さみしい夜の句会報 第130号を発行しました

さみしい夜の句会
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さみしい夜の句会報 第130号(2023.8.13-2023.8.20)

第130回の参加者は75名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。

「さみしい夜の句会」に参加してくれている人が独自に句会を立ち上げたり勉強会を始めたりアンソロジーを編んだりとすいぶん賑やかになってきました。また「らくだ句会」のようにリアル句会のネット配信もフツーに行われるようになりました。なかなか作品の量産はできませんができるだけ関わりながら一緒に盛り上げていきたいと思います。引き続き句会をよろしくお願いいたします。

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◆ 参加者(75名)

しまねこくん、石原とつき、雪上牡丹餅、海馬、Moon、菊池洋勝、何となく短歌、はゆき咲くら、水の眠り、syusyu、上崎、おかもとかも、西脇祥貴、とるばどーる、元さん、Take、西沢葉火、鴨川ねぎ、雷(らい)、宮坂変哲、汐田大輝、ぱさ、涼閑、馬勝、萬某、みおうたかふみ、蔭一郎、りゅうせん、石川聡、さー、人見弐一、あやめ、hyuutoppa 突波、ダリア220、しろとも、温(ハル)、星野響、Tatsuo Kanase、片羽anju 雲雀、donkey、crazy lover、凪ちひろ、射場弓、花野玖、太代祐一、砂原妙々、蜜、東こころ、修平、奥 かすみ、藤井皐、カゲキ・ちゃけぞう、む〜みんママ、赤端独楽男、藤井智史、いずみ、霧雨魔理沙、*紫陽花*、もん、霧、ほたる、岡村知昭、もふもふ、まつりぺきん、佐竹紫円、mugwort、Born Slippy(モンモン)、moca、saku、M*A*S*H、あおいひなた、しげる、霧島あきら、月波与生

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◆ 7・7、5・7・5 (川柳・俳句)

