さみしい夜の句会報 第139号を発行しました

さみしい夜の句会
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さみしい夜の句会報 第139号(2023.10.15-2023.10.22)

第139回の参加者は80名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。

「What’s」(広瀬ちえみ編集発行)の5号(2023年10月)に『さみしい夜の句会は本当にさみしいか』と題して合同句集第2集について設置者から見た感想を書きました。「What’s」が非売品なので入手が難しいのですが手に取っていただければ幸いです。

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◆ 参加者(80名)

古城エッ、みさきゆう、水の眠り、しまねこくん、菊池洋勝、雪の空𝒮𝒪ℛ𝒜、何となく短歌、花野玖、中村マコト、syusyu、モンシェリモモ人形作家、凪ちひろ、夭夭雷、西脇祥貴、涼、しろとも、温 (ハル)、のはるん、糸瓜曜子、小沢史、元さん、かれん、宮坂変哲、西沢葉火、鴻鵠之志、酔名、もゆら、須賀 善昭、まつりぺきん、もふもふ、証明、汐田大輝、涼閑、ビッケたん錦木 圭、上崎、うつわ、Take、じぞういぬ、星野響、とも、雷(らい)、海馬、donkey、りゅうせん、燕雀之心、いずみ、石川聡、かぜみ すみ、おかもとかも、鴨川ねぎ、馬勝、たろりずむ、奥かすみ、蔭一郎、比島アルト、富永顕二、片羽 雲雀、やは、ここは何処わたしは誰?、さー、ぱさ、佐竹紫円、椿姫ちまり、人見弐一、池田 突波、輪井ゆう、東こころ、丸山修平、saku、霧雨魔理沙、天やん、夕波ちづ、透影 弦、0152、ゆりのはなこ、石原とつき、風の彼方、時雨、月波与生

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◆ 7・7、5・7・5 (川柳・俳句)

病み上りの味覚が戻る鳥兜 菊池洋勝

タルト、あるいはB級映画 やは

南瓜から溢れた方の善意です しまねこくん

ピーマンに詰められるだけ詰めるパパ しまねこくん

ぼくら図になって予定調和な朝焼け 西脇祥貴

人間失格その場しのぎの雨が降る かれん

あがり! ――そこから先の愚問の世界 西脇祥貴

不可思議な水を飲む ここはきみだよ やは

ぼくから産まれた市街地 滅ぼされ やは

腕立て伏せで薄める 雷

天高し預金残高二桁に もふもふ

讃美歌にあわせてまわるお寿司たち 蔭一郎

使い捨てされる肉体鰯焼く 馬勝

アンネの日記から鳶色のブーケ いずみ

やや寒や値引き品だけカゴの中 syusyu

それぞれの河島英五で浮かぶ人 雷

心象風景がほぼ遊園地 りゅうせん

水滴のなかに植物園がある 上崎

しなやかな風の行き交う展示室 上崎

不在時は団栗を置く宅配屋 しまねこくん

イヤホンの向こうで燃える玄武岩 汐田大輝

カモメを真似て眉を書く 西沢葉火

ポケットのティッシュの中の親知らず 中村マコト

金木犀改札抜けて不夜城へ 花野玖

ひとしきり笑った後の初霰 しろとも

何もしなくていい声を重ねたい 糸瓜曜子

文字の絡まる吃音の舌 小沢史

敷物で母を怒らせ秋の末 須賀善昭

ポケットの中でキリンが燃えている まつりぺきん

急はホテルみたいにやってきて 照明

動かない回転木馬目に涙 涼閑

雨上がりカーブミラーに淡い虹 うつわ

関ジャニスジョップリン じぞういぬ

霧寄せる理想郷覆しつつ 星野響

ケンケンパッ、ケンケンパッの世の中さ 海馬

嫌になった外界遮断いつもだわ donkey

寸前で汚れなかった撥音便 おかもとかも

喰はれゆく手から足から頭から 鴨川ねぎ

ホテルニューアワジ たろりずむ

It’s 2023. 神様は退屈気味らしい 富永顕二

喪心を捧げた友は生きている 片羽雲雀

テスト伏せ巻層雲を数えてく さー

木の実落つ嘘に気付かぬ振りをして 佐竹紫円

さうか死んだんだセイタカアワダチソウ 池田 突波

突然ゴールを描いた飛行機雲 輪井ゆう

揺れている金木犀が貴方へと 東こころ

狂人の散歩ぐにゃりと歪む夜 丸山修平

繊月の 夜友人に LINEする 霧雨魔理沙

回線を切って独りの夜寒かな 天やん

きんぴらの香り給食室裏手 さー

ささやかで嘘で小雨のような人 月波与生

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◆ 5・7・5・7・7(短歌)

