さみしい夜の句会報 第87号を発行しました

さみしい夜の句会
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さみしい夜の句会報 第87号(2022.10.16-2022.10.23)

第87回の参加者は90名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。

10月22日、大阪で第1回「らくだ句会」が開催されました。投句併せて50名こ超える参加者で盛会だったようですが、披講の様子がライブ配信されました。ウイズコロナ時代の画期的な試みであると思います。現在はYouTubeで視聴可能です。今後が楽しみな句会です。

第1回「らくだ句会」の動画はこちら

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◆ 参加者(90名)

蔭一郎、柊秘密子、てくてく、橘月子、岡村知昭、土竜(もぐら)、宮坂変哲、しまねこくん、池田吉輝、さー、風池陽一、najimi、syusyu、木野清瀬、日下昊、石川聡、しろとも、電車侍、もず、西脇祥貴、高良俊礼、空瓶、輪井ゆう、雷(らい)、IZU、longroof、森内詩紋、望月 華(もちづき はな)、抹茶金魚、−恷庵−、おかもとかも、さぶみける、花野玖、あ、汐田大輝、最中妙、白水ま衣、徳道かづみ、茶熊さえこ、水の眠り、とるばどーる、石原とつき、せば、hyuutoppa、元さん、馬勝、西沢葉火、まつりぺきん、太代祐一、雲上晴也、糸瓜曜子、Ryu_sen、ぽっぽ、月硝子、コネコノビッチ、海馬、須藤はる、草太朗、金瀬達夫、小沢史、sarasa、かなず(梨山 碧)、涼、鴨川ねぎ、crazy lover、藤井皐、川合大祐、東こころ、Millicent、涼閑、ころんころん、星野響、桔梗菫、たろりずむ、さこ(砂狐)、天やん、みや水也、む~みんママ、チューバ2022、雪夜彗星、弌定住佳、ゆりのはなこ、ヤマダリツコ、猫又(夏梅堂)、楢崎進弘、June,born in Apr. 10/2文フリ札幌お-35・36、Nobu Hayashi、donc、蔦きうい、月波与生

