さみしい夜の句会報 第82号を発行しました

さみしい夜の句会
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さみしい夜の句会報 第82号(2022.9.11-2022.9.18)

第82回の参加者は101名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。

願い事というのは口に出してこそ叶うもので、前週「何度か迫りながらまだ越えられない参加100人の壁。その時が来ることを楽しみにしながら編集を続けます。」を書いたところ、なんと今週101名となり、句会開始82週目にして初めて参加者100名を突破いたしました。

これも毎日句会に投句を続けてくれる皆様のおかげです。あらためて感謝いたします。
10月からは「さみしい夜の句会」合同句集第2集の申し込み受付を始めます。引き続き句会へのご投稿をお待ちしております。

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◆ 参加者(101名)

mugwort、さー、passant.A、白水ま衣、しまねこくん、Ryu_sen、風池陽一、涼閑、空瓶、syusyu、橘月子、宮坂変哲、石川聡、菊池洋勝、ゴトー、西脇祥貴、輪井ゆう、元さん、冬憑(ふゆつき)、まつりぺきん、crazy lover、鴨川ねぎ、天やん、糸瓜曜子、雲上晴也、児島成(Joe Kojima)、おかもとかも、太代祐一、ともなう、花野玖、あ、ぽっぽ、最中妙(新アカウント)、水の眠り、蔭一郎、−恷庵−、小沢史、、池田吉輝、汐田大輝、木野清瀬、高木タツオ、石原とつき、東こころ、いずみ、岡村知昭、【頭痛を報告するアカウント】、阿笠香奈、海馬、須藤はる、しもじょう、桔梗菫、アラ、Moon、しろとも、生・存、抹茶金魚、馬勝、月硝子、雷(らい)、上峰子、電車侍、向坂澪、紅志野パワーみのり、森内詩紋、和泉明月子、ちゅんすけ、日下昊、さぶきち、灰猫ニボシ、haruwo、片羽anju 雲雀、najimi、西沢葉火、HAKUBIKI、あお、さんちゃん、夜間戦闘(れん)、睦月ヨシ、コネコノビッチ、Tomoko、弌定住佳、kiyoka、ゼロの紙、𝒮𝓃𝓊𝒻𝒻𝓀𝒾𝓃、とるばどーる、達毘古、古都梨衣子、たろりずむ、Hina、きえない、Millicent.AlmondmilkLatte、山田小太郎、同居嫁の呟き、ゆりのはなこ、なゆた、黒穂2022、嶌りす、丹花ヨム、寺村たこ、我矢-Gaya、おたま、月波与生