ジャッという音させ閉じるカーテンは昼にお別れ伝える儀式 虚見津山都

そこにいる?問いかけるように明滅すSNSのSOS 凪ちひろ

手折られた夢はやさしく包みましょうライナス、きみが目醒めるまでは かぜみ すみ

何もない。覚悟だけあるぼくたちは長編小説の序章にいるね 水の眠り

真夜中に廊下をわたる三日月は秘密を分かちあう共犯者 錦木 圭

錆びついた電信柱の手袋がこっちこっちと春を呼んでる みさきゆう

ぶらんこにのるゆれるのるおりるのるゆれるのるのるきえるゆれてる みさきゆう

Googleの案内通り来てみたがバンブーカフェは更地であった 古城えつ

垂れ下がるあなたと競う背くらべ今年の冬は髪を伸ばそう 古城えつ

ちょっとずつ近づく距離が嬉しくて君の本音に気付かなかった 雪の空𝒮𝒪ℛ𝒜

一条の光の中に舞う埃輝くときは一瞬である 何となく短歌

魅惑なる赤きセーター老画家よ「わたくしが作者です」と名乗りて 佐々木ゆか

誤解への予想雨量を測れたら涙たる前線に傘差す 夭夭雷

寝てもいい起きててもいい週末のこの時間だけ少し幸せ 涼

秋の音 虫の音色と風の音落ち葉散る音 静寂の音 のはるん

赤焼けた薄明の空紫にマジックアワー魔法を掛ける 元さん

人生の終着駅に着く前に途中下車してハイサヨウナラ 宮坂変哲

フィールドに 流した涙 かいた汗 報いがあると 信じて立たむ 鴻鵠之志

荒れ狂い吐く人も出る飲み会で誰にも絡まれずほろよいの私 酔名

こむら返りで目が覚めたちょっと嬉しいam2:50 ビッケたん

診断書待つ間亡き母恋しくて新宿立ちんぼこんな気持ちか 佐々木ゆか

なんとなく秋を感じる頃となり僕はも一つ傷口増えて Take

秋の暮れジャングルジムのてっぺんで滅びた国の女王だった とも

口下手な僕の方便詰(なじ)る君無邪気な罰を甘んじて受く 燕雀之心

アクティブボキャいひおほせて何かあるパッシブボキャ 石川聡

張り詰めた心でポキッと音がした しなやかになれ鍋のパスタよ 奥 かすみ

眼と耳を失したくなる彼の世の夜 されど血汐は満ちて引きけり 比島アルト

契りきな袖の涙を絞る日に末の松山越ゆる波有 ぱさ

魅せられた  あの子の指に まばたきに触れないことで  生まれる未来 椿姫ちまり

立ち食い蕎麦啜りつつふと振り返り暖簾の切れ間に猫と目が合う 人見弐一

風の中 金木犀が濃くなって薄くなってく短い秋に saku

もう声も思い出せない掌の手紙の音がこぼれおちてく 夕波ちづ

ありあけの月さえ光に食べられて入れ替わってくあしたの月と 透影 弦

お姉ちゃんだからと言って我慢した玩具もお菓子も今日はあげない ゆりのはなこ

淡水タコな落ち着きにアンモニアを作用されるんだよねー「どこか直伝」 石原とつき

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◆ 詩

ジャブ ジャブと
たまには
ココロも お洗濯
傷口のシミ
深いミゾ
涙のあと
落ちなくていいの
そのままで
生きて感じてきた証
あたしの誇り。 (温(ハル))

寂しいと感じた事などなかった
一人で帰る夜道も
そこにあるのは恐怖だけ
暗闇が背後から忍び寄る
街灯の灯りすら怖かった
ふと見上げた月
月光の優しさに
幼き日の「寂しさ」を思い出す
気づいてしまった
寂しさの中の恐怖
思い出した寂しさ
月が見せた寂しさ (もゆら)

法則性のありそうで
実はやっぱりなさそうな
ぎこちなく
それでも一応まとまっているというこの感じ
それが好きです
たとえばそれは後ろの黒板の
時間割の表
時空に揺らぎが生じそうな
面白くって心地よい
ここにしかない
時間割の表 (ここは何処わたしは誰?)

