さみしい夜の句会報 第150号(2023.12.31-2024.1.7)
第150回の参加者は62名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。
1日からの能登半島地震により、犠牲となられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された全ての皆様に心よりお見舞いを申し上げます。2024年が始まり「さみしい夜の句会」も4年目に入ります。1回目より毎週欠かさず投稿してくれる人の作品も今週始めの人の作品も参加した150号(週)となりました。これからもそういう場所でありたいと思っています。
◆ 参加者(62名)
温(ハル)、石原とつき、何となく短歌、西沢葉火、靈夢、しまねこくん、輪井ゆう、水の眠り、古城エッ、syusyu、汐田大輝、涼、おかもとかも、西脇祥貴、海馬、石川聡、宮坂変哲、しろとも、花野玖、元さん、crazy lover、やは、まつりぺきん、りゅうせん、ダリア220、比島アルト、蔭一郎、佐竹紫円、春永睦月、souko 守宮、月詠、せば、馬勝、凪ちひろ、うつわ、Take、太代祐一、雷(らい)、かれん、鴨川ねぎ、岡村知昭、涼閑、睡密堂、片羽 雲雀、ぱさ、エミリー・メープル・ボーン、東こころ、Tatsuo Kanase、星野響、のはるん、もふもふ、ビッケたん、ヴたこ だょ、ポッキー(山口絢子)、月硝子、風吹く、ぐりこ、塩本抄、心のポエム、まつもともとこ、亮、月波与生
◆ 7・7、5・7・5 (川柳・俳句)
睡蓮の閉ぢたる闇へ手を引かれ syusyu
無月なれば納屋に滑車の軋む音 syusyu
冬の朝重すぎて上がらぬ緞帳 星野響
イカ墨を塗られた顔で踏切へ 岡村知昭
国宝を着たり脱いだり試着室 太代祐一
寒稽古剛田ジャイ子の安全日 馬勝
正体がみかんのむきかたでばれる 蔭一郎
バイトリーダーを調律してほしい りゅうせん
見つめても見つめても眠れない部屋 やは
奥行のある膣内で寝る政治 やは
ハンバーグの肉汁に足りない王を足す 海馬
初夢を返す時にはこの箱へ しまねこくん
右頬の傷にキョネンと名をつける しろとも
*
ホノルルに涙あふるる 西沢葉火
七草に 能登の想ひ出 噛み締める 靈夢
あなたのしっぽ咬みちぎったのあなた 輪井ゆう
双六の上がりで沼になる仕組み 汐田大輝
入浴で気付けば湯船今寝床 涼
よござんす、よござんすと言うししおどし おかもとかも
あなた をすべては発音しない中島みゆき 西脇祥貴
髪の毛が川になってる王女様 石川聡
度し難い押しかけ自称ボランティア 宮坂変哲
季語季題季感満載初句会 花野玖
3連休リフレッシュするぞ!寝てばかり crazy lover
泣き止んで次は悩殺させるから まつりぺきん
病気仕事映画館廻り猿廻し ダリア220
約束は果たせぬままで冬の月 佐竹紫円
前世にはおそらく夫よ石拾ふ souko 守宮
振り向いてくれないって言われても知らんがな 月詠
木枯しの中やさみしき猫の声 せば
亡き父の小さき声は聞き取れず うつわ
問題の流れの果ての顔あらう 雷
野苺が今日の私を眠らせぬ かれん
目を瞑る明治生まれの電算機 鴨川ねぎ
冬空へカラスつぎつぎ発つ日暮れ 涼閑
吉日は嘘と証明されて夜 東こころ
元日やゼレンスキーの髭飾り Tatsuo Kanase
冬の朝重すぎて上がらぬ緞帳 星野響
初春やトイレで目覚め摘まみ食い もふもふ
*
獏である夢を食わないまま老いた 月波与生
◆ 5・7・5・7・7(短歌)
孤独だと思った大晦日の夜にやがて失う家族と笑う 睡密堂
