さみしい夜の句会報 第72号を発行しました

さみしい夜の句会
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さみしい夜の句会報 第72号(2022.7.3-2022.7.10)

 第72回の参加者は84名でした。
 ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。

 7月8日。
 安倍前首相が暗殺されました。事件の詳細については正確な続報を待ちたいですが、考えてしまったのは言葉のもつパワーです。政権末期、政策の失敗やモリカケ、桜を観る会の疑惑で「アベヤメロー」の声が強くなったとき、「アベシネー」の声も聞かれました。まもなく安倍首相は辞任し、そして今回の事件です。小さな声が増幅され大きなパワーとなって現実の事となったようにも見えます。

 言葉には言霊がありますから詩歌を創作する人間として、より丁寧に扱う必要があることを実感しました。

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◆ 参加者(84名)

ゆりのはなこ、mugwort、Alexandre、しまねこくん、MIYA、藤井皐、syusyu、najimi、石川聡、めい、西脇祥貴、雲上晴也、玖、星野響、馬勝、らせつ、たなかゆみ、西沢葉火、茶熊さえこ、海馬、Millicent/Neu、石原とつき、Moon、紺野水辺、ともなう、うみさん、天やん、太代祐一、蔭一郎、みや水也、木野清瀬、日下昊、電車侍、さこ(砂狐)、岡村知昭、東こころ、以太、涼閑、む~みんママ、片羽anju雲雀、児島成、水の眠り、Ryu_sen、海月漂、菊池洋勝、hyuutoppa、ジロー、睦月ヨシ、折山悠、甘味亭先舐、みんみん、弌定住佳、ニシカワ、crazy lover、蜜、宮坂変哲、川合大祐、高木タツオ、城水めぐみ、復活おたま、汐田大輝、伽羅、雷(らい)、Nichtraucherchen、輪井ゆう、芹澤雨、池辺安春、松本薬夏、恩雨(スイ)、上峰子、たろりずむ、小沢史、うたもも、鷺沼くぬぎ、生・存、facet、桜木 萌音、嶌りす、小木隆司、さんとうせい、みちのこいし、名犬 ぽち、月波与生

