さみしい夜の句会報 第86号を発行しました

さみしい夜の句会
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さみしい夜の句会報 第86号(2022.10.9-2022.10.16)

第86回の参加者は104名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。

合同句集は現在9名の参加表明がありました。第Ⅰ集同様30名程集まってくれたらいいなあ、と思っています。参加資格は12月31日までに一度でも #さみしい夜の句会 へご投句された方になります。まだまだ時間がありますので、ご投句の上参加表明をよろしくお願いいたします。

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◆ 参加者(104名)

sarasa、水の眠り、しまねこくん、白水ま衣、風池陽一、Millicent、syusyu、む~みんママ、せば、石川聡、睦月ヨシ、森内詩紋、海馬、元さん、まつりぺきん、木野清瀬、西脇祥貴、相田えぬ、岡村知昭、空瓶、糸瓜曜子、おかもとかも、こばやし南子、しもじょう、−恷庵−、しろとも、西沢葉火、柊秘密子、由湖、花野玖、宮坂変哲、雲上晴也、太代祐一、岩瀬百、Moon、ぽっぽ、池田吉輝、日月星香、桔梗菫、弌定住佳、夏野ネコ、雪夜彗星、抹茶金魚、蔭一郎、fuu_、東こころ、石原とつき、金瀬達雄、ころんころん、あ、小沢史、棚場田敦也、さー、最中妙、日下昊、鶴子、najimi、Ryu_sen、馬勝、和泉明月子、鴨川ねぎ、橘月子、徳道かづみ、灰猫ニボシ、涼閑、しょおと、睦月ヨシ、たねまる、コネコノビッチ、相見美緒、とうてつ、千春、Tomoko、hyuutoppa、涼、雷(らい)、天やん、Crazy lover、みんみん、輪井ゆう、Eureka、汐音 葉月、Hina、Tomo、ゆりのはなこ、さこ(砂狐)、伽羅、たろりずむ、藤井智史、生・存、ちゅんすけ、かなず(梨山 碧)、mugwort、マジカルらぶにゃん、嶌りす、ひまふみ、叶裕、るなつ、四月一日(わたぬき)、スタ・エレ、三月(みつき) 旭、鷺沼くぬぎ、月波与生

