さみしい夜の句会報 第136号(2023.9.24-2023.10.1)
第136回の参加者は76名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。
今週は『さみしい夜の句会』初めてのリアル句会である〈まわりみち句会〉開催などで週報の発行が大幅に遅れました。お詫びいたします。〈まわりみち句会〉については改めて記載しますが、「現代川柳を始めてみたい」思っている人は自分が思っていた以上に近くにいることを発見しました。リアル句会は新たな取り組みとして継続していこうと考えています。
◆ 参加者(76名)
しまねこくん、奥かすみ、石川聡、ダリア220、佐竹紫円、石原とつき、donkey、小沢史、たろりずむ、燕雀之心、チョコミント・ブルー、鷺沼くぬぎ、syusyu、風を見たのは誰でしょう?、鴻鵠之志、大北、西脇祥貴、しろとも、ともなう、あやめ、雷(らい)、元さん、まつりぺきん、雪井苑生、海馬、西沢葉火、水の眠り、丸山修平、菊池洋勝、おかもとかも、鴨川ねぎ、のはるん、みさきゆう、何となく短歌、片羽anju 雲雀、crazy lover、池田突波、とるばどーる、藤井皐、酔名、ひうま、萩原 アオイ、Take、西沢葉火、上崎、阿笠香奈、温(ハル)、さー、花野玖、古城、透影弦、東こころ、鴻鵠之志、saku、のるはん、雪の空𝒮𝒪ℛ𝒜、、流天、汐田大輝、うつわ、山田真佐明、踊る六郎と手毬唄の会、りゅうせん、赤端独楽男、なさわご、雪夜彗星、馬勝、もふもふ、蔭一郎、涼閑、円山すばる、にじいろのこころ、ぱさ、宮坂変哲、電車侍、銀浪、月波与生
◆ 7・7、5・7・5 (川柳・俳句)
秋場所の力士で薄くなる酸素 しまねこくん
解脱しようよカルパッチョしようよ 藤井皐
覆水を盆に返して正常位 馬勝
月を待つ七三分けのひとばかり 蔭一郎
眠れずに読経する母小鳥来る 馬勝
いぢめられ欠席の子の椅子冷ゆる syusyu
待宵をお降りの方は前のドア しまねこくん
ぺりぺりと剥がした月のいい匂い 海馬
満月に舌打ちさせて貰えませんか 藤井皐
日出郎と日出郎までの半マイル 西脇祥貴
それはあんたのおくのほそ道 西脇祥貴
鮞へ掛く童貞の精子かな 菊池洋勝
レントゲン写真に昨夜の満月 しろとも
満月の1日前に逢いにいく 東こころ
太腿を伝う残滓白い萩 ダリア220
秒速で肉塊またも激突す 石川聡
曼珠沙華産まれる前は鳥でした 小沢史
ラジオから流れる思いサザン聴く 燕雀之心
セックスレス妻が発動その拒否権 チョコミント・ブルー
友だちと友だちごっこ九月尽 鷺沼くぬぎ
爽やかや言つて言はれしごめんなさい syusyu
俺は人恋しいから貫く脈絡 大北
満月を野暮に啜れる二元論 あやめ
先に書いた日記のとおり家を出た 雷
こすったら鳴き声あげる握り飯 まつりぺきん
十六夜や座敷わらしの影法師 雪井苑生
鉄玉置浩二工場 西沢葉火
喉に刺さったままの歴史 丸山修平
洗っても洗ってもまだ温いシャツ おかもとかも
子の刻の鳥の叫びを聞いたかい 鴨川ねぎ
満月ときみとわたしの鳥兜 片羽雲雀
十五夜やあなたが思ふほど僕は 池田 突波
月見団子食べれば過ぎる東寺かな ひうま
満月にあらゆる故意がふり向いて 上崎
みんな同じ月を見ている 阿笠香奈
被写体と知らず棚引く鰯雲 花野玖
くっきりと並ぶ靴下十三夜 さー
ほらどっこい やれやれやれの 男伊達 鴻鵠之志
草刈りの鎌追われたる枯蟷螂 流天
虎バター対向車線を流れ来る 汐田大輝
秋うらら貫くほどの我もなし 鈴
メンヘラがへらへらしながらまといつく りゅうせん
秋風なんて褒められすぎてて 赤端独楽男
夏終わりどこかで溶けたかき氷 なさわご
暑気中り〇・二ミリの隙間から 雪夜彗星
忖度のつもりが自虐九月尽 もふもふ
血天井から毒蜘蛛が降りて来る 宮坂変哲
空青し 竹刀にとまる あきあかね 電車侍
雨音と戦車の音を間違える 月波与生
