さみしい夜の句会報 第92号を発行しました

さみしい夜の句会
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さみしい夜の句会報 第92号(2022.11.20-2022.11.27)

第92回の参加者は90名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。

岩手県北上市にある「現代詩歌文学館」は句集、結社誌等詩歌に関わる本を保管します。作品集発行の際には規模の大小に関わらず、謹呈し保管を依頼することをおすすめします。特に川柳は絶望的に作品集が保管されていません。詳細は(https://www.shiikabun.jp/)にて確認ください。

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◆ 参加者(90名)

徳道かづみ、しろとも、宮坂変哲、電車侍、ゆりのはなこ、しまねこくん、てくてく、風池陽一、さー、IZU、syusyu、鷺沼くぬぎ、森内詩紋、人見弐一、hyuutoppa、西脇祥貴、日月星香、みや、元さん、おかもとかも、雪上牡丹餅、海馬、花野玖、菊池洋勝、かのん、雲上晴也、おたま、常盤みどり、同居嫁の呟き、池田吉輝、最中妙、鴨川ねぎ、岡村知昭、sound0nly、みさきゆう、とるばどーる、桔梗菫、抹茶金魚、西沢葉火、石川聡、金瀬達雄、Ryu_sen、糸瓜曜子、藤井皐、雷(らい)、コネコノビッチ、蔭一郎、高良俊礼、水の眠り、まつりぺきん、石原とつき、輪井ゆう、山田もめん、ひなとと。、夜間戦闘、汐田大輝、たろりずむ、日下昊、星野響、小松 百合華、ササキリユウイチ、正念亭 若知古、のこりか庵、蜜、柊 秘密子、涼閑、白水ま衣、霧雨魔理沙、ぽっぽ、む~みんママ、木野清瀬、涼、虹子ミレ、Tomoko、馬勝、ハヤカワ、麻丹mani、PERCHES、いずみ、あ、かなず(梨山 碧)、けいえむ、楢崎進弘、土方あゆみ、ヤナ・ヤヌー、くわとろプロジェクト、U・Gao、一筆居士、月波与生

