さみしい夜の句会報 第118号を発行しました

さみしい夜の句会
スポンサーリンク
スポンサーリンク

さみしい夜の句会報 第118号(2023.5.21-2023.5.28)

第118回の参加者は90名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。

「さみしい夜の句会」第2集はAmazonにて好評販売中です。瞬間風速的に句集部門で売上2位となりました。1位は梅沢富美雄さんの句集「一人十色」ですが、これはベストセラーなので論外とすれば、他の句集がいかに売れていないかがわかります。最近は句集を発行する人が増えましたが、「作ったら売りましょう」と言いたいです。「お金を払ってまで読む人がいるのか?」 を考えることは自分の作品と向かい合うときに大切な問いかけのひとつになることでしょう。

スポンサーリンク

◆ 参加者(90名)

しまねこくん、屑乃ハコ、石川聡、片羽anju雲雀、姫川一桜里、日下昊、菊池洋勝、何となく短歌、花野玖、涼閑、syusyu、西脇祥貴、輪井ゆう、たろりずむ、雷(らい)、無敵さま、元さん、西沢葉火、みさきゆう、おかもとかも、詩恵乃、ゆりのはなこ、あさのつき、上崎、ちゅけ⁽彩緒、山田真佐明、雪上牡丹餅、岡村知昭、さー、佐竹紫円、小沢史、snuddle、鴨川ねぎ、こたろう、蔭一郎、温(ハル)、岡村知昭、凪ちひろ、Take、石原とつき、ゆう、donkey、奥かすみ、球、Ryu_sen、めめ、みおうたかふみ、水の眠り、萩原アオイ、さこ(砂狐)、抹茶金魚、茶碗酒一杯、Tomoko、カゲキ・ちゃけぞう、む~みんママ、此糸むら咲、はゆき咲くら、まつりぺきん、のんのん、しろとも、鷺沼くぬぎ、hyuutoppa 突波、とし、汐田大輝、宮井いずみ、花野玖、弌定住佳、入竹野乃子、川合大祐、白石ポピー、森砂季、佐竹紫円、茶碗酒一杯、千春、さー、流天、馬勝、ぱさ、屑乃ハコ、人見弐一、えびたからいち、水戸充希、longroof、とるばどーる、黒音、森内詩紋、あらぴぃ、笠原楓奏(ふーか)、月波与生

スポンサーリンク

◆ 7・7、5・7・5 (川柳・俳句)

