さみしい夜の句会報 第88号を発行しました

さみしい夜の句会
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さみしい夜の句会報 第88号(2022.10.23-2022.10.30)

第88回の参加者は93名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。

『さみしい夜の句会』合同句集の申し込みが始まっております。提出する作品は本句会で発表したものでも、それ以外へ発表されたものでも、新作でも構いません。俳句、川柳は20作品、短歌の場合は10作品程度が必要です。ご質問、申し込みはDMにてお願いします。

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◆ 参加者(93名)

参加者:IZU、徳道かづみ、しまねこくん、池田吉輝、蔭一郎、ぽっぽ、syusyu、さー、風池陽一、西脇祥貴、梓川葉、日月星香、正念亭若知古、菊池洋勝、雲上晴也、元さん、さぶみける、水の眠り、石原とつき、茶熊さえこ、Millicent、望月 華(もちづき はな)、花野玖、あ、白水ま衣、岡村知昭、最中妙、涼閑、小沢史、雪夜彗星、桔梗菫、城水めぐみ、馬勝、森内詩紋、西沢葉火、キンジョウ、ゆりのはなこ、しろとも、柊秘密子、のこりか庵、−恷庵−、てくてく、糸瓜曜子、橘月子、虹子ミレ、電車侍、とるばどーる、抹茶金魚、弌定住佳、おかもとかも、橘明月子、かなず(梨山 碧)、mugwort、まつりぺきん、藤井皐、せば、由湖、内山晶生、PERCHES、む~みんママ、汐田大輝、金瀬達雄、石川聡、輪井ゆう、りる、木之下ゆうり、星野響、鷺沼くぬぎ、海馬、crazy lover、蜜、雪上牡丹餅、hyuutoppa、宮坂変哲、木野清瀬、鴨川ねぎ、枡川零ト、konnomizube、あんこ、cissa possa、芥川美香、チューバ2022、雲心、haruwo、天やん、たろりずむ、メリーゴーラント、楢崎進弘、千春、楽譜の高校生、山恵、キニー・コーヴェル、月波与生