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◆ 7・7詩、5・7・5詩

何才まで生きるつもりの旗揚げゲーム 太代祐一

睫毛って物語だよ知らないの? 太代祐一

向日葵がカタログにある美容室 しまねこくん

秋風の最後のほうにいる八重歯 蔭一郎

わたくしはわたしにゆかりがない秋だ 蔭一郎

髪を切ったから失恋でもしよう 蔭一郎

窓の無い集中治療室の月 菊池洋勝

世に降りし青い鳥から赤い羽根 風池陽一

クレソンとしては感情的過ぎた Ryu_sen

見る人により変わりだす魚の目 空瓶

バッグには結果としてのバナナ臭 雷

くわとろくわとろとこころ苛まれ 太代祐一

恋人をト音記号で可視化する 白水ま衣

ナデシコの7デシベルでする開花 石川聡

階段をのぼりきっても不眠です 石川聡

法螺貝なのは彼の体質ですから 海馬

一九六〇年代らしくドアが汚れていた 海馬

豹柄にかわるボタンは秘密なの 小沢史

お仕置きは檸檬の種をつめこんで 小沢史

楷書ではドリンクバーを愛せない 白水ま衣

学校と苗字がかわる金木犀 馬勝

万能のプッチンプリンが腑に落ちない 高木タツオ

筋肉は次の地獄にとっておく おかもとかも

唐揚げに初級呪術として檸檬 月硝子

稲掛や天然記念物の鳥 菊池洋勝

家系図のこんなところにコブサラダ 白水ま衣

書き順がなかった時代の鯉幟 太代祐一

蝶でカンニングする汗 石原とつき

ご不要のプロレスラーがちゃぶ台に 岡村知昭

缶蹴りに勝ってナポレオンの仮装 岡村知昭

来年の今頃は穴の標識 西脇祥貴、

デリケートゾーンは自販機にもある 高木タツオ

世田谷にレモンの家を建てました 木野清瀬

八方へ秋焼け宿るランドセル さー

わたくしの再開発へ獅子五匹 西脇祥貴

ポケットを一つ増やして生き延びる 白水ま衣

新しい鼻血が店に並びだす おかもとかも

昼間見た夢の続きをください5文字で しろとも

悪天のにわか静けき轡虫 mugwort

ブランケットのした悪戯する指 passant.A

絶滅のうわさの遊具追っている 涼閑

九月場所なにが起きしか伝え反り syusyu

十五夜をちょっとつまんで生きてます 橘月子

十六夜に同伴出勤してくれる? 宮坂変哲

ゾロ目なきアナログ時計の静謐 輪井ゆう

雨降る夜線路にキスし息を継ぐ 冬憑(ふゆつき)