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◆ 7・7詩、5・7・5詩

冬林檎ヘルプマークの意味知らず かなず

耳たぶを二枚重ねにして寒露 しまねこくん

わたくしをモザイクにするキミの声 ちゅんすけ

ミルクジャムが好きな冷笑系のぼくら 海馬

刺す方も刺される方も体育の日 しまねこくん

障子貼る糊を舐めたら甘くつて しまねこくん

光降る退化した目の魚にも 輪井ゆう

扇風機ほぐせば秋の棒となる ぽっぽ

電柱だけが挙手する街 おかもとかも

哀れ蚊の針から打者が一巡す しまねこくん

新学期あの先生のいなくなり 池田吉輝

葬列を離れて入る芋煮会 蔭一郎

ソラシドは秋の時雨の音階に 蔭一郎

二人称は生食には向いてない 白水ま衣

午後の死を閉じ込めてある青蜜柑 石川聡

のり弁なあなたで愛す 石川聡

いくたびも膀胱に夜をたずねけり 石川聡

メニューには無いニワトリの死を頼む 西沢葉火

捕鯨船花を一本あげましょう 千春

空爆のやさしい夜や鯨釣る とうてつ

青蜜柑あなたは表裏がない 糸爪曜子

乾いた夜、肺をお散歩させている 海馬

まばたきをするための螺子なくしたの 蔭一郎

ほくろからほくろへ虹はだらしない 海馬

てのひらに熱い鸚鵡を乗せる刑 岡村知昭

じゃんけんぽん 2度と話しかけるなよ おかもとかも

運命の「う」は宇宙犬の「う」 白水ま衣

風ぢやなきやただの無色になつてたぞ しまねこくん

いくたびも膀胱に夜をたずねけり 石川聡

土踏まずウイスキーで地雷ふまず 石川聡

自販機の兄がなかなか出てこない 小沢史

窓辺では生没年も粉チーズ 白水ま衣

ラジオから雲が流れる音がする 蔭一郎

ビニール手袋の舌で⑤をタッチ 抹茶金魚

知性とはふたりを別つ菊の墓 木野清瀬

フィルターに生まれてきてこのていたらく 岩瀬百

かわいいは三点倒立したがる 白水ま衣

あおぞらを溶かした水は有毒だ 白水ま衣

祝祭に馴染めないまま豚、肉 おかもとかも

「ダービーに燃える」は誤字 男は誤字 西脇祥貴

口紅を落として鮫の歯を祀る 岡村知昭

サルビアは帰らぬ子らになほ赤く 木野清瀬

生きてゆくスーツ姿の焼け野原 まつりぺきん

終われない目頭光る2ピクセル まつりぺきん

記憶にも留守の日はあり秋日和 睦月ヨシ

バタフライ効果のような白い息 さー

椋鳥の知恵集めても空遠し 和泉明月子

かもめかもめはぐれてひとり秋の風 sarasa

うねる線虫 線形代数の中 水の眠り

バラ売りにひとつになりぬ林檎かな 風池陽一

鶴わたる地へ移住せよ淋しもの syusyu

月欠けて虫のぶつかる音したる せば

芋洗う女の唇の赤きこと 森内詩紋

あっけなく生きてるぼくらを笑ってよ 相田えぬ

こっそりとひとつ外しておくボタン 空瓶

想像力欠乏症にサブリなし こばやし南子

冷や暑の風が 風邪呼ぶ病弱体。−恷庵−

鳴き疲れ眠る鵯そっと撫で 花野玖

ビーチ沿い左カーブの先の海 宮坂変哲

手荷物を提げて背負つて秋日和 雲上晴也

背景に海引き連れてわらう君 太代祐一

君が為燃ゆる悲しみ彼岸花 Moon

ちょこっと心配させるリトマス紙 _流天

群れ飛びを承認してと椋鳥言う 日月星香

ザワザワとこそばして来る刈田の間 黎明

人生に意味を欲しがる暇な人 弌定住佳

あのラジオ動かないけど息してる 糸瓜曜子

秋冷や波に季節を探しゆく 雪夜彗星

川越まつり 行きたいな… fuu_

耳たぶにふれてあなたは遠い月 東こころ

藷掘ってお返しくれる友にTEL 金瀬達雄

ぼくだけがぼくを知っている うれしさ ころんころん

鯊の字がむつかしくて読めないのだらうな あ

雪虫の知らせ暖冬を願うばかり 日下昊

亡き父を思ふて秋刀魚一匹焼く  鶴子

溢そうか穢したいほどハイターは無い najimi

席替えの理由としての野性保護 Ryu_sen

さみしさで壊れた玩具放屁虫 馬勝

人生は苦楽のミックスジュースだね 鴨川ねぎ

今日もまた蜘蛛のさえずる夜がくる 橘月子

もうあとは余白しかない人生を 灰色ニボシ

よく見ると自分の映らない鏡 涼閑

帰り道   夜風に香る  金木犀 たねまる

猫係のような者ですと言う女 コネコノビッチ

グミつて食べたことないんだ秋の雨 hyuutoppa

夕食の後片付けが骨折れる 涼

聴く耳は海へワイパーゴムの鳴き 雷

秋雲や自由な形のままでいい 天やん

ワクチンじゃ防げないのよ感染症 crazy lover

色なき風介護の声も消されけり Eureka

楓落ち 北欧石畳に燃ゆ 美しき絨毯 Hina

振り上げし拳の行方秋さびし Tomo

歳時記の秋が私を泣かせるの ゆりのはなこ

触れ合えば離れてしまうSとN さこ

柘榴一粒鬼子母神にもらった 伽羅

オーロラを全然見ない次女三女 たろりずむ

賑やかな愛に淋しいハイボール 藤井智史

わたくしをモザイクにするキミの声 ちゅんすけ

鼻先の檸檬憂い眠りを禁ず mugwort

沈黙を眺める絵のない美術館 月波与生

だすげまいね復元される愛国者 月波与生

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◆ 7・7、5・7・5以外の短詩

夕焼けと朝焼けやめた太陽が「虹もやめる?」と空に問う秋 しもじょう

腕がもうそこに来てゐて晩秋の物干し竿を竹から離す ぽっぽ

真夜中の体育館でぼくたちは目隠しのまま走り続ける 蔭一郎

眠気差す朝のカフェオレ秋の朝今から何かを成そうとするとき Millicent

あん時の兄ちゃんの笑顔どこに行ってしまったのだろう む~みんママ

夏の恋歩道を滑る木葉にも終わりを告げる別れの合図 元さん

プラナリアは見たことないけど私がかかった呪いに似ているね しろとも

落葉が彩る小道鮮やかにもうじきここも白無垢纏い 柊秘密子

聳え立つツインタワーの遠い灯(ひ)に潜む信号さがす南窓 由湖

歴史的一夜であったチューハイの缶ことごとく投げつけられた 夏野ネコ

人骨が金属探知機にかかるか否かで揉めている 棚場田敦也

真夜中のとびらはいつも閉じている   ノックしちゃダメよあしたが消える 最中妙

質問はもうないですか  ではこれで生まれ方講座は終了します 鈴音

ほろほろと肉でもないのに崩れてく私の心もう戻らない しょおと

花びらが散った速度で生きていく髪の毛を梳く冷たい夜風 

相見美緒

悪い事しても我が子はただ我が子 母国は母国 ただ切なくて Tomoko

「のり弁当を訳したら?」オストラコンかな。「それ、いいね」 石原とつき

肌馴染み襟が擦れたTシャツを優しい靴拭き再利用 夫の物で叱られた みんみん

視界の隅 月が綺麗と 仰いでも煌々とするのは 街灯ばかり 汐音 葉月

安酒をコールする声が幼くて世界が滅べば良いと思った 生・存

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◆ 詩

外暗いやん もう鈴虫泣いてへんし
外明るい間にねんねしたいのに
どうせアイマスクするくせに。 (マジカルらぶにゃん)

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◆作品評から

記憶にも留守の日はあり秋日和 睦月ヨシ
 ~優しい嫁が居て幸せお義母さん(嶌りす)
 ~私の母もそうでした。飛行機に乗って年に2、3回会いに行ってたけど、その度に(ひまふみ)

ダービーに燃える」は誤字 男は誤字 西脇祥貴
 ~競馬好きなものでダービーは燃えます。しかし興味ない方からしたら誤字同然。なにやってんの、との呆れ顔。ダービーは男の勝負さ、と気取ってみたら、またまた呆れ顔。男振りかざすのも誤字同然。ただ、当人は気づいていない、だって男で、誤字だから。(岡村知昭)

だすげまいね復元される愛国者 月波与生
 ~好きです(森内詩紋)

土踏まずウイスキーで地雷ふまず 石川聡 
 ~句会間に合わず申し訳ありませんでした。ウイスキーうまくてびっくり。ありがとうございました!(叶裕)

二人称は生食には向いてない 白水ま衣
 ~あなたと私しかいない文章。そして物語。他の誰かがスパイスになってくれれば味わうこともできるけど、ありのままの私を見せたり、素のあなたを見るのは怖い。毒になるかもしれないから。(西沢葉火)

猫係のような者ですと言う女 コネコノビッチ
 ~猫は気ままな生き物。束縛されるのを嫌う。それを知りながら上手に猫を操るのが飼育係の仕事。そう言って行きずりの女は薬指のリングを隠しながら、カクテルに口を付けた。(西沢葉火)

のり弁なあなたで愛す 石川聡
 ~のり弁は安いけど、美味しいし、お腹いっぱいになるし。たまに焼き肉弁当にしちゃうけど、やっぱりのり弁に戻ってくる。そういうのり弁みたいなあなただから、愛しています。(西沢葉火)

あおぞらを溶かした水は有毒だ 白水ま衣
 ~意外な展開に、おおっ?! と驚きましたが、そうか、美しいものは毒にもなりますよね。わたしの心では吸いきれない青(るなつ)

カモメにも賄賂を渡しておきなさい おかもとかも
 ~カモメも貰ってるはずだから村中の人犬猫鳥はもう賄賂を貰ってる。もしかしたら魚虫も貰ったかも知れぬ。しかしオレは貰っていない。何故だ何故だ何故だ。の句。(月波与生)

ソラシドは秋の時雨の音階に 蔭一郎
 ~好きです(森内詩紋)

川越まつり 行きたいな… fuu_
 ~スカラ座にかかってる紅白幕を観に行きたい。と思いつつ元々人混み嫌いな上に感染状況がどうもリバウンド傾向が見えるらしく…。(四月一日(わたぬき))
 ~お近いんでしょう?お仕事ですか。それともやはりまだ密な状態が心配ですか。(スタ・エレ)

鯊の字がむつかしくて読めないのだらうな あ
 ~はぜ。確かに初見で検索致しました。繪畫(かいが)も。(三月(みつき) 旭)

自販機の兄がなかなか出てこない 小沢史
 ~わたしは「姉」です。年の離れた弟がいます。仲は良いですが、弟が生まれた時からいろいろなことが変わってしまいました。「妹」になりたかったなあ。姉ではなく兄が欲しかった。若い頃に付き合った人たち、今思えばみなさん「兄」たちでした。(木野清瀬)

いくたびも膀胱に夜をたずねけり 石川聡
 ~良く眠れます様に(鷺沼くぬぎ)

パッキンを愛に含める中島みゆき 西脇祥貴
 ~中島みゆきの句はすべて結語が「中島みゆき」で終わる。毎日数句ずつリリースして現在どのくらいの句数になったのだろう。ライフワークとしてほしい。(月波与生)

メニューには無いニワトリの死を頼む 西沢葉火
 ~焼き鳥、唐揚げ、ローストチキン。飲食店で提供される「ニワトリの死」は数多くあります。しかし、作者はありきたりのメニューを拒否し、まだ見ぬ新しい「ニワトリの死」を求めました。「鳥料理」ではなく「ニワトリの死」と表現したところに、作者の緊迫した渇望を感じます。(徳道かづみ)

死にたいと思うくらいで腹八分 弌定住佳
 ~この句もTシャツにプリントすれば売れそうなコピー、句はやや教訓に流れながら「腹八分」が死にたい気持ちを馬鹿々々しくしている。(月波与生)

雑巾へ腕のねじりを移しきる 抹茶金
 ~どれほどの思いを込めて「腕をねじ」ったのか。「移しき」って身は楽になっただろうか。(月波与生)

終われない目頭光る2ピクセル まつりぺきん
 ~片目1ピクセル、両目2ピクセルか……。ちょうど涙腺の穴のサイズっぽいですね。なにが終われない、なぜ終われない、よりもピクセルの色に気持ちがいっちゃいます。(西脇祥貴)

阿佐ヶ谷姉妹までは晴れ 石川聡
 ~ジューニク。Tシャツのコピーとしてもいい感じで、多分他のメディアを結びつくことでより言葉は機能的になる。(月波与生)

虚子の顔だけ並ぶzoomの画面 蔭一郎
 ~碁盤の目のように並ぶ顔は「虚」子の顔だという。ネット依存社会の退廃感が漂う。(月波与生)

刺す方も刺される方も体育の日 しまねこくん
 ~小さく前へ倣わずに跳べ(鷺沼くぬぎ)

障子貼る糊を舐めたら甘くつて しまねこくん
 ~ちょっと好きすぎて全部にいいねしそうになりました。フォローさせてください。よろしくお願いします。(糸瓜曜子)

限りなく伸びる空あり七竈 花野玖
 ~燃え残る御霊地にあり七竈 言葉、ありがとう御座います。(najimi)

賑やかな愛に淋しいハイボール 藤井智史
 ~川柳が沁みる夜です。フォローありがとうございます。よろしくお願いします(糸瓜曜子)

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◆ 第86回句会報ダウンロードはこちらから

第86回句会報(PDF)

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