さみしい夜の句会報 第84号を発行しました

さみしい夜の句会
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さみしい夜の句会報 第84号(2022.9.25-2022.10.2)

第84回の参加者は97名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。

10月に入りましたので『さみしい夜の句会』合同句集第Ⅱ集の参加申し込み受付を開始します。2022年1月1日~2022年12月31日までに1度でも句会に投句された方ならどなたたでも参加できます。句集イメージは第1集で確認してください。詳細は別項にて掲示いたします。

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◆ 参加者(97名)

しまねこくん、あ、ゆりのはなこ、宮坂変哲、−恷庵−、白水ま衣、さー、ぽっぽ、syusyu、涼閑、風池陽一、hyuutoppa 突破、池田吉輝、西脇祥貴、花野玖、澱粉、菊池洋勝、天やん、コネコノビッチ、海馬、しろとも、石原とつき、まつりぺきん、太代祐一、柊秘密子、おかもとかも、小沢史、石川聡、星野響、しもじょう、木野清瀬、ころんころん、達毘古、最中妙、西沢葉火、元さん、枡川零ト”Reito/Masukawa”、抹茶金魚、雷(らい)、蔭一郎、水の眠り、夜間戦闘(れん)、雲上晴也、弌定住佳、日月星香、馬勝、桔梗菫、生・存、MIYA、円藤ひとみ、雛子、思雨(スイ)、岡村知昭、さぶきち、ちゅんすけ、森内詩紋、みや、najimi、冬憑(ふゆつき)、輪井ゆう、たろりずむ、空瓶、鷺沼くぬぎ、さこ(砂狐)、東こころ、なゆた、糸瓜曜子、鴨川ねぎ、Tomo、kubotahiroko、灰色ニボシ、和泉明月子、木之下恵美、haruwo、踏子、HAKUBIKI、千春、mugwort、こばやし南子(不眠症の猫)、睦月ヨシ、棚場田敦也、風花(かざはな)、橘月子、徳道かづみ、ぺ、やぶ 俳句むずかしい、Yoko Sakaki、ササキリ ユウイチ、河上類、yu_seki、名犬 ぽち、L EGA、麦野結香、crazy lover、楢崎進弘、Akkey、月波与生

