつけて街へでる 石川聡
漁婦ら来て魚臭漂ふ駅薄暑 鈴木正巳
もう飲みません嘘の誓いの第一位 笛地静恵
広すぎてむり海の底から空の天井 もりや
水耕の根は白きかな夏の風 yuto_pachypodium
絶対美が脈打ちながら闇を孕む ゐで保名
隕石がごめんごめんと ああ ゆるす 牛田悠貴
黒髪のひんやりしてる夜の夢 千春
なりすましやる暇あったら働けよ 影藤遥香
ああしんど 選挙が終われば 選挙前 うさ耳うんうん
人も恋人猫も恋人小暑かな まどけい
友達と恋わずらいを巴投げ 山田真佐明
また過去の男をひとり増やす夏 東こころ
海の日の海遠ければ海を恋ふ 冬野志奈
*
ラーメンの「ン」に将来の「ん」を混ぜる 月波与生
◆ 短歌
魔法じゃない「おまじない」は子どもへの やわらかい呪い 気まぐれさん
わたくしが詠んだうたは誰からも読まれなくても世界を変える リコシェ
*
歌なぞり缶ビール手に夜散歩ふたりじゃなくてひとりだけれど 非常口ドット
夢は夢 しゃぼんみたいに割れるから息を殺して見つめ続ける 何となく短歌
闇の中 進んでいけど 闇は闇 何が本当 知りたくもなし 彩葉
あなただけいれば世界よ夜の蝉きっと今頃くしゃみをしてる snuddle
花嫁のロングトレーンが重いのは転生の下手な元カレの怨/恩 水の眠り
つまらない何処へも行けない何も無い 私が嫌い全部が嫌い 舞風 奏
地獄には行くかもだけど凄いのは段階的に免除があること 古城えつ
希望といふ言葉何処に佇みぬかつて見上ぐればそこにありけり ひいらぎ
ふわふわと 地に足つけず流されて 行き着く果てで ひとり消えたい リンネリンク
青と黒 渦巻く雲に 赤と黄 刺す稲妻 身近な終末 萬某
眠れない夜に一人で火をつける数年前の湿気った花火/苺 苺
◆ 詩
靴を履こうとしたら
かかとがなかった
だから靴はかたくて
花になることに決めた
花になったわたしを
恋人は窓際に置いた
レースのカーテンが揺れるたび
かかとが戻ってきたかもと
どうでもいいことをおもった
わたしは切り花だった
恋人は水をやらなかった
やがて枯れた (ちゅけ彩緒)
《決意》なんてできない
《覚悟》なんて、できやしない
ぼくはよわむし (ぺろぼっこ)
◆作品評から
古池にいないジャンルの蓮を推す 汐田大輝
~「古池にいないジャンルの蓮を推す」。これすごく面白いですね。蓮といえば汚い池にいるイメージです。 たしかに、違うところにいるものを見つけたら、その異端さに興味が出てきます。(季川詩音)
風死して弥生時代の土器になる しまねこくん
~弥生式土器は縄文式よりのっぺりつるんと端正だから、死んだ風も鳩サブレーのようにさっくりすんなり土器になったのでしょうね。 風の季語の本意に対する、時空&考古学な共感覚が特異でハッと引き寄せられましたわ〜。(石川聡)
炎帝は一重瞼と決めつける しまねこくん
~確かに炎帝の語感は決して、二重まぶたのびっくり目のタレ目のかわいい系まなことしては想像出来ないですね笑 烈火のように切れ上がった一重まぶたの反対を強烈にイメージさせるユーモラスなズラし設定に詩情(石川聡)
昼寝覚まだたましひの戻らざる カオルル
~良いですね。魂の戻らないなんて、昼寝の熟睡。あります。今は朝か夕かもわからず。確かに魂が少しさまよいます。(さちの扉)
去る者は追わずベローシファカ踊る 汐田大輝
~やっぱりベローシファカは踊りますよね(ジブラルタル峻)
もう飲みません嘘の誓いの第一位 笛地静恵
~お酒のことなのだろうと思いました。「もう飲みません」は、「また飲みます。」という意味ですね。「押すなよ、押すなよ。」みたいなものですね。(季川詩音)
日曜の午後水無月の水の音 カオルル
~日曜日の午後、一人で居ると突然誰かがノックするのは星新一のショートショートに多いが実際は宗教の勧誘かNH◯の取り立てが多かった。(月波与生)
月が奇麗でフレグランスな蠅ですね 岡村知昭
~創作であることは理解でしてますが、あの有名な言葉のあとにはこんな素敵なエピソードがあったのかもしれません。月から蠅という焦点の変え方が面白いです。あの方であれば、フレグランスという言葉に置き換えるかもしれません。(季川詩音)
耳だけが大きく見える虫眼鏡 汐田大輝
~他人の耳ってまじまじと見たことはないが、あの曲線がエロテックだったりグロテスクだったり見えるのは頼りない深層心理を具現化する部位だからだろうか。(月波与生)
判決へ「ね」を足せる中島みゆき 西脇祥貴
~中島みゆきシリーズも「中島みゆき」の言葉が持つパワーを利用し発展する句が増えて来てるように思う。円熟期?(月波与生)
花嫁のロングトレーンが重いのは転生の下手な元カレの怨/恩 水の眠り
~忘れ得ぬおもひを胸に生きしども転生の後は忘れたきもの(川上 黒冬)
涼月や通学路に東京タワー 季川詩音
~図案のような構図が目に浮かびました。(宮坂変哲)
ボールペンのかすれだけで描かれた絵画 蔭一郎
~繊細な絵画でありつつも、強い生命力を感じます。フクロウなどの動物が頭に浮かんできました。落書きとはまた違った面白さだと思います。(季川詩音)
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