さみしい夜の句会報 第78号を発行しました

さみしい夜の句会
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さみしい夜の句会報 第78号(2022.8.14-2022.8.21)

第78回の参加者は91名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。

川柳は他に比べて小さな文芸です。森林と公園林くらい違います。湖と水たまりくらい違います。砂漠と砂場くらい違います。なので個人的には「川柳はひとつ」で活動してます。ブログでも公募川柳から小難しくてよーわからん川柳まで横に並べて語っています。間口全開にして見ている。自分と合わない川柳を排除してしまうのを回避するためでもあります。

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◆ 参加者(91名)

太代祐一、宮坂変哲、似鳥、菊池洋勝、西脇祥貴、−恷庵−、しまねこくん、najimi、達毘古、月硝子、白水ま衣、藤井皐、syusyu、みや、コネコノビッチ、唾、風池陽一、水の眠り、輪井ゆう、天やん、Millicent.AlmondMilkLatte、海馬、玖、ヤマダリツコ、弌定住佳、おかもとかも、抹茶金魚、雲上晴也、たなかゆみ、雷(らい)、まつりぺきん、あ、汐田大輝、石原とつき、星野響、なゆた、ちゅんすけ、小沢史、涼閑、鴨川ねぎ、日下昊、翠川蚊、日月星香、桔梗菫、旦悠輔、和泉明月子、東こころ、生・存、岡村知昭、森川のと、蔭一郎、haruwo、hyuutoppa、fuu_、せば、向坂澪、電車侍、crazy lover、思雨、HAKUBUKI、Ryu_sen、夜想詩人、池田吉輝、不可思議世界、高良俊礼、岩瀬百、愁愁、涼、𝒮𝓃𝓊𝒻𝒻𝓀𝒾𝓃、西沢葉火、高瀬二音、石川聡、さぶきち、風花(かざはな)、徳道かづみ、棚場田敦也、岡佳子、たろりずむ、上峰子、茶熊さえこ、以太、かなず(梨山 碧)、さとすぃ、ゆりのはなこ、楢崎進弘、蓮華、木野清瀬、森内詩紋、恋を知ったきみに詠む、名犬ぽち、詩月波与生