諦念をかたる我らの視座としてガザニアの咲くあたたかな野辺 水の眠り
*
よりによって食虫植物を「ちょっと考えさせて」日だまり 石原とつき
今もまだ頑張ってるの夜更かしで仕事してるのアイコンに問う 何となく短歌
風呂トイレどこに行っても猫がいる視界の端に私は暮らす 古城エッ
雨の中まだ見ぬ雪に瞳だけ次の季節を追いかけていた 元さん
テレビジョンから流れる声と気うとい明るさに惰眠を貪り 比島アルト
あの時の怒りを攫って消え去った あなたのベッドに今夜も眠る 春永睦月
さびしさとむなしさ氷にとじこめてペンダントにして壁にかけとく 凪ちひろ
僕だって人間なんだ感情が揺れる事など当然なのに Take
薄味の雑煮の塩気 涙さえまだあたたかい凍えない冬 片羽雲雀
寒さ故昔覚ゆる杯にゆかしき人の笑みそ恋しき ぱさ
セルリアン、痰青色や水浅葱 青海原は色味色々 エミリー・メープル・ボーン
昇るなら天まで昇れ彩雲龍龍の背に乗り上昇気流 のはるん
ごうごうとエアコンの音が鳴る新年の朝これは令和のケ日常のありがたさ ビッケたん
もぐりこむ冷たいシーツあたくしは幽霊だからあなたを食べる ヴたこ だょ
多様化という熱病をまだ知らぬ在所に届く遠寺の鐘 月硝子
◆ 詩
命日の空を見上げて父想う
歳とってできた末っ子 愛されずひねくれ者のまんまと告げてやる。(温(ハル))
◆ 作品評から
諦念をかたる我らの視座としてガザニアの咲くあたたかな野辺 水の眠り
~水の眠りさん、薔薇🌹をおめでとうございます(ポッキー(山口絢子))
~水の眠りさん、🌹おめでとうございます!!(太字)静かな諦めの中、でもガザニアは光に当たらないと咲かない花だった気がするので(違ってたらすみません)、この先には希望も見出せそうで……とても素敵です(佐竹紫円)
~おめでとうございます!視座とガザニアが重なるのも水の眠りさんらしくいいガザ地区も微かにみえてきそうだ(風吹く)
~水の眠りさん、おめでとうございます。美しいとてもよい短歌だと思います。特に下の句がいいです。いいです。(ぐりこ)
~薔薇おめでとうございます🌹✨✨このお題でこの下句はすごい…!諦念を人と語り合うとき、どこかガザニアの温かみある色を感じることがあります。語り合う諦念は前向きな諦念なのかもしれません。とても素敵な詩を読めて嬉しくなりました。(塩本抄)
風呂トイレどこに行っても猫がいる視界の端に私は暮らす 古城エッ
~めっちゃ可愛いです(心のポエム)
バイトリーダーを調律してほしい りゅうせん
~いい句ですね。同感(まつもともとこ)
摩天楼ロールシャッハのコピー機群 水の眠り
~全体に喋りすぎだが「ロールシャッハのコピー機群」には魅かれた。以前事務機器屋の倉庫に入ったとき、廃棄となった朽ちたコピー機群を思い出した。(月波与生)
失禁の夢ばかり見るいつの日か現実になる序章のように 何となく短歌
~まだ失禁の夢は見たことがないがトイレを探している夢はみる。舞台はいつも上海。中国でトイレに苦労したことがトラウマになっているのだ。(月波与生)
おっぱいに顔埋めたい年の暮れ 宮坂変哲
~願望を書いただけというふうにも読めるが、こういうことを堂々と書いても作品として受け止めてくれるのが川柳の懐の深さだろう。願いが叶って顔を埋められただろうか。(月波与生)
見解の相違さキルキュフェットル山 いずみ
~キルキュフェットル山はアイスランドにあり見る方向によってクレーターや流れ出た溶岩跡、氷河もあることから、アイスランドの魅力を凝縮したような場所。(らしい)(月波与生)
目を瞑る明治生まれの電算機 鴨川ねぎ
~物知り博学 足腰かくしゃく(亮)