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◆ 7・7詩、5・7・5詩

神様も股間に布をまとってる 橘月子

わたくしの運命線に絡む蔦 蔭一郎

秋の月 愛人になることにする 東こころ

離陸後に炊けるきのこ飯を想う 蔭一郎

次頁は句読点なき秋意かな syusyu

風力で三千年を輪廻する さこ

結露する硝子は泣けぬ君のため 須藤はる

エンボスのそれは心の雨季の夢 高良俊礼

薄まってゆく秋にラ行をあげる 蔭一郎

人称代名詞のファルセット&コルセット 海馬

骨壺の主語が書き換えられていた 白水ま衣

脱がないで鉄砲隊のいる駅で 岡村知昭

ひげのないぞんびをゆるさないラジオ 岡村知昭

あしびきに頷くアガサ・クリスティー 川合大祐

ゴルトベルクから搾乳機からsoup 藤井皐

新しいウィンドウズに障子貼る しまねこくん

倒産の産です冬は二度目です 西脇祥貴

親指の渦に巻かれる中島みゆき 西脇祥貴

無翼の中島みゆき 西脇祥貴

偏頭痛早く括弧を閉じないと 小沢史

香水の匂いを辿ったら土星 蔭一郎

妹の香水つけてもまだ姉 糸瓜曜子

骨壺は主語を匿う場所なのに 白水ま衣

せっかちね眠る前からポップコーン 小沢史

逢初めや音をたてずに走り蕎麦 小沢史

ぼんやりを運ぶ頭上の飛行船 Ryu_sen

鏡の中の方が本当らしい右手 抹茶金魚

秋天の四隅に掃除機をかける 蔭一郎

志願して飛ぶ団栗に敬礼を しまねこくん

脚なんて飾りですよに赤入れて まつりぺきん

明日にはテクマクマヤコンで青い鳥 水の眠り

眠りにつくまでのわたくしの正義 水の眠り

赤とんぼの翅で包んだ薬です(効きます) ぽっぽ

からすみを口にふくんだまま家出 蔭一郎

書き込みの無い遺伝子にピアス穴 Ryu_sen

クッションに名をつけそうなメロドラマ 抹茶金魚

ピーナッツ死にたいときだいたい独り 太代祐一

ははーんさては(※解読不能) おかもとかも

激しい空手チョップの夜に おかもとかも

遊ぶ金欲しさに芒売り歩く hyuutoppa

あおぞらは今、弟子はとらない 白水ま衣

鰓っていいね、みんな死なない気がするね 西脇祥貴

ほうき草笑うスカした言選び てくてく

夜の中背徳感とカップ麺 土竜

フォーク歌手彷徨う末のロックかな 宮坂変哲

ジョウビタキあのコの息子と思い遣り 流天

運動会紺のおしりに白い砂 さー

バラ売りにひとつになりぬ林檎かな 風池陽一

針千本飲みcocoonの中に入る najimi

秋雲の黒き羊は長女らし 木野清瀬

ホトトギス鳴く方じゃなくて花の方 日下昊

アクリル板はさんでみんなハイファイブ 石川聡

日の下の あぶくは明日取りに行く しろとも

老猫の 柘榴の如き あくびかな 電車侍

うずくまった背中を焼いて白い月 もず

満月と内緒話をして眠る 空瓶

雑草が飲んだポストに請求書 輪井ゆう

目のまえ百年まえにして目の裏の百年後 雷

ひややかなひかりとかたくななからだ IZU

記憶無いその言葉だけは記憶して さぶみける

足跡を辿る赤道杜鵑草 花野玖

イカロスの傲慢ののち小鳥来る あ

筆箱に閉じ込めてある十二月 汐田大輝

肝心をを噤む知らない言えないの 茶熊さえこ

新しい星座が胸を貸す 石原とつき

一斉に灯り消えいて月残る せば

神の留守余白で告げた嫌悪感 馬勝

坂の上精いっぱいの秋夕焼 雲上晴也

金柑が積もる隣家に不穏の香 月硝子

泥棒猫と言われた寄生虫と返してやった コネコノビッチ

命と非命と東京との間 草太朗

イエスさま愛しています 愁思かな 金瀬達夫

秋空と子供の目あとずさりする sarasa

親指で凹むケーキも人生も かなず

季語がまだイマイチ理解できてない 涼

白鳥の裏にはシベリアの男 西沢葉火

茜空白き蝶々の展翅板 鴨川ねぎ

なんやかや自分が食べる ひとりじめ crazy lover

命持つものの散りぎわ見届ける 涼閑

触れ合いを漢字で書けば生々し ころんころん

夕花野染まりつつ来るひとを待つ 星野響

中秋で少し薄着の謎深し 黎明

整骨院が骨より多い たろりずむ

ごみ置き場ただ秋雨の打つおむつ 天やん

真夜中に一人鉄道猫見て笑っている む~みんママ

束の間の秋夜のいのり目を閉じる   鶴子

遠くまで歩いてゆこう星月夜 雪夜彗星

秘蜜の恋未必の故意で苦しめる 弌定住佳

母さんの裸体はいわし雲なれど ゆりのはなこ

地平線掴むと水の重さかな 月波与生

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◆ 7・7、5・7・5以外の短詩

遺書を書くためタリーズへ来たのに締切間近のレポートがある 望月 華

僕たちのヒーローだった先生は老いて万引き犯で捕まる 鈴音

たぶん俺バカアホマヌケロクデナシカレー南蛮白シャツで喰う 鈴音

男より白くて柔いこの肌は誰かの肋骨で出来ている 望月華

教会の結婚式は華やかで祝うと呪うはどこか似ている 鈴音

平気だと我慢できたら今もまだ好きと言えてたきみの横顔 柊秘密子

連れて行かれた回らない寿司屋の名前がはま寿司だった longroof

冬までにあの教会までもう一度薔薇に会うため行こうじゃないか 森内詩紋

冬までにかぼちゃのパイを焼かなくちゃ精霊たちにお裾分けしなきゃ 最中妙

眠剤を飲むから君に会えないのもう触れることさえ出来ぬ黄泉路の向こう とるばどーる

日が落ちて夕日に染まるシルエット遠い空からプロジェクター 元さん

やる気減る昼の空腹満たしたらどんどん眠くなりゆくことわり Millicent

更けぬ夜いちばん深いところにて見果てぬ夢も見られずにいる みや

空き家の庭の柿でお菓子を作って振る舞いたい ヤマダリツコ

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◆ 詩

いい歳なのに 不良です
ここら辺で ちゃんと向き合おう。
自分自身 大事にせんとあかんね。
気づかせてくれてありがとう。
身体の為に 良ゐ子になるわ (−恷庵−)