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◆ 7・7詩、5・7・5詩

走馬灯どの瞬間もきみがいる 似鳥

ピストルを丁寧に咀嚼して返す 藤井皐

ぼくは犬派と決めておく砂時計 海馬

ラジオネーム「玉音放送聞きました」さん 海馬

四人に一人経験す初茄子 菊池洋勝

自分から切らない電話のような雨 Ryu_sen

お爺ちゃんが大人の階段を下りてきちゃった たろりずむ

勝つか負けるかの問題じゃないペヤングだ 白水ま衣

ペヤングを食べて擬音語になる 白水ま衣

掌返してsince S20 まつりぺきん

軸足に蝉がとまってから独り ちゅんすけ

三つとも冬瓜なんて選べない しまねこくん

蓑虫の蓑に通したカテーテル しまねこくん

あれはダ・カーポですかいいえ蝉です 海馬

遺書を書くすべてを灰にせよと書く  かづみ

コンタクトレンズをつけるときの湖(うみ) 太代祐一

長兄のサブタイトルが決まらない Ryu_sen

絶世の叔母で人食い鮫である 岡村知昭

釜めしの蓋のぶぶんは反面教師 海馬

祖父を出た水が過去から降ってくる 西脇祥貴

壊疽ですが塗れば話芸と言えますか 西脇祥貴

秋風に揺れてカラカラ鳴る奥歯 鴨川ねぎ

逆さまにするとバナナになる祝辞 白水ま衣

ユカタン半島のこだわり置いとくね 太代祐一

おてもとに気をつけなさい偸むから 太代祐一

人間の囀りは、だってさ、耳の奥 海馬

わたくしのプリンを崩す地動説 ちゅんすけ

往復に一時間かけ流れ星 しまねこくん

ハンサムの頭上に雲が集まって 太代祐一

遡上するまるでまるでまるでまるで おかもとかも

サイレント映画に猫たちの食事 コネコノビッチ

要約をすれば全ては茄子である 白水ま衣

ありがとうって言われてジャングルジムになる 白水ま衣

廃校のプールで釣れる魚かな 菊池洋勝

秋鯵が命乞いするベイルート あ

属性を断てば銀杏がさらさらと 高良俊礼

秋みょうがにょこにょこふえてゆく空き家 石川聡

秋陰やいつしか傷もかゆくなり 小沢史

嘘をつけ俺たちみんなヒト科だろ 達毘古

ちちははの気配ないまま魂送り 達毘古

夏の果ジグザグにスターダスト誰 najimi

御山洗記紀が隠したあれやこれ 月硝子

噴火待て待てよと御山洗かな syusyu

生まれ変わったらサクレの「サク」になる 唾

滝しぶき滝に滝ある瀑布かな 風池陽一

渚ゆう子の歌を聞きたい夜 水の眠り

遺跡にはなれない家のうずたかい 輪井ゆう

秋風や錯乱した人間の後遺症 天やん

忍び音や姿を隠す秋の蝉 玖

年の功恋心には役立たず 弌定住佳

便器から出てきたような未来感 抹茶金魚

秋暑し掛かり付け医はまだ休み 雲上晴也

詩を書き直してひとり整う 雷

クーデター起こす相談銀河濃し 汐田大輝

ぽっかりと宇宙の果てに水蜜桃 星野響

残り香の紅消えて射す朝陽 涼閑

しゃがみ込んで恥じらいつつ爪紅 日下昊

漏洩をごまかす無限旋律 翠川蚊

炎天の下は出ないと決めた日々 日月星香

晩夏でも汗つたう勤務の最中 黎明

17は素数割り切れない思い 旦悠輔

憧れた月をさわればただの石 東こころ

草虱もジェンダー論を語つて 生・存

秋鯵を抱きフラッシュを浴びている 蔭一郎

ゆく先に降るかなしさは秋の蝶 haruwo

秋茗荷老ひとは匂ふことであり hyuutoppa

この夏も去り、行く fuu_

秋の夜や風呂上がりには目の覚めて せば

小雨の夜網戸の蛾二つ睦まじき 向坂澪

酔芙蓉 歯医者に向かう 道すがら 電車侍

夢にさえ 気配も見せず 盆なれど 思雨

ひとしきり泣いた鬼の子黙る朝 不可思議世界

白壁に立て掛けられた轡虫 岩瀬百

つかまえた紡錘形の郵便夫 愁愁

大雨で夜の道路が川のよう 涼

咳をしてもしなくてもひとり 𝒮𝓃𝓊𝒻𝒻𝓀𝒾𝓃

しみじみと生八ツ橋を振り返る 西沢葉火

ガラス窓突き抜け雷に私撃たれるかも 高瀬二音

懐かしいきみの手のひら秋茗荷 風花

僕はただあっけらかんとしていたい 棚場田敦也

ヘルメット射る残暑かな工事中 岡 佳子

懐に入つてわかる一途 茶熊さえこ

去勢後は種の保存に役立つ人 以太

皆殺し歴史としても青嵐 かなず

蓑虫のままであなたは海になる さとすぃ

夏の終わりみたいな花火が上がる ゆりのはなこ

ゆふがほのほつほつ咲くやうな悪夢 上峰子

前戯もないままで桃缶を開ける 月波与生

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◆ 7・7、5・7・5以外の短詩

なたにはあなたの正しさわたしにはわたしの正しさ正の字数える さぶきち

「偶数と奇数、どちらが多いの?」……「もう電話しないでね」 石原とつき

怪しげな目覚まし時計ふっかつのじゅもん唱える月曜の朝 宮坂変哲

指を指し 人を嘲笑う人達は よほど自分に自信あるのね −恷庵−

月光の翳りはうすく夜のなか愛しいひとを連れて囁く みや

私には言葉があると心から生まれを喜ぶ歌を読みつつ Mil

腕の怪我の包帯をひとりで巻けるようになった夜 ヤマダリツコ

ガラガラと何かが崩れ落ちる音彼と築いた愛の塔 たなかゆみ

温かな言葉を探して本開く愛から遠い私の為に 和泉明月子

空っぽの胸がどうにも痛いから遠いあなたの前に立ってる 森川のと

初盆の礼義礼節慣わしと気持ちたいせつおかえりなさい crazy lover

朝ぼらけ夢の続きに星が散る夜明けを日暮れと見紛う惑星 夜想詩人

明けないで 朝が来るのが 怖いから やさしい夜よ 寄り添っていて なゆた

いくつものマトリョーシカを取り出して最終的に宇宙を摑む 蔭一郎

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◆ 詩

『ダメなやつ どこに行っても ダメなやつ』
おかわり
『結局 どこに行っても ダメなやつ』
ボクボク
そんなことばっかりなので、こんな仕上がりです(HAKUBIKI)