セリヌンティウスの不謹慎な絆 与生
◆ 5・7・5・7・7(短歌)
すこしだけ虹に似ている Graffiti の文字が読めたら失うすべて 海馬
食欲の出ない夜更けの侘しさを確かめるよう開けた冷蔵庫 奥 かすみ
木々の葉が囁くように揺れていてこれは秋風のかたちと気付く 佐竹紫円
おそるおそる媚薬な粘膜な平等な南極に始まる 石原とつき
割れた皿元に戻らず見せかけの態度言葉は不要産物 donkey
この道を行けばどうなるものなのか迷わず聞けよ行った人から たろりずむ
アルバムを 共に眺めて 見えた明日二人抱いた 夢はセピアに 鴻鵠之志
十五夜の昨夜の月が柔らかな雲に閉ざされ優しく包む 元さん
真夜中の点滅信号 手をつなぎコンビニめざし渡っちゃうよね 水の眠り
仲秋に蝉の鳴き声聞きながら紅葉情報に耳が傾く のはるん
食卓に父が連れてきた海があるお椀から出る伊勢海老の足 みさきゆう
秋来ぬと思えぬほどにあつき日々空見上げつつ我が道を這ふ 何となく短歌
ホルモン⤵️井戸端会議真相は?不毛会議と呼ばれます crazy lover
仲秋の月を一緒に見たかった私は見上げ君は見下ろす とるばどーる
ひとかけも欠けることのないフルムーンの光を浴びて管巻く酒クズ 酔名
簡単に貼って剥がせてマスキングテープみたいな逢瀬がつらい 萩原 アオイ
叶うなら一生辛い思いしない所へ僕を連れて行ってよ Take
細たるを投げ出してまで庇(カバ)うのか口と目と鼻塗りつぶしてく 古城
皓月は帰らぬ君を待ち侘びて無人の道を照らし続けた 透影 弦
いつだって 過渡期の今を綱渡り もうおしまいから はじまりになる saku
夜の街が泣いている子を連れていく優しく見える王子のもとへ 雪の空𝒮𝒪ℛ𝒜
蒸しパンが机の隅で丸くなる2匹の部屋に影が落ちてる 円山すばる
涼しさが寂しさになる月曜の朝の向こうの夏の残像 ぱさ
◆ 詩
雨だ
しばらくすれば止むという
水の流れる音がする
水を散らしてクルマが走る
しばらくすれば止むという
雨だ (風を見たのは誰でしょう?)
直感で好きになった人を
嫌いにならない
直感で嫌いになった人を受け入れるのに
時間がかかる(わたしのもんだい)
根底のキライが呑み込めない (ともなう)
満月頭の爺のbar
客人たちも
満月で
ぴかぴか眩しい
中秋の名月 (温 (ハル))
かなしみは
いつも心に
あり続け
時々迷わせ
時々狂わせ
壊れかけには
しみ入る夜風
ソレでソレでと
虫が鳴いてる (にじいろのこころ)
◆ 作品評から
真夜中の点滅信号 手をつなぎコンビニめざし渡っちゃうよね 水の眠り
~若いっていいわぁ と感じました。(crazy lover)
食卓に父が連れてきた海があるお椀から出る伊勢海老の足 みさきゆう
~お椀の向こうに、海が見えました。(銀浪)
日出郎と日出郎までの半マイル 西脇祥貴
~敷金は二億スーパー大家チャン(下野みかも)
かわるがわるおれを清書してくれないか おかもとかも
~生きているうちはずっと下書きで死んでから誰かが記録してくれたらそれが清書された「人生」なのかもしれません。「かわるがわる」がいいね。(月波与生)
セリヌンティウスの不謹慎な絆 与生
~(感覚的にいいねしたのですが)調べるとメロスの友人で、意味が掴めませんでした。
宜しければ、お教え下さい。(流天)
自己愛のかたまりだろうか阿部定の境界線がわたくしにもある 水の眠
~「阿部定」の言葉にギョっとする、その時点で作品としては成功している。(月波与生)
ホルモン⤵️井戸端会議真相は?不毛会議と呼ばれます crazy lover
~なかなか答えがでないのでしょうか?それとも、答えなど必要ないのでしょうか。むずかしいですね。(水の眠り)
新宿の消印残す中傷句 富永顕二
~川柳をやってうんざりすることのひとつにやたら悪口を言われることである。句会に行っては誹謗、大会に行っては中傷、句集を出しては罵詈雑言と川柳人にはアレな人が少なくない。(月波与生)