さみしい夜の句会報 第143号を発行しました

さみしい夜の句会
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さみしい夜の句会報 第143号(2023.11.12-2023.11.19)

第143回の参加者は72名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。

「今更なんですが、川柳って難しいですな~。もう川柳歴が二十六~七年にもなりますが、いまだにようわからん世界で。…」これはくんじろうさんの講演『川柳4サイクル』のマクラですが、ようわからん世界を作り上げていくおもしろさと川柳を書く面白さは似ている気がします。そろそろ「さみしい夜の句会」合同句集3集募集開始の時期になってきました。

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◆ 参加者(72名)

西沢葉火、しまねこくん、石川聡、宮坂変哲、水の眠り、花野玖、蔭一郎、上崎、萩原 アオイ、syusyu、はゆき咲くら、む〜みんママ、片羽 雲雀、おかもとかも、元さん、水色の午後、馬勝、石原とつき、夭夭雷、古城えつ、温(ハル)、りゅうせん、菊池洋勝、汐田大輝、涼、池田 突波、十六夜、ヴたこ だょ、海馬、東こころ、中村マコト、何となく短歌、凪ちひろ、まつりぺきん、西脇祥貴、燕雀之心、元さん、みさきゆう、涼閑、かのん、とるばどーる、うつわ、たろりずむ、やは、丸山修平、茄子のこ、saku、雷(らい)、crazy lover、もふもふ、靈夢、佐竹紫円、凪ちひろ、せば、小沢史、ゆりのはなこ、夏野ネコ、しろとも、ひうま、まっつん、比島アルト、徳道かづみ、透影 弦、さー、M*A*S*H、紅志野パワーみのり、橘しのぶ、ラーラ、かれん、POOHFUJI、ちゅん、月波与生

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◆ 7・7、5・7・5 (川柳・俳句)

右腋の縞 差別したあとで見る 西脇祥貴

水晶になるまで柿を拭きなさい しまねこくん

寝る子からひとみの星が抜きとられ やは

セーターはわたしを脱いで横になる 蔭一郎

干し柿と干さない柿の二元論 しまねこくん

蟹たちが来て北風を吹きかえす 蔭一郎

口裏を合わせたジャングルジムの上 中村マコト

方舟に乗り換えるとき眉を剃る 汐田大輝

ひとりでも白線の上まっすぐに 中村マコト

お握りを包むマフラーごと渡す しまねこくん

道草に一番似合う初期症状 おかもとかも

分からないところで曲がる4コマ漫画 海馬

妹の検食したる芋煮かな 菊池洋勝

キクラゲがもんどりうってもどされる おかもとかも

君が濡れて来た僕は花柊 池田突波

カッコいい死に方禁止マント脱ぐ 馬勝

ペンキ予報は青だった 西沢葉火

みるみる人波イルミの海の博多駅 石川聡

踏切を渡り切らずに見た夕陽 宮坂変哲

帰り花あの子の巻き毛赤くなる 花野玖

サンキャッチャーずらす どこから夢だった? 上崎

性熟す後半戦の人生に 萩原 アオイ

たすき反り決めて帰りぬ石蕗の花 syusyu

熱下がれと願う母を繰り返す 片羽雲雀

鯨鳴く銀河座標を震わせて りゅうせん

北風で目にゴミ入り異物感 涼

ハッシュタグ消えてあなたを探せない 東こころ

実際に使われていたリンゴ飴 まつりぺきん

近づいていくのに遠くなる二人 涼閑

息継ぎに 落ち葉の道へ 二歩三歩 かのん

小径にはモザイク模様枯葉かな とるばどーる

きみを見てくすりと嗤う吾の首 うつわ

はっきりと悔しい砂利がビルを舞う 丸山修平

風の無い昼の呼吸 雷

咳止めの無い三昼夜冬景色 もふもふ

繊月に 魂魄妖夢 立ち向かう 靈夢

湯豆腐を父は無言で食べており せば

おりてくるダチュラの香り縊死の紐 小沢史

寒き朝一輪 希望が咲いていた 温

きみはほんとに清いひとか新月 しろとも

改めて型に戻るを繰りかへす ひうま

生きている朝一番の深呼吸 徳道かづみ

ひっぱられひっぱられて優しさ曇る さー

お尻から無花果を出す君が好き M*A*S*H

酒だけが僕を陽気にさせるとは 紅志野パワーみのり

沈黙の語尾に脱臼癖がある 月波与生

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◆ 5・7・5・7・7(短歌)