紫陽花のどれをクリックしても詐欺 しまねこくん

逃げてきた指を匿う螢籠 星野響

名物の多幸感なら次の駅 おかもとかも

メンヘラが念写で自撮り田水張る 馬勝

高円寺遠足みたい恋したい 千春

鉄橋の枕木抱いて夜が明ける 茶碗酒一杯

狂人の曲げる匙なし純迷路 川合大祐

東京の磁石を拾う懺悔録 川合大祐

年下の髪の毛伸びる余暇時間 のんのん

コンドルははじめましてをラッパ飲み 宮井いずみ

生き生きと共同墓地の蛇苺 hyuutoppa

気絶する前の紫陽花だから青 しまねこくん

雨季に降るすべては比喩の後遺症 上崎

夜更かしを注いで回る中島みゆき 西脇祥貴

油断から語られる聖書(なまにえ)西脇祥貴

五月闇まちがひ電話鳴りやまず 花野玖

連絡を受け新宿でバナナ捥ぐ 蔭一郎

田水引くろくろを回し終わるまで 蔭一郎

スカートの裾をめくって蛇苺 片羽雲雀

砂を吐くきれいな窓になりたくて Ryu_sen

ワッフルの窪みにひそむ倫理とか のんのん

17才を気にしている腐乱臭 無敵さま

メルヘンの亜種に気付いた風見鶏 たろりずむ

五分寝て空いた容量分の朝 雷

いきなりならんちゅうをペンシルにとどめ 石原とつき

早乙女の過去を隠してOLに しまねこくん

大小のニコちゃんマークなんだ。では。 西脇祥貴

爪痕を残すためには主語が要る 上崎

少年の麓にはある吸水性 おかもとかも

カフェオレに混ざったドレミ 西沢葉火

この退職届けママにそっくりだね 無敵さま

リーバイスみな踏んづけている車内 石川聡

絶筆の筆から飛んで行く蛍 しまねこくん

カステラの発酵待ちの村役場 岡村知昭

間違えて盗んだものがセロテープ さこ

慌てて出した扇風機から去年の匂い longroof

表記揺れ いつか貴方もバラバラに 無敵さま

麦秋に取止めのない目箒へやの隅 日下昊

食止めの検査待ちする朝寝かな 菊池洋勝

もう天へ帰れぬ雨の粒の声 涼閑

つくり方教はりながら豆ごはん syusyu

キャンペーン阿呆になればおトクです 輪井ゆう

ほうたるは人の涙で光ってる ゆりのはなこ

来てくれた蛍になりて逝きし人 あさのつき

素裸で向き合うだけの蝶の翅 ちゅけ⁽彩緒

ナイターの 売り子の声や 歓声や 山田真佐明

たまねぎとにんげんで異なる青さ 雪上牡丹餅

たんぽぽの選手宣誓弾け跳ぶ さー

籐椅子の隙間から漏るおかあさま 小沢史

窓辺にて応答を待つ初夏の夜 鴨川ねぎ

夏すぎたそれでも蝉に会いたい donkey

雨上がり閃光走る空虚に 球

耐えてきた傷と痛みが芽吹いた病  めめ

反射する老婆の前の代田かな 水の眠り

黒飴の真ん中ほどの距離でいい しろとも

生贄の季語が三日で復活し 抹茶金魚

建て替えた家に居場所のないツバメ みおうたかふみ

戸籍での氏名はワールドワイドウェブ まつりぺきん

七月に生まれたくなかったルビー 鷺沼くぬぎ

由布岳や稜線ゆるく青々として こたろう

国滅び夜昼となく跳ぶ蛙 汐田大輝

愛の名はベッドで奏でる吐息詩 弌定住佳

五月病 足からサツキになっていく 森砂季

逃げ水の向こうは空とつながりて 流天

ホトトギス人生初めての挫折だったね む~みんママ

夏果つる塩茹で青菜見つむ午後 人見弐一

乱反射水面を揺れる海月かな とるばどーる

たましいはひとつ角笛ふたつある 月波与生

スポンサーリンク

◆ 5・7・5・7・7(短歌)  

今日中に宙に還ると決めたから君と浜辺を歩いていたい みさきゆう

「死にたい」のグラデーションの霖はやさしい人に染み込んでゆく みさきゆう

ヘビイチゴ古い時計のぜんまいが弛まるように黝んでいく 白石ポピー

芸術の出力としてのサブスクよいつかは停止されるサービス えびたからいち

デパ地下であわや母子とぶつかりそう母子母子外反母趾が痛いよ 石川聡

寂しくて深夜零時に餃子焼くその時見つけた この会(さみしい夜の句会)とタグ 姫川 一桜里

栄養素運ぶ血管ごめんなさい道路整備の予算がなくて 何となく短歌

嫌いになる事で彼が健やかにあるならそれも吝かでない 屑乃ハコ

週末の時が止まった夜の音街のノイズに眠れない夜 元さん

単調な日々にときどき手を伸ばすダルゴナストロベリーの差し色 佐竹紫円

茜さす君が唇染めるのは僕が剥ぎ取るその時のため snuddle

何故かしら午前零時のコーネリアスやけに沁みいり夜に終止符 こたろう

焼き肉を旨い美味いと食べながら元になった命は知らない Take

「性感帯以外も知りたい、君のこと」言えない口で含む陰嚢 萩原 アオイ

睾丸を舌で転がす君になれば我の心も手玉取れよう ゆう

雨上がり なんや練習あるやん!と高い泣き声あげるチャリンコ 奥 かすみ

早朝の静かに流れる時をゆく秒針の音と決める覚悟と 佐竹紫円

気忙しく歌も詠む気になれなくて 空っぽの胸を覗いてみたり Tomoko

シャツを脱ぎ  君待つエプロン 焼き餃子 カゲキ・ちゃけぞう

かえらない羽音打ち消す五月雨の色を羽織って空は鈍色 此糸むら咲

三日前あなたが外したわたしのハシゴもう要らないわ一人屋根に住む 入竹野乃子

病む人が行き交ふ街を行く朝に私もまた病人になる ぱさ

今までの二人のことは死ぬまでの最高の思い出となるでしょう 梓川葉

鉛色の空の下で息をする君は振り返ることなく走って 黒音

今までの鍵は要らない光ならもう射している扉の先に 森内詩紋

二十四時過ぎて諦め歯を磨く未練がましく見るTwitter 水戸充希

スポンサーリンク

◆ 詩

優しくされる度
綿毛が飛んでいくかのように
一方通行の想いが
風にのって遠い遠い
どこへ運んでくれたらと願う (詩恵乃)

流れた涙は
頰に吸収され
再び 私の中で濾過される。
今度は
どんな涙に生まれ変わるのだろうか。(温(ハル))

スポンサーリンク

◆ 作品評から

今日中に宙に還ると決めたから君と浜辺を歩いていたい みさきゆう
 ~せつない (あらぴぃ)

ハンガーとハンガーがぶつかって、過去  上崎
 ~「 」ではなく「、」であることに注目する。ぼんやりとした時間経過ではなく明確な場面転換があるのだろう。 (月波与生)

田水引くろくろを回し終わるまで 蔭一郎
 ~この句好きです(森内詩紋)

油断から語られる聖書(なまにえ)西脇祥貴
 ~擬人化された油断先輩が「あ、聖書もそうだけど世にある全ての言葉なんて所詮生煮えだから」と居酒屋で語っているような読み方が面白い気がしました。
なまにえ…まろにえにも見えてきた(笑)(まつりぺきん)

さびしさはどこまで聴いてもサビのないメロディみたいな分からなさたち とわさき芽ぐみ
 ~「サビのないメロディ」が効果的に使われていると思う。(月波与生)

扉絵に泡だけ描いてある 不定 おかもとかも
 ~「不定」がこの句の日常性を異常なものにしている。(月波与生)

表記揺れ いつか貴方もバラバラに 無敵さま
 ~表記揺れからバラバラは連想されるので近いのかも知れませんが、「いつか」という語の中に、ギリギリのところで保っているけれども、ネガティブな未来をちょっと期待しているような怖さが。この句に関しては、この半角スペースは活きている気がしました。(まつりぺきん)

「死にたい」のグラデーションの霖はやさしい人に染み込んでゆく みさきゆう
 ~ながあめ、ですね!すきな漢字です(笠原楓奏(ふーか))

スポンサーリンク

◆ 第118回句会報ダウンロードはこちらから

第118回句会報(PDF)

タイトルとURLをコピーしました