さみしい夜の句会報 第83号を発行しました

さみしい夜の句会
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さみしい夜の句会報 第83号(2022.9.18-2022.9.25)

第83回の参加者は105名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。

東北川柳大会参加他で1年6か月ぶりに仙台市を訪問しました。3年ぶりのリアル大会は参加者総数は変わらなかったそうですが、投句が増え会場参加者が減る状況であったようです。これは東北だけでなく他の地域でも同様のようです。インターネットを活用した、在宅からでも大会参加ができるようなしくみ作りが急がれます。

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◆ 参加者(105名)

岡村知昭、白水ま衣、しまねこくん、池田吉輝、風池陽一、徳道かづみ、syusyu、茶熊さえこ、たねまる、菊池洋勝、雷(らい)、海馬、灰色ニボシ、馬勝、さー、せば、元さん、おかもとかも、雲上晴也、花野玖、西脇祥貴、思雨(スイ)、東こころ、まつりぺきん、柊秘密子、あ、ぽっぽ、蔭一郎、最中妙、しろとも、太代祐一、空瓶、kiyoka、南野紀美、睦月ヨシ、む~みんママ、糸瓜曜子、輪井ゆう、弌定住佳、西沢葉火、HAKUBIKI、生・存、天やん、ゆりのはなこ、しろとも、抹茶金魚、枡川零ト”Reito/Masukawa”、−恷庵−、さこ(砂狐)、mugwort、達毘古、コネコノビッチ、石川聡、鷺沼くぬぎ、宮坂変哲、さんちゃん、馬勝、冬憑(ふゆつき)、幸福男、汐田大輝、踏子、チューバ2022、najimi、涼閑、雲心、Tomoko、電車侍、haruwo、高木タツオ、木野清瀬、iba、伽羅、小沢史、みんみん、水の眠り、hyuutoppa、森内詩紋、岩瀬百、星野響、passant.A、アラ、風花(かざはな)、月硝子、日下昊、石原とつき、しもじょう、毱瀬りな、Millicent.AlmondmilkLatte、橘月子、たろりずむ、弓田答辞、かなず、鴨川ねぎ、にじむにじ、黒穂+、猫又(夏梅堂)、嶌りす、なゆた、楢崎進弘、神傘ツバメ、想人有、おかわり、月波与生