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◆ 7・7詩、5・7・5詩

芦ノ湖は素足の猫の中にある 白水ま衣

今ちょっと隠喩なので欠席します 白水ま衣

夜パフェのこれが正しいてにをはだ 白水ま衣

本名で呼べば出れなくなる花野 蔭一郎

蛇穴に入るとき胸に十字切る 蔭一郎

骨になる前にすり込む赤林檎 西脇祥貴

手を取ってギロチンおじさんになろう 西脇祥貴

夜戦ぐレディオヘッドのキーリング 西脇祥貴

丁重に草冠を辞退する 白水ま衣

無添加のアルゼンチンを買ってくる 岡村知昭

対岸の泡立草の呼吸音 蔭一郎

竜胆が限界点を超える夜 千春

左眼がやめようとするのを止める 岡村知昭

メロンパン売りのアルマジロの涙 岡村知昭

信楽焼になるまで焼いておく恥骨 海馬

雨ふって The 固まる、で The End 海馬

ため息がきれいにみえるシャボン玉 kubotahiroko

くれぐれも沈む海ではないことを 西沢葉火

主義のない杵と臼ならあるけれど 西脇祥貴

モザイクが第二関節まできてる おかもとかも

ホームラン性のブーケが切れてゆく たろりずむ

ト長調のペンギンしかいなかった 白水ま衣

あんパンの霊に憑かれる山手線 岡村知昭

八代亜紀俺の中では冬の季語 馬勝

あとひとり九月を終わらせるために 蔭一郎

とっても土偶でときどきバレる 太代祐一

交代の合図を胸に光らせる 太代祐一

赤の他人青の他人黄の他人 白水ま衣

写真館の青空が勘違いしてる 抹茶金魚

美人でもブスでもいいきみの猫なら コネコノビッチ

夜の案山子昼の案山子とすれ違ふ しまねこくん

小腸と同じ長さの夜を下る しまねこくん

恋人の名を持つお菓子菊日和 花野玖

赤とんぼ抜けて高速バスぐるり ぽっぽ

蟋蟀の脚に付かない天ぷら粉 しまねこくん

青北風や男女入れ替ふ露天風呂 菊池洋勝

水澄んで月がなかなか踊らない 小沢史

月光で廻る屋上観覧車 星野響

ラフランスくびれに指を這わせたし 水の眠り

生活が今日の秋思を礙げる あ

銀杏を踏んで転んで馬鹿を見る ゆりのはなこ

空間に猫の形の穴が開く 宮坂変哲

せっかくの休み台無しキレるハゲ −恷庵−

チューバソロ雨男達躍り出る さー

過去消され筋子は膳で輝きぬ syusyu

ひとりごと言って自分を慰める 涼閑

去年今年紅に白にと運動会 風池陽一

つんつんと胸つんつんと秋の金魚 hyuutoppa

ツバメ去り寂しくなるねくもり空 流天

窓向こう誰かの戸口灯ったか 澱粉

星月夜解放される我が戦線 天やん

猪木はいた白鳥の歌  石原とつき

冷凍のツインテールはお味噌汁 まつりぺきん

通学路ダイヤモンドの意気地なし まつりぺきん

秋の耳くすぐってる吾亦紅 石川聡

抹茶だともう抹茶だと信じます しもじょう

アベリアを浴びて九月があと二秒 木野清瀬

虹消えて雨後に列なす彼岸花 ころんころん

清明や邪魔する奴が愛と言う 達毘古

眩しさが寂しい音する白い彼岸花 雷

母のお腹に置いてきたリズム感 しろとも

なりはひも袖も迷子の九月尽 雲上晴也

臭いもの蓋に書かれたキレイゴト 弌定住佳

気の使い過ぎと心配までされる 日月星香

うたた寝してる秋の昼のテレビ前 黎明

風は秋はあくまでも案山子 石原とつき

オムライスのレッテル今日は外します MIYA

白内障手術したなら見え過ぎる? 円藤ひとみ

見えすぎて生きづらくなるコンタクト 雛子

ブサカワ魚浅瀬に遊ぶ秋うらら 思雨

練色の透き影茗荷の花二つ 森内詩紋

貝割菜眠むれたかいもうすぐ朝日 najimi

明けぬ夜は無いと言う君罪深し 冬憑

足の裏だけ気づいていた引潮 輪井ゆう

引き出しの二段目に隠した秘密 空瓶

愛しあう夜の月だけ消していく 東こころ

おもちゃとか秋の星とかラッコとか 鷺沼くぬぎ

誰が為に 泡と消えるか 花車 なゆた

でもきみにいいことばかりの夜が来る 糸瓜曜子

血管と血管を結び融け合おう 鴨川ねぎ

ひやひやとパチンコ店を出るをんな Tomo

かみさまがぼくのことだけわすれたの 灰色ニボシ

花散らす人変わりても金木犀 和泉明月子

すすき路秋の河原は彼岸越え 木之下恵美

良夜なら読書も整理出来るのに 黎明

青北風に吹かれて独り吾は宙 haruwo

マス割りの 写真撮って 穴だけだ HAKIBIKI

葦原の水面差す陽は翳りをり mugwort

高い空差し出す指にトンボよ止まれ こばやし南子

まだ若い背筋が二倍伸びている 睦月ヨシ

秋の夜の茶粥の香り終に消え 森内詩紋

鯨尺呑んでピノキオの鼻を測る さこ

秋薔薇(あきそうび)紅く散るのは誰のため 風花

と話したことは忘れてほしいのよ 橘月子

詰められて過去に唾吐くバケラッタ かづみ

千鳥足ゆく影絵の街よ静か ぺ

マニュアルにあなたのことが書いてある 月波与生

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◆ 7・7、5・7・5以外の短詩

この後は神さまたちが集まってどうも絶滅するらしいです 蔭一郎

痛いの痛いの飛んでいけ何が痛いのかなんてどうでもいいか しろとも

あなたもうどうでもいいの消えてよねあたまの中に住み着かないで 柊秘密子

「どこまでも」で始まる歌が好きだった 今となっては  もう歌えない 最中妙

愛と言う言葉を使い夫婦なり恨み辛みの日々に生き得る 元さん

宿題も塾もあるのにしつこく香るキンモクセイは 夜間戦闘(れん)

