さみしい夜の句会報 第119号を発行しました

さみしい夜の句会
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さみしい夜の句会報 第119号(2023.5.28-2023.6.4)

第119回の参加者は93名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。

触光誌2023年の高田寄生木賞が発表になりました。今回は応募作4編ですべて入賞のようです。この賞は川柳作品ではなく川柳に関する評論、エッセイの募集ですので開始時より応募数は少なかったのですがそれでも私が応募した2018年は10編くらいあったと記憶しています。最近のネットでの川柳についての活発な議論を見るにつけ、上手くリンクできていない寄生木賞が残念でなりません。次回本句会参加者のみなさんからの応募を期待しています。

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◆ 参加者(93名)

何となく短歌、しまねこくん、菊池洋勝、姫川一桜里、ちゅんすけ、水の眠り、在原涙、syusyu、石川聡、snuddle、温(ハル)、西脇祥貴、石原とつき、雪上牡丹餅、弌定住佳、須賀善昭、鴨川ねぎ、元さん、たろりずむ、上峰子、奥かすみ、西沢葉火、高遠、小沢史、花野玖、ぱさ、上崎、山田真佐明、M*A*S*H、はゆき咲くら、みさきゆう、Tomo、こたろう、蔭一郎、1人用こたつ、馬勝、おかもとかも、輪井ゆう、凪ちひろ、東こころ、入竹野乃子、日下昊、ひうま、みおうたかふみ、流天、佐竹紫円、星見冬夜、あさのつき、のんのん、森砂季、あやめ、さー、涼閑、太代祐一、hyuutoppa、此糸むら咲、Take、かのん、糸瓜曜子、抹茶金魚、Ryu_sen、む〜みんママ、PERCHES、めめ、しろとも、平凡な大人になる前に、えびたからいち、Born Slippy(モンモン)、みや、Nichtraucherchen、森内詩紋、電車侍、どこにでもドア、涼、さこ(砂狐)、とるばどーる、千春、雷(らい)、まつりぺきん、Tatsuo Kanase、nori、きのきよせ、みくたん、鷺沼くぬぎ、とし、春町、ゆりのはなこ、宮坂変哲、mugwort、inaya_yasushi、ツマモヨコ、ユシャぽむ、月波与生

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◆ 7・7、5・7・5 (川柳・俳句)