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◆ 7・7詩、5・7・5詩

熨斗紙を付くるちり鍋セットかな 菊池洋勝

家系図のここから上はサラダ味 白水ま衣

「女流」「女子」「女性」「女」がある世界 雪上牡丹餅

紅葉だけ貼つた葉書の配達日 しまねこくん

上靴にありとあらゆるフォントの死 たろりずむ

表彰状(間奏2分)以下同文 おかもとかも

預言者の落ち込みかたが犬っぽい Ryu_sen

臀筋を野性保護区に指定した Ryu_sen

夫婦から老夫婦へと変わる時 雪上牡丹餅

親機子機間で通話ができる距離 雪上牡丹餅

バウハウスの馬場が馬場がと悪の馬場 海馬

ミツバチの羽音を眠る 海馬

鶴の改名報ずるトマト屋の阿漕 ササキリユウイチ

アディショナルタイム膣から出た後は たろりずむ

狐火になる直前のいなり寿司 汐田大輝

じょうずお上手ハムレットは二槽式 海馬

反撃が無ければ秋刀魚かも知れぬ しまねこくん

向こう岸でみるくになる子牛 藤井皐

夏だった頃のサンダルを仕舞う しろとも

電話からカタカナだけが鳴っている おかもとかも

人生の2%を皿洗い sound0nly

椅子がまだ椅子だった日の酸性雨 岡村知昭

エッシャーの階段上る文化の日 しまねこくん

鯛焼を裏返したら裏の顔 しまねこくん

知恵の実を象に食わせる文化の日 しまねこくん

二度見して二回勤労感謝の日 しまねこくん

毛布県毛布市毛布町生まれ しまねこくん

いつまでも泣くんぢやねえよ毛糸だろ しまねこくん

新月にくらりと歪むト短調 高良俊礼

甘噛みの果ては土星かメキシカン 西脇祥貴

眠剤をすあまで代える中島みゆき 西脇祥貴

朝食の美味い旅館に泊まりたい 宮坂変哲

「美人すぎる」は 言い過ぎかもね 電車侍

年賀状宛先不明戻りくる ゆりのはなこ

誰が夢が混ざりくるのか冬の車窓 てくてく

放り込むネイルとしてのショートケーキ さー

市谷に果つ奇御魂荒御魂 IZU

下っ端の自殺、勤労感謝の日 lZU

正義の白の育ちし頃か大根ひく syusyu

小雪の小夜の風の音一人聞く 鷺沼くぬぎ

耳たぶを猫に噛まるる霜月夜 人見弐一

もうこんな時間かあれはオリオンか hyuutoppa

消えた言葉はどうやって取り戻す 日月星香

少しだけ立ち止まる茶の花ありて 花野玖

友来たり 銀杏をよそに 語り合う かのん

ぶつたぎるフルーツロール冬銀河 雲上晴也

冬バエの叩くに忍べずうるさけり 流天

この気持ちどの地図記号で表せよう 鴨川ねぎ

障子越しの影絵遊びはまだする 黎明

昴が見える頃合いに落ち合おう 日月星香

惜しまれつつ斜めに逸れてゆく達人 抹茶金魚

ラジカルかロジカルか脳の川涸る 石川聡

今年も雪吊りだ 隣家の庭の木 金瀬達雄

カレーライス誰か私を思い出す 糸瓜曜子

赤信号に阻まれて牛を鎮める 雷

愛されて飼い慣らされて猫廃業 コネコノビッチ

葉か花かポインセチアの華やぎは 水の眠り

縫いながら殴って食って診るになれ まつりぺきん

体液が重力を乗っとる術  石原とつき

私だけ知らない住み慣れた街を 輪井ゆう

この2時間だけ会いたい昔の恋人 山田もめん

甘やかな 光をとおす 柿すだれ かのん

地球にも突端生える凍月へ 星野響

みち を ゆずる あり の ぎょうれつ すぎるまで 正念亭 若知古

煉瓦道銀杏落葉の散らし紋 のこりか庵

ゆりかごの屋根の代わりに 西沢葉火

新月の夜の襖絵、瀧、叫び 涼閑

ナナカマド未だ生まれぬ無私の愛 霧雨魔理沙

風花や姉やと絵馬を読む遊び 木野清瀬

紅葉も散ってしまえばただのゴミ 涼

今日の日に居残りひとり吊るし柿 虹子ミレ

鈍色の空ぼんやりと眺め居る Tomoko

母方の隔世遺伝木の葉髪 馬勝

から風も私の右手はね退ける ハヤカワ

保健室の先生じつはゾンビ好き いずみ

てっちりに申し訳程度の野菜屑 日下昊

おでん鍋ふて腐れ浮くがんもかな 雲上晴也

鴨撃ちを撃つ鴨撃ちを撃つ鴨撃ち あ

冬届くディアゴスティーニで少しずつ かなず

画数はワルシャワというはかなさか 月波与生

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◆ 7・7、5・7・5以外の短詩    

楽器屋の壁で古びていくチラシ「ボーカル以外全員募集!」鈴音

わたくしの転校先の学校は十時十分だけ現れる 蔭一郎

必要とする時にだけ集められ捨てられていく側の僕です 常盤 みどり

ごめんねと言えばいいよと言う君が覇気なく見つめる窓なりたい 小松 百合華

夕焼けの飛行機雲はほどかれて君が来ないまま授業は終わる さー

君からのハガキに貼りし切手には南の春の消印がある 風池陽一

内面の光と影まで描きたくて擦り切れるほど目で撫でまわす みさきゆう

ひつぢ田に何を捕るやら青鷺は魔法使いの身ぶりを真似て 森内詩紋

花は散る時間は進む当然が痛くて仕方ない夜を飲む みや

哀愁歌泣きたいときのエピローグ飾らぬ言葉聴こえて消えて 元さん

うらはらに逆さに立ててあった時回われ右するべきだったのに 同居嫁の呟き

なぜ?なに?の答えを得ては笑み崩れる世界のすべてをいまだ知らぬ君 最中妙

水墨の月夜が降りてきたような靄の向こうに常世の桜 みさきゆう

あの夜は過ちなのか必然か事務所の床の埃を見つめ とるばどーる

サファイア越しに見た空はソーダ色 外すと途端にカフェオレ色 ひなとと。

メイド型アンドロイドの液漏れを直すために行くゴーストタウン 夜間戦闘

山茶花の簪をあなたの髪へほろりと染まる頬 日下昊

今日わたしあなたのもとをでていくの星のきらめく午前四時 柊 秘密子

あなたにはあなたの正義わたしにはわたしの自由おでんが冷める ぽっぽ

大きな息しか出来なくて後10年生きられるのかしら む~みんママ

ヒートテックのお世話になるお世話にならずにはおれまい PERCHES

あの鳥は私をヒトの標本と見ている 窓の向こうは流動 みさきゆう

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◆ 詩

どうなるんだろ
ネガティブに待つのってほんま苦手
それだけ前向いてたいんだろな
前みたいなまたそういう感じならこの時間ほんと徒労だな
キツい言葉に傷ついて
ふいうちアゴクイ
面食らう
それでもあなたはおかまいなしね
何処吹く風で今日もまた (おたま)

嵐の予感がするけれど
遠くで雷鳴轟いてるけれど
新しい靴履いちゃうの
アタシ新しい靴履いて
思っきし水たまり踏むの
かっぱつるの
ふふ (蜜)

