さみしい夜の句会報 第89号を発行しました

さみしい夜の句会
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さみしい夜の句会報 第89号(2022.10.30-2022.11.6)

第89回の参加者は103名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。

11月11日に川合大祐さん千春さんによる川柳&エッセイ集「トイレの後は電気消して」が満天の星より発行されます。満天の星では、表現の場の提供として、個人句集、合同句集、評論集、エッセイ集等の発行のご支援をいたします。発表したい作品はあるが諸々の事情により断念されている方はご一報ください。ご支援できることがあるかも知れません。

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◆ 参加者(103名)

あ、しまねこくん、徳道かづみ、白水ま衣、さー、風池陽一、syusyu、池田吉輝、石川聡、木野清瀬、水の眠り、森内詩紋、弌定住佳、、西脇祥貴、海馬、菊池洋勝、雛子、あわい花、まつりぺきん、元さん、電車侍、−恷庵−、橘明月子、しろとも、天やん、藤井皐、思雨(スイ)、おかもとかも、望月 華(もちづき はな)、雪上牡丹餅、東こころ、む~みんママ、蜜、正念亭若知古、花野玖、ぽっぽ、のこりか庵、Ryu_sen、橘月子、チューバ2022、PERCHES、ともなう、梓川葉、まつもともとこ、蔭一郎、crazy lover、西沢葉火、あんこ、雷(らい)、とるばどーる、鴨川ねぎ、岡村知昭、木之下ゆうり、馬勝、hyuutoppa、最中妙、糸瓜曜子、ESG、汐田大輝、麻丹mani、najimi、石原とつき、mugwort、雲上晴也、ちゅんすけ、みんみん、たろりずむ、涼閑、阿笠香奈、kiyoka、夏埜 さゆり女、HAKUBIKI、金瀬達雄、鷺沼くぬぎ、てくてく、日下昊、星野響、輪井ゆう、空瓶、なゆた、小沢史、高田月光、高良俊礼、yellow、cissa possa芥川美香、抹茶金魚、おたま、日月星香、いずみ、かなず、うたたね 宥樹、充子、名犬 ぽち、takenakahiroyuki、楢崎進弘、mikisuzu、桜井は絵とか描く人だそーだ、Asura’s Haiku、宮坂変哲、うつりにけりな、月波与生