棘というよくわからないメモがありよくよく見たら東京だった たろりずむ

美しい想い出として片付けて非通知だけど誰だか分かる 馬勝

お前より上手に焼いたパンケーキ見せたくなくて一人で食べた 馬勝

南港と天王寺を行き来する野鳥はどこで眠るのだろう 古城えつ

気付いたら今日もスルーでため息が出そうで止めた忘れてほしい 古城えつ

愛しくて幸せだったjpgのクラウドに僕も上がっていきたい 水色の午後

大輪の菊の花私の息を吸い私はあなたの香りを吸う何度も何度も菊を吸う む~みんママ

初雪が落ちる音がした約束を守り合えずに季節が変わる みさきゆう

平凡な馴れ初めだったそうなのに母は恋愛上映中だ 水の眠り

笑う日も泣いている日もあるけれど抱くあの人しあわせでいて はゆき咲くら

木枯らしの冷たい風と当てられる恋人たちの熱い仕草に 元さん

発光生物は瞬間は気象予報士は予感に悔しい 石原とつき

気がつけば年越し模様コンビニで早めの稲垣潤一を聞く 夭夭雷

かなしみはひとつふたつとかぞえるのやがてやさしくねむりについて 十六夜

愛なんか突きつけられた拳銃とおんなじじゃない命に触れる ヴたこ だょ

ごめんねとすみませんとを繰り返し私はどこへ向かうのだろう 何となく短歌

心身の言葉に耳を傾ける 傷んでいるのはどっちだろうか 凪ちひろ

吾子の笑み和やかな顔悟りしは想ひのままに生きよと願ふ 燕雀之心

ネトフリをどれだけ見ても埋まらぬ日をエヌウォームは ふわと包んだ 茄子のこ

報を貪り時間を貪られ空いたスキマは空虚で充ちる saku

あたたかな声は段々遠くなりもう耳で聴くことはできない 佐竹紫円

あぁなんて素晴らしい日だ♪歌う歌手がいてさみしさなんて忘れる ゆりのはなこ

やはらかき人間の部位串刺して巨人に喰はせるごとく泣きぬる 夏野ネコ

ちょっと目を離すと消えそうになって手のかかるこの子が恋しい まっつん

手を入れて背を丸くしてトボトボと鉛色の空、疎ましくて比島アルト

結露した夜は高くて澄んでいて雨音がしてからっぽだった 透影 弦

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◆ 詩

お花をおくる事にした
いつも笑顔で
よく話を聴き
皆に平等で
前向きなあなた
助けられた
ほんの少し
おかえし (crazy lover)

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◆ 作品評から

カッコいい死に方禁止マント脱ぐ 馬勝
 ~死ぬな死ぬな死ぬな死ぬなよ師走かな(橘しのぶ)

冬型の天パーすこし大人しめ 水の眠り
 ~「天パー」は「天パ」のことと読んだが違うことかもしれない。冬型→大人しめ、と相反しそうな言葉を天然パーマで結ぶ。くるくる。(月波与生)

朝顔になって咲きたいその首に 輪井ゆう
 ~朝顔が小学生理科の教材にもなるほど咲かせやすい花でるが咲く場所が「首」であるというところが異様さある。置かれた場所で咲きなさい。首にはアイデンティティがある。(月波与生)

美しい想い出として片付けて非通知だけど誰だか分かる 馬勝
 ~素敵です!(ラーラ)

苦しくて途中下車するこの頃はどこの駅にもDAISOがある 何となく短歌
 ~「苦しくて…」の前半と「どこの駅にも…」の後半が合ってない気がする。後半のトボケた感じがいいので前半ももっと軽くてもいいのでは。(月波与生)

 ~わたしはこの後半の「どこの駅にもダイソーがある」に「苦しい」が呼応していると思います。手軽に物が手に入る時代になってしまったある種の逃げ場のなさ、途中下車してみるほど苦しくてもダイソーばかりで息つく暇もないのが感じられます。(かれん)

あたたかな声は段々遠くなりもう耳で聴くことはできない 佐竹紫円
 ~でも、あなたの温かな声は届くのですよきっと、心に残り続けるでしょう(占い師めいたこと言ってますね)(水の眠り)

湯豆腐を父は無言で食べており せば
 ~豆腐に火が通っていって、ぽこりと静かに動く。お父さんがゆっくり掬った一丁の豆腐を静かに食べ終わる。句に詠まれている時間の流れがとても美しいです。湯豆腐は冬の季語でもあるので、俳句として味わいました。でも肉親が主題の#現代川柳としても素敵な句かと。(石川聡)

はっきりと悔しい砂利がビルを舞う 丸山修平
 ~はっきりと悔しい/砂利が〜と切って、作中主体が悔しいvs砂利が舞うの光景の取合せで読めます。でも「悔しい砂利」と砂利が悔しがる読み筋が自分には面白いと思いました(石川聡)

沈黙の語尾に脱臼癖がある 月波与生
 ~与生さんのこの句は、巷の川柳句会に出して抜かれる傾向の句でしょうか?番傘の句会などでも取り沙汰される可能性があるでしょうか?だったらリアル句会に出てみたいです。こういうスタイルの句、凄い好みなので。(石川聡)

サヨナラと訳されていたオリオン座 中村マコト
 ~映画の字幕を読んでいるとなるほどと思わせる意訳が多い。オリオン座の句は結構読んだが「サヨナラ」が訳だったのは初めて。(月波与生)

たすき反り決めて帰りぬ石蕗の花 syusyu
 ~襷反りって、はじめて知りました。相撲の決まり手の一つなのですね。ありがとうございます(POOHFUJI)

手を入れて背を丸くしてトボトボと鉛色の空、疎ましくて比島アルト
 ~自然と背が丸くなってしまうのではなく、心情的に意識してのことなのでしょうかね。なんかそういう気分になるの分かる気がします。(ちゅん)

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◆ 第143回句会報ダウンロードはこちらから

第143回句会報(PDF)

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