さみしい夜の句会報 第127号を発行しました

さみしい夜の句会
スポンサーリンク
スポンサーリンク

さみしい夜の句会報 第127号(2023.7.23-2023.7.30)

第127回の参加者は72名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。何度か書いていますが投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。

本句会に1回目から参加されている西脇祥貴さんが『川柳スパイラル』18号に「ネット川柳歩き方」と題したネット川柳の紹介&批評を書かれていて「さみしい夜の句会」のことも取り上げています。内容は本誌を読んでいただきたいですが、何よりとてもいい選句をされていました。毎週この週報を発行してますので私も全作品には目を通していますが、西脇さんも全部読んでいるのだろうと感じました。きっと紹介したネット句会の作品はすべて目を通しているのでしょう。これはなかなか言うほど楽じゃありません。想像ですが古今東西紙媒体の句集もかなり読んでいることでしょう。

ツィートを読んでいると西脇さんの他にもネット句会に頻繁に投句されている人はみなさん本をよく読んでいると感心してます。自分が川柳を始めた頃は「川柳人は酒ばかり飲んで勉強しない。句集を読まない、自分が参加している柳誌すら読まない。AVじゃないんだから抜ける抜けないばかりやっていないでもっと勉強しろ」と言う人もいましたが、どうやら少しずつ少しずつ時代は動いていっているようです。わしらはゆっくりと酒を飲みながら袋廻しができそうです。(違う)

スポンサーリンク

◆ 参加者(72名)

何となく短歌、菊池洋勝、雪上牡丹餅、しまねこくん、汐田大輝、短歌初心者、ひうま、もふもふ、さー、佐竹紫円、萬某、汐音 葉月、石原とつき、Born Slippy(モンモン)、やは、しろとも、ダリア220、輪井ゆう、元さん、鴨川ねぎ、あやめ、おかもとかも、西沢葉火、星野響、海馬、雷(らい)、太代祐一、宮坂変哲、片羽anju 雲雀、蔭一郎、はゆき咲くら、西脇祥貴、syusyu、凪ちひろ、梓川葉、東こころ、教育、ツマモヨコ、涼閑、徳道かづみ、水の眠り、涼、hyuutoppa、石川聡、みさきゆう、奥かすみ、りゅうせん、くみくみ、流天、さくら、温(ハル)、岡村知昭、天やん、花野玖、なゆた、おたま、まつりぺきん、ATARI934、まめのすけ、ぱさ、燕雀之心、もりや、箸ニモ棒ニモ、む~みんママ、雪夜彗星、みや、とるばどーる、ゆりのはなこ、ゆう(かっしー)、むし、seiten=マジポン、月波与生

スポンサーリンク

◆ 7・7、5・7・5 (川柳・俳句)

夏の夜影しか知らぬ人と会う かしくらゆう

忘れた頃にほのぼのしてやろう 海馬

サンドレス腕組むことのなき人の 花野玖

夕焼けの弦には弦のアポクリン腺 ひうま

おつぱいの中に住んでる油蝉 しまねこくん

花火師の隣に座る披露宴 まめのすけ

虹立ちて狐の婿と鉢合わせ 蔭一郎

蟬時雨 時と場合の一人称 まめのすけ

ふちどりのきれいなまちのねげろかな ひうま

前日の陰極線に映る鳥 まつりぺきん

陽炎剥けばスクールライフ おかもとかも

裸足の指で星を九つ拾ふ hyuutoppa

冷房の効かぬエアコンはしご酒 もふもふ

終電をのがして舌をだす蠍 蔭一郎

下ネタに純愛混じる暑気払 花野玖

辛さ2のスープカレーに浮かぶ鳥 りゅうせん

切なさの輪郭に触れなぞりあう 涼閑

同じもの食べる秘密をつくる日に 東こころ

冷めてない麦茶のうちに抱き締めて しまねこくん

輪からはみ出して今日からドーナッツ しろとも

短夜を辺縁系に彫れば恋 あやめ

解釈を間違えている今日の月 東こころ

躑躅発躑躅行青い太陽 西脇祥貴

午睡より覚めてパンツの後始末 菊池洋勝

変換したら精子衛生 雪上牡丹餅

夜の秋小数点の位置ずらす 汐田大輝

秒針を見つめ目覚ましを起こす さー

夏蝶や軌跡に想ひ出を連れて 佐竹紫円

夏布団 二人の汗が 滴り落ち 汐音 葉月

待ちわびた犬から貰うラブドール やは

これからのわたしは何処に夜焚舟 ダリア220

空自在消して描き消して書く今日 輪井ゆう

液晶の向こうの銃口眉間へと 鴨川ねぎ

シッカロールに泣く霧笛 西沢葉火

懺悔ならダリア爛れて落ちるまで 星野響

落とした心当たりのない千円拾われる 雷

大勢のあなたが死んで噤む口 太代祐一

思春期の美意識にある不安定 宮坂変哲

きみ想ひ甘ひ午睡に浮かる花 片羽雲雀

赤信号止まらにやならぬ日の盛り syusyu

言語野にひかる手紙を差し込んで 教育

湯ごねパンか湯だねパンかで喧嘩する ツマモヨコ

着飾って同窓会に行ったカバ 徳道かづみ

禁断の実を食めば身は弧を描き 水の眠り

仕事場で人と知り合う術知らず 涼

祷り篩にかけるかに蝉の声降る 石川聡

胸奥にウルフやどらす君強き 流天

たくみさんロス さくら

38℃蝉の声無く蝉の死骸 天やん

夏休みさっさと部活ガッコいけ おたま

炎天下刃物の人に合わぬよう 箸ニモ棒ニモ

陽炎やエーデルワイスを追いかける 雪夜彗星

赫き火の中に消えたか吉法師 とるばどーる

サヨナラを書く31日の子 ゆりのはなこ

じゃんけんは弱いしパスワードは長いし 月波与生

スポンサーリンク

◆ 5・7・5・7・7(短歌)