苦しみや今日食べ過ぎたドーナツの数とか全部秘密にできない 生・存

謙虚にと謙虚にしろと育てられ一番自分に謙虚になった さぶきち

なぞなぞは解かなくていい糖衣錠 ちゅんすけ

流れてくわたしが妙に速すぎて句読点を打ちたくなる夜 みや

暗がりに揺れるランプが照らしてるしたためた文私のこころ 枡川零ト

「先生」と偽り三ヶ月たった明日の夜に校長を拉致 蔭一郎

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◆ 詩

人の中にいるときほど
ひとりぼっちなことはない
コンサートで映画館で
多くの人に囲まれながら
みんなと同じ方向を見て
黙っているのは なんて
心地いいひとりぼっちだろう
あれこれと口うるさい
私自身からもはなれて
みんなと一緒に 黙っている
ひとりぼっちの一員のわたし (踏子)

会ってみたい人がいる
いつも全天にやさしい紺色の
ハンカチーフをかけているだれか
そしてその柔らかなシルクに
ぽつぽつと小さい穴を
こっそりと空けておいてくれた
だれかにも… (棚場田敦也)

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◆作品評から

蟋蟀の脚に付かない天ぷら粉 しまねこくん
 ~コオロギの粋のよさげな天ぷら?(やぶ 俳句むずかしい)

マニュアルにあなたのことが書いてある 月波与生
 ~情報の漏洩漏れなど現代社会が風刺されていてこれぞ川柳だと思いました。(ゆりのはなこ)

あまりにも詩であるために避けきれない 毱瀬りな
 ~「あまりにも詩である」のは避けきれないものだ。日常、といえば平凡だが運命の繰り返しを日常とも言う。10月2日、日曜日、ぼくたちは「あまりにも詩である」中にいる。(月波与生)

オルガンも工事現場で泣いている まつりぺきん
 ~〈オルガンとすすきになって殴りあう 石部明〉があるのでオルガンは使いにくい言葉だが、ではすすきはどうかというとすすきはそんなに抵抗がない。オルガンの不思議。(月波与生)

野分まで金平糖の色揃え かなず
 ~金平糖は何色あるのでしょうか。台風はすぐそこに迫っているのだけど足りない色がある(ような気がする)そんな落ち着かない日。(月波与生)

どこまでも」で始まる歌が好きだった 今となっては  もう歌えない 最中妙
 ~好きです (森内詩紋)

メロンパン売りのアルマジロの涙 岡村知昭
 ~メロンパン売りがやって来た。ワゴンを引くのはアルマジロ。メロンパンはアルマジロのベビーだと思い込んでいる。早く売ってしまいたい。ワゴンが空になるまで。せめてメロンパンたちが目を覚ましてアルマジロの姿になる前に。アルマジロが流す涙もまた、丸まって。(西沢葉火)

手を取ってギロチンおじさんになろう 西脇祥貴
 ~昨日ギロチン句提出したとこ!(Yoko Sakaki)

今ちょっと隠喩なので欠席します 白水ま衣
 ~これ、結構すごいですね。(ササキリ ユウイチ)

交代の合図を胸に光らせる 太代祐一
 ~良 (河上類)

野葡萄に一つの漏れも無く偽名 しまねこく
 ~雅号は偽名が多いしTwitterもほとんどが偽名。いつの間に偽名が本名よりしっかりした人格を持っている社会。まだ人の手が触れられてない象徴としての野葡萄がいい。(月波与生)