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◆ 作品評から

胴上げのみるみる上手くなる天狗 石畑由紀子
 ~思いあがった態度の人を「天狗になる」と言うがこの天狗は人を祝福するのが上手なのである。なんていい奴だろうか。人は皆一度は胴上げされたいものなのだ。(月波与生)

Googleの案内通り来てみたがバンブーカフェは更地であった 古城えつ
 ~そんな事あるんですね。お疲れ様でした(風の彼方)

人間をやめたおかげで梨がある やは
 ~人間でなくなる瞬間の意識の切れ方はどのようなものだろう。演劇のカットアウトのように突然暗闇となり梨になるのだろうか。梨の意識とは。(月波与生)

忍者ハットトリックくん 西沢葉火
 ~こういうことを毎日何十と考えている西沢葉火は本当に愛されるべき人だと思う。(月波与生)

垂れ下がるあなたと競う背くらべ今年の冬は髪を伸ばそう 古城えつ
 ~夜分恐れ入ります。いつもいいねありがとうございます。どんなお友達なんでしょうね。親しみが伝わって来ていいなあと思いました。(時雨)

ああ酸素系漂白剤だったのだきっと何かであるはずの私は とも
 ~自分は何者でもなかった、と気づくまでには長い時間が必要かも知れない。でもそこからの人生もまた長いから焦らなくてもいいらしい。(月波与生)

性別も知れない夏の隣の席 西脇祥貴
 ~はっきりと見えていた風景が少しずつぼやけていくような「夏の隣の席」。そこに座っていた自分はいったい何者だったのだろう。(月波与生)

秋の音 虫の音色と風の音落ち葉散る音 静寂の音 のはるん
 ~初めまして。評を書くのは慣れていませんがとても好きなお歌だったので。ひっそりと静かな場所で、何から作られるか分からないほどの微かな音が聞こえてくる、そんな情景が浮かびます。“何の音?”と耳を澄ます背景に、「と」で作られるリズムが重なり、ハッとした感覚も生まれました。(奥 かすみ)

讃美歌にあわせてまわるお寿司たち 蔭一郎
 ~聖歌隊がレーンに並んでぐるぐる回りながら、グレゴリオ聖歌のような旋律のお寿司を讃える歌を歌っている。スシロー銀座店があり、壮大な礼拝堂のような内装はステンドグラスが張り巡らされていて、白身の握りに赤や青や緑の光が射している。というシーンが脳内に来ました。(石川聡)

しなやかな風の行き交う展示室 上崎
 ~蝶の起こす風って、なんか、しなやかそうだな、と。そこから、butterfly effect:カオス力学、への連想へ誘われて、展示室=地球?となりました♪(石川聡)

金木犀改札抜けて不夜城へ 花野玖
 ~わたしだけの感覚かもしれませんが、金木犀は夜が更けた頃に香りを放つように思う。そしてそれは駅までの道中のことだった。不夜城が具体的にどのような場所か句からはわからないが、そこでなにか起こしなにか起こされて感情を揺さぶられても金木犀の匂いの記憶は漂い続ける。(蔭一郎)

使用済みコンドームに似た腹を持つメスカマキリの獰猛さが好き 萩原 アオイ
 ~「賢者タイム」の数分間ボーっとしているオトコに対して女性はこんなことを考えているのだろう。そろそろ喰われてしまうのだろう。(月波与生)

クレーンゲームの跡くっきりと脇の下 小沢史
 ~人型の景品は脇の下に引っ掛けるように持ち上げれば採れる確率が高いと聞いたことがあるが、自分の脇の下に跡がついていたのを見た時の驚き。(月波与生)

ピーマンに詰められるだけ詰めるパパ しまねこくん
 ~ピーマンのパパ詰め!おいしいような、怖いような。(石川聡)

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◆ 第139回句会報ダウンロードはこちらから

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