まだ螺旋階段にいる猫もいる 春町

池袋東口から目指す海 上崎

へそ出しの女のへその色見本 太代祐一

鏡には入りきらない肖像画 さこ

夏帽子ケンとメリーと神隠し しまねこくん

歴代の妻が見上げる宇宙船 たろりずむ

傷害致死だろうピザカッターならば たろりずむ

ポイントが貯まる蛍烏賊も貯まる しまねこくん

カッコウと鳴く鳩時計五月闇 PERCHES

陶器市の戦利品にて新茶かな 菊池洋勝

憐憫をトンビにビンタされたんだ 抹茶金魚

ソワソワとソーダ水から水を引く 太代祐一

音叉からカレーと聴こえたからだろう おかもとかも

手裏剣と矢印の角生える井戸 ひうま

西口で一番西にいる者です おかもとかも

歯科助手のキラキラネイル多佳子の忌 馬勝

イーロンと宮尾すすむのエクソダス 馬勝

初対面だけれど虹が出ちやつたよ しまねこくん

木苺の染みより深し病かな 菊池洋勝

六月のよこに生えてるレントゲン ちゅんすけ

雨にした人の始末書 西沢葉火

渚にて彼女と魚 西沢葉火

ストローの素材を紙にする仕事 ひうま

証明写真機から五月雨の写真 hyuutoppa

図鑑から出てきた蝶を売り捌く まつりぺきん

ほんものを見るまでは薔薇のやうだと思つてゐた syusyu

腋のなめらかな調べのイヴの梅雨な挑発 石原とつき

怒髪天天婦羅羅馬馬鹿鹿尾菜 雪上牡丹餅

「Ressentiment、」「洗濯機にも毛が生える」 西脇祥貴

月影に踊るカエルに鳴くカエル 弌定住佳

ドンジャラの牌で遊んで七変化 須賀 善昭

もうだめぽ 捻れないので休みます 鴨川ねぎ

虹を飼うあなたはどれほどの覚悟 上峰子

卵なき身にもはたはた天瓜粉 小沢史

新築の匂ひ気になる昼寝覚 花野玖

辛子みそが涎たらした月隣 山田真佐明

君だけだ口から虹が出てるのは M*A*S*H

あげられないキーホルダーが手に痛い Tomo

朝焼けに寝ぼけまなこで返事する こたろう

水芭蕉だけを育てる罰ゲーム 蔭一郎

なんでこうロクな話をしない脳 輪井ゆう

雨の日のテレビドラマも灰の色 東こころ

たすけてと今日も言えずに木下闇 入竹野乃子

手を伸せば触れられるかも知れない木下闇 日下 昊

つぎつぎに羽ばたいている 白マスク みおうたかふみ

今は無き泉と今も湧く想ひ 佐竹紫円

右頬に二つもできた吹き出物 星見冬夜

塵を出す朝焼の街ひとりきり あさのつき

もしや古畑任三郎気取りかい のんのん

キャラメルがママの手品におびえだす 森砂季

善きサマリアびとたれ●曜日の吾 あやめ

エホンエホンうどんと暮らしてるわたし さー

差し出した手を握りしめ招き猫 涼閑

柿の種だか三等か 森砂季

薔薇の香よ届け心のおくのおく かのん

ゆきゆきてピクトグラムは形代へ Ryu_sen

藤壺になった私 む~みんママ

足の裏洗うしあわせ聖五月 PERCHES

人間もやればできるとアレクサ優しい めめ

はらわたごと流す夏はやって来る しろとも

合格祈願は落札されました 平凡な大人になる前に

田蛙の 声や夜雨に けぶる森 電車侍

カムバック愛しき君よ利休梅 とるばどーる

経血の緩さ消しゴム隠す午後 千春

地下倉庫をマスクに残す黴の香 雷

黒舟やアブラカタブラ油蟬 Tatsuo Kanase

君と崩す栗のパフェ nori

ドクダミがわたしは苺と唄ひだす きのきよせ

真夜中の曇り空見ている芒種 鷺沼くぬぎ

もうマスク  しなくてもいい  マスク顔 とし

喉駆ける不意のミントの葉の涼し mugwort

咽び泣く父の補聴器から霧笛 月波与生

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◆ 5・7・5・7・7(短歌)  