烏賊としてやっていけるか考える 岩瀬百
 ~句会では「烏賊は動くだろう、蛸でもいいだろう」と言い出す野暮がいる。かというとイカ刺しで一杯やって楽しく帰る人もいる。句会は面白い。(月波与生)

雨ふって The 固まる、で The End 海馬
 ~これ傑作ですね! (yu_seki)

小腸と同じ長さの夜を下る しまねこくん
 ~あと盲腸も下る(名犬 ぽち)

白内障手術したなら見え過ぎる? 円藤ひとみ
 ~そんなに変わるのかな〜⁇そうなれば良いよね(L EGA)

冷凍のツインテールはお味噌汁 まつりぺきん
 ~もはや誰も止めることが出来ないまつりぺきんさん。この句も意味の彼岸を切り裂くように詠まれています。読んでいてなぜ快感になるのか。ツインテールというと、「生ハムと焼きうどん」という、ふたり組の地下アイドルを思い出します。『たまごかけごはん』という名曲がありました。(蔭一郎)

エルキュール・ポワロはとても句跨り 白水ま衣
 ~クリスティが生み出した名探偵エルキュール・ポワロを「句跨り」と書いたのは本句が初めてではないだろうか。一発芸みたいなもので今後はすべて二番煎じになる。(月波与生)

こほろぎのねんぶつ りりり りりりりり 森内詩紋
 ~今後こおろぎの声を聞くと「念仏だ」とこの句を思い出してしまうインパクトがあります。(月波与生)

「先生」と偽り三ヶ月たった明日の夜に校長を拉致 蔭一郎
 ~いい感じに不穏。危うし管理職!めんどくさいから校長印は副校長の机に出してってくれ(なお、校長の返還は求めない) (森内詩紋)

生活が今日の秋思を礙げる あ
 ~石偏に疑うでさまたげると読むんですね。面白いです。(糸瓜曜子)

夜パフェのこれが正しいてにをはだ 白水ま衣
 ~真夜中にあなたが選ぶいくつもの、すべてのことをパルフェと呼ぼう (麦野結香)

ラフランスくびれに指を這わせたし 水の眠り
 ~ラ・フランスの形と香りについつい手が出てしまいますね。エロティックな雰囲気です。(crazy lover)

夜戦ぐレディオヘッドのキーリング 西脇祥貴
 ~夜戦ぐが良いのだけれどそよぐに何でこんな漢字を当てたのだろうと思います。ルンガ沖夜戦を連想してしまいそうになります。 (楢崎進弘)

蛇穴に入るとき胸に十字切る 蔭一郎
 ~奈良に蛇穴と書いて「さらぎ」と読む地名があります。修行の若者と村娘の悲恋のようないわれがあったと思うのですが、胸に十字を切るというところに、そのニュアンスを感じました。(まつりぺきん)

通学路ダイヤモンドの意気地なし まつりぺきん
 ~読んでいて、ここまでわからないと快感になってくる。まつりぺきんさんは攝津幸彦を越えてしまったのだろうか?いちおう「ダイヤモンド」を、道路に白線で描かれている菱形のアレかなとか考えるが「意気地なし」だしたなあ。例えばこの句をダイヤで切ってみる。
通学路ダイヤ モンドの意気地なし
このダイヤは時刻表。通学路の時刻表?
モンドは、モンド映画とかモンドミュージックのモンド。でも意気地なしか。ダメだ。意味とかどうでもいい。とにかくこの句は読んでいて快感。(蔭一郎)

秋薔薇(あきそうび)紅く散るのは誰のため 風花
 ~薔薇は、同じ薔薇の木でも、春より、秋に咲く方が濃い色になるんですね。エネルギーをためて咲く春より、返り咲きの秋の方が、薔薇本来の色がでるそうで、背景が目に浮かび感傷的になりましたー (Akkey)

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◆ 第84回句会報ダウンロードはこちらから

第84回句会報(PDF)

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