さみしい夜の句会報 第85号を発行しました

さみしい夜の句会
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さみしい夜の句会報 第85号(2022.10.2-2022.10.9)

第85回の参加者は102名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。

『さみしい夜の句会』合同句集の申し込みが始まっております。提出する作品は本句会で発表したものでも、それ以外へ発表されたものでも、新作でも構いません。俳句、川柳は20作品、短歌の場合は10作品程度が必要です。ご質問、申し込みはDMにてお願いします。

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◆ 参加者(102名)

しまねこくん、徳道かづみ、石原とつき、かなず(梨山 碧)、小沢史、海月漂、電車侍、さー、白水ま衣、太代祐一、池田吉輝、蔭一郎、風池陽一、汐田大輝、ぽっぽ、syusyu、花野玖、最中妙、雲心、石川聡、西脇祥貴、しろとも、元さん、まつりぺきん、森内詩紋、日下昊、おかもとかも、天やん、生・存、柊秘密子、雲上晴也、海馬、糸瓜曜子、枡川零ト”Reito/Masukawa”、あ、鷺沼くぬぎ、和泉明月子、Ryu_sen、sarasa、灰色ニボシ、星野響、岡村知昭、MIYA、宮坂変哲、鶴子、伽羅、日下踏子、む~みんママ、水の眠り、弌定住佳、馬勝、なゆた、西沢葉火、雷(らい)、斌、小間、涼閑、木野清瀬、澱粉、冬憑(ふゆつき)、さぶきち、日月星香、相見美緒(あいみみお)、とるばどーる、鴨川ねぎ、東こころ、同居嫁の呟き、こばやし南子(不眠症の猫)、菊池洋勝、桔梗菫、ササキリ ユウイチ、金瀬達雄、しもじょう、月硝子、千春、ふわふわにゃんこ、−恷庵−、ころんころん、富永顕二、輪井ゆう、ゆりのはなこ、抹茶金魚、空瓶、たろりずむ、橘月子、Tomoko、岩瀬百、睦月ヨシ、雛子、Hina、さこ(砂狐)、ちゅんすけ、hyuutoppa突破、やわらかおばけ、河上類、KAZU、楢崎進弘、山恵、大西貞雄、龍田山門/Rock O Novol、月波与生

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◆ 7・7詩、5・7・5詩

カモメにも賄賂を渡しておきなさい おかもとかも

蛇口の何を見て鳥と呼びますか 西脇祥貴

パッキンを愛に含める中島みゆき 西脇祥貴

0の輪裏からくぐるとき中島みゆき 西脇祥貴

カラフルなすべり台すべり告白 太代祐一

国土地理院の飲み会はド派手 太代祐一

虚子の顔だけ並ぶzoomの画面 蔭一郎

人間は神の托卵だよと鯊 蔭一郎

阿佐ヶ谷姉妹までは晴れ 石川聡

雑巾へ腕のねじりを移しきる 抹茶金魚

蘭鋳が火に包まれて落ちてくる 抹茶金魚

保険屋の特徴的な足捌き おかもとかも

ラフランス置いて居留守の仕上げとす しまねこくん

羽の無い天使が君で僕は羽 たろりずむ

二段ベッドでモールス信号したいわ 海馬

死にたいと思うくらいで腹八分 弌定住佳

ほろ苦く焼いておくれよ薩摩芋 しまねこくん

デラックス超合金のキリスト像 富永顕二

卵生の夢には命綱がない 白水ま衣

スマホ無き夜長無数の待ちぼうけ 月硝子

自転車が浸透圧で皺々ね おかもとかも

1メートルと好んで話す春キャベツ ササキリ ユウイチ

千切り絵のためにあそこを破く音 西沢葉火

デコルテに眠りの浅い十二使徒 Ryu_sen

彼岸花あなたに飽きたかもしれず 東こころ

筆記体さらさら書ける秋の鮎 蔭一郎

ダンサーはヒカリゴケは予告しかない 石原とつき

三単現Sが笑えば青くなる 石川聡

紅玉を温めてみて化けるから 木野清瀬

すこしづつ積み木と秋は冷えてゆく 蔭一郎

分岐点右も左も杜鵑草 花野玖

鴨川のカメレオンから叫び出す 岡村知昭

百歳の木馬がロバを嗅いでいる 岡村知昭

月齢のスキップされる茶碗蒸し 太代祐一

入口を決めて真顔の蛇になる しまねこくん

ホルンだけばらばらになる十三夜 星野響

プログレの音色ゆがみて鵙の贄 汐田大輝

多重露光で屑になるまで 海馬

主客転倒 それから波の立たぬ椅子 西脇祥貴

叩きつけ割れた南瓜を愛す河馬 かなず

暖をとる有刺鉄線抱きしめて 小沢史

人げんが入っていますさあどうぞ 海月漂

曇天や 廃園の中 破芭蕉 電車侍

友達がゴールを持って逃げていく さー

新聞紙ああ快感と燃えていく 流天

外葉までみじん切りするキャベツかな 風池陽一

手のひらに錠剤三つ水澄めり ぽっぽ

音符消えればピアノは鳴らず秋寒し syusyu

宇宙の窓アンドロメダへ秋深き 雲心

お釈迦様電化製品フェスティバル まつりぺきん

涙ばかり溜まるバスタブ秋深し 天やん

十三夜ますかけ線の上にあり 雲上晴也

宵越しの言葉は持たぬ空に蒔く 糸瓜曜子

辞世の句にするギャグをください しろとも

いわし雲もやつぱり骨があるかしら あ

後の月なれど名の無き月をこそ 鷺沼くぬぎ

笑みひとつ心の萎えて空高し 和泉明月子

寒露花束みたいなランジェリー sarasa

この夜に織り込み済みのさみしさか 灰色ニボシ

後戻りしなくていいと鰯雲 MIYA

サービス料有料なのにただ残業 宮坂変哲

秋寒や雨の公園人気なく 鶴子

柘榴食ふ鬼神は今日もをとこ抱く 伽羅

銀河からきた者だろう星きれい 日下踏子

秋霖の夜空の四辺に飛び乗って 水の眠り

置いてけぼりの冷たい雨の日だった む~みんママ

欲望が矛盾する頃毛が生える 馬勝

疲れ果てた神輿が通り過ぎた墓地 雷

バブルバス入るとレオン思い出す 斌

十字架を背中に彫って泣かぬこと かづみ

あれは茄子、嫁さんが食う方のナス 小間

夜帳を窓のくすみが反射する 澱粉

湯豆腐を一人つつき曇る窓 冬憑

冬隣銀杏拾いに臭い避け 日月星香

言葉は生きる為の祈り 相見美緒

あなたのTシャツで寝る秋の夜 とるばどーる

遺言はちくわの中に書いてきた 鴨川ねぎ

ポジティブな言葉吐く度鎌光る こばやし南子

秋分の日を跨ぐ延長料金 菊池洋勝

さみしい月夜に秋風慰め 黎明

共同便所で幻想論にシバかれる 金瀬達雄

とんこつのスープをよけるナナカマド しもじょう

寝室の壁に映るは我が夜の隙間。 ふわふわにゃんこ

亡きねこの髭をひろって三千里 ころんころん

人間の取説を読みだした猫 空瓶

湯豆腐もずぶ濡れになるときがある 橘月子

半分の月が出ていた 娘待つ Tomoko

遺伝子の雀蛤への散歩 岩瀬百

スランプと言うほど積んでいなかった 睦月ヨシ

待ってると言えない路地に曼珠沙華 雛子

回収の出来ぬ環状2号線 さこ

メロドラマLEDは似合わない ちゅんすけ

十月の涙の色を‘素’と答ふ hyuutoppa

白夜行 きみの背骨を回遊す やわらかおばけ

銃を持つマリオネットに糸がない 月波与生

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◆ 7・7、5・7・5以外の短詩

生きていく時間の果てに置いてきたあらゆる記憶の紛失届 最中妙

殴られたように痛いの体中菊の紅色鮮やかさ増す 千春

じゃあ次は貴女の番ねと笑う魔女  お前の呪いはあたしに効かない 最中妙

早々にあったか~いは売り切れてつめたさだけが並ぶ自販機 さー

じゃあ次はあなたの番と指さされ単三電池二本受け取る 蔭一郎

嫌ならば「俺は嫌だ」と拒否しなよ  「俺ら」と主語を大きくするな 鈴音

嘘つきだよねで終わるはずだったコルチカムと目が合う前までは しろとも

秋の風冷たい空気吹き込んでコロナじゃなくて風邪をひきそう 元さん

どうやって僕を救うというのかね?玉葱1つ刻めぬくせに 森内詩紋

十三夜の甘露いつも貴方は笑っているの問いかけ 日下昊

僕たちは全て季節の変わり目のせいにしてまた暦をめくる 生・存

月のよにきみを照らしてその頬へおちる涙をぬぐえたのなら 柊 秘密子

空見上げ吐息がふ、と流されて不意に感じるあなたの香り 枡川零ト

一人寝の 寂しさ沁みる 枕辺に 花散らしの雨が降る夜 なゆた

ナポリタンふやけておいらに巻きついたあの日の7階床はツートン さぶきち

最後には家族の誰も知らぬ名を呟くだろううつし世は夢 同居嫁の呟き

リンゴ剥く訛りの母の声がするリンゴ売り場のリンゴを眺め ゆりのはなこ

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◆ 詩

君は どんな気持ちで
ご飯を食べてたのかな。
そう考えると 胸が痛いのです。
生きづらかったよね。
しんどかったよね。
生きづらさを抱える者として少し理解できる…
何も気にせんでいいから
ゆっくり ゆっくり休んでね。
綺麗な景色を見せてくれてありがとう。
またね。(−恷庵−)

遠くの方から僅かに聞こえる街の喧騒
そこかしこから聞こえてくる
人々が生活している音
木々の葉が風で揺れる音
ひんやりとした空気
ロンドンの住宅街を歩いてるみたいだ
あの時見た空に似てる 
-揺れている 喧騒と静寂よ 少し寒い- (Hina)

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◆作品評から

国土地理院の飲み会はド派手 太代祐一
 ~そうなんだ(河上類)

八代亜紀俺の中では冬の季語 馬勝
 ~川柳は「俺の中」を表現するルーツだ。だから「あなたと同じ」を嫌う。上手な平凡より下手な奇抜を面白がる。「俺の中」をどんどん表現してほしい。(月波与生)

柘榴食ふ鬼神は今日もをとこ抱く 伽羅
 ~良い街ですよね。夏目漱石のお墓行きたいです。(KAZU)

モザイクが第二関節まできてる おかもとかも
 ~あやしげなものを隠すために使われるモザイク。モザイク除去機は高価だったがソレは見えたのか。モザイクが消え虚無とは何か?を知れば幼年期の終り。(月波与生)

本名で呼べば出れなくなる花野 蔭一郎

 ~雅号で生活することが多くなり相対的に本名を知ってる人が少なくなった。句会で突然倒れて救急車を呼ぼうにも誰も本名を知らない。そんな密室的川柳空間がとても居心地がいい。(月波与生)

お釈迦様電化製品フェスティバル まつりぺきん
 ~大事な物が壊れてしまうことを「お釈迦になる」といいます。長い間使って愛着があるけれど、壊れてお釈迦様になった電化製品がズラリと並んだフェスティバル。なんて幸福な空間なのでしょう!(西沢葉火)

ため息がきれいにみえるシャボン玉 kubotahiroko
 ~せんそうが終わらない国のシャボン玉吹きが集まっていっせいにため息をつく。無数のシャボン玉で世界中が満たされるときどくさいしゃはおろかさをしる。(月波与生)

パッキンを愛に含める中島みゆき 西脇祥貴
 ~無償の愛ですね。(楢崎進弘)

いわし雲もやつぱり骨があるかしら あ
 ~え。 あるの⁉️  て事は食べれるんだ(山恵)

秋寒や雨の公園人気なく 鶴子
 ~名句―素晴らしい。私は、駄句を偶にひねっていますが・・・。(大西貞雄)

写真館の青空が勘違いしてる 抹茶金魚
 ~「成人式の写真、まだ近所の写真館で飾ってて恥ずかしくって…」と女性がいった。「もうさげて下さいって言ったら、日焼けするから室内に移しますって…」とあまり困ってなさそうに笑った。写真館の写真のように。(月波与生)

恋人の名を持つお菓子菊日和 花野玖

 ~旅先でのことだろうか。いったいどんな味がするのだろう。買って帰りたくもあり食べたくもなし。(月波与生)

夜の案山子昼の案山子とすれ違ふ しまねこくん
 ~スタニスワフ・レムの短編の人類が7日に1日しか目覚めない世界で、水曜日に生きる男が火曜日に目覚める女性に恋をする、といった話(うろ覚え)を思い出した。(月波与生)

ト長調のペンギンしかいなかった 白水ま衣
 ~素っ惚けた感じで面白い。ト長調にしたのも嫌味がない。この嫌味がないというのは作句する上での大いなる美点。(月波与生)

蘭鋳が火に包まれて落ちてくる 抹茶金魚
 ~蘭鋳は燃え上がる。あの火脹れした貌を見よ。火炎のやうな尾を見よ。空から被弾した機体が墜ちてくる。火だるまになつて何機も何機も墜ちてくる。予感。幻視。視ること。要研究(龍田山門/Rock O Novol)

人間は神の托卵だよと鯊 蔭一郎
 ~鯊に言われたら納得しちまうなあ……(森内詩紋)

0の輪裏からくぐるとき中島みゆき 西脇祥貴
 ~0はメビウスの帯。同地点の裏表に哀と楽があってそれは同じ平面にある。(楢崎進弘)

宵越しの言葉は持たぬ空に蒔く 糸瓜曜子
 ~「撒く」ではなく「蒔く」というのが、捨てるのではなく、行き場のない感情もまた何かの種になるという感じがして…好きです(なゆた)

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◆ 第85回句会報ダウンロードはこちらから

第85回句会報(PDF)

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