近所に住む優しいおじさんが、
沿道にヒマワリを咲かせていた…
通学路
ひまわり植えて
笑顔咲け (池田吉輝)

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◆作品評から 

孤独死の現場はドンキみたいだね ゆりのはなこ
 ~掃除が出来てない雑然とした部屋のイメージが「ドンキ」が連想させたのだろうか。子どものつぶやきのような語り口も怖い。(月波与生)

壊疽ですが塗れば話芸と言えますか 西脇祥貴
 ~ん~ 肉体芸かなぁ。榎本健一的に車椅子でバクテンとか。(楢崎進弘)

嘘をつけ俺たちみんなヒト科だろ 達毘古
 ~よきよきよき〰はい、私もヒト科異種族です(蓮華)

秋風や錯乱した人間の後遺症 天やん
 ~錯乱が後遺症、いや錯乱のさらに先に後遺症があるのですか。えぐいですね(向坂澪)

風鈴や嘘が上手くて風の神 木野清瀬
蛇苺詩人のくせに下手な嘘 馬勝
 ~嘘が上手な人(神)と下手な人。上手に嘘を付いたと思ってもたいがいはバレている。気づかないフリをしている人が一番嘘が上手い人。(月波与生)

秋陰やいつしか傷もかゆくなり 小沢史
 ~治りかけはついつい掻いてしまって痕を残してしまうもの。年をとるとなかなか消えません。もっと年をとるとどれがどの傷だったのかきっと記憶も曖昧に。どうしてあんなに泣いたのでしょう。もう秋がやって来ます。くれぐれも掻きむしらずに待ちましょう(木野清瀬)

東京はまだ翼竜であるらしい 西脇祥貴
 ~「らしい」が句の力を弱くしている。ここは言い切った方がいいところ。〈埼玉はすっかり北京原人だ〉というように。(月波与生)

腕まくら明日スープになる冬瓜 高田月光
 ~まくら→冬瓜の連想と、明日消える冬瓜→腕まくらをしてくれる人、との連想が対になっている。冬瓜は老廃物(過去)排出を促す作用があるのでくよくよすることもない。(月波与生)

いくつものマトリョーシカを取り出して最終的に宇宙を摑む 蔭一郎
 ~内の内の内の内……その最奥にある果てない宇宙。その手にそれを掴む時に、作中主体の内奥の深いところまでもが掴み出されるのかもしれない。(森内詩紋)

あの夏の入道雲は骨の色 まつりぺきん
 ~骨の色は「白骨」というように白を連想するが骨上げで見るときは必ずしも想像したような白ではない。伝えきれない白を言葉にするとき「入道雲」は相手に響く言葉になるだろう。(月波与生)

ちちははの気配ないまま魂送り 達毘古
 ~ごめんなさい、笑っちゃいけないのだろうけど、笑ってしまいました。ちょうど私も、亡くなった家族の気配ないなぁ、ちゃんと帰って来てるのかなぁって思ってたので(恋を知ったきみに詠む詩)

広告は個人の感想ですオクラ しまねこくん
 ~最後に「オクラ」と言い放つが句のどこにもオクラのことは書いてない。〈星型〉とか〈ネバネバー〉〈夏バテ対策〉とかオクラの持つイメージはすべて個人の感想なのである。(月波与生)

蓑虫の蓑に通したカテーテル しまねこくん
 ~父さんしっかりして。(名犬ぽち)

ラジオネーム「玉音放送聞きました」さん 海馬
 ~*SIGH*……。。。(西脇祥貴)

半音を上げると鯨は夜になる 白水ま衣
 ~「半音・鯨・夜」でバランスのいい句になっています。この中のどれかを逸脱させると、もっと面白い句かつまらない句になっていきます。お試しあれ。 (月波与生)

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◆ 第78回句会報ダウンロードはこちらから

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