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◆ 作品評から

郷ひろみいつなんどきでも郷ひろみ 水の眠り
 ~名前を二度呼んだだけで句になる郷ひろみ。中高年なら郷ひろみ的生き方を目指してみるのもいい。(月波与生)

諦めが悪い女のスクワット 徳道かづみ
 ~ここまで生きてわかったことは『筋トレさえできれば何とかなる』である。逆に筋トレが出来ない職場環境や人間関係は良くない。離れることを考えよう。(月波与生)

あとがきに家出と書いて金木犀 千春
 ~あとがきで怒っている人はいない。ありがとう、感謝します、みなさんのおかげです…。一日の終わりもあとがきのように終わりたいと思う。これから家出するとしても。(月波与生)

アディショナルタイム膣から出た後は たろりずむ
 ~このままじゃ終われない。(西沢葉火)

市谷に果つ奇御魂荒御魂 IZU
 ~ZUさん、いつもありがとうございます。あのボウイが三島像を描いてたとは初めて知りました!素晴らしい描写力ですね、本質を見抜いていますねぇ。(けいえむ)

透明は最も難解な言語 白水ま衣
 ~「透明」「難解」「言語」の言葉の連絡が少しずつ緩い。なので「最も」で補強するが今度はもたつく。このあたりが作句して泥沼的に難しくも面白いところ。(月波与生)

眠剤をすあまで代える中島みゆき 西脇祥貴
 ~眠剤より効きそうです。わたしは金つば派。(楢崎進弘)

二度見して二回勤労感謝の日 しまねこくん
 ~素敵な言葉をありがとうございます。またお読みしますね(土方あゆみ)

内面の光と影まで描きたくて擦り切れるほど目で撫でまわす みさきゆう
 ~このうた、たいへん好きです(森内詩紋)

葉か花かポインセチアの華やぎは 水の眠り
 ~闇から聖のイルミネーション(ヤナ・ヤヌー)

カレーライス誰か私を思い出す 糸瓜曜子
 ~ハワイでね食べたココイチ忘れ得ぬ(くわとろプロジェクト)

紫煙吹き足立区民より届きし不幸の手紙を読んでいる 人見弐一
 ~不幸の手紙が最後に届いたのは高校生最後の夏だったが、届いた10人の誰かが続けて手紙は今でも彷徨っているのだろうか。足立区のYさんはお元気だろうか。(月波与生)

下っ端の自殺、勤労感謝の日 lZU
 ~そういえばパンクは労働者階級代表、みたいな立ち位置でしたっけ。英国は特に階級意識が強い国ですからね。(U・Gao)

縫いながら殴って食って診るになれ まつりぺきん
 ~17音中に、縫う、殴る、食う、診る、なる、と5つの行為の要素を詠んでいるところ、チャレンジと思います。テーマを詰め込み過ぎるな、どれが句の中心なのか分かりやすく詠め、動詞は多くしすぎるな、などの句会で通常に指摘されそうなセオリーに昂然と反逆した構成に柳味を感じて面白いです。(石川聡)

ミツバチの羽音を眠る 海馬
 ~ミツバチの忙しない羽音を子守唄に眠る心境を思います。心が落ち着いている時は、ミツバチの羽音はむしろ睡眠の邪魔でしょう。何か不安ごとがあってドキドキする心臓の音とミツバチの羽音が共鳴することに安堵して眠れるのではないかしら。十二音の切れ味が見事です。(徳道かづみ)

毛布県毛布市毛布町生まれ しまねこくん
 ~ふかふかや(名犬 ぽち)

いつまでも泣くんぢやねえよ毛糸だろ しまねこくん
 ~ああ、そうだ、毛糸だった、と妙な納得感があります。(花野玖)

夫婦から老夫婦へと変わる時 雪上牡丹餅
 ~それは小さいけれど確実な一歩。他人から恋人になり、恋人から夫婦になった。そして年月を重ねてともに老いていくことに、少しの寂しさと嬉しさがある。(徳道かづみ)

la maison dievとどめなら自分で刺す しろとも
 ~「la maison diev」から始めるのはかなり勇気がいると思います。〈ほんとうに刺すからそこに立たないで 時実新子〉が出てから数十年、時は流れているのだと感じます。(月波与生)

あの鳥は私をヒトの標本と見ている 窓の向こうは流動 みさきゆう
 ~人はいさ 心も知らず ただ我は
飛び立つための 風を待ちける。
返歌失礼しました。(一筆居士)

「女流」「女子」「女性」「女」がある世界 雪上牡丹餅
 ~「美人すぎる」は 言い過ぎかもね(電車侍)

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◆ 第92回句会報ダウンロードはこちらから

第92回句会報(PDF)

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