さみしい夜の句会報 第170号を発行しました

さみしい夜の句会
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                 UnsplashAngela Compagnoneが撮影した写真

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さみしい夜の句会報 第170号(2024.5.19-2024.5.26)

第170回の参加者57名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。

発行人の諸事情により発行が遅れておりました『さみしい夜の句会』第3集はようやく校了することができました。遅くても6月中旬には発売できそうです。ホッとしております。そして句会も170回(週)を超えました。年内の200回が見えてきましたが皆様の参加があっての句会です。作品のご投稿をお待ちしております。

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◆ 参加者(57名)

石原とつき、平松泥沸、メタル麺、何となく短歌、しまねこくん、水の眠り、帰ってきた笛地静恵、小沢史、ハッカ飴、syusyu、エミリー・メープル・ボーン、西脇祥貴、クイスケ、おかもとかも、かれん、西沢葉火、もりや、りゅうせん、白薔薇、輪井ゆう、汐田大輝、石川聡、宮坂変哲、佐竹紫円、ユミヨシ、東こころ、胡椒 黒、海馬、花野玖、古城エッ、蔭一郎、まつりぺきん、天乃ふみ、まる、菊池洋勝、靈夢、たろりずむ、朝森たけ、くろさわたお、souko守宮、岡村知昭、片羽 雲雀、もふもふ、涼閑、みさきゆう、もくめ、こう、みずほ、半岬チロ、大迫秀雪、とるばどーる、やーま、母ちゃん、ろうる、ぐりこ、古井 朔、月波与生

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◆ 川柳・俳句

五線譜を頬に描かれてしまうなり 海馬

ひなげしやみな仲よしのふりをして syusyu

網戸あけ白き手たれを招き入れ syusyu

いつかアルマジロになろう三日だけ 岡村知昭

飛魚はそらにめまいをおぼえけり 蔭一郎

生足の裏へ平らなニューヨーク 帰ってきた笛地静恵

やせすぎの少女詩集のさみしさや 帰ってきた笛地静恵

自己紹介で曇るあんぱん おかもとかも

お祝いに送ってくれた裏通り まつりぺきん

ひやむぎが互いちがいに踊る沼 汐田大輝

星落ちるハッカの匂いさせながら 汐田大輝

刻々と忘れてしまう蝶の遺書 りゅうせん

伸び切つてからがパンティー黒揚羽 しまねこくん

(誕生日、藤を引きずりながら往く) クイスケ

ラブレターを失くして帰宅難民 輪井ゆう

環状の犬に首輪を付けてみよ 平松泥沸

巻き戻す葱のにおいのところまで 小沢史

汗染みに直接届く蝶の舌 白薔薇

柵中の原爆ドームにも烏 もくめ

   *

毎日のエストロゲンを恋文に エミリー・メープル・ボーン

主文ではないただの中島みゆき 西脇祥貴

さびしさにライスペーパー消去法 かれん

執行裕也やや内田 西沢葉火

今日までは美味しいと思ってたテンヤ もりや

顔だけは年老いているヘラクレス 宮坂変哲

気の淀み許すことなき青葉かな 佐竹紫円

共通のひみつが増える初夏の夜 東こころ

また君と出逢ふ気のして風青し 花野玖

君にとっても眠れない夜でありますように 天乃ふみ

俳優の訃報と声優の不法 たろりずむ

重ね着をしても拍手が鳴り止まぬ くろさわたお

青嵐ライダーはみな五十代 souko守宮

鱗剥ぐ赤い鎖のネックレス 片羽雲雀

このままじゃ ますます駄目に なってゆく 靈夢

真夏日は サウナで脱水 生ビール もふもふ

わたくしという現象の深い息 涼閑

眠れないので前髪切ってゐる 半岬チロ

   *

「いちにちにひとつこだまをはく時間 月波与生

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◆ 短歌

おじさんに「い」をかくされたおじいさん一筆啓上で酒盛りをする 水の眠り

顔色がクルクル変わるわがままな色標本とし眺めていたい 水の眠り

病床でもらったサンゴのブローチを喪服につけて会いにゆきます 水の眠り

失恋を言葉にすると「この道を2度と運転しないということ」 ハッカ飴

カラコンのドットがばれそうよそ事を考えているせっかくのキス 胡椒 黒

私が死を思わなくなった時、空に小鳥は飛ばない気がする ユミヨシ

木漏れ日の粒が揺らめく首元に糺の森の風の吹くとき みさきゆう

   *

電波塔ゴールドリバー恋鴉なきべそぼーい どれもみな塵 メタル麺

無表情 無味乾燥 無知蒙昧 無いものばかり持て余してる 何となく短歌

一心に草抜かなくちゃ手強いぞスベリヒユの根のイノチ・ボンバイエ 石川聡

一人夜に 空は陰りて 雨呼びの風月と共寝もできず夜も更け まる

君の好き全部は受け入れられなくて心に澱が静かに溜まり 朝森タケ

雲を獲る 乗り出したから飲み込んだ割に合わない背伸びなのだと みずほ

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◆ 詩・短文

朝日が登ろうとも
 自分のためと思って用意されたもの
あの 4年ちょっと前までは
 訪問看護師やってんけど
人といることが さみしい
  ひとりの時間 幸せ(こう)

