さみしい夜の句会報 第128号を発行しました

さみしい夜の句会
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さみしい夜の句会報 第128号(2023.7.30-2023.8.6)

第128回の参加者は79名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。何度か書いていますが投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。

今週は作品へのコメントが多く編集して楽しかったです。作品を読んで「いいな」と感じたらいいなを言葉にしたコメントを入れてみてください。少し長めがいいです。しばらくすると自分の作品にもコメントが入るようになります。それはとても嬉しいことでコメントの言葉は作品を創作する上での力になることでしょう。引き続きよろしくお願いいたします。

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◆ 参加者(79名)

雪上牡丹餅、しまねこくん、saku、星野響、海馬、石原とつき、くみくみ、菊池洋勝、ゆう(かっしー)、まつりぺきん、水の眠り、何となく短歌、ひうま、徳道かづみ、mugwort、syusyu、西脇祥貴、あやめ、かのん、もん、Take、元さん、小沢史、岩瀬 百、おかもとかも、花野玖、西沢葉火、さー、みさきゆう、雷(らい)、短歌初心者、太代祐一、石川聡、輪井ゆう、萩原 アオイ、月硝子、モリマサ公、燕雀之心、高良俊礼、やは、えみ、ダリア220、ぱさ、温(ハル)、片羽anju 雲雀、上崎、白石ポピー、りゅうせん、佐竹紫円、涼閑、む~みんママ、萬某、Born Slippy(モンモン)、東こころ、奥 かすみ、蜜、蔭一郎、凪ちひろ、しろとも、森砂季、もふもふ、赤端 独楽男、雪うさぎ、なゆた、さー、はゆき咲くら、碧乃 そら、砂原妙々、とるばどーる、岡村知昭、鴨川ねぎ、かきもちり、鷺沼くぬぎ、一橋悠実、Kaorin、∠ちさめ、相馬絵梨子、月波与生

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◆ 7・7、5・7・5 (川柳・俳句)

励ましてくれる舌平目がほしい 岡村知昭

八月の胃が飾られるギフトショー ひうま

空き缶の中から男を見送った おかもとかも

むしろ自覚しかないクロワッサン 海馬

石鹸と陰毛によるパート主婦 西沢葉火

対岸と時差があるのね、百日紅 上崎

ナイターに背を向けながら帰路につく 水の眠り

百歩譲っても生八ツ橋止まり りゅうせん

白鷺の伸縮性は夜に似て 白石ポピー

形而下の穴に落とした塩むすび まつりぺきん

あめんぼうかれの破滅を望んでる ダリア220

源氏名が思い浮かばぬ柳かな モリマサ公

素麺を往復させる間柄 しまねこくん

暮れるとも駱駝の瘤にある西日 しまねこくん

微笑みの人に聞こえぬうたがある 輪井ゆう

食べられる粘土でつくる最後の晩餐 海馬

海沿いの付箋が特に売れやすい 太代祐一

急に蝉が鳴き止んだあとの脈拍 雷(らい)

