さみしい夜の句会報 第74号を発行しました

さみしい夜の句会
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さみしい夜の句会報 第74号(2022.7.17-2022.7.24)

第74回の参加者は76名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。

川柳作家のくんじろうさんが「らくだ句会」という新しい句会を立ち上げました。
『SNSで活躍し、句集を出したければオンデマンドで安価で気軽に出せる。もはや川柳の形が変貌を遂げていて、句会そのものの存在価値が問われているのだ。だがしかしである。句会、句座で育った私としてはなんとも諦め切れない。何とかならないのか。そんな思いで「川柳らくだ」を立ち上げる』(川柳北田辺第125号、放蕩言から抜粋)

本句会もSNS句会ではありますが、設置人は「川柳はひとつ」という認識ですので、新しいリアル句会「らくだ句会」に協力していきます。

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◆ 参加者(76名)

参加者:藤井皐、mugwort、電車侍、太代祐一、日下昊、小沢史、しまねこくん、めい、風池陽一、涼閑、syusyu、夏野ネコ、蜜、西脇祥貴、弌定住佳、高田月光、石原とつき、まつりぺきん、石川聡、雲上晴也、海馬、蔭一郎、あ、菊池洋勝、達毘古、naokom、玖、輪井ゆう、馬勝、旦悠輔、天やん、najimi、以太、木野清瀬、東こころ、雷(らい)、みんみん、crazy lover、水の眠り、架月梓希、白石ポピー、棚場田敦也、思雨(スイ)、ナカキカク、西沢葉火、岡村知昭、星野響、みや、鷺沼くぬぎ、Ryu_sen、日月星香、鴨川ねぎ、蛙星、たろりずむ、夜想詩人、桔梗菫、Nichtraucherchen、Tomoko、小間、ニシカワ、森村明、汐田大輝、ゆりのはなこ、片羽雲雀、む~みんママ、−恷庵−、冬美HDL、funnylady、ないり、洞窟おでん、楢崎進弘、mikisuzu、うつりにけりな、抹茶金魚、まなやん、月波与生

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◆ 7・7詩、5・7・5詩

婚期を逃すダブル抹茶ティーラテ Ryu_sen

通訳に省かれた If possible, たろりずむ

失せ物は午睡の夢の周遊券 星野響

飛べないトンボが外した眼鏡 木野清瀬

皆一人で彷徨うガラスの迷路 輪井ゆう

雨かしらと臍が呟いたやうな 藤井皐

ああこれが月の茸かいう貌で 藤井皐

戻り梅雨ダウンロードは違法です しまねこくん

漆黒の放水車から撒かれる酢 岡村知昭

取り外されてまるい東京 西脇祥貴

むねやけはむからほどいて浮薄なリボン 西脇祥貴

出梅の太陽高し自涜かな 菊池洋勝

山桃のジャム売る人の車椅子 菊池洋勝

駅までは歩幅広げて雲の峰 雲上晴也

巻いたらクレープ咲いたらさいたま市 海馬

あんみつをこぼせば待つてゐる別れ syusyu

レンタルの蜜豆だから見てるだけ しまねこくん

そうですわたしがあの再生回数です 太代祐一

旧道のなきぼくろ(見ないで焼いた) 西脇祥貴

下敷きで髪を逆立てる秘書は何人 海馬

両親に紹介できぬアロハシャツ 馬勝

テロリスト養成講座(浄水器) 以太

茉莉花や校則変はりゆく女子校 syusyu

キャンセルの電話が長い湯治客 西沢葉火

白玉を耳たぶという君と吸ふ 石川聡

冷蔵庫の閉め方がもう実家です 太代祐一

眉にだけ吹く風 雷

感情にリアコと名付け夏の花 東こころ

てのひらの桃が転調する時間 小沢史

うすものの向こうに見える天気雨 蔭一郎

敷き詰めた一円玉へダイビング 蔭一郎

夏と書いてビール まつりぺきん

月面は地球へ向いた方が裏 以太

百足とは云へど指紋は一つのみ しまねこくん

詐称した家系図だったメロン切る 馬勝

弁当を開ければ海苔で大暑の字 石川聡

ふくらはぎ下のあたりがアブルッツォ 石川聡

裏垢の鼻のピアスや囮鮎 菊池洋勝

しんぶんを絞りきる握力が足りない 海馬

郵政民営化を思いだす百日紅 海馬

膝のうらの海が午後でも暗いまま 海馬

シロップをそのまま飲み干して大暑 高田月光

流星やからだてふ空擦り剥きて 高田月光

明朝体の声になったわさようなら 小沢史

標高を次も上げゆく登山かな 風池陽一

不安なら河童の国に来ませんか 達毘古

桐始めて花を結ぶや衣干す mugwort

流れゆく 雲見上げけり 土用波 電車侍

大暑を過ぎて蝉が交代した森に来春を思う 日下昊

空調は鬼火冷え冷え夏の夜 涼閑

夏の夜は氷の様に溶け 眠る −恷庵−

旧道の大暑に渇いた骸あり あ

わき芽摘む優生思想と青トマト naokom

人形や湯気立ち上る草津の湯 玖

牡である私の背中で蝉が鳴く 旦悠輔

銃磨くローンウルフや芝桜 天やん

曜日から抜け出したくて夜を編む najimi

気ままなり積乱雲の立ち上りたる みんみん

キャミソールピンポン鳴ったらどうしましょ crazy lover

桃源へ羅(うすもの)纏い誘われて 水の眠り

褒められて恥ずかしいのは嘘だから 思雨(スイ)