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◆ 作品評から

掘りゴタツ掘り進めれば夏祭り 平松泥沸
 ~冬を示す炬燵から夏祭りへと掘り進めることで季節を移動。「掘り」を上手く使っている。このような短詩をたくさん書いてほしい。(月波与生)
 ~記憶を掘り起こしていると、思わぬ場所へ到る。冬に使う掘り炬燵が、夏の祭に通底する。使わぬ炬燵は、板で四角く塞いでおく。座敷の穴になってしまう。危ない。笛、太鼓、踊りなどの練習で使ったか。畳の古い部屋が見える(帰ってきた笛地静恵)

おじさんの本だけ残る子供部屋 帰ってきた笛地静恵
 ~子供部屋おじさんのことだろか。おじさんの本とはどんなのだろう。「SPA]とか「週刊プレイボーイ」? が散乱している子供部屋のこと。(月波与生)

一心に草抜かなくちゃ手強いぞスベリヒユの根のイノチ・ボンバイエ 石川聡
 ~スベリヒユはお浸しにすると美味しいですよ(大迫秀雪)

網戸あけ白き手たれを招き入れ syusyu
 ~これは怖い。夏の夜。網戸が開く。白い手が部屋の中へ招き入れる。相手は誰か?分からない。白い手は誰の物か?それも不明。そして、この光景を見ているのは、だれ?またしても、何も分からない。ひらがな書きの「たれ」の不気味さ。緻密に組み立てられた小さな怪談。(帰ってきた笛地静恵)

ride on time 恥丘は柔らかい やは
 ~別館「#性愛句集倶楽部」にも佳句が多い。書いてみれば分かるが性愛句はかなり難しい。今後も継続して発表してほしい。(月波与生)

スペアキー同士でずっと助け合う りゅうせん
 ~スペアキーは予備の人であるが必要とされるのは危機的な時である。そんなとき「助け合う」人に救われる。さりげない「ずっと」が効果的(月波与生)

図書室の本は薄明薄暮性 まつりぺきん
 ~数万冊ある図書館の本は99%読むことのない、出会わない本で、そのことを「薄明薄暮性」と言ったのは面白い。ほとんどの人と出会わないこの世界もまた「薄明薄暮性」なのだ。(月波与生)

夏を起筆する兜太の句をえらび 石川聡
 ~石川聡さんは第1回目から欠かさず参加されているので毎週作品を読んでいて、最初の頃とだいぶ句の世界観が変わってきていると思う。(月波与生)

顔色がクルクル変わるわがままな色標本とし眺めていたい 水の眠り
 ~いい御歌です(とるばどーる)

れんびんれんびん狐に雨の匂いする 石畑由紀子
 ~「れんびん」は憐憫だと思うが独特のリズムが心地よい。<ひとりでに落ちてくる水 れん びん れん びん たぶんひとりでほろんでゆくの 蒼井 杏>という歌があることもはじめて知った。(月波与生)

「恋人でいるのを一旦やめよう」とバファリンと同じ成分の嘘 ハッカ飴
 ~「バファリンと同じ成分の嘘」が可笑しい。ところでバファリンで消える頭痛はどこへ行ってしまうんだろうね。(月波与生)

永遠は舌で探すとみつかるよ 奈津実
 ~「舌」というエロティックな部品と「永遠」をブレンドして中性的なイメージを持つ作品となった。「みつかるよ」が見つからないのを承知で書いて川柳的。(月波与生)

木漏れ日の粒が揺らめく首元に糺の森の風の吹くとき みさきゆう
 ~こんばんは。NHK短歌、掲載おめでとうございます。すごくきれいな歌だなって思いました。自然の美しさを凝縮させたような歌ですね。糺の森、恥ずかしながら知りませんでした。京都にある広大な森のようですね。鳥って本当に会話しているみたいですよ!蛇や鷹が来たぞとか。(やーま)
 ~素敵!素敵!今、N短テキスト見てました。ゆうさんのお歌を見つけて私も嬉しい。(母ちゃん)

病床でもらったサンゴのブローチを喪服につけて会いにゆきます 水の眠り
 ~おめでとうございます。実景なのですね。短歌で残すことで、宝物の思い出をかたちに変える31文字、素敵ですねぇ(ろうる)
 ~水の眠りさん、おめでとうございます。その方にもきっと届いていることと思います。(ぐりこ)
 ~水の眠りさん、大森静佳選、佳作掲載おめでとうございます。実景だったのですね。お話をうかがってから読み直すとまた、心により響くものがありました。その方もきっと喜ばれていると思います。素敵なお歌とお話をありがとうございました(古井 朔)

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◆ 第170回句会報ダウンロードはこちらから

第170回句会報(PDF)

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