さみしい夜の句会報 第104号を発行しました

さみしい夜の句会
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さみしい夜の句会報 第104号(2023.2.12-2023.2.19)

第104回の参加者は93名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。

来月、「佐伯祐三展」と「エゴン・シーレ展」を観る(ためだけに)東京へ行きます。旅っぽくするため深夜バスに乗ります。久々の遠出なのでいろいろやらかしそうです。ようやく県外移動解禁の春となりました。(だだし当面は平日のみですが)

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◆ 参加者(93名)

石原とつき、とるばどーる、しまねこくん、みさきゆう、たろりずむ、M*A*S*H、屑乃ハコ、流天、ちゃまめ、萩原 アオイ、syusyu、何となく短歌、水の眠り、桔梗菫、あやめ、mine、石川聡、蔭一郎、燃ゆら、西脇祥貴、涼、うめたなか、元さん、おかもとかも、Ryu_sen、糸瓜曜子、宮坂変哲、秋鹿町、西沢葉火、金瀬達雄、藤井皐、抹茶金魚、しろとも、花野玖、うたたね凛、とわさき芽ぐみ、片羽anju 雲雀、はかなし、菊池洋勝、凪ちひろ、汐田大輝、む~みんママ、Emily、馬勝、najimi、海馬、須賀善昭、Somekawa Yukio、みおうたかふみ、麻丹mani、お気楽草紙、しま・しましま、かのん、岡村知昭、日月星香、さー、日下昊、雪上牡丹餅、すずしろゆき、まつりぺきん、雷(らい)、徳道かづみ、のこりか庵、ゆいん、涼閑、山田真佐明、のんのん、せば、井口高志、すずめ、天やん、鷺沼くぬぎ、鴨川ねぎ、ふら、和泉明月子、千春、crazy lover、水須ゆき子、fuu_、海月漂、輪井ゆう、一筆居士、生・存、一寒梅、PERCHES、水也、小沢史、梨山 碧、K*苔空海、浜本亜矢子、ジン、Asura’s Haiku、月波与生