バンゲリングベイ祖母を哀しませたyesterday ナカキカク

蜜柑より赤い西陽の差す居間で 鴨川ねぎ

ガムランに揺らめく遠い夏の海 鷺沼くぬぎ

斜雨降る日蝉も斜めに飛ぶのかな 日月星香

欲しいのは理解しあえる同士だけ 蛙星

夏だけと鉢ごと買った鬼灯を 黎明

何も無い今日一日を何度でも 棚場田敦也

裏切りの木にふわふわの肉つぶて 小間

海の日の寝すぎた午後はちょっとしょっぱい ニシカワ

その指で私を殺して青鬼灯 森村明

句読点打って気体になるんだね 月波与生

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◆ 7・7、5・7・5以外の短詩

文字たちは解放されて線になり紙飛行機を攻撃します 蔭一郎

常識という我儘に包まれて触手をのばす海月になって めい

星たちを見送る青い薄明のセンターライン 靴を脱ごうか 夏野ネコ

自分だけ自分だけがと思い込む幸も不幸も視界の狭さ 弌定住佳

優しさは千円札を店員に向けて渡すぐらいで十分 架月梓希

飲みかけで置いていかれたチューハイをチェイサーにして円盤を呑む 白石ポピー

わたしの直近の夢は、眠って今日一日を終えること 棚場田敦也

夏薔薇に青を望んでいるようなはかない恋をちぎり続ける みや

満天の夜空を知らぬ私たち眠らぬ街の星に守られ 夜想詩人

鍋いっぱい茹でたパスタは4人分 1人あとから食べる夏休み Tomoko

張りぼての景色はすぐに崩れゆく三丁目行き急行電車 汐田大輝

日常が分からなくなる夏の朝分からないけど蝉だけは鳴く ゆりのはなこ

中指を立てない人の目に映る俺は立派なsonic reducer

片羽雲雀

ツイッターに別れを告げんと思いつつ夜更けに探すスマホかな む~みんママ

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私の中で溶けてって

アスピリンに

愛を込めて

痛みで夜が摩耗する前に (蜜)

「れ……恋愛というやつか」「……わからない……」深く肯く吾も魔族なり (Nichtraucherchen)

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◆ 作品評から

不安なら河童の国に来ませんか 達毘古
 ~行きたいです (冬美HDL)

キャミソールピンポン鳴ったらどうしましょ crazy lover
 ~ノースリーブババアがスリップ(あえてこの言い方)姿で私の隣の独居老人(男性)の家から出てきた事あるよ(funnylady)
 ~私の母と一緒だわ笑 (ないり)

奥歯にものが挟まったようなミスチル 海馬
 ~先日「キングダム2」を観たがエンディングの曲がミスチル。映画もまだまだ続きそうだしミスチルの歌も「キングダム」のスケールと合っているんだかいないんだか。(月波与生)

新月やあなたにあげた資生堂 原点
 ~「資生堂」が効果的。固有名詞でありながら読み手のイメージをうまく拡散している。(月波与生)

敷き詰めた一円玉へダイビング 蔭一郎
 ~なんかイイ(洞窟おでん)

郵政民営化を思いだす百日紅 海馬
 ~そして国鉄民営化と国鉄スワローズの金田正一投手。(楢崎進弘)

盆踊りにまぎれて峰打ち 石原とつき
 ~峰打ち(した)のか(された)のかわからないから読み手は想像で補う。動詞を隠すと読み手は立ち止まる。隠された動詞を「盆踊り」という動作が補う。(月波与生)

ふくらはぎ下のあたりがアブルッツォ 石川聡
 ~調べてわかりました。地球にあるふくらはぎ下のあたり!! (mikisuzu)

流星やからだてふ空擦り剥きて 高田月光
 ~「からだてふ空」がわからないので、教えていただけると嬉しいです(うつりにけりな)

膝のうらの海が午後でも暗いまま 海馬
 ~何か《のうらの》何か《が午後でも暗いまま》はありがちな光景の語りで、その何かに膝と海をそれぞれ当てはめた作りだと思ったのですが、実景のようでいて喩にも読めてくる、その丁度良いところにある言葉が選ばれているように思いました。膝の裏の感触であり海の翳りであり午後の気分でもあるような。(抹茶金魚)

巴里祭やなにもない日に「萩の月」 玖
 ~「萩の月」は仙台の銘菓。親しき人のおみやげに欠かせない。巴里祭(パリ祭)は7月14日、フランスの革命(1789)記念日。なにもない日に良き来客があったことを句は伝えている (月波与生)

飛魚や空跳ねるとき息を止め 宮坂変哲
 ~大海から数百数千の飛び魚がいっせいに空跳ねるとき、確かに時間が止まったのだろう。「息を止め」が効果的だ。(月波与生)

銃磨くローンウルフや芝桜 天やん
 ~うまい(まなやん)

寝たふりの君にSuicaをタッチする 太代祐一
 ~タッチされたときの返しが重要だ。「ピッ」は平凡、「ピー」は夢がない、「ピピピピピ」なら喧嘩になるかも。さて、どう返そうか。(月波与生)

むねやけはむからほどいて浮薄なリボン 西脇祥貴
 ~胸焼け ハム唐 って読んでて、確かにハムの唐揚げだったら胸焼けするかも?などとぼんやり共感しました。「む」って字面でもう、リボンを結んであるっぽいですね。それもゆるーく。このゆるさ=浮薄のイメージとリンクしてきます。ちょっと引っ張ればハラハラと胸焼けはほどけて楽になりそう (石川聡)

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◆ 第74回句会報ダウンロードはこちらから

第74回句会報(PDF)

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