さみしい夜の句会報 第156号を発行しました

さみしい夜の句会
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                      (UnsplashErda Estremeraが撮影した写真)

                      

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さみしい夜の句会報 第156号(2024.2.11-2024.2.18)

第156回の参加者は69名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。

今月発行の「川柳の話4号」にて『さみしい夜の句会Ⅱを読む』と題して樹葡らきさんに作品評を書いていただきました。世の中に発信された作品は時間に埋もれさせてしまわず、読み繋げていくことの重要さと大変さを実感してます。誌友、会員を募集しておりますのでご興味のある方はDMにて連絡をください。

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◆ 参加者(69名)

しまねこくん、さー、水の眠り、汐田大輝、うつわ、夜鳥、星野響、蔭一郎、唯有(ゆう)、エミリー・メープル・ボーン、古城エッ、桂月、涼閑、花野玖、虚見津山都(そらみつやまと)、朝森たけ、みさきゆう、石原とつき、souko 守宮、西沢葉火、鴨川ねぎ、温(ハル)、輪井ゆう、かれん、海馬、萩原 アオイ、片羽 雲雀、クイスケ、ヴたこ だょ、西脇祥貴、東こころ、おかもとかも、黄泉カエル、えみ、りゅうせん、雷(らい)、もふもふ、まつりぺきん、かきもちり、もりや、宮坂変哲、岡村知昭、佐竹紫円、はゆき咲くら、石畑由紀子、みや、カゲキ・ちゃけぞう、しろとも、靈夢、石川聡、深川一平、mugwort、武井窓花、ポッキー、ゆら、ゆりのはなこ、ぐりこ、misuzu、花林 なずな、ぴぃ、やーま、雪之情、ZENMI、山田パチ、小仲翠太、むくげ、ビーよん、あまおと、白灰、月波与生

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◆ 川柳・俳句

ルポルタージュのスープ飲む 西沢葉火

暖冬にピアノ頓服しています 石畑由紀子

大丈夫みんなチョコレートの象だ 岡村知昭

大雨もドラムロールを待っている おかもとかも

自負だけの紙風船を叩き割る 片羽雲雀

菜の花は急に巡業バスになり 雷

風船を腹で温めて二個にする しまねこくん

投げキスを拾つてみれば蕗の薹 しまねこくん

猫のいるアトリエにいる髭の画家 海馬

目に雪をためて妻の弾くピアノ 海馬

マリリンのほくろは夜も目覚めたまま 海馬

不可能という文字のない天ぷら屋 汐田大輝

この部屋は何階?雨はどのくらい? さー

   *

君がくれたチョコとお酒とその寝顔 うつわ

草萌やインプラントを考へる 夜鳥

レース編む春愁を紡いだ糸で 星野響

下萌のおもいのほかに育つひと 蔭一郎

伊予柑よ私は八朔が好き 桂月

幸せに同居していた愛と憎 涼閑

満開の枝の下へと安吾の忌 花野玖

盗られたい傘はさっぱり盗られない souko 守宮

チョコレート色の君こそプレゼント 鴨川ねぎ

人は人土は土来る春違う 輪井ゆう

軒下にアンドロメダが降ってくる かれん

夢の中では虐待をしない母 クイスケ

きらきらきづゆ中島みゆき 西脇祥貴

逢引を隠す帽子をひとつ買う 東こころ

顔嵌めの人格Bがあとを引く りゅうせん

スプレーで髪を固めて春一番 もふもふ

咳止めで惨事は止まらないですか まつりぺきん

チョコの家かよマジゲロ もりや

義理チョコも俺の人生無関係 宮坂変哲

息をころし  夜中のガレージ  切るエンジン カゲキ・ちゃけぞう

明けぬれば街灯の下のゲンゴロウ しろとも

性的な意味に於いてのみ自転車は在る 深川一平

好天に発電したる浮かれ猫 mugwort

   *

三日月が匂う裏切ったのは誰?  月波与生

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◆ 短歌

「おかえり」の数だけ回ったドアノブは鍵っ子見守り錆びないと誓う 古城えつ

猫の毛は掃除機かけるたびに減り死んだことさえ吸い込まれてゆく 古城えつ

奈良で聴くバーニラバニラしめやかで観光ルール律儀に守る 古城えつ

コンビニのスウィーツ何にしようかな叱られた日の退勤時間 水の眠り

古えの星座のように点々をつないで語るボクらの秘密 水の眠り

はしゃぎすぎたサーカスナイトそのままに  わたしの月とダム湖にしずめ 水の眠り

仮置きの希望、それから元希望 ちいさな部屋にリンドウと住む かきもちり

一秒に二歩進む人を見ているホントはしゃべるマリモみたいに みさきゆう

   *

睦み合うことを忘れて私たち隣り合わせのビルみたいだね 唯有

赤い傘、黒い拡声器、五本線で水桃白 君の勇色/エミリー・メープル・ボーン

そうやってくすみカラーに身を包み無害な振りして世を欺いて 虚見津山都

僕が撮る君の写真はなぜかしら愁いを帯びたえがおになって 朝森たけ

そこなし星雲ないざこざな「天ぷらうどんと思ってよ」貼り紙 石原とつき

身を揺らし野鳥と共に歌唄う愉しい春を我も一緒に 温(ハル)