気まずいな神様なんて呼んでない まつりぺきん

花、花瓶、猫、留守、破片、水、花、あ まつりぺきん

廊下で猫が毛玉を まつりぺきん

幾千もあんたナシの夜飛び越えて今 crazy lover

肥ゆる秋自我は部屋から出られない 天やん

巡視船ここは十階南棟の端よ 糸瓜曜子

まんじゆさげ先師の言葉ひとつずつ 雲上晴也

燃えるのは一瞬だけで直ぐに消え 児島成

この胸の内なる花野しんとして 花野玖

只今の決まり手は寄り切り。寄り切って衣被の勝ち。 あ

さふ言へば今年あと厄みなし栗 あ

体育祭 画面向こうのリアタイの汗 水の眠り

元気よく走る幼子ほっこりし −恷庵−

泉鏡花のタイムセールや秋の昼 汐田大輝

くちびるに触れて炎をひとつ生む 東こころ

波照間はざわわざわわと吹き抜ける いずみ

独り言で消化できない小指の痛み 阿笠香奈

たぶんもう三点倒立しかない しもじょう

栗拾い多く拾わせワザと負け 桔梗菫

KADOKAWAでそれでも俳句やりますか アラ

ゆかりりがりりりと鳴かす蜻蛉かも 抹茶金魚

そばにいてくれるだろうかわれもこう 上峰子

石の上 何を思うや 秋の蜂 電車侍

秋遊び駄菓子屋の軒の独楽に錆 向坂澪

ずれ落ちる眼鏡のごとき進路かな 紅志野パワーみのり

寝待月の光ぼんやり眼鏡踏む 森内詩紋

白い月浮かび目覚める曼珠沙華 和泉明月子

生活の音が聞こえぬリツイート ちゅんすけ

ぜつぼうを詠う声音を変えてみる 灰猫ニボシ

虚栗ぺらり捲れてお道化初む haruwo

空は在り、色即是空色即是空 片羽雲雀

未開の地行けば土竜が笑ってる najimi

駆動するカメの系譜にメロンパン 西沢葉火

カチがない 私のことか ゲームだよ HAKUBIKI

ドンタコス夫に盗られカラムーチョ あお

冷や飯にしょうゆをかける台所 さんちゃん

初恋を開ける缶切りなんて無い 睦月ヨシ

彼女に見られてる猫の目の月 コネコノビッチ

月という衛星がいて二度寝する Tomoko

最後まで人の気持ちが解らない弌定住佳

真夜中に 必死で探す 私のよさ kiyoka

高橋が血より濃いもの探してる ゼロの紙

存在は白き粉にて降り月 とるばどーる

綾部は女神と、ピースは帰国せよ 達毘古

刺すような時計の音の熱視線 古都 梨衣子

それはサバじゃなくてサンマよ山岡さん たろりずむ

子供らと子どもの遊び寒月夜 流天

眼光強く 雲間に見えし 月見月 Hina

月明かりさびれたドアに花の影 きえない

皮肉屋の肉屋はしかめっ面 山田小太郎

思いはせ1000の夜をもとおりこえ おたま

stand by me肩寄せくるのは洗濯物 我矢-Gaya

秋だなあ小田和正が泣いている 月波与生

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◆ 7・7、5・7・5以外の短詩

目の前のひとはしらないひとだけどふたり同時にチョキを出します 蔭一郎

君の目が起点となって道ができ三連休には駅地下で光る 生・存

抜け出しちゃおっかこんなパーティーに死ぬまで呼ばれない僕ら ゴトー

虫の音に季節感じる秋風が轟音唸る台風ヤメテ 元さん

スプレーにまみれた場末の高架下 白装束が朧に佇む 鴨川ねぎ

乳鉢でねるねるねるね磨りつぶす二十七歳ふふふふと言ふ ぽっぽ

何もかも下北沢とかに捨ててきた都落ち主婦の軽いタメ息 最中妙

夜の海で溺れるような憂鬱に隣室からの変な鼻歌 須藤はる

鳴く鈴虫の悲しみに心を重ねる一人の夜 Moon

千の花弁を持つ妖精ピオニーが恋しくなるむくげの頃 日下昊

ドアアイに顔ひっつけて曇り空しばらく見ている九月なのです さぶきち

慎重に沈まないよう歩いてくクラゲの上はとても不安定 夜間戦闘(れん)

排水溝に流れていく水をずっとみていた atお風呂なう 𝒮𝓃𝓊𝒻𝒻𝓀𝒾𝓃

ひつそりと名刺をつくる何となく名前の色を赤くできない  ぽっぽ

しゃぼん玉割れては膨らみ空を飛ぶ夢を抱えたまま消えていく Millicent.AlmondmilkLatte

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◆ 詩

君を笑顔にする為に
出会ったと思っていた
今は少し違ってきた
あなたに残したい言葉の
旅を遊んでいる (ともなう)

破壊され尽くした戦火の街の景。
光射す人なき街にカラス飛ぶ (流天)

梅の花が咲いてから戻らないけど
まだあそこでおそばを食べてるの
別にかまわないのよ 
影踏みはとうに終わったし 
私は古ぼけてしまったし (糸瓜曜子)

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◆作品評から 

サキュバスの夢の快感秋涼し 菊池洋勝 
 ~サキュバス=夢の快感と重複しているのでどちらかはいらないのだが切ると作者の本意が伝わりにくいだろう。実は作句はここから言葉の斡旋を考えるのが面白かったりする。(月波与生)

体育祭 画面向こうのリアタイの汗 水の眠り
 ~体育祭・運動会は秋の季語になりますが、わたしが住んでいるところの小中学校は5月頃に体育祭・運動会があります。なんでも、もし骨折とかしてお受験に差し障ったら・・ということらしいです。時代の変遷と共に、歳時記も改変の必要があるのかもしれません。(蔭一郎)

夏空に六番ショート西の雨 まつりぺきん
 ~「夏空に六番ショート」まではとてもいい。最後の5音を是非検討してほしい。できるなら1番から9番まで守備位置を入れて詠んでみてほしい。(月波与生)

お仕置きは檸檬の種をつめこんで 小沢史
 ~ほんとに、お仕置きをしてやりたい人がいますねえ。いないより良いわよねえって、自分に言い聞かせてます。お仕置きと檸檬の取合わせがとても好きです。酸っぱさとほろ苦さと、泣いた後の爽やかさと。(木野清瀬)

気まずいな神様なんて呼んでない まつりぺきん
 ~呼んでもない神様が来ると気まずい場面というのは、どういうシチュエーションなのか想像力をすごく刺激させる一句。わたしは外で偶然に家族を見かけるとひどく気まずい気分になる。そんなときに神様が来ても困る。(蔭一郎)

ヘアサロン帰りの猫とすれ違う 空瓶
 ~こういう句は擬人化しないでそのまま「猫」として読んでいる。これだけの猫がいるんだもの、ヘアサロン帰りの猫が居てもいい。世界は自分が思っている以上に不思議で溢れている。(月波与生)

秋だなあ小田和正が泣いている 月波与生
 ~小田さんの曲、秋から冬にかけて本当にしみます。(同居嫁の呟き)
 ~秋と小田和正さんが微妙にマッチしているさみしさが滲み出ていていい句だと思います。(ゆりのはなこ)