空き瓶に野の花を挿すゆきあいの空に倍率の違う夕陽 みさきゆう

気絶もしくは仮死だったルパートの滴のように生きてる みさきゆう

夕飯の鰹の刺身余ったのときみのあくびを漬けにしている 石川聡

冷めきった鈍色の空飛ぶことを諦めてないペンギンがいる みさきゆう

なんてことないってかおをしておくのなんてことないことになるから みさきゆう

ひとりの夜は単一、単二…の順番を逆にしてほしいと心から思うよ たろりずむ

たましいの欠けたところを補完して明日は花瓶の水取り替える 蔭一郎

平等のシンボルとして1切れを取る食べたくもないピザだけど 森内詩紋

国道のわきの田んぼの青臭さ店舗にかわりすこしさみしく 水の眠り

じゃない方可愛くない方紫陽花の似合わない方殻がないだけ みさきゆう

遠ざかる景色にさよなら並べてる引越しセンター後は頼んだ 在原涙

日帰りの旅のように出ていったラマの瞳は深いみずうみ 水の眠り

さみしさが嵩を増すたび増えていき拡張してゆくピアスホール 在原涙

開けた時あなたの笑顔が見れるならまあいいかって思える値段 えびたからいち

五万枚食べたいマリービスケット4万枚はあなたにあげる えびたからいち

捨て駒のような配置を繰り返してきて、今さら大事だなんて 何となく短歌

母帰宅感動は無し読書して知識パワーアップ母強し 姫川 一桜里

君の向く方が前だと満月のせいにでもして逆さまに言う snuddle

初夏の夜嵐立ち去り風の音若葉散らして虚しく響く 元さん

ムチャブリをどこ吹く風で終わらせる台風一過 佇む紫陽花 奥 かすみ

水縹(ミハナダ)の水面を見ゆ涙かな君が堕とした揺らぎの欠片 高遠

空っぽの心を抱え行く身にも分け隔てなく柔らかな風 ぱさ

ミレニアム生まれのあの子が恋のストおへそとあたま強風シーン はゆさく

助けてよあばら屋に降る雨ピンク色キラメキの中日々の地獄が 1人用こたつ

何もかもイライラするのでイモムシになっていたいな台風通過 凪ちひろ

トタン打つ激しい雨を聞きながら浅くて深い眠りに落ち 紳音

しあわせであれかしと云うあなたが云うしあわせになっというのはわたし 此糸むら咲

願ってもどうせ叶わぬ事だから心の奥に沈めておくね Take

私まだゲームアプリでゲラゲラと笑う貴方を想像出来ない 屑乃ハコ

満たされた気がしていたよ傷口をなぞる指先いたくもなくて みや

そんなにも大切ならば社員証だけが会社に行けばいいのに Nichtraucherchen

平等のシンボルとして1切れを取る食べたくもないピザだけど 森内詩紋

満たされた心は何処かえるのか光届かぬ手入れなき園 アルト

紙でよく手を切る癖があるあなたバンドエイドを持つ癖のあるぼく どこにでもドア

ポスティング雨天決行とはならず傘や雨具で試すも中止 涼

あぁ~しんどは 本当にしんどい わけでなく 疲れをほぐす  呪文の言葉なの みくたん

簡単に職場で死ねと言う上司扇風機の風死んだみたいで ゆりのはなこ

はにかんだ父は背中で泣いていた幸せな日の娘の姿 宮坂変哲

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◆ 詩

大事な友達
元気玉くれてありがとう。
これからはちゃんと話すよ。
一人で解決しなきゃって
そうやって生きてきた。
誰かに甘えて良い事を教えてくれてありがとう。
ありがとう。(温(ハル)

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◆ 作品評から

なんてことないってかおをしておくのなんてことないことになるから みさきゆう
 ~切なさが香りますね。流していない涙の香りでしょうか。(inaya_yasushi)

傷害致死だろうピザカッターならば たろりずむ
 ~ピザカッターで切腹してしまう武士を思い出しました。ピザカッターとアイス掬うやつは、謎のロマンがあって好きです。(ツマモヨコ)

雨季に降るすべては比喩の後遺症 上崎
 ~「比喩の後遺症」は面白いが「雨季に降る」で面白いかどうか。言葉の斡旋を考えたとき作り手としては悩ましいところかも。(月波与生)

紫陽花のどれをクリックしても詐欺 しまねこくん
 ~〈いい空だダブルクリックしてみよう むさし〉が2007年の発表だから、15年経ってクリックがすっかり胡散臭い行為になってしまった。(月波与生)

気絶もしくは仮死だったルパートの滴のように生きてる みさきゆう
 ~ルパートの滴のように…!すごい…!(かきもちり)

デパ地下であわや母子とぶつかりそう母子母子外反母趾が痛いよ 石川聡 
 ~「母子母子」の繰り返しが転落していくように「母子母子母子母子…」と無限に読んでしまう怖さがある。(月波与生)

五分寝て空いた容量分の朝 雷
 ~思わず唸りました。今年読んだ句の中のベスト1です。(月波与生)

渚にて彼女と魚 西沢葉火
 ~「人魚の誕生前夜」と感じた。向い合う「彼女」と「魚」の間には、強い緊張感が張りつめている。「人魚」になることは、タブーなのだと訴えかけてくる。それでも「彼女」は人魚になる。タブーは犯されなければならない。(徳道かづみ)

図鑑から出てきた蝶を売り捌く まつりぺきん
 ~図鑑に美しい写真で収められて眺められるだけでは我慢出来ずに飛び出した蝶。その先に待ち構えていたのは自由ではなく、舌嘗めずりする売人だった…。思わず「蝶」を「人間」に投影したくなりますが、それだと理屈っぽくなって面白くないですね。図鑑の蝶は綺麗なので高値がつきそうです。(徳道かづみ)
 ~スネ夫を想像しました笑(たろりずむ)

 へそ出しの女のへその色見本 太代祐一
 ~さみしくない怖い(ユシャぽむ

 ドクダミがわたしは苺と唄ひだす きのきよせ
 ~嗚呼どくだみ大好き。梅雨空にハッとするほどの白。その香りも大好きです。(伽羅)

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◆ 第119回句会報ダウンロードはこちらから

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