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◆ 7・7詩、5・7・5詩

テレパシーでは伝えきれない想いを手紙にした たろりずむ

長調と短調がある薩摩芋 しまねこくん

十月が終わるだけだよセニョリータ しまねこくん

最後には私の名前ゴミ袋 雪上牡丹餅

荷札にはヤバいキノコと書いてある IZU

魔力ならじゅうたんよりもある毛布 雪上牡丹餅

反社でも空気清浄機は使う 雪上牡丹餅

ゆびきりをしなくなったら街へ出よう しろとも

親しげに話しかけても芝刈り機 おかもとかも

恐る恐るタンポンヲ空に浮かべ 藤井皐

リユースされた月光は子猫の目 白水ま衣

ライオンの胸毛はいつも結界です おかもとかも

量感を名古屋と言えば頷かれ 抹茶金魚

曲がれない馬に跨り秋夕焼 しまねこくん

ご遺体の一部は既に白い蓮 鴨川ねぎ

四切りの柿に足りない破滅性 しまねこくん

夜仕事をしてる頭に乗せる蓋 しまねこくん

銀杏散る街に Chloé の香を探す IZU

火傷した指が魚になる夜中 ぽっぽ

すぐ起きてしまう死ぬのに慣れなくて ぽっぽ

追憶は貨物列車の音がする 汐田大輝

氷河期の人も歩みし月夜かな せば

ありったけの笹舟が子宮にあるのよ 藤井皐

エアコンの保証も切れて猫一周忌 のこりか庵

始祖鳥が前に後ろにカモノハシ まつりぺきん

逃げ込んだ胡桃のなかにさだまさし 蔭一郎

見捨てるしかないね、秋の金魚なら IZU

絶望の色は見せないフラミンゴ 徳道かづみ

日めぐりの上下左右に行き止まり 虹子ミレ

靴下の穴より冷ゆる女学生 菊池洋勝

海にいた名残よ生理食塩水 糸瓜曜子

また稲をわたしにもってくる女優 蔭一郎

除霊した秋の金魚はみのもんた 馬勝

受信料払わず観てる源義忌 馬勝

生きている時より重いしゃれこうべ 城水めぐみ

ハイター香る鬼女になろうと思う 西脇祥貴

発芽するふたりを逃がすほととぎす 西脇祥貴

合鍵になる団栗とそれ以外 しまねこくん

大根は思い切り現像しなければならない 石原とつき

赤くない林檎はしばし託児所へ しまねこくん

先生は手帳に「紅葉狩」とだけ IZU

いま思うと二十世紀は固かった ぽっぽ

白菊は焼かれるために美しい ぽっぽ

豹柄のライオンだから吠えられる 岡村知昭

京都タワーから手首をあらう夢 海馬

風そらす妖しき願ひまじなふ手 池田吉輝

哀しみの音も宿さぬかみなし栗 syusyu

リビングにごろり大の字ネギころぶ さー

どこゆくやV字の群れの先の雁 風池陽一

レオナール・フジタの猫の冬暮らし 梓川葉

冬隣風の七変化もうする 日月星香

冬隣心配事の二つ三つ 雲上晴也

綺麗だね星空よりも君に惚れ さぶみける

鵙猛る(もずたける)ラグーンのほとり静謐に 水の眠り

欲に欲をかいたら逃げる だったもん 茶熊さえこ

容易くは逢へなき人よ烏瓜 花野玖

ドとレとミの音が出ない鹿の笛 あ

見え消しの線であなたの名を消す日 涼閑

滝壺になみなみ生理食塩水 小沢史

会えぬ夏 僕は東へ 君、西へ 雪夜彗星

留まった昔の病侘しいな 黎明

ただ木通のみ夕暮れに呵々大笑 森内詩紋

風邪ごこち並行世界の恋煩いのこりか庵

血が滲む掌 痛いと泣き叫ぶ。−恷庵−

声すれど姿わからず秋晴れの空 てくてく

標本になったわたしじゃないだれか 橘月子

竜胆や 今朝も晴れたる 瑠璃の空 電車侍

行く秋に強く掴んだ乳房かな とるばどーる

一粒を流し込めれば静まる心 橘明月子

凩やドンキホーテに畳まれて かなず

世界一すみっコにいるキャラになる ゆりのはなこ

缶入りのポタージュ「さよなら」のロゴス mugwort

大らかな門番が立つニワトリ屋 西沢葉火

ランドセル翔けてどこ往く青の点滅 内山晶生

「存在と時間」買う、友逝った夜 金瀬達雄

出遅れてふて腐れる入道雲 輪井ゆう

無花果は貴種流離譚まぶされて 星野響

星飛んで終着駅の肩たたき 雲上晴也

有りや無しや問う糸口の林檎の香 鷺沼くぬぎ

この世もねもみじ美し枯葉舞う crazy lover

そして我影を秋の水で洗ふ hyuutoppa

見た記憶だけを残して消える夢 宮坂変哲

ストーブのまへに待つ水銀のやうに 木野清瀬

ひと刻みの針戻せず刺した指 枡川零ト

サーカスの熊がDJするラジオ konnomizube

吟醸に足らず溺れて芥川 cissa possa

頂上でおにぎり食べて粧う山 鶴子

銀の風フルートの音や秋薔薇 雲心

吾が泪誰が夢なるや秋の蝶 haruwo

カブトムシ死に絶え後の更衣 天やん

この世もね もみじ美し枯葉舞う crazy lover

雲図鑑開けばおんな落ちてくる 月波与生

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◆ 7・7、5・7・5以外の短詩

あいむふぁいんせんきゅー射殺されゆく時も元気にあいむふぁいんせ 望月 華

「タワマンに住んでいるのよー」の「のよー」に決してすごいと言ってあげない 望月 華

変わらない四角い家の日常よ  家族と言う名の不思議な箱よ 最中妙

迫り来る希死念慮にも立ち向かう私の味方キュアエビリファイ キンジョウ

恋愛を語るに落ちる妄想家知らぬが故の満点回答 弌定住佳

星は知る泣くひと慰めるわたしのひかりこそそのなみだと等しい 由湖

秋澄めば星二つ三つ四つ五つ瞬き初める街の空にも PERCHES

あなたが泉に落としたのは金木犀?銀木犀?……それとも木星? りる

流れ星教えてどうかひとつだけあの人のこと 好きでいていい? 木之下ゆうり

貴方が帰るその場所が私ならばと叶わぬ夢を 木之下ゆうり

集めれば揃うのかなあ街中のかたっぽだけの手袋 。 さー

大好きなものは最後に食べるからきみにフォークを突き刺している 蔭一郎

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◆ 詩

そうだよね そうだよ いってみる ひとり
ちがうと ただ いってほしい ときもある
わがままだよね にんげん ってさ ほんと (若知古)

ビルの影
青く映した
月明かり
全てを失くす
さみしい時間 (元さん)