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◆ 7・7詩、5・7・5詩

酢橘は青い片言は宙ぶらりん 石川聡

電線あきの青ちぎる 石川聡

いっせいに夢の中までおりてくる 石川聡

包丁の後ろ姿は滝である 白水ま衣

虚栗みたいな家ですこし泣く 高田月光

十月尽をんなは海のままですか 小沢史

プライドの高いおんなの裁ち鋏 ちゅんすけ

みなさんは未来の肉球候補です おかもとかも

カミソリと形容されるアップルパイ おかもとかも

サムライも西を向いたら花畑 まつりぺきん

うろこ雲みんなみーんな幸せに まつりぺきん

11月のリアルアバターとして墓碑 白水ま衣

自由帳でつくったサンドイッチだよ 海馬

菜虫の食欲十四五の性欲 菊池洋勝

ロフテッド軌道で示す遺憾の意 たろりずむ

手塚治虫が直喩であった頃の空 白水ま衣

レシートの裏で小さく芋煮会 しまねこくん

氏子らを林檎の枝にぶら下げる しまねこくん

小鳥来て先に布団で寝てゐたり しまねこくん

愛人の検索履歴文化の日 馬勝

繰上げスタートの号す刈田かな 菊池洋勝

止めやうもないぼど柿が熟れやがる しまねこくん

やべえこんなブルースこんな靴の裏 海馬

うら枯れや即身仏の作り方 あ

ゆどうふなあなたにしては猿ですね 岡村知昭

あれは雑念だったと今日の後頭部 雷(らい)、

満月は生殖器から欠けてゆく 橘月子

果汁グミぶどうぷるんと帰国子女 Ryu_sen

さくらんぼ指の先まで雨の音 あわい花

三月の手帳のなかで眠る象 あわい花

さよなら友達がほしかったわたし あわい花

前髪を切らぬ場合の冬支度 木野清瀬

青空がマグリットから降ってくる 白水ま衣

押し入れに潜める未知の拡張子 鴨川ねぎ

二枚舌動くひとつは火の匂い ちゅんすけ

わたくしのマスターキーはどこですか ちゅんすけ

見つめると流れて落ちてしまう星 涼閑

さよならのらのカーブから落ちてみて 高田月光

句読点あらば世界を貝にせよ 高良俊礼

天井に高い高いの跡がある たろりずむ

早送られ公転する中島みゆき 西脇祥貴

黄身の話をしない中島みゆき 西脇祥貴

影ならばもう慣れてしまった踏絵 雪上牡丹餅

弥勒さんを待つ自転車は盗まれた 石原とつき

病室の窓か羊かヤナイハラ 藤井皐

白いシーツの/ 繭 の唸り/チーズ 藤井皐

幼な子のきれいに割りし胡桃かな 風池陽一

行く秋やゲート入らぬ競走馬 syusyu

ザクロ割れ赤水晶の輝きし 流天

秋遍路結願(けちがん)の地で見た景色 水の眠り

独り路流転の空はさみしかり 弌定住佳

わかってる「感謝」と「愛」は違うって 雛子

乳飲み子が時給に換算した円舞曲(ワルツ) しろとも

ロシアンルーレット・銃声冬来る 天やん

もう私の香りじゃない ETERNITY 思雨

陽傾き 捨てられし野の 吾亦紅 電車侍

秋の月あなたは夜を纏う人 東こころ

たましいの くうきが ぬけてゆく よふけ 若知古

鵲やただの一度も逢はぬ人 花野玖

階段でアイスモナカをかじる自由 ぽっぽ

愛猫に慰められむ秋の朝 鶴子

さみしい夜推しじゃないけどさみしい世 ともなう

シフトでは姓が変わっただけのこと まつもともとこ

悪なのか好きも嫌いも自分でね crazy lover

今朝も汽笛に知らぬ夢を見送る 内山晶生

草臥れた君のシャツ着る秋曇 とるばどーる

月見ゆる窓にて小さく養生す hyuutoppa

一日のきみが一生分のきみ 糸瓜曜子

冬隣伸び縮みする砂時計 汐田大輝

もやもやもカバンに詰め込み旅にでる 麻丹mani

月の宮思い出見せて兎の眼 najimi

茜さす君の頬秋惜しみをり mugwort

枯蟷螂大極殿も住み飽きて 雲上晴也

調律が必要です ピアノも私も 思雨(スイ)