赤信号ブレーキランプ降車ボタン赤い光に囲まれる帰路 何となく短歌

さあ、夢と現実どちらで先に会えるでしょうか 羊が一匹 しろとも

もういいよ、ごめんね今までありがとね、合わない靴は履かずに裸足  片羽雲雀

たんばりん盗むように落とすように光なお口直し 石原とつき

思春期を失ったからいつまでも子どものようにみっともないの 何となく短歌

これまでに出会い別れし君たちに残っているのか? 僕の欠片は 萬某

「わたしはね、ぺトリコールの方が好き」手のひらとひら宇宙を包む みさきゆう

きっかけは君に出会った事だった願いが叶う夢を見たのは 短歌初心者

君の残りが見つかるとニュースを眺めて手を摩り 嫉妬したよ 比島アルト

叫んでたあの日の夢も遠い日も引き裂く胸の震えた声で 元さん

おぼろげに空を眺めてぶつぶつと何回言った?ありがとうって はゆさく

美しきものが見たくて美術展たまに行きたくなる症候群 凪ちひろ

きっかけはなんでしたっけ今はもう思い出せずに溺れゆく沼 梓川葉

どれだけのスイカの種を飛ばしたら気づいてくれるの僕の求愛 奥 かすみ

世をうつつ うつつと鳴くや 蝉どもの 夢にも似たり 憂きの世の空 なゆた

恋なのか恋なのねこれそうなのか嘘か本当か戸惑う私 ATARI934

あの頃の空あの頃と同じ風故郷の駅とあの頃の僕 ぱさ

真夜中のコンビニで飲むラテの味 人生なんか考えたりする 燕雀之心

完成させたいのに最期まで見つからないパズルのpeace もりや

ばらばらのかけらをひとつ大切に抱きしめている君かもしれない みや

満たされぬ花瓶の割れてきみの目の沖にヨットが一艘浮かぶ 蔭一郎

スポンサーリンク

◆ 詩

だれかの身代わりでいいわ・わたくしの指でよければ・あなたのうつくしくさみしい唇に・あわい桜色の・あつい人魚色の・あまいベリイ色の・あかいストオブ色の・恋のおとめ色の・冴えた少年色の・きれいなにんげん色の・くちべにを差してあげるわ・(あなたを愛してるわ) 〈あやめ〉

天に住む
愛しき者達
蓮華の上に
舞い降りて
逢いに来てはくれないか 〈温(ハル)〉

結婚する前
天才が産めるわけでもなく
宝塚スターが産めるわけでもない
子供を産む意味はあるのか?と尋ねる私に
人生には、将棋の歩兵がたくさんいるのだ!と言った人 〈む~みんママ〉

スポンサーリンク

◆ 作品評から

死地(city)を練るタイパコスパを扱き交ぜて 西脇祥貴
reading 喉仏から火種めく みさきゆう
 ~こういう句が集まってくるとこの句会の独自性が生成されている過程を見るようで嬉しい。更なる変質が楽しみだ。(月波与生)

満たされぬ花瓶の割れてきみの目の沖にヨットが一艘浮かぶ 蔭一郎
 ~悲しく成っちゃった (むし)

冷蔵庫 戦争映画の音 富永顕二
 ~先行句に〈戦争の音も写っている写真 北原おさ虫〉というのがある。冷蔵庫と写真、映画と現実。具象が変わることでの音の違いを味わってみよう。(月波与生)

脊髄や永井荷風のツイッター 蔭一郎
 ~ツイッターもXに名称が変わり関連用語は変更され死語になっていくのだろうな。と思わずつぶやいてしまう掲句のヴィンテージ感がいい。(月波与生)

躑躅発躑躅行青い太陽 西脇祥貴
 ~ツツジから出発してツツジに到着するまでの間に太陽が青くなってる、ちょっと不穏な情景ですね。ツツジには毒があるそうです。ツツジの電車やツツジのバスに乗ったら毒が回って、太陽が青く見えているのかもしれません。(森砂季)

真面目すぎるんだよなんてまた言われSNSの傍観者でいる *紫陽花*
 ~Twitterで誹謗中傷を繰り返す人がいる。書き込みは執拗で迷惑なものだ。Xへと世界観が変わって期待できるとすれば誹謗中傷者の追放と遮断である。(月波与生)

てのひらに煙うっすら排卵日 小沢史
 ~「煙うっすら」がいい。その煙は排卵日のないオトコには見えない。濛々とした中でオンナは生きているというのに。(月波与生)

腫れた目と手ブレ補正の効いた朝 まつりぺきん
 ~毎日ここの投句を読んでいると急激に句が面白くなってくる人がいる。錦木状態。作句は筋トレと同じで毎日絶え間なく作って発表(これが大事)することだと痛感。(月波与生)

赤信号ブレーキランプ降車ボタン赤い光に囲まれる帰路 何となく短歌
 ~こう言う歌は面白いし魅力あるな。(seiten=マジポン)

忘れた頃にほのぼのしてやろう 海馬
 ~クスクスしてしまう句です(語彙)。「してやろう」が喧嘩腰風なのに、やることは「ほのぼのする」こと。相手との思い出をこんな風に味わえるのは人生の達人かもしれません。(徳道かづみ)

スポンサーリンク

◆ 第127回句会報ダウンロードはこちらから

第127回句会報(PDF)

タイトルとURLをコピーしました