鍵垢だった時のもの
覗き込む世界の広さ人々の
心動かす文字による世界
ひとつづつ読み解く中で育ちゆく
ひとのこころの深みと光
誰もかも泣いては笑い生活す
文化違えど同じひとたち (Millicent)

赤い目を
こすってもまだ
腫れひかず
昨日が夢と
なればいいのに (柊秘密子)

一つのメロディーから誘われる
遠い記憶の一瞬の恋
たった2分くらいの恋なのに
今も色鮮やかに蘇る
それは私の宝石箱 (む~みんママ)

ふいたふいた
いい風ふいた
君が笑って手をふって
走ってくるくる
帰ってくるくる (蜜)

甘い風香る季節は
やわいところが痛みだし
逃げたさ募る
背を丸め
夜を選んで歩く街
星はわたしを見ないから好き (あんこ)

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◆作品評から

秋天の四隅に掃除機をかける 蔭一郎
 ~句に日常の動作を入れると空間が小さくなることが多いのだけど、「四隅に掃除機」が空間を広げる効果を作っており秋天の大きさを支えている。(月波与生)

いま思うと二十世紀は固かった ぽっぽ
 ~長十郎美味しいのだ。(メリーゴーラント)

発芽するふたりを逃がすほととぎす 西脇祥貴
 ~干涸らびた椰子の続編ですね。(楢崎進弘)

十月が終わるだけだよセニョリータ しまねこくん
 ~家に帰るまでが10月 (名犬 ぽち)

「存在と時間」買う、友逝った夜 金瀬達雄
 ~昔、『リトルロマンス』という映画の中で、少女がハイデッガーを読んでいた。試しに僕も買ってみた。だけど一度も読むことなく大人になった。おそらく僕はこのまま死ぬのだろう。友よ、僕が死んだら『存在と時間』を買ってくれないか。読まなくていいから。(西沢葉火)

ピーナッツ死にたいときだいたい独り 太代祐一
 ~落花生は殻の中に2粒の豆が入っているがひと粒のものもある。ひと粒で生まれたとしても殻を出てピーナッツとなりでん六豆に変わることも、柿の種と暮らすことも可能だ。(月波与生)

火傷した指が魚になる夜中 ぽっぽ
 ~フォローさせていただきました。静かなトーンが心に残ります。よろしくお願いします。(庭野環石)

ありったけの笹舟が子宮にあるのよ 藤井皐
 ~これ、良いですね!(千春)

大好きなものは最後に食べるからきみにフォークを突き刺している 蔭一郎
 ~いい感じの不穏。 (森内詩紋)

遊ぶ金欲しさに芒売り歩く hyuutoppa
 ~好きな句に〈遊ぶ金ないのでずっと見てる空 むさし〉というのがある。遊ぶ金がないとき動いて稼ぐ派か動かず空を見てる派か。より楽しいと思える方を選ぼう。(月波与生)

この世もね もみじ美し枯葉舞う crazy lover
 ~うん、そうだね
この世界というのは、ちなみに本の世界観なんだけど
語彙不足、ごめんね
厚かましいので、死にたくはないよ(みんみん)

薄まってゆく秋にラ行をあげる 蔭一郎
 ~「薄まってゆく秋」がラ行であることが効果的。季節はいつしかラ行になってワ行のリフレインで終わる。終わった先のことはまだわからない。(月波与生)

容易くは逢へなき人よ烏瓜 花野玖
 ~遠くにいる人、すでにこの世にいない人、近くにいるのに遠い人、色々な人を思い浮かべました。フォローさせてください。よろしくお願いします (糸瓜曜子)

白菊は焼かれるために美しい ぽっぽ
 ~挽歌??? (楽譜の高校生)

ぼんやりを運ぶ頭上の飛行船 Ryu_sen
 ~ぼんやりしていて地球が回っていることを忘れています。飛行船が浮かんでいるのは忘れていたぼんやりを時々思い出させるためなのかも知れません。(月波与生)

ドとレとミの音が出ない鹿の笛 あ
 ~鹿笛に音階なんかあるんか……無いやんけ笑 (山恵)

歯車が廻り回っている社会 脱線しても生きていいすか 望月華
 ~すっっきですこの行進するようなリズム!!!まるで歌のようにオープニングからエンディングまで音楽が聴こえてくるみたいです最高(キニー・コーヴェル)

風力で三千年を輪廻する さこ
 ~三千年とは悠久話で輪廻を支えるのが太古より流れ続ける風というのも雰囲気がある。 (月波与生)

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◆ 第88回句会報ダウンロードはこちらから

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