舊軍の索引付の寫眞束 のこりか庵

抵抗にとどめを刺した夜の雨 阿笠香奈

ペリカンの口で育った婚約者 西沢葉火

父の忌と猫の忌十一月嫌い 夏埜 さゆり女

とても好き養老孟司すごい好き HAKUBIKI

玄関のドアに大きな黒マスク 金瀬達雄

惑星の名だたる隙間秋の声  鷺沼くぬぎ

銀杏散る鉄塔群は蜂起する 星野響

さわりたいあの水色にすすき伸び 輪井ゆう

優しさのぬくもりを知るぬいぐるみ 空瓶

遠くまで 来てしまったね わたしたち なゆた

めざめすぐ赤子のごとく叫びたい 麻丹mani

ピンクは情彼の背は景ヘムライン cissa possa芥川美香

今からヒートテックじゃ外行けない 日月星香

つつしんで迂回冥界のしっぽ いずみ

ハロウィンと一人ダンスする案山子 かなず

いつだって蛇はつま先から嗤う 月波与生

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◆ 7・7、5・7・5以外の短詩

ぼくはもういきていけないcan’tのトが掠れる変声期の中で 望月 華

古書と古書さ迷うわたくしの心ラムネソーダの君に惹かれて 望月華

ラッピングされてく町がかわいくてイルミネーション点くの待ってる さー

学校新聞の片隅でまだ初恋の人は息をしている しろとも

非現実から逃避して四股を踏むまだ序ノ口の四股名は「枯葉」 蔭一郎

せんせいはあいちゃんがすき かわいくてうたがじょうずでかねもちだから 鈴音

もう無理にはしゃいでみせたりしなくていい 栞を挟んで少し眠ろう 森内詩紋

笑われて目配せされて否定され風船浮かぶ悔しさいれて 橘明月子

山盛りの手向けの花や供養塔つとに参りし人の多かり のこりか庵

いい人であろうとしてたバカだった結局利用されていただけ PERCHES

わたしだけのあなたでいて 目を閉じて息のしかたを忘れただけの あんこ

旬野菜話題の味に定番も貴方の横で分かち合えたら 木之下ゆうり

「もういいよ」摩天楼から見る夕陽  ここで夢見た全てを捨てる 最中妙

何の夢を見るというのか無影灯に浮かび上がる手術台のようなベッドで瞼の裏の眼球左右に動く ESG

萎びても群れずにいれば蒸れなくて孤高のみかん中は腐らず みんみん

駐車場に着いたらゼパム僕と社会のフィルター kiyoka

紅葉する葡萄の葉風除室にて揺れまたねと落葉 日下 昊

幸せはとくにひつようないけれど地球へだけは流刑はいやだ 蔭一郎

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◆ 詩

もどかしく
星降る夜が
街に消え
悲しい時間
夜明けを見てる (元さん)

貰えるもんは もらって
人には与えぬ。
世の中 多すぎるよね。
エサも与えんと
魚釣れんやろ?
それと一緒やて。
俺はえらいんや
私はすごいんや
その鼻 いつか折れるで。
人からもらった 温かい気持ち
粗末にせんといてな。(−恷庵−)

幼くて愛を知らず
あなたも私も
我儘な独り芝居 (む~みんママ)

冬毛になったきみの背を 撫でる間もなく土曜日の 花火とあの子が奪ってく
きみの愛しのあの子の手 雨が降ればいいのに (蜜)

君がもうタクシー乗れたか気になるし
なんとなく元気ないのも知っていたしで
やるせない霜月の夜 ひとり寝まくら (梓川葉)

妄想跳ぶ
ヒヨドリより高く
ヒヨドリより騒がしく
妄想跳ぶ
それは至福の時間 (てくてく)

月夜、明かり眩しい。
寝る前には次に来る明日を憂い、軽く絶望。
弱音さえ吐けぬ圧迫感に、肋骨1本折っている。
祈っている。
絶望しなくて良い明日を。(yellow)

せつないよるわ
なにしよぅかな
慌ただし
すぎたとたんに
滑り込む
俄なふあんと
お月さま (おたま)

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◆作品評から

集めれば揃うのかなあ街中のかたっぽだけの手袋 。 さー
 ~街中の「かたっぽ」が集まってみればどうなるのだろう。みんなしあわせになれるのだろうか。今夜も「かたっぽ」たちはため息をつく。(月波与生)

電線あきの青ちぎる 石川聡
 ~ブルー一択のモンドリアン (うたたね 宥樹)

階段でアイスモナカをかじる自由 ぽっぽ
 ~そんな青春があったな~ (充子)

氏子らを林檎の枝にぶら下げる しまねこくん
 ~うわあああああ。おろしてぇえええ。(名犬 ぽち

あいむふぁいんせんきゅー射殺されゆく時も元気にあいむふぁいんせ 望月 華
 ~断末魔で思い出すのは北斗の拳の雑魚キャラで探せば「断末魔一覧表」もあったような気がする。彼らも元気で前向きだったのだ。(月波与生)

愛猫に慰められむ秋の朝 鶴子
 ~愛猫に 慰められむ 秋の朝 「お互い様よ 気にやむなかれ(takenakahiroyuki)

早送られ公転する中島みゆき 西脇祥貴
 ~昨今の、動画を早送りしたがる傾向が音楽に、唄にまで及んでしまったら…などと不安がっても、唄は、音楽はいまここにある。誰かを待っている。地球の上に朝が来る、その裏側は夜だろう、とのかつての流行り唄のように。(岡村知昭)

影ならばもう慣れてしまった踏絵 雪上牡丹餅
 ~幼い頃、影踏みをして遊んだ。父や母や、友達と。もしかしたらあの影は踏絵だったのかもしれない。そうやって私は、信じる人達を裏切ることに慣れてしまった。(西沢葉火)