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◆ 7・7詩、5・7・5詩

野分まで金平糖の色揃え かなず

送信は受信に肉を巻いたもの 西脇祥貴

一車両づつ仏壇の忘れ物 蔭一郎

外人の名前を付ける今年米 しまねこくん

冷奴とわたくしは世界が違うはず、でも 石原とつき

烏賊としてやっていけるか考える 岩瀬百

こほろぎのねんぶつ りりり りりりりり 森内詩紋

エルキュール・ポワロはとても句跨り 白水ま衣

一夜干しとの絶交は機密だよ 岡村知昭

ナイフの良心は発音しないk 白水ま衣

あさがおを摘むとおんなのひとが来る 蔭一郎

野葡萄に一つの漏れも無く偽名 しまねこくん

雨粒をノリツッコミとして そわか 西脇祥貴

山火事を古いスカンクから語る 岡村知昭

終着駅の沈黙聴く線路 雷

俺を量産する洋服店 おかもとかも

シャーロック・ホームズの部首は耳 白水ま衣

からっぽからっぽと駆け抜けてく秋 太代祐一

逃げ切った偽アディダスの二本線 さこ

心情はほとんどyeah!!!じゃないのかよ おかもとかも

ホームズの横顔にして滝である 白水ま衣

消化器が足りない時に出す檸檬 しまねこくん

ありがとう、あなたは渡り廊下でした おかもとかも

人よりも案山子に似たる案山子かな 風池陽一

定型におさめてホームズの孤独 白水ま衣

くちづけの砂糖問屋と塩問屋 岡村知昭

「鏡よ鏡」料金別の褒め言葉 睦月ヨシ

朝顔や小さくなった母の背 睦月ヨシ

金閣を燃やしたくなる曼珠沙華 汐田大輝

友が撮る空、雲、秋のラベンダー ぽっぽ@水須ゆき子

ノック、ノック、だあれ、気の抜けたオルゴール 海馬

好物へ垂らす醤油や鰯雲 菊池洋勝

恐る恐る同じ道行く秋彼岸 花野玖

ほうせんか娘がふたり名は訊かず 木野清瀬

消灯の時刻を待って森になる 糸瓜曜子

絆創膏 承認欲求 剥がせない しろとも

行く人を諦め手を振る花野風 風花

アイドルでハエトリグモを業界化 抹茶金魚

大き月見し二日後に祖母が死に 流天

数珠玉に触れず大人となりにけり syusyu

大丈夫 どうしようもなく手を握る 茶熊さえこ

雨止んで  夜風虫の音  星ひとつ たねまる

ぜつぼうは蛆の速度で這い回り 灰色にぼし

辞世の句母音が禁止パピプペポ 馬勝

頬の内穂紫蘇転がし気を偽装 さー

コーヒーに胃のもたれたる夜学かな せば

割り箸の棘ぬけ難し秋祭り 雲上晴也

みそラーメン 卵を1つ 星3つ 思雨

天国と地獄どちらが極楽か  かづみ

「本当のかづみ」は金に替えました かづみ

くちびるを重ねて美しい炎 東こころ

オルガンも工事現場で泣いている まつりぺきん

持ち主の居ない幸せを拾った 空瓶

雨音と孤独な私に酔うてみる kiyoka

なめくじに水掛おはよう言ってみる む~みんママ

きみとぼく違う虹しか見てないね 輪井ゆう

ジタバタと己が無力を証明 弌定住佳

咳が出る 風邪じゃないよ 花粉だよ HAKUBIKI

くずかごに自尊心一つ九月尽 天やん

孤独死が手招きしてる一人の朝 ゆりのはなこ

衣擦れの残り香仄か夜会草 mugeort

秋分や恒河の岸に咖喱煮る あ

悪魔の夜会でワインを飲むゼとプ 達毘古

さみしさはまるみをおびた死のかたち 灰色にぼし

秋思など猫はいつでもセンチメンタル コネコノビッチ

椿の実こっつんこっつん秋叩くもっきん 石川聡

線路沿いの秋桜会社行きたくない 鷺沼くぬぎ

こおろぎや幾たび夜を越してなお せば

DIY必ず残る螺子一個 宮坂変哲

仕方ないなんて言わないでよ サラバ さんちゃん

元カノと兄弟集う芋煮会 馬勝

秋彼岸お供え用のハイライト 雲上晴也

かき氷この世界史の特異点 西沢葉火

亡き妻が居付く立秋音も恋し 冬憑(ふゆつき)……

顳顬に弾倉のあるシルバニア さこ

舶来の魔人が霧に咽せてゐる あ

鰯雲みんなと同じ孤独なり 福美踏子

秋分や猫見つめてるお仏壇     鶴子

味のある人になりたい木曜日 najimi

蝕の後イスカンダルへ島流し 涼閑

かまつかや毛振り終わりし獅子の精 雲心

かわいい》がキャラを側面して意外 抹茶金魚

朝顔や小さくなった母の背 睦月ヨシ