梅の花が咲いてから戻らないけど
まだあそこでおそばを食べてるの
別にかまわないのよ 
影踏みはとうに終わったし 
私は古ぼけてしまったし (糸瓜曜子)
 ~「影踏みはとうに終わったし」の一文が無性に寂しい雰囲気で、好きです。詩を書いてみたいけど難しそうなので…憧れます。(なゆた)

只今の決まり手は寄り切り。寄り切って衣被の勝ち。 あ
 ~「衣被」対戦相手は誰だたのかと想像しています、、取れたての里芋、美味しいですね。(同居嫁の呟き)

雄の梨違ふ籠には雌の梨 しまねこくん
 ~果樹には雌雄異株(花)と雌雄同株(花)があるが梨は雌雄同株。とはいえ掲句の籠の中には雄と雌別々の実の存在を感じさせる。(月波与生)

階段をのぼりきっても不眠です 石川聡
 ~ここの「ても」という助詞の複合体が本来ならば不連続をさも連続であるかのように(つまりは「曲者」の働きをなして)不眠を肯定してしまっている。これが川柳のやり方そのものでしょう。(黒穂2022)

さふ言へば今年あと厄みなし栗 あ
 ~お気をつけて。ぼくはあと厄の時、不整脈になりました。救急車で病院に向かう途中、治ってしまいましたが(あら)

嘘ついていちばんかたいグミになる 小沢史
 ~一番硬いといってもグミなのでたかだ知れているのである。というか「グミになる」こと自体がすでに嘘だったりする。たわいない嘘を信じながら僕たちは生きている。(月波与生)

初恋を開ける缶切りなんて無い 睦月ヨシ
 ~おめでとう産みの苦しみね (嶌りす)

ゆかりりがりりりと鳴かす蜻蛉かも 抹茶金魚
 ~おお!自動俳句生成システムゆかりりが詠まれるとは(石川聡)

一九六〇年代らしくドアが汚れていた 海馬
 ~「らしく」の多様性が一句に多様な響きを与えています。
1960年代みたいな汚れでもあり
1960年代に見た汚れでもあり
そして「汚れていた」との突き放しているかのような響きで、一句は乾いた虚無を呼び出してくるのです。(岡村知昭)

花、花瓶、猫、留守、破片、水、花、あ まつりぺきん
 ~掲句中の主体は、2回目の「花」の登場で思考or視線のループに気付く。結語の「あ」はそれを認識した瞬間の詠嘆。品詞の並列の手法だけど、最後の「あ」のみ異質のものが置かれた印象。そこに詩的レトリックの存在を感じますし、レトリックによるポエジーの立ち上がりをも感じるのでした(石川聡)

廊下で猫が毛玉を まつりぺきん
 ~続くかもしれない様々な言葉(情景)が浮かんでは消え浮かんでは消えて、物語の中をさ迷っているような感覚を得ました。(さー)

わたくしはわたしにゆかりがない秋だ 蔭一郎
 ~わたくしはわたしにゆかりがない、すなわちわたくしとわたしは別の誰かである。では今の自分は「わたくし」か「わたし」か、もしやどちらでもない誰かなのか。秋の1日、そんな物思いにふけるわたくしは、いったい誰だ。(岡村知昭)

戒名を少し文字って島流し さこ
 ~「文字って」は捩ってのこととして読んだが別な意味かもしれない。が、戒名で始まり島流しで終わる重心の低いこの句がカラッと明るいのはこの「文字って」の貢献。(月波与生)

冷や飯にしょうゆをかける台所 さんちゃん
 ~これは確かに寂しい(丹花ヨム)

髪を切ったから失恋でもしよう 蔭一郎
 ~#あべこべ、とはいうものの、個人的にはしっくりくる句。好き。なんやかやで伸ばしていた髪を、自分の気持ちに合うように整えると、思い悩んだことに区切りをつけられることがある。自分で選ぶ失恋はきっとさみしくもさっぱりしているだろう。(森内詩紋)

睫毛って物語だよ知らないの? 太代祐一
 ~太代さんの喋り方だ。「〜○○だよ、知らない?」ってよく言ってる気がする(寺村たこ)

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