あの夏も中華鍋なら仕方ない おかもとかも

クレームを棒でこねたらどうかしら おかもとかも

箱庭へ点滴の管下りてくる 小沢史

アルパカの首で深夜のマックまで 海馬

「ちび」で始まるぐつぐつネーム 海馬

追いついてきなよ小銭をこぼすから 海馬

河骨と右手が月に濡れてゐる 雪うさぎ

戦争だ用意しました西瓜砲 雪上牡丹餅

祝報の増殖やまぬ熱帯夜 星野響

希塩酸の十三番目なイライラをすっぴん 石原とつき

年寄の首擡げたる月下美人 菊池洋勝

面倒な穴は塞いで眠りますかしくらゆう

ひまわりが証人である原爆忌 徳道かづみ

丸天井すぐ影の濃し原爆忌 mugwort

洗ひものかたし泣きたや夕顔と syusyu

チャウチャウが二頭でNevertheless, I beloved 西脇祥貴

夏の旅 ひとりのカフェも 目的地 かのん

絵に描いたような犬用歯磨き粉 もん

わたしの傘だけやたらはためく 岩瀬百

あさきゆめ蒲の穂絮の床に入り 花野玖

藍浴衣傍目ばかりに涼を呼び 月硝子

感情が言葉を過ぎる頃に雨 高良俊礼

19時半の終わった世界 やは

ぐちやぐちやも紛る忘らる蝉時雨 片羽雲雀

ちぎれ雲千切れたままの夏ま昼 涼閑

iPhoneを情けない程日に当てる もん

さみしくて今夜の三日月は嫌い 東こころ

日本地図今日のラジオの場所はどこ さー

運動は原則中止みなみかぜ 蔭一郎

ゆうべごとファンデーションで塗りつぶす しろとも

生煮えのセミを見届けヘイヘイヘイ 森砂季

二度とない夏ヤングケアラーに捧ぐ もふもふ

藪分けて山百合夜の暑に開き 赤端 独楽男

熱が去る夜の隙間を猫が去る 砂原妙々

夏の雲母を見舞った帰り道 とるばどーる

干乾びた僕の心に除草剤 鴨川ねぎ

踏切の赤と鼻緒の疼くとき みさきゆう

相席もいいね東京ロマンチカ 月波与生

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◆ 5・7・5・7・7(短歌)

病室にトリコロールの夏の雪ぽっかり浮かぶ鯨の雲と みさきゆう

信じてるふりって大事かろうじて紡いだ糸を切らないように みさきゆう

幸せでなくてもいいよ、探すのも疲れるでしょう?ご飯は食べた? みさきゆう

矢のように過ぎ去るばかりの毎日をスピードガンで日々計測す 何となく短歌

選択を全て間違え来たようなそんな気分の夜の入り口 Take

ん?って訊く時だけ少し近くなる 自習室には冷静が住む奥 かすみ

弁当箸忘れ箸のためカップラ買う瞬間に身を灼く太宰治感 石川聡

ざらついた床が腿うらはりついて額縁の海夏の雪かな 水の眠り

靴の中で泳ぐ指 濡れたデニム 日傘じゃ凌げない雨が降る saku

風死して紮げた裾の薔薇こぼす他人行儀な窓辺の天使 あやめ 

水しぶき南の風で踊る波夏が描いた海のイラスト 元さん

混みすぎてなんも買えずにマック行き下駄を脱ぎつつハッピーセット さー

ゴミ箱に捨てた卒業アルバムの中には君の写真もあった 短歌初心者

愛を訊く5歳児に言う「だいすきの、もっとすきよ」と桃を剥きつつ 萩原 アオイ

生きることが 走り続けることなら 方向ぐらい自由でもいい 燕雀之心

酔ってする深夜の散歩きっかけに零れる言葉とてもまっすぐ えみ

嬉しくてああ嬉しくて最期には染められていく夕凪の君 ぱさ

その声に見える光の儚さにこの瞬間の愛しさを知る 佐竹紫円

思い出は今日も美化され育ちつつ心の中を闇が蝕む 萬某

ベランダで上がる花火を眺めつつ夏の終わりが遅れて届く 比島アルト

愛してる香箱坐りの猫に言う百年たったら迎えにくるわ 蜜

夏だから走り続けるしかないね受験も育児も天王山 凪ちひろ

夜の真ん中であの日の船で寝ている音がする む~みんママ

短夜の 明けたしとねに 脱ぎ捨ててゆく 未練未練の 恋衣 なゆた

久方の煌めく華に腕ふるい卓を彩る母の姿よ はゆさく

誰の目に留まらなくてもここにいる 僕の咲かせた茉莉花が香る 碧乃 そら

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◆ 詩

他愛もない話しや
胸のうち
話せたら楽やろな。
もう疲れちゃったよ。(温(ハル))

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◆ 作品評から

病室にトリコロールの夏の雪ぽっかり浮かぶ鯨の雲と みさきゆう
 ~トリコロールの夏の雪…!病室というところから理容師のサインポールの由来(動脈、静脈、包帯)を思い出しました。色彩の豊かさとは裏腹に、雲への視点の移動、その雲の大きさ、「ぽっかり」という言葉から何かしらの大きな喪失を感じました。(かきもちり)

ざらついた床が腿うらはりついて額縁の海夏の雪かな 水の眠り
 ~座り込んで海を眺めているのでしょうか。汗ばんだ腿裏に張り付く砂と夏の雪のリンク、額縁の海、という語が印象的です。夏といえば賑わうはずの海に、冬のような静かさを覚えます…。
素敵な歌をありがとうございます(かきもちり)

「ちび」で始まるぐつぐつネーム 海馬
 ~ぐつ ←このキャラすごい気に入られたんですね……。。。(西脇祥貴)

暮れるとも駱駝の瘤にある西日 しまねこくん
 ~フタコブラクダなら月も入れられますね〜
月は後に日は前に…??(鷺沼くぬぎ)

追いついてきなよ小銭をこぼすから 海馬
 ~瞬時に、テレビアニメ「忍たま乱太郎」のきり丸を思い出しました。お金に目がないきり丸。“追いついてきなよ” と言わなくても、小銭のこぼす音を聞いただけで「コゼニ、コゼニ~!!」と飛んで来ます。(一橋悠実)