配信をただ待っているだけの夜 Tomoko

碇星 (カシオペア) 機械仕掛けの ごとき天 電車侍

雨はやみ 誰が置き傘と吾と無月 haruwo

空澄みてデジタル時計の彼岸入り 高木タツオ

夢に棲む母の背中や濃竜胆 伽羅

朝顔に絡むいつかの埃かな 小沢史

我が町の鉄塔つづく秋の空 みんみん

腕さすり七分袖にする朝顔で 水の眠り

我ら皆オイルサーディン霧の駅 hyuutoppa 突波

猫の背にも秋霖 鴨川ねぎ

曼珠沙華ダークマターに根を張って 星野響

詩人の実存は夢に咲く造花 passant.A

曼珠沙華、歌へよリリーマルレーン アラ

倒されし命照り映ゆ曼珠沙華 月硝子

兎が駆け回る刈られた牧草地彼岸入り 日下昊

あまりにも詩であるために避けきれない 毱瀬りな

暇だから瀕死のきみについてゆく 橘月子

まだ痛むふりをしている三学期 たろりずむ

ダ・カーポで繋いだガリバーの背骨 月波与生

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◆ 7・7、5・7・5以外の短詩

あの頃のあたしのままでいるなんて何故にあなたは信じられたの  鈴音

空っぽは夢をつめこむためと言うかぼちゃ頭は今年あと厄 あ

「なんてこと  歳月は二度と戻らない」ふと気がついて泣く昼下がり 最中妙

蛸壺の底で絡まる九度目の別れ話の吸盤でかい 生・存

妖怪になってしばらく経ちます」と 手紙を出した 返信不要 しろとも

さみしいと君は言うけどこの静かで愛しい時間ため息ひとつ 枡川零ト

外国の楽器を吹いていた人に顔があったか思い出せない 生・存

汽車進む星屑の中窓を閉め硝子に映る夜を見ていた iba

遠い野分夜半の雨戸をはたはたと鳴らし呼ばるる幼き私 鷺沼くぬぎ

離れゆく体温が冷め空白な泣き出したいよな気持ちを抱え Millicent.AlmondmilkLatte

さもしいというよりやっぱりさみしいと言い直すきみ溜め息の谷 弓田答辞

新聞やニュースにのった犯罪者みんなきちんとマスクしている (蔭一郎)

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◆ 詩

さみしいの?
ひとりぼっちで
鉢の中
さみしくないよ
君がいるから (元さん)

雨降りて
痛みし頭
抱える夜
あなたがいれば
平気なのにな (柊秘密子)

揺るる地に
揺るる心に
揺るる身の
置き処なく
夜長明け方 (南野 紀美)

何処からか
おでんの香り
誘われて
熱燗 一本 呑む私。(−恷庵−)

このまま結婚できなくて、寂しい夜に泣いたとしても、俺は自分なりにやれるべきことをやった。
かな子ちゃんを振ってしまったけど 、これが俺の天命。
他の人に比べれば脆弱な魂だったかもしれないけど、これから大切に自分のペースで育てよう。
(幸福男)

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◆作品評から

くちづけの砂糖問屋と塩問屋 岡村知昭
 ~これはとても良いです。僕は好きですね。(にじむにじ)

天国と地獄どちらが極楽か  かづみ
 ~地獄だろうね…..地獄の亡者も生まれ変われるのが極楽だから。天国は異次元だもの。なんせ異境の神が支配する死の世界(黒穂+)

「本当のかづみ」は金に替えました かづみ
 ~2000億、入手されたのですね。(Zimbabwe$だったりして) (猫又(夏梅堂))

消化器が足りない時に出す檸檬 しまねこくん
 ~”消化器”なのよ!レモン絞ってさっぱり食べるのよ、レモンは減塩の味方だし。 (鷺沼くぬぎ)

昼間見た夢の続きをください5文字で しろとも
 ~〈昼間見た夢の続きを7文字で〉で定型の17音。〈見た夢の続きをください5文字で〉で破調の17音。定型の器を信頼すれば器は応えてくれます。(月波与生)

恐る恐る同じ道行く秋彼岸 花野玖
 ~お彼岸に墓参りへ向かう。ふと、同じ道を行く人に気付いた。そんなはずはないが、同じお墓に向かっているならどうしよう。知らない親戚か。父は生前この人に感謝されていたのか。それとも愛人の隠し子か。いや、もしかしたらこの人、お墓に帰ろうとしているのかも……。(西沢葉火)

