さみしい夜の句会報 第125号(2023.7.9-2023.7.16)
第125回の参加者は73名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。何度か書いていますが投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。
「さみしい夜の句会」のリアル句会は第1回目を弘前市で開催しますが、今後は私(月波与生)が句会、大会で遠方に行ったときに人と場所の都合さえつけば続けるつもりです。北海道から九州までのあっちこっちで句会が開催できたら楽しいだろうなあ、と夢想しています。で、なにはともあれの1回目。「まわりみち」で1句投句をお待ちしております。
◆ 参加者(73名)
雷(らい)、モリマサ公、しまねこくん、奥 かすみ、花野玖、何となく短歌、みさきゆう、西脇祥貴、西沢葉火、星見冬夜、石原とつき、元さん、藤井皐、新妻ネトラ、水の眠り、おかもとかも、ゆう(かっしー)、海馬、はゆき咲くら、温(ハル)、正 。、ぱさ、涼、syusyu、凪ちひろ、汐田大輝、おたま、hyuutoppa、りゅうせん、ひうま、片羽anju 雲雀、かのん、岩瀬 百、箱庭伽藍、雪夜彗星、まつりぺきん、水戸 充希、Tomoko、石川聡、蔭一郎、涼閑、輪井ゆう、上崎、Born Slippy(モンモン)、星野響、汐田大輝、*紫陽花*、太代祐一、短歌初心者、徳道かづみ、佐竹紫円、ダリア220、草太朗、moca、さー、む~みんママ、ほたる、えびたからいち、いずみ、とるばどーる、しろとも、donkey、萩原 アオイ、抹茶金魚、影薄ネキ直美、M*A*S*H、あつみさん、鴨川ねぎ、宮坂変哲、森砂季、森内詩紋、𝕃𝕆_𝕋𝔼ℂℍ_𝔹𝟚、月波与生
◆ 7・7、5・7・5 (川柳・俳句)
大きすぎるくらいおはぎで眠らない 抹茶金魚
議事録の雪はつぶつぶ母もつぶつぶ 西脇祥貴
梅雨明けの静脈きれい私きれい ひうま
眠い目をこすってひとつ悪事する 西沢葉火
背面跳びで見る田舎 西沢葉火
速達で届く熱帯夜のにおい 上崎
潤いが似てゐるものに蝸牛 しまねこくん
バス停を信じて成り上がってゆく 西脇祥貴
背を抱いてそっとFANZAを闇の中 水の眠り
木曜に頭を下げる予備動作 まつりぺきん
黄泉戸喫のサカバンバスピス 岩瀬百
自信だけあってふわとろオムライス りゅうせん
時計屋の時計に結末を訊くな 海馬
では先に下がり眉毛になってます おかもとかも
二の腕の触れぬ距離取る暑気払 花野玖
卒塔婆のてつぺん競ふ夏茜 花野玖
再会を喜べなくて水ようかん しろとも
嗚呼そして君はぴんくっぽいブルー いずみ
釘、てこの原理で抜くと夜ひらく あつみさん
砂丘からさっき帰った黒揚羽 モリマサ公
覆われて痺れる舌は嘘をつく みさきゆう
残された検温カメラと流行り病 雷
一人分 夕餉に上る見切り品 星見冬夜
杜若フルーチェばかり死んでいた 藤井皐
嬲られる為だけにある胸飾り 新妻ネトラ
ひとり食む西瓜むしゃむしゃ甘いのか かしくらゆう
求め合ふ焔の醒めて宵の朱 ぱさ
朝散歩終えて朝風呂気持ちよか 涼
獣らの眼感ずる鈴ヶ滝 syusyu
西日濃しプログレ好きな社畜たち 汐田大輝
やさいすきにくよりさかななぜふとる おたま
だうしても栓が抜けない巴里祭 hyuutoppa
柔肌に 誘惑されて 桃3つ かのん
蚊の鳴く夜に火を点けて渦巻きの解ける 箱庭伽藍
成仏を許さぬひとよ夏鳥よ 雪夜彗星
握ってる新子ぺーション 石川聡
荒海の置かれ静まるコースター 蔭一郎
暮れなずむ駅舎寄り添う影と影 涼閑
黙るのを断固断る頭痛鳴る 輪井ゆう
梅雨明けの作法は一子相伝で 星野響
トマトにはトマトの音色が渦を巻く 太代祐一
明日しか見ない目玉が濡れている かづみ
特別に見せて欲しくて山開き ダリア220
口角を上げてはみても一人なり ほたる
草いきれ秘密の場所で抱き合って とるばどーる
似てきたねお母さんにと人が云う 萩原 アオイ
エスカルゴ食べて尻から蝸牛 M*A*S*H
どうせなら脳がチョコミントになればいい 鴨川ねぎ
セックスに蓋閉め消える日本人 宮坂変哲
きみはまだアンパンマンの正体か 森砂季
抜け殻に戻れぬ蝉は時差である 月波与生
◆ 5・7・5・7・7(短歌)
手を広げ「ワタシも上で踊りたい」はじめて知ったジェラシー 熱夜 はゆさく
蝕まれた君を葬る儀式のよう ふたりぼっちの線香花火 奥 かすみ
80年前に途切れた信号を解読しました「ああ、弟よ」 みさきゆう
群れ泳ぐたくさんの目が映すのは独り動けず泣いてる私 何となく短歌