缶ビールコロコロ独り夢芝居 藤井智史

人嫌いで沸騰してるいつもの海 海馬

生かされて四半世紀の蝶の夢 片羽雲雀

台風に家系図があり世襲あり しまねこくん

台無しは指から指へ寄りかかる おかもとかも

温暖化に負けない人魚ならここに 岡村知昭

エコバッグ将来何になりますか 海馬

羽虫から始める。明日は由比ヶ浜。 西脇祥貴

貴殿から螺鈿に渡るプラグイン 西脇祥貴

色街の葱はうなじに紅をさす いずみ

かがり火を焚いてひとつの旅終える 涼閑

非常ベル押せば鰯の眼が並ぶ 蔭一郎

棄権者の群れがベトベトからむ指 海馬

噺家がベン図で示す非国民 海馬

のび太ならどうするだろうと考える 海馬

1ペンス足らず滅亡する話 海馬

愛を持て北野武の銃を持て 修平

疑問符を口から飛ばす十五歳 修平

絵はがきに閉じ込められている逢瀬 東こころ

記録的自由恋愛後始末 おかもとかも

午後五時の洗濯槽と海の距離 上崎

音だけの花火/無実の盆踊り 上崎

蝶なのか原菜乃華なのか問題 雪上牡丹餅

ストライクゾーンクジラ一頭分外す 雪上牡丹餅

グレースけりをつけモナコ 西沢葉火

待つということてのひらに五大陸 西脇祥貴

サルビアを吸ったくちびる武井壮 水の眠り

XへR指定のさくらんぼ 海馬

あちこちのヒコーキ雲へ八つ当たり りゅうせん

スマホ曰く今日の予定はありません 雷

キャプテンの定義は少しずつ変わる 海馬

満足かいそうかいぬり絵の海でかい 海馬

挿し絵では水上バスがあったのに 海馬

さよならを今日いちばんの距離感で 上崎

てのひらの幅で ここからは夕方 上崎

仕方がないのでジョージ高野で許可する 石原とつき

リズミカルに公序良俗を乱す 汐田大輝

生物部の育てる夏の水怪し hyuutoppa

盂蘭盆会辛うじて納骨堂行く ダリア220

名残ごと連れていくよな秋出水 しろとも

「蝙蝠が 夏の季語だと 初めて知る」 Moon

敗戦国の缶切の要らぬ桃 菊池洋勝

事起こし逃げて来るなよ芭蕉林 syusyu

三割三分三輪車 西沢葉火

飛び込み台 君はイルカに なりきって 鴨川ねぎ

死んでなければ生きてると言えるのか? 宮坂変哲

病名で安心したい放屁虫 馬勝

ペコちゃんに頭を下げて渡る道 さー

朝顔に絡まれて立つセフィロト樹 星野響

触れ回るツァラトゥストラの影の中 Tatsuo Kanase

新月の夜に誓ったはずでしょう? Donkey

やさしさを取ってつけた彷徨い人 crazy lover

およばれの頃合ひ計るましら酒 花野玖

絶縁の夏おもいつつ舌下錠 太代祐一

君はきっと殺風景にはえる草 砂原妙々

蝋燭の灯りのような笑い方 藤井皐

乾杯を家族で交わすが言葉なし カゲキ・ちゃけぞう

さよならも言わず会えなくなった人 む~みんママ

粗熱が取れても寒天置きっ放し 赤端独楽男

不条理を 七十八の 歳数へ 霧雨魔理沙

白木槿 あの世の猫よ 訪ね来よ 霧

すれ違う心のようなターミナル ほたる

少女なる祖母盲たりプルメリア あやめ

終戦の日の思い出はがらんどう もふもふ

やぶれたの そしておわった紙風せん まつりぺきん

祖父のこゑ知らず八月十五日 佐竹紫円

蝉爆弾は遠くに炸裂せり mugwort

赤ちゃんと一緒に生まれたのが桃 M*A*S*H

消しゴムで消えない顔になりました 月波与生

黙祷が終わってもまだ15日 月波与生

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◆ 5・7・5・7・7(短歌)

これもまた私一人のハイライト橋を渡るか踵を返すか 何となく短歌

買い出しを腕にかかえた跡消えてゆくまでずっとしっぽ振る 待て はゆさく

流行りかな同じ顔した美男美女フィルターごしの素顔はなぞで 水の眠り

コミュ症と伏線張れば傷付かず挨拶からも逃げてるあんた とるばどーる

青空と水平線の向こう側彼方を眺め瞳で泳ぐ 元さん

靴の中小石が入っている様なザラザラゴロゴロ心の中は Take

たくさんの伝えたかった愛があり今たくさんの後悔がある ぱさ

昨日には一歩進んで二歩下がり三歩進んで今一歩下がる 萬某

俺以外男全員滅びてもあの娘は俺を選びはしない 宮坂変哲

僕はもう追いかけはしない君の走る夏の日の砂の足跡 人見弐一

おくりびはぼくらのはなびさよならさよならさよならさよならさよな   谷川リュカ

心臓がイヤホン乗ってこだまする静けさのなか月雲に消ゆ 射場弓

傷ついた 傷つけあった口のまま瘡蓋みたいに言えないおはよう 奥 かすみ

突然の別れ話の戸惑いを巻き取りながら(落ち着け)パスタ 石川聡

もう2度と会わないと君に話して2人は花火に驚くふりして *紫陽花*

沈黙の12時響く飲み物の落下する音PayPayの音 もん

吹き荒む風を肌に感じながら煙草吹かしてこの夜の最期 比島アルト

真夏でもホットを選ぶ人でした笑ってごめん愛してたんだ 月色萌果 

思い出は 事実をまぶした紛い物 そんな気がする 今日も思い出 saku

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◆ 詩

誰かが 誰かを
想う時
案ずるとき
愛が羽根をつけ
飛んでくる
其れは
幸せな時間 (温(ハル))

頼り無い
三日月のよな
細い目で
薄っぺらな謝意
しゃなりしゃなり (蜜)