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◆ 7・7詩、5・7・5詩

病室の父へむかった西瓜割り 川合大祐

父おやをかぞえるためのコーラ瓶 川合大祐

時計回りにお好み焼きにする愛撫 太代祐一

あのラインが未読の時出るボート 生・存

開いたら指開かなければ蛍 しまねこくん

パンの耳をあつめるそこそこの辞書だ 石原とつき

月のことを存在しない発音で 芹澤雨

ひつまぶし発祥店を巡るバス たろりずむ

花を摘む戻れないから蕾には 輪井ゆう

水中で笑うと月みたいね、トム 西脇祥貴

シミーズの母よお腹が空きました 木野清瀬

メガネから父のとびだすラヴソング 以太

ハッシュタグつけすぎて熊の窒息 太代祐一

麻暖簾の奥の設定温度かな 菊池洋勝

車椅子トイレの手摺涼に納る 菊池洋勝

孤独死がふえる団地の公文式 馬勝

つかまえるうきはうきはをかけぬけて 蔭一郎

ラジカセを霊安室に置き去りし 川合大祐

腐った思い出のあるヴェルヴェット 藤井皐

ヒトデを生け贄にする裏町の表情 石原とつき

蹴りやすい角度で置いた写真立て 西沢葉火

会いたさの言葉を流す天の川 海月漂

水色のゼリーの中の映写室 紺野水辺

ふくざつな雲の基板を替えておく 海馬

教室での発言がミュートされている 太代祐一

主文から先に読み上げ系男子 以太

初蟬の好きな木嫌いな木図鑑 蔭一郎

天の川一重のほうが好きだった 馬勝

明日からは気体の君と寝て過ごす 岡村知昭

戸籍上養子であった熱帯魚 馬勝

伽羅蕗やちあきなおみを聴きながら syusyu

アボカドのアキレス腱をよく伸ばす 太代祐一

室内用ボートだけれど二人乗り しまねこくん

適度なマカロンは電磁波にぴったり 石原とつき

ほどんどの感謝をモップに似た犬へ 馬勝

抽象画ばかりを照らす夏の月 星野響

笑うってほどじゃないけど濃尾平野 西脇祥貴

イタタマレナイをひろって口にいれ 石川聡

マリーゴールド敵か味方か分からない MIYA

息子の通っていない学校にある投票箱 藤井皐

カップからこぼれたのだろう涙雨 涼閑

小暑にてバグダッド・カフェでバスを待ち 水の眠り

手に取った本が逆さまのうちに読む 睦月ヨシ

孤独死の増える団地に大西日 ゆりのはなこ

風鈴の音を鎮魂の鐘とする mugwort

さびしいではなくさみしいを感じたくて走る Alexandre

匂いの無い街追いかけ没る日々 najimi

遠き雷捧げた花の鮮やかさ 雲上晴也

暑気払ひとりぼっちの祝い酒 玖

泣き寝入り勝ち負けのある世界です 茶熊さえこ

薄寒い話し離れて蒸し返し ともなう

ボンボヤージュ私はスーパー銭湯へ うみさん

空き缶の顔にバッテン夜店の灯 天やん

FAXが紙アレルギー 砂狐

スイカ割る歴史がひとつ変わる日に 東こころ

誂えた浴衣に星の薫り焚く 片羽雲雀

ヒトデにはヒトデでなしのヒトデがいる 児島成

焦燥と戦いながら物理基礎 Ryu_sen

七夕のセロファンの消す赤き文字 hyuutoppa

白南風に名をひとつ乗せ叶うなら ジロー

五十過ぎ 自由と孤独が 紙一重 甘味亭先舐

膿出して 生みだしてとなく らいてうか みんみん

待ち人の顔も知らねば名も知らず 弌定住佳

あちらでは桃だけを欲しいと思う ニシカワ

強がりは弱さの歪みのカタチかな crazy lover

しんにょうに跨る少女/空の旅 高木タツオ

補助輪を外せばきっと飛べるはず 城水めぐみ

私は安全運転をします変異株 汐田大輝

黴匂う薬箪笥の奥の文 伽羅

黴の香を雨の声で読む 雷

夢を見るその夢を見る夢を見る Nichtraucherchen

白菖蒲椎名林檎のまねで「ほー!」 池辺安春

箱庭の金平糖を取り出しぬ 松本薬花

ネガティブばかり連想ゲーム 眠れない夜 恩雨

蚊の声に悪夢の淵を抜け出しぬ 上峰子

黒南風の匂い棄てた街のにおい 小沢史

初蝉を訝しみつつ早退す 鷺沼くぬぎ

鏡にうつると変顔するリカちゃん 月波与生

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◆ 7・7、5・7・5以外の短詩

ぐずついた7月輝かせるためにモテナスソフト掲げよ空に めい

昔より人は遊んでいたのだとチェスの聖書は1000ページを超え Millicent/Neu

夜空とかひとり見上げて見るけれど決まって隣りに君はいない らせつ

ハートのね左右を分かち粉々になってしまえと私は願う たなかゆみ

忘れ得ぬ星はたしかに瞬いて今は限りに夢を見ようか みや水也

ひとつの罪は大罪で裁くばかりか失われし平和 日下昊

大筒の煙は古都にあがるれどなど忘るるや君がいさをし 電車侍

戦争が終わって80年近くなってもその国の素顔は、何ら変ってはいない!! む~みんママ

午前四時、向かいの灯りで暖をとる うちのあかりも使っていいよ 折山悠

グータラなこんな私をそのゴミと一緒に棄ててもいいのよ貴方 蜜

君のキス微かに香るメンソール誰かと同じことをしたのね宮坂変哲

しおれゆく花に手水をくべるとも光もさだめもつきにしれば 復活おたま

怒ったら怒られるのに泣いたら抱きしめられる うたもも

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◆ 詩

命はいつも儚くて

愛は永遠に続く魂 (Moon)

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◆ 作品評から

暑気払ひとりぼっちの祝い酒 玖
 ~まあ!おめでとう㊗️ございます

父おやをかぞえるためのコーラ瓶 川合大祐
 ~父親を見ていると「おや?」と思うことが多い。いくつの「おや?」があるのか、コーラを飲みながら数えてみた。コーラは生きるのに必要なものではない。だけど甘くて、冷たくて、爽やかで、美味しい。謎が見つかる度に空き瓶が増えていく。そしてその度、初めてコーラを飲ませてもらった日が遠ざかっていく。人生が二つあったなら。 (西沢葉火)

ヒトデを生け贄にする裏町の表情 石原とつき
 ~「今日はこの、海から少し離れた町の表情をお伝えします。」テレビのリポーターが話し始めた。町が幸せになるように、無事でいられるように、ヒトデを生け贄にしていることは町の者以外誰も知らない。テレビが余計なことに気付かなければよいのだけど。「この町の人たちはみんな、幸せそうな顔をしているんです。」リポーターがそう言って、はしゃいでみせた。何も知らずに。 (西沢葉火)

手に取った本が逆さまのうちに読む 睦月ヨシ
 ~こんにちは 睦月ヨシさん今回はちょっとユニークな短歌ですね。これというイメージわかなくてうーん?っていうとき、ありますよね。ぼちぼち、ゆっくりですね (桜木 萌音)
 ~私なんか毎日出来ないのよ句作も訓練かなあ (嶌りす)

グータラなこんな私をそのゴミと一緒に棄ててもいいのよ貴方 蜜
 ~こんばんは。最後のフレーズ、好きです。ストーリーがありますね。個人的には「一緒に」は削れるかな、なんて。失礼しました。(石原とつき)
 ~COOL。故に愛を感じます。(小木隆司)

病室の父へむかった西瓜割り 川合大祐
 ~目隠しに意味があったのかは分からない。「右、もっと右」西瓜割り棒を握りしめた男は6回転したあとふらふらと病院へ入る。「前、右」男は病室へ入る。主犯と従犯、指示した女に殺意があるのか、実際に西瓜割り棒を振り落とした男の罪が問われるのか。確かに棒は2度振り下ろされた。 (以太)

月のことを存在しない発音で 芹澤雨
 ~その惑星の言語には名詞が存在しないので月は「青い・揺れる」と表現される。しかしときどき赤くも見えるのでひとつのことばで言う必要があるような気がしてきた。そんな夕暮れ、見慣れない老人の口から発せられた音は。 (以太)

ひつまぶし発祥店を巡るバス たろりずむ
 ~ひつまぶし元祖からひつまぶし本家へ移動するバス、その車内で、朝に食べたひつまぶし家元のひつまぶしが逆流しそうになる。旅程では更にひつまぶし本舗、ひつまぶし総本家が続く。バスの車内では消化音が鳴り響く。運転手は鰻重派である。(以太)

夢を見るその夢を見る夢を見る Nichtraucherchen
 ~夢を見るその夢を見る夢を見る。現実戻りてため息を吐く。 (さんとうせい)

ぐずついた7月輝かせるためにモテナスソフト掲げよ空に めい
 ~クチナシにソフトクリーム想ふ吾 (みちのこいし)

開いたら指開かなければ蛍 しまねこくん
 ~開いたら指がなければヤクザかプレス工 (名犬 ぽち)

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◆ 第72回句会報ダウンロードはこちらから

 第72回句会報(PDF)

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