コロナ禍で出会った人はわたくしの口紅の色も知らずに口説く 萩原 アオイ

天国のあの子の話をするときと同じ回路で触れる 溺れる片羽雲雀

朝日など嫌いなんだよ青髭に飲ませた金が伝う太もも ヴたこ だょ

月光が浮氷のように漂った極寒の月街を凍らす 黄泉カエル

マンションの広告みたい あなたから空に向かって光が伸びる えみ

心の風邪、と軽い響きが今日もまたわたしを抉る 止まない雷雨 佐竹紫円

ヒビ割れてどこを刺しても響かない気がするだけの日々ポップコーン はゆき咲くら

世界とは海の向こうにあるというわたしひとりで越えられないの みや

国府宮 裸祭りの 心意気 褌纏い 行く新男 靈夢

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◆ 詩・短文

※ 掲載はありません。

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◆ 作品評から

はしゃぎすぎたサーカスナイトそのままに  わたしの月とダム湖にしずめ 水の眠り
 ~サーカスナイト、七尾旅人ですかね?わたしも大好きです。オリジナルはもちろん、青葉市子、向井秀徳のカバーも良くて。思い出すな〜(石原とつき)

猫の毛は掃除機かけるたびに減り死んだことさえ吸い込まれてゆく 古城えつ
 ~わーおめでとうございます!一席!!(武井窓花)
 ~おめでとうございます。まだ番組を観ていなかったので、拝見いたします(ポッキー)
 ~おめでとうございます。喪失感が迫ってきて心打たれるお歌と思いました。(佐竹紫円)
 ~おめでとうございます。下の句に喪失感が表れて、その存在したことが失われていくなんとも言えない切なさですね。(水の眠り)
 ~古城さん、一席おめでとうございます「吸い込まれてゆく」が切ないですね。すごく悲しいけれど素敵な短歌です(ゆら)
 ~とても素敵な短歌で一席、おめでとうございます。私も猫を飼ってますが、とても心に刺さりました。おめでとうございます!(ゆりのはなこ)
 ~えつさん!おめでとうございます!悲しみと喪失感が薄まっていく過程の表現が素晴らしいと思いました。そう、毛がね…いつまでもどこからか出てくるんですよね…。うちはチンチラ(齧歯類)でしたが…。(ぐりこ)
 ~一席、本当におめでとうございます!もう毛も出てこない程前に亡くなりましたが、とても切なく思い出しました。素敵な歌です(misuzu)
 ~おめでとうございます!すごく共感出来ます!その気づきを日常の中で繊細に詠まれている本当に素敵な歌だと思いました。うちは何代も犬を飼っているのですが前に居た愛犬の時のことを思い出しました。(花林 なずな)
 ~おめでとうございます。切なくてとても素敵です。(ぴぃ)
 ~古城さん、一席おめでとうございます! 心に響く、素晴らしい歌ですね。大阪市在住なんですね。僕も大阪市出身です。(やーま)
 ~うちの猫が旅立ってしばらく経ってからその子のお気に入りの毛布を洗ったら洗濯槽に毛玉が残って、その毛玉捨てられなくて今も大事にしまってあります。長毛の子でした。(雪之情)
 ~おめでとうございます。とても好きです。思わずうちの猫を抱きしめました。(ZENMI)
 ~録画した番組を見てて古城さんだ!って嬉しくなりました。本当におめでとうございます!昔実家で飼ってた猫のことを思い出しました。(山田パチ)
 ~うわ~、泣けてきました! おめでとうございます!!(小仲翠太)
 ~おめでとうございます。悲しい歌です。「吸い込まれてゆく」のままならなさが好きです。(むくげ)
 ~私も飼っていたハムスターのおがくずが死後一年くらいして家具の隙間で見つかったとき、同じ気持ちでゴミ箱に捨てました。後ろ髪を引かれるような気持ちが末尾の字余りに滲んでいて沁みました……(ビーよん)

菓子パンの空洞説にある派閥 蔭一郎
FAXのあの音させて走る野火  蔭一郎
 ~2句とも着地(派閥、野火)でモヤっとする作り。あえて狙ってるのかもしれないが。(月波与生)

ざざ降りの慚愧の森にいる人を草原で待つときどきは呼ぶ みさきゆう
 ~後半「ときどきは呼ぶ」に救われる。人はみなときどきは呼んでほしい。(月波与生)

にわとりの卵にしてはカリフォルニア 岡村知昭
淋しさの目の奥にあるヘルシンキ みしま
 ~同じような作り方ながら言葉から立ち上がってくるも景色がまるで違う面白さ。(月波与生)

僕が撮る君の写真はなぜかしら愁いを帯びたえがおになって 朝森たけ
 ~「えがお」がひらがななのがとても良いです。どこか丸みを帯びた愁いなのかなと思ってみたり…(あまおと)

古えの星座のように点々をつないで語る希望の神話 水の眠り
六花舞う星座を模して砂浜に未来の地図をかくわたしたち 水の眠り
 ~「希望の神話」というぼんやりした言葉が「地図をかくわたしたち」と具体的になった。個人的には「古えの星座のように点々をつないで語る」までがとても好きなので残り7音字でなんとかするのを見たい(笑)(月波与生)

定位置に立てばさみしい蝶番 上崎
 ~建具を開閉できるようにする部品を「蝶番 テフツガイ」と最初に呼んだのは室町時代の人のようで趣のある言葉だ。定位置でないと役目を果たせない蝶番の哀しみ。(月波与生)
 ~蝶番というのは蝶の形をした建具を支える部品でありおよそ2つのプレートが1つになって折り畳まれる形で使われる。1つが欠けていると折り畳むことができずに部品としての価値もない。定位置に立つことによって可視化されるあるはずのものや人というのはあると思うのです。私はこの句からは悲壮感は感じられない。さみしいと言葉にはしながらも堂々と定位置に立っているのではないか。(かれん)

奈良で聴くバーニラバニラしめやかで観光ルール律儀に守る 古城えつ
 ~バーニラバニラにクスッとしてしまいました(白灰)

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◆ 第156回句会報ダウンロードはこちらから

第156回句会報(PDF)

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