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◆ 作品評から

人間の顔には興味なくて夏 東こころ
 ~毎日何百何千と見てる人間の顔であるが夜ひとりの顔も思い出せないのはよくあること。でもみんな「そんなことないよあなたを覚えてるよ」と言って暮らしている。面白い。(月波与生)

 ~「人間」ではなく「人間の顔」に興味が無いという夏。心地よい声なのか、やさしい指先なのかもしれないが、人にはいろいろな場所がある。雨であったり、暑かったり、なにかと顔が見えない夏だ。(みおうたかふみ)

かなかなやようこさんだけ返事して syusyu
 ~〈ヨーコさんはうちに帰ってしまわれた 徳田ひろ子〉なにかと句に登場してくるようこさん。活発で行動的な女性を連想させるのだろう。実際のようこさんとは別に。(月波与生)

てのひらの幅で ここからは夕方 上崎
 ~身体の部位を詠む、ある意味伝統的な手法をメインに据えている。その上で空間把握→幅、時間把握→夕方という二つの要素を境界感覚→ここからは&一字空けで束ねあげている。典型的「思い」を詠まずとも、神経に触れる事象の認識の瞬間を巧みに切り取れば、魅力的な川柳に!(石川聡)

甲子園がネーミングライツで茜丸どらやき球場になったらやだな たろりずむ
 ~八月は「原爆忌」やら「敗戦忌」やら国民全てが黙祷の雰囲気になるが、「でもさあ…」とか個人的にヤなことを言える人が増えてほしい。(月波与生)

きれいな手を見せて乗車拒否に合う 海馬
洗濯しても色っぽい 西沢葉火
 ~句会報の並びはランダムであり(選はしてあるが)順番に選者の思惑はないが改めて読み直すと連作で一層面白く感じる作品が少なくない。(月波与生)

死んでなければ生きてると言えるのか? 宮坂変哲
 ~あ、いまそれ仕事前はいつもそれ 給料日に額をみて1番思うのもそれ(あおいひなた)

生かされて四半世紀の蝶の夢 片羽雲雀
 ~佳い句です。(しげる)

買い出しを腕にかかえた跡消えてゆくまでずっとしっぽ振る 待て はゆさく
 ~すてきなお歌ですね!買い出しから帰ってきたときの情景がすっと浮かんできました。場面や時間の切り取り方がすごいです。(霧島あきら)

満足かいそうかいぬり絵の海でかい 海馬
 ~すごいきゅんきゅんしています。(西脇祥貴)

爺ちゃんは初めましてが多いよね幼き姪がまっすぐ笑う こたろう
 ~「初めまして」は孫が言うべきなのだけど爺ちゃんとの距離感がわかって微笑ましい。後半が説明的なのが残念。(月波与生)

重力のないときもある秋の風 汐田大輝
 ~空気と同じように普段はあることすら意識していない「重力」を「ないときもある」と繋げていくのがとても魅力的だ。「秋の風」の着地点も句の重さに合っている。(月波与生)

黙祷が終わってもまだ15日 月波与生
 ~15日から後の方が大変だったのかも?新たに始めなければならない。8月の残暑も厳しい。などなど、思いを巡らせました。(donkey)

疑問符を口から飛ばす十五歳 修平
 ~もう戻れない青春時代の瑞々しさがあって好きです。遠い懐かしさを感じます。(石川聡)

音だけの花火/無実の盆踊り 上崎
 ~なんかちょっと/を両側から押すような、フレーズ同士の圧を感じます。圧の源は「音だけ」と「無実の」から来る不穏さかも知れません。繰り返し読んでいるうちに、「無実の」が「無音の」に見えてきて、更に怖くなりました (石川聡)

貴殿から螺鈿に渡るプラグイン 西脇祥貴
 ~プラグインすれば繋がるはずなのに「貴殿から螺鈿に渡る」のフレーズを作っている各品詞が(通常の意味伝達の機能として)全然繋がらないところ、面白くて川柳味を感じます(石川聡)

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◆ 第130回句会報ダウンロードはこちらから

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