ものもらいに亡霊におとり鮎に「すれっからしね」どこかカルキ 石原とつき
太陽が水平線に反射する夏の訪れ海へようこそ 元さん
チャパモちゃん棚の裏からパッと出た紺碧のグギギギギクガガガガガッガッガッガ 正。
ままならぬ世の中なれど我生きて君も生きてて笑い合う日々 凪ちひろ
名前に陽とつけられた子は明るく生きて行くだろな む~みんママ
目を閉じて肩にもたれし君を撫ぜファティマの手となり依依恋恋 片羽雲雀
ゼロ距離にいたって僕は二番目で君の熱さはアイツのもので 水戸 充希
遠くから静かに応援してました 赤いカンナのようだった君 Tomoko
ありがとうとごめんねの境界線で盲目の自転車が走る 比島アルト
暗闇で僕を照らした眼差しは冬の優しい日差しのように 短歌初心者
あなたへと差し出す花に閉じ込めた意味には気付かれなくてもいい 佐竹紫円
夏空は暴力的なほどいのち息するだけのわれを殴りて 草太朗
一人きり伸びて縮んで繰り返しいつまでもわたしどっちつかずで 月色萌果
きらきらな君が4Dプリンタの印刷物じゃない証、脇毛 えびたからいち
LINEにてさみしい夜に話しかけ毎日ツライほぼひとりごと donkey
老いた身にハードル高し介護保険手続き終えるゴールは遠く 影薄ネキ直美
◆ 詩
神々しい夕焼け空
心優しいあなたが
温かな光に包まれます様に。(温(ハル))
すれ違う時に 私をじっと見て
可愛くなかった と言う学生
自分より弱そうと見ると 何でも言うのねえ。
さみしい夜のというか
なんだか切ない夜。(*紫陽花*)
◆ 作品評から
卒塔婆のてつぺん競ふ夏茜 花野玖
~路地を歩いていると、石塀からなにげなく並んだ卒塔婆の先端のほうが見える。しかし、卒塔婆たちはてっぺんを競っているのだ。なのでただこちらが気づかないだけで日々伸びてるのだろう。なんのためか?しかしそれを考えると時事に近い解釈になる。卒塔婆たちはただてっぺんを目指す。季語もいい。(蔭一郎)
抱っこ拒否の猫を各自で用意せよ 抹茶金魚
~猫は規定できない生き物なのでその時々で受け入れたり拒否したり。規定できないところは川柳に似てる。川柳人に猫が多いのはそういうところもあるからだろう。(月波与生)
覆われて痺れる舌は嘘をつく みさきゆう
~これ好き。(森内詩紋)
西日濃しプログレ好きな社畜たち 汐田大輝
~平等求め間違う使い方(𝕃𝕆_𝕋𝔼ℂℍ_𝔹𝟚)
ささくれは小さい悪のことである 西沢葉火
~以前丸山進さんが「川柳は誰とやるかが大事」というようなことを言っていたのを最近のパピプペポ川柳を読んで思い出す。ささくれを見せ合うのが川柳ともいえるし。(月波与生)
神社からTSUTAYAから更地から砂 おかもとかも
~TSUTAYAが街にやって来て本屋さんがなくなり怪しげなレンタルビデオ店は消えた。そして今TSUTAYAも砂へかえる時がきている。(月波与生)
木曜に頭を下げる予備動作 まつりぺきん
~「頭を下げる(ための)予備動作」なのか、「頭を下げる(という)予備動作」なのか、少し悩みました。前者ならば思い切り頭も胸も逸らしていばりちらすユーモアの姿があり、後者ならこれから来たる事態への緊張感があります。いずれも、決戦は金曜日ですかね。(徳道かづみ)
饅頭のあんこの辺にある詩情 睦月ヨシ
罰として銘菓になってもらいます 太代祐一
~「和菓子」という題の句会があったのか和菓子の句が並んだ。饅頭の句は「詩情」が上手いし「銘菓」になるのが罰というのも面白い。(月波与生)
足首だけで触る夕凪 岩瀬百
~#性愛句集倶楽部 の作句で性的な言葉の使い方に悩まれてるようだが、掲句のように性的な言葉がなくても性を感じさせる句は書ける。試行を続けていただきたい。(月波与生)
押しピンを刺されたままで色彩を徐々に失う卒業写真 奥 かすみ
~卒業写真を頻繁に見る人とまったく見ない人がいて自分は後者であるがこの感覚はわかる。そして卒業写真の頃よりはハッピーでありたいと思うのだ。(月波与生)
山椒魚月刊ムーで知る歴史 馬勝
~大切なことをみな「月刊ムー」で学ぶのは、手塚治虫だけ読んで人生を知るのと同じくらいリスキーな生き方だが何故か後者は同意者が多い。(月波与生)
スパゲッティ上手に食べられなくたって大人になれる なってしまうの 奥 かすみ
~ナポリタン。カレー南蛮もそう。白いシャツを着ているときに限って食べたくなるのが大人。「なってしまうの」のリフレインがいいね。(月波与生)
遺品の中から避妊具 水の眠り
~きわめて川柳的な状況ですが現実的にはよくある光景かもしれません。遺品整理業が盛況な理由の一つとして故人の性を知りたくない、というのはあるのかも。(月波与生)