世に降りし青い鳥から赤い羽根 風池陽一
 ~青い鳥から赤い羽根である。何故。昔、縁日で売られていた色とりどりのヒヨコのことを思い出す。あのヒヨコは大人になれたのだろうか。青い鳥の羽根は青いままだろうか。  (月波与生)

新聞やニュースにのった犯罪者みんなきちんとマスクしている (蔭一郎)
 ~妙に頭に残るうた。そういやCOVID以前は、マスクといえばよほどの事情であった。(森内詩紋)

ナデシコの7デシベルでする開花 石川聡
 ~最初読んだときはナデシコ→7デシベルのカタカナ繋がりが気になったが、今朝はナデシコ→開花の連絡が普通すぎなのだと感じている。それもまたまた作者の企みか。(月波与生)

朝顔や小さくなった母の背 睦月ヨシ
 ~母の肩は丸くて固くて叩いても応えない母の肩を叩くのが好きであの弾力が懐かしくて
晩年の痩せていた母に余り会えなかった事が残念でたまらない (嶌りす)

ほうせんか娘がふたり名は訊かず 木野清瀬
 ~17音のすごいドラマを見させていただきました。ここでは花は『ほうせんか』でなくてはいけないし、子どもは『娘ふたり』でなくてはいけない。息子ふたり、娘と息子、じゃ駄目。妄想が暴走…佳句を読ませていただきありがとうございました。(小沢史)

消灯の時刻を待って森になる 糸瓜曜子
 ~森になる…夜の黒い森、恐ろしげなイメージです。夜は怪物になるような感じかな…想像力が掻き立てられます、好きです。 (なゆた)

ダ・カーポで繋いだガリバーの背骨 月波与生
 ~すごく好きです (森内詩紋)

あさがおを摘むとおんなのひとが来る 蔭一郎
 ~「あさがお」にひらがなの「おんなのひと」。美しさだけでなく、妙な切なさとか寂しさとか…
この「おんなのひと」、私もいつか使ってみたいです。(まつりぺきん)
 ~咲くとではなく摘むとがいいですね。(楢崎進弘)

向日葵がカタログにある美容室 しまねこくん
 ~美容室のヘアカタログに向日葵があるという楽しい句。向日葵が効いてます。(月波与生)

絆創膏 承認欲求 剥がせない しろとも
 ~承認欲求というと満たせないってことばがメジャーですが、剥がせないというところにぐっときました。(糸瓜曜子)

行く人を諦め手を振る花野風 風花
 ~この詩、グッと来ますね。なんか……良い。(神傘ツバメ)
 ~あぁぁ、ぎゅっとされて痛いっす…(想人有)

新しい鼻血が店に並びだす おかもとかも
 ~「鼻血」である。それも新鮮なものばかり。「新しい〇〇が店に並びだす」クイズをやっても誰一人正解できないだろう。新鮮だと思う。(月波与生)

アイドルでハエトリグモを業界化 抹茶金魚
 ~下五が素敵で大好きです (おかわり)

万能のプッチンプリンが腑に落ちない 高木タツオ
 ~プッチンプリンは皿に落ちるイメージだが「落ちない」を言い切るのは言葉のチカラ。「万能」「腑」の選び方も考えられています。(月波与生)

烏賊としてやっていけるか考える 岩瀬百
 ~人類が滅亡した後に生態系の頂点に立つのは、知能を進化させたイカなのだというのは本当にある学説です。もし自分がイカに生まれ変わるとしたら、そういう未来なら良いけど、100年後ならどうだろう。骨も無く、頭も無く、個性も無く、何も考えていない感じ。挙げ句の果てにこんな風になるのかも、などと考えながらイカの姿煮をつついている。美味しくなって誰かに喜んでもらえるだけ、良しとするか。(西沢葉火)

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