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◆作品評から

運命の「う」は宇宙犬の「う」 白水ま衣
 ~レイ・ブラッドベリの短編集に『スは宇宙のス』『ウは宇宙船のウ』というのがあるから後発としてはこれより面白いかどうか、にかかってくる。(月波与生)

冬までにかぼちゃのパイを焼かなくちゃ精霊たちにお裾分けしなきゃ 最中妙
 ~好きです。サウィンは最後の収穫祭にして冬の入口。(森内詩紋)

教会の結婚式は華やかで祝うと呪うはどこか似ている 鈴音
 ~くたばっちまえ アーメン(猫又(夏梅堂))

親指の渦に巻かれる中島みゆき 西脇祥貴
 ~小栗虫太郎の太平洋漏水孔!(楢崎進弘)

いくたびも膀胱に夜をたずねけり
 ~僕も実感していますが、歳と共に尿意は近くなります。夜中に何度も目を覚ましては「またなの?」と膀胱に尋ねている場面を思い浮かべます。一方で、助詞の「に」を「は」に入れ替えると、膀胱がトイレを求めて夜を訪ねるというシュールさが生まれます。
一句で二度美味しいですね。(西沢葉火)

生きてゆくスーツ姿の焼け野原
 ~つい、現代社会を生きるサラリーマンの悲哀として読んでしまいそうですが、このまま、ありのままの景色としてストレートに読んだ方が、ずっと胸に迫る句だと思います。ただし、そうとしか読ませない何かが足りないとは思います。それが何かは分かりませんが。(西沢葉火)

哀れ蚊の針から打者が一巡す しまねこくん
 ~「哀れ蚊の針から」の叙情から「打者が一巡す」の展開に意表をつかれた。「針から打者が」のズムのよさもいいい。(月波与生)

親指で凹むケーキも人生も かなず
 ~めっちゃいい句やん!(June,born in Apr. 10/2文フリ札幌お-35・36)

午後の死を閉じ込めてある青蜜柑 石川聡
 ~一生を一日に例えると「午後の死」は老年期直前の黄昏時だろうか。因みに午後の死は、シャンパン・ベースのカクテルの名でヘミングウェイが考案したらしい。(月波与生)

秋雲の黒き羊は長女らし 木野清瀬
 ~ただの羊小春日和の空を見る(Nobu Hayashi)

無翼の中島みゆき 西脇祥貴
 ~翼がないのに翼が見えてきます。かっこいいのですね。(抹茶金魚)

激しい空手チョップの夜に おかもとかも
 ~印象ですが、おかもとさんの十四字って、珍しい?ような気がしました。いつも面白い言葉を使われていますが、「空手チョップ」という語が、おっさん臭いだけに、今回、余計に意外性を感じました(笑)(まつりぺきん)

扇風機ほぐせば秋の棒となる ぽっぽ
 ~役割を終えた扇風機を仕舞うことを「ほぐす」という労わり方もある。秋の棒となってまた夏を待つ生き方もある。 (月波与生)

逢初めや音をたてずに走り蕎麦 小沢史
 ~走り蕎麦津手新蕎麦?ですか(donc)

風力で三千年を輪廻する さこ
 ~壮大な持続と循環(石川聡)

眠りにつくまでのわたくしの正義 水の眠り
 ~眠りについたら わたしは正義の鎧を脱ぎ捨てわたしの悪を開放するのです
悪を開放してこそ 私を開放できる
だから 眠る間際が一等好き 大好きな句(蔦きうい)

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◆ 第87回句会報ダウンロードはこちらから

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