弥勒さんを待つ自転車は盗まれた 石原とつき
 ~弥勒さんを待っているうちに自転車盗まれたのか、弥勒さんが乗る日を待っていた自転車が盗まれたのか。わかっているのは「自転車が盗まれた」。自転車が奪われた空間に、弥勒菩薩の来る気配は、いまのところありません。現場からは以上です。(岡村知昭)
 ~56億7千万年も待てないし、世界中を救ってくれなくてもいいから、とりあえずすぐに私のことをなんとかしてほしい。だから親しげに「弥勒さん」って呼んでみた。輪廻の代わりに漕いでいた自転車を盗まれたら、どうやって帰ればいいの、弥勒さん!(西沢葉火)

合鍵になる団栗とそれ以外 しまねこくん
 ~「合鍵になる団栗」も謎だが「それ以外」で怖さが増幅される。きっとぼくもあなたも誰かの合鍵なのです。(月波与生)

黄身の話をしない中島みゆき 西脇祥貴
 ~黄味は君ですね。あなたについて語ればわたしが露になるから。(楢崎進弘)

うろこ雲みんなみーんな幸せに まつりぺきん
 ~爽やかな空に賑やかに雲がぽこぽこ出ておると、他者への慈しみが心の底からぽこぽこ出てくるのかもしれない。(森内詩紋)

幸せはとくにひつようないけれど地球へだけは流刑はいやだ 蔭一郎
 ~確かに今の地球への流刑はイヤだな。どれほどの罪ならば此処に落とされるのだろう……(森内詩紋)

小鳥来て先に布団で寝てゐたり しまねこくん
 ~猫でも犬でもなく小鳥というところが好きです。つぶさないようにしなくては。(花野玖)

ありったけの笹舟が子宮にあるのよ 藤井皐
 ~「ありったけ」は無限ではない。しかし終わることのない祈りのようでもある。その笹舟のひとつに乗ってぼく達はやって来たのだった。(月波与生)

銀杏散る街に Chloé の香を探す IZU
 ~「Chloé 」が効果的。「銀杏散る街」は散文的なのだけど「Chloé 」がクっと世界を引き締め「香」に質感を感じさせた。 (月波与生)

カミソリと形容されるアップルパイ おかもとかも
 ~すごいアップルパイなのは確かだと思うのですが、味への形容ではないカンジ。仕事なのかスポーツなのか、相当できるアップルパイ。ん~、甘くはなさそうですね。(まつりぺきん)

ハイター香る鬼女になろうと思う 西脇祥貴
 ~〈ハイター香る/鬼女になろうと思う〉と読むときの切れがかっこいい。この切れは〈煮えたぎる鍋 方法は二つある 倉本朝世〉を想起させた。真摯に学ばれていると思う。(月波与生)

反社でも空気清浄機は使う 雪上牡丹餅
 ~そりゃそうだろうと思うが不思議に面白い。「空気清浄機」という漢字だらけの固い言葉を上手く使われた。反社の方も禁煙派が増えているのだろうか。(月波与生)

わたくしのマスターキーはどこですか ちゅんすけ
 ~わぁ…わぁ…きゅん(mikisuzu)

十月尽をんなは海のままですか 小沢史
 ~この俳句を踏まえつつ絵を見たら、『魅せられて』を歌うジュディ・オングが脳内を横切るのだが、果たして、それでいいんだろうか。(桜井は絵とか描く人だそーだ)

いっせいに夢の中までおりてくる 石川聡
~simultaneously descending into a dream (Asura’s Haiku)

天井に高い高いの跡がある たろりずむ
 ~血天井 (宮坂変哲)

病室の窓か羊かヤナイハラ 藤井皐
 ~全く詳しくはないのですが、ジャコメッティの作品でしょうか、あるいは矢内原伊作そのものでしょうか。病室の窓の側で描かれた肖像は立体となったものの、遠目にはアルプスの山々で草を食む羊に見えるのかも知れません。人はものを見たいように見る…それは悪いことばかりではないように思います。(まつりぺきん)

鵲やただの一度も逢はぬ人 花野玖
 ~いい御句と思います♡(とるばどーる)

虚栗みたいな家ですこし泣く 高田月光
 ~みなしぐりと読むのですね。勉強になりました。(うつりにけりな)

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