満たされぬ花瓶の割れてきみの目の沖にヨットが一艘浮かぶ 蔭一郎
 ~「きみの目の沖にヨットが…」のところで「Look for the girl with the sun in her eyes And she’s gone」が聴こえてきた。LSD。(月波与生)

忘れた頃にほのぼのしてやろう 海馬
 ~少子高齢化で「ほのぼの感」が減ってしまった。大人ばっかり(老人だらけ)になって椅子取りゲームが終わらない。たまには西岸良平でも読んでほのぼのしてやろう。(月波与生)

嬉しくてああ嬉しくて最期には染められていく夕凪の君 ぱさ
 ~返歌をありがとうございます☺︎
「最期には」が好きです。主体と「君」の存在が切なくも嬉しく感じます。(みさきゆう)

形而下の穴に落とした塩むすび まつりぺきん
 ~おむすびころりんがモチーフなのかなと思いました。
形而上の穴に落ちたおむすびについて考えてみたんですが、抽象的な存在になって見えないのに、落ちることはできている事に気づきました。重さがある、ということはまだギリギリ持つ事はできるのかもしれません。そして持てる、ということは三角形だという事もわかるかもしれません。塩むすび、まだ完全に抽象にはなっていないようです。ところで形而上の「而」の字、縦線が4本ありますが、ちょっと漫画の記号みたいですね。→ IIII下に落ちていく時の漫符のようで面白いです。物を抽象的な存在にしたり、そこから重さだけを残したり?と楽しくて不思議な句です。味はまだあるのかちょっとたべてみたいですね(森砂季)

「わたしはね、ぺトリコールの方が好き」手のひらとひら宇宙を包む みさきゆう
 ~雨が降ったときの匂いを「ぺトリコール」と言うとは知らなかった。ディーリアスの組曲「丘を越えて遥かに」を聴きたくなった(月波与生)

同じもの食べる秘密をつくる日に 東こころ
 ~〈よいにおいふたりで嘘をついたとき 久保田紺〉を思い出す。恋人と友達の違いは二人だけの秘密(嘘)を持ててるかどうかなんだとわかる。ふたりだけの秘密ありますか? (月波与生)

ナイターに背を向けながら帰路につく 水の眠り
 ~わたしが読んだ季語「ナイター」の句で、いちばん感銘をうけました。野球が嫌いなわけではない、しかしすごく好きというわけでもない。野球に興味がなくても「ナイター」の喧騒にはなぜか惹かれるものがある。路地裏の家からの中継の音だろうか、それとも帰路に球場があるのだろうか。(蔭一郎)

対岸と時差があるのね、百日紅 上崎
 ~上崎さん、記号も手出しはじめはったな。。。(西脇祥貴)

さあ、夢と現実どちらで先に会えるでしょうか 羊が一匹 しろとも
 ~「羊が一匹」で「そっから始めんのかい!」と突っ込んでしまった。人は眠れない夜はみな羊を数えるのだろうか?などと考える眠れない夜。(月波与生)

夏の夜影しか知らぬ人と会う かしくらゆう
 ~「影しか知らぬ人」と言い回しに情を感じる。ほとんどの人は「影すら知らぬ人」だから。また「夏の~」が怪談であることを暗示させてもいる。(月波与生)

信じてるふりって大事かろうじて紡いだ糸を切らないように みさきゆう
 ~この歌すごく好きです!(Kaorin)

赤信号ブレーキランプ降車ボタン赤い光に囲まれる帰路 何となく短歌
 ~映像的な瞬間をうまく切り取っている。「赤い光」は先行きの安堵感なのか不安感なのか、読み手の体験を想起させることで映像は広がりを持った。(月波与生)

おつぱいの中に住んでる油蝉 しまねこくん
 ~〈オッパイの裏は揚羽の休憩所 坂本勝子〉の披講を聞いてびっくりしたことを思い出す。夏はおっぱいに昆虫を隠すには適した季節なのか。さぞかし鬱陶しいことだろう。(月波与生)

幸せでなくてもいいよ、探すのも疲れるでしょう?ご飯は食べた? みさきゆう
 ~個人的に、ガシッと心臓を掴まれました。ありがとうございました。(∠ちさめ)

踏切の赤と鼻緒の疼くとき みさきゆう
 ~だいすき(相馬絵梨子)

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◆ 第128回句会報ダウンロードはこちらから

第127回句会報(PDF)

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