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◆ 7・7詩、5・7・5詩

踊りましょアンドロイドの見る夢で 秋鹿町

きのうまで薬局だった白い雪 みおうたかふみ

観覧車炬燵に入つてゐた筈が しまねこくん

刺青で父だと分かる週刊誌 たろりずむ

縁なし眼鏡。あっちを向けば鳩なのに 海馬

踊りましょう真綿と首を差し出して しろとも

味の無いガムを噛まされ眠れぬ夜 海月漂

義理チョコの方が大きい たろりずむ

危機感じポートフォリオに犬入れる 雪上牡丹餅

予報では裸眼の時だけ雨模様 しろとも

養った割に小さな伝書鳩 西沢葉火

今週もみぞれ混じりの愛でしょう さー

よふかしの棒がいっぽんぐらついて 抹茶金魚

花占の「嫌ひ」で終わる安吾の忌 花野玖

グルテンを足して日脚を伸ばします しまねこくん

月餅と同じおもさのおひめさま おかもとかも

米の一粒一粒にエンタメと書いてある 海馬

客層を変えてしまったカレー味 西沢葉火

やわらかい爪ね 成り行きなんてない おかもとかも

湯船には浮かぬ鶯餅である しまねこくん

草原へうどんを捨てるのを許す 岡村知昭

ペンギンを知らないままに家を買う 秋鹿町

出せる手も口も冷たき介護かな 菊池洋勝

絵のような漢字を選ぶ謝肉祭 馬勝

思い出し笑いの塩辛を食べる 秋鹿町

寝ようとしてかぼちゃ炊く うたたね凛

美人とは比べるべくもなくて春 花野玖

夢の中で聞いた答えが椿する 抹茶金魚

正夢を烏が横切るときの擬音 藤井皐

お爺さんの遺骨のようなお爺さん たろりずむ

レトルトの自己肯定と抱き合わせ 西脇祥貴
丹念に数えてほくろ描き込まれる しま・しましま

冬の月買いに無人販売所 Ryu_sen

新発売!熱にも強い雪達磨 M*A*S*H

シクラメン口数多き花言葉 屑乃ハコ

野に生きる鳥には鳥の定めかな 流天

春嵐 私の春夏冬は好感度じゃない ちゃまめ

客に云はれし厭みを流す雨水かな syusyu

時々名前の意味を忘れてる子 桔梗菫

菜の花に駆け出す白のスニーカー あやめ

一気に空は白鳥へ翔ぶ 石川聡

またいつか蜆になれば書く手紙 蔭一郎

月が出てないからさ 燃ゆら

温泉は雨の露天がとても好き 涼

運命を温め直し過去がくる 糸瓜曜子

偽物の笑顔で話す僕の日々 宮坂変哲

寒い夜缶コーヒーの暖かさに涙する 燃ゆら

ペンギンをつついて眠る(しろくまの夢) 金瀬達雄

落ちてなお愛でられ踏まれ椿首 片羽anju 雲雀

切なくて切なくて春宵に吹く白糸 汐田大輝

目と目があって笑っているともう恋なのか む~みんママ

肋肉削いで血のある夢を見る najimi

寒の月スーパー内のロッテリア 須賀 善昭

星空がかけてゆくほど春の月 みおうたかふみ

つぶやきてよりさみしくて夜3時 麻丹mani

成長の次に老化がやって来る お気楽草紙

紅梅や にぎやかな色に 耳澄ます かのん

青空にポツリ浮かんだ雪雲よ 日月星香

ぶらんこは夢語る場所放す場所 すずしろゆき

淋しくはないの湛えているだけよ まつりぺきん

マスク外したいつもの人だった 雷

桜葉の香に巻き戻る冬秋夏 のこりか庵

水仙の憂いに傾ぐ花の顔 涼閑

チョコムース定食屋にもバレンタイン さー

垂直に落ちたいるかを抱きしめる のんのん

寒い日も半袖の人たまに見る 涼

バレンタインまだ夢はある午後十時 せば

五十代最後の夜もチョコは無く 井口高志

バレンタイン誰かが飢える画面外 天やん

ホットウィスキー愛の日は角砂糖二個で 鷺沼くぬぎ

左手に言葉で斬られた跡がある 鴨川ねぎ

四十四歳は堂々と爪を切ります 千春

待ち侘びた悦び望む吉報来たれ crazy lover

愛の日の軽トラ灯油買ひに行く ぽっぽ

義理も縁も無いチョコレート fuu_

盾となる可愛く揃える前髪 輪井ゆう

蛤の中で迷っても話する 生・存

完璧な人から貰うみかん剥く PERCHES

三日月が連絡網で回される 小沢史

ローソンの光から咲く梅の花 梨山 碧

きさらぎは水がカタチに戻る場所 月波与生

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◆ 7・7、5・7・5以外の短詩 

どうやってここまで来たか分からない秘密の地図は燃やして捨てた mine

百枚の鏡を割って立ちすくむルイス・キャロルに君は会えたか 鈴音

リズムよく左・右・左と前に出す歩くだけならベテランなので 何となく短歌

コンビニで別れた方の幸せを密かに買って密かに食べた うめたなか

目を閉じて鉛筆削りを回す時回るあなたは回る回る回る回る回る うめたなか

たんぽぽは咲いたところは因果関係と言い張る 石原とつき

反る背中白熱球に照らされてはちみつ色の楽園にいく とるばどーる

コの字綴じみたいに仲を取りもってそっと隠した初めての恋 みさきゆう

傷付けばよかったちゃんと平気ですみたいなフリしてギリ保ってた みさきゆう

愛なんかじゃなくってもいい こうやって傷を舐め合うだけで私は 萩原 アオイ

夕星を仰ぎみる目の涼やかさ一人で立って一人を歩く 水の眠り

雨音がリズム刻んでタンタンと傘のシンバル小さく響く 元さん

突然に逝ったスマホが知らしめるいずれは切れる定めだった縁 はかなし

寒ブリの消費期限を忘れてた凹みに凹む主婦ひとりかな 凪ちひろ

今は未だ甘い味わい残る今砂糖の様な夕べの幸せ Emily

窯伸びに期待をしながら酵母菌活性化したカンパァ二ユ Somekawa Yukio

ロンドンブルートパーズの瞳に見つめられ眠りに落ちる二の午 日下 昊

侘しくも枯れ葉となった我の恋来世で君の押し花になれ ゆいん

今日は自分を愛したか?愛したか? 問うてみる今日はバレンタイン すずめ

自分へのチョコに込めるの生きたさをあらゆる怒りは消さないけれど ふら

波風を立てぬようにと沈ませた心浮かびて泣くのは私 和泉明月子

食べかけのプリンを前に数時間キミとからめる最期は苦く 一筆居士

カーテンを閉め梔子の香水に包まれ独り神様となる。 一寒梅

夜明けを待っているだけだから春はまだいらないよスノードロップ 水也

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◆ 詩

錆びしいのだね
ゆらりゆらりとまなこから虹んでくる臆病
フラットに生き心地がわるいよ
回路のなかにわきだす迷路
ブラックサンダー、雷鳴みたいな解明
甘くて、欠けだす、駆け出す(とわさき芽ぐみ)

からっと枯草の落下し
小雀がついばむ真似ごと
雪に閉ざす枯野の
秋を高かった空の日は
もの悲しくあった
朝は来るから もの悲しかった(山田真佐明)

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◆ 作品評から

反る背中白熱球に照らされてはちみつ色の楽園にいく とるばどーる
 ~中国が米国に気球を飛ばした記事を読み返してたもので、隠語の詩として深読みしそう。結果、照射されて蜂の巣になったみたいに。(K*苔空海)

コの字綴じみたいに仲を取りもってそっと隠した初めての恋 みさきゆう
 ~昔、手芸をやっていた頃のことを思い出しました。
コの字綴じがどーしても上手くいかなくて、悩んでました。でも、コの字綴じみたいに少しずつお互いを助け合う(技法では交互にすくう)。コの字綴じって縫い目を隠して縫い合わせる意味もあるので、初恋を隠すのを表すのも可愛いですね!(ゆいん)

野に生きる鳥には鳥の定めかな 流天
 ~それはありますよね。だから物書きは、その思いを書くのではないでしょうか?(浜本亜矢子)

愛なんかじゃなくってもいい こうやって傷を舐め合うだけで私は 萩原 アオイ
 ~傷に触れ、撫でて、舐め合う。いつかその傷が溶けるまで。(ジン)

一気に空は白鳥へ翔ぶ 石川聡
 ~Reminds me a little of
霧に白鳥白鳥に霧といふべきか 金子兜太
swan in the mist mist in the swan perhaps I should say
–Kaneko Tohta
The inversion of element and bird works similarly here. (Asura’s Haiku)

傷付けばよかったちゃんと平気ですみたいなフリしてギリ保ってた みさきゆう
 ~みさきさんの歌、全部好きだけどこの歌とくに好きです、一文字一文字、心に残る(Kaorin)

伊予柑のカーブをうまくなぞる人 しろとも
 ~エロティックな句。エロティシズムを感じない人も伊予柑のカーブをナゾリタクってみたくなるでしょう。行動を喚起させる言葉の力。(月波与生)

自販機のホット飲料減っていて一方的な春の宣告 さー
 ~自販機の「あったかーい」減ると春を感じるっていいね。夏でも「あったかーい」コーヒーしか押さないおっさんに教えてあげたい。生きててそんなに寒いんかと。(月波与生)

つめたさの単位としてのひややっこ とわさき芽ぐみ
 ~お豆腐を主食としているダイエッターですが冬はレンジでチンの「ホット冷奴」か湯豆腐。春が近づくにつれお豆腐も冷えていきます。(月波与生)

インターホン越しでも春と分かる声 しまねこくん
 ~青森もようやく氷点下を超える日になった。雪が融けあたり一面汚れてしまうけど春はいいなあと感じる。インターホンはアポ電詐欺じゃないことを祈るばかり。(月波与生)

もし雨がほんとは降ってないとして、赤い傘を手放せるだろか みさきゆう
 ~振り返ると選ばなかったたくさんの「もし」たちはどこへいったのだろう。選ばなかった人は消え選んだ赤い傘だけが残る。(月波与生)

大根の下半分を好む鍋 みおうたかふみ
 ~大根は上半分が好き派と下半分は好き派とあるらしい。一般に上半分は甘味があるのでサラダに、下半分は辛味が強いので煮物にいいとされるが、さて。(月波与生)

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◆ 第104回句会報ダウンロードはこちらから

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