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さみしい夜の句会報 第266号(2026.3.22-2026.3.29)
第266号の参加者は44名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。
今週もそれぞれのひとりの夜が、言葉という形で静かに交差しました。強い主張よりも、ふとした違和や揺れに光る句が印象的でした。夜の深さに比例するように、句の余白もまた豊かになってきています。来週もお待ちしています。
◆ 参加者(44名)
クイスケ、七澤銀河、胡椒黒、しまねこくん、笛地静恵、蔭一郎、カオルル、山田真佐明、大山 晶子、桑原雑、西脇祥貴、輪井ゆう、石川聡、月階柚、岡村知昭、Nichtraucherchen、鈴木正巳、なさわご、汐田大輝、田中美蟲角、詠んでみた水草、雨声、東こころ、水の眠り、雷(らい)、あづみのマルコ、安藤蜜豆、三明十種、鯖詰缶太郎、空野つみき、白水ま衣、まどけい、天然石アクセサリーkiki’s、雪夜彗星、真白、織部ゆい、akao、季川詩音、宮坂変哲、つきの さかな、高田つき、ふくろうたかこ、よもやま さか、月波与生
◆ 川柳・俳句
回復のifの部分に手折られる クイスケ
子を持たず人を愛した雌ライオン 七澤銀河
ブラジルを纏って眠る九官鳥 七澤銀河
吞み過ぎた象が夜道を通ります 七澤銀河
とおまきに骨伝導の蚊の翅音 蔭一郎
にくづきの風に関するいいつたえ 蔭一郎
舌の根の生存率を織りまぜる 蔭一郎
日時計に草冠の夕まみれ 蔭一郎
《ドトールの窓に二重人格せよ》 胡椒黒
こだまするイタリアの大理石だよ 胡椒黒
会える御影石会えない御影石 胡椒黒
自転車は春田へ落ちてゆくところ カオルル
それを云つたらおしまひのパンジー咲いてゐる カオルル
「うどんにも喜怒哀楽のある四月」 岡村知昭
屋上の鰐の花子の墜ちたがる 岡村知昭
1ページ埋めたダークマター払う 輪井ゆう
パンジーを三軒隣まで逃がす しまねこくん
たんぽぽになつたら忘れられるかな しまねこくん
ひと文字も浮かばないまま沈む月 安藤 蜜豆
転ばぬ先の杖の古傷 白水ま衣
おヘソから蜜のしたたるヨガ行者 汐田大輝
うどんにも喜怒哀楽のある四月 汐田大輝
国連の未来が溶けたレモン水 汐田大輝
生真面目な造花が眠るための部屋 空野つみき
睡眠のない星にある美術館 空野つみき
*
ズドラストヴィーチェ叫んでマダム泣く 山田真佐明
吾刺す君の溜息の切先 桑原雑
御浜 半分だけの中島みゆき 西脇祥貴
どうなってもどうあってもどーなっつ 石川聡
忠臣蔵を掛けて寝る Nichtraucherchen
句を作る傍に小さきやせ蛙 田中美蟲角
春炬燵うらぶれてみるUrlaub 詠んでみた水草
会えた日は桜に染まるリンドール 東こころ
浄土でもラーメン食いたやお中日 田中美蟲角
酷くずれ緋木瓜秘めたる陽のひかる 三明十種
春宵に つまみも選べぬ ボロダヌキ 鯖詰缶太郎
おい、おまえ わたしを無駄にするな。天然石アクセサリーkiki’s
無いものに風味を残す桜餡 雷(らい)
いつもより余計に酒を飲み川柳 まどけい
夕焼けの 孤独、凍て空 夜闇行き 雪夜彗星
春雷や病臥の瞼少し揺れ 真白
抗米のその先にある春の野か 季川詩音
いちじくのいろのみず 高田つき
無いものに風味を残す桜餡 雷(らい)
いつもより余計に酒を飲み川柳 まどけい
*
助動詞のほとりを濡らすラブドール 月波与生
◆ 短歌
定型と破調の間には羽化したばかりの薄緑色の蝉がいるとか、そういう事を話したいな。誰かと。 川瀬十萠子
許してねもう会わないと決めたこと人魚になりに海に行くこと つきの さかな
*
そしてまたいかねばならぬ春惜しむ 帰るとはゆくことだから夏近し 笛地静恵
鹿なんかどこにいたっていいでしょう鹿は鹿のまま生きたいねん 大山晶子
花筏 烏が帰り行く空を后が淡く渡りて消ゆる 月階柚
泣きたくてでも泣けなくて泣きたくて泣きたくないけど泣きそうになる なさわご
本当に私が在ったその夜冬の寒い駐車場 雨声
感情が騒がしくなる君といて醒めた物理のことわり探す 水の眠り
踊り場は時間の継ぎ目 ほどけずに息をひそめて触れた指先 あづみのマルコ
◆ 詩
束ねた紙に肘をつく
朝を待つ机
グラスが置いてある
半分減った野菜ジュースの
縁の黄色は
乾いたあと
朝焼け前に
言っておかないと
いけない気がしたから
机の前で
紙の上にそれを書こう
雀が山の向こうの
朝をさえずって
この身体もペンもグラスも
跡形もなく消えるから
朝焼けだけが永遠になる(山田真佐明)
◆ 作品評から
たんぽぽになつたら忘れられるかな しまねこくん
~たんぽぽになって詠んでる自由律 曼珠沙華ならちょと重い(よもやま さか)
うどんにも喜怒哀楽のある四月 汐田大輝
~うどんを啜り、噛んで、飲み込む。その動きのひとつひとつに、その人の喜怒哀楽が見える。四月だからだろうか。うどんの1本、出汁の一滴から、そのうどんの、その出汁の喜怒哀楽が透けて見える。四月だからだろうか、春だからだろうか。(岡村知昭)
どうなってもどうあってもどーなっつ 石川聡
~“どうなってもどうあっても”の部分にただならぬ覚悟を感じます。ドーナツを食べるのに何故そのような覚悟が必要なのか、分からないと言いたいところですが、分かるような気がします。(雷)
国連の未来が溶けたレモン水 汐田大輝
~これは、レモン水だけに、とある議決において「さんせい」が多かったのではないでしょうか。(季川詩音)
どうなってもどうあってもどーなっつ 石川聡
~“どうなってもどうあっても”の部分にただならぬ覚悟を感じます。ドーナツを食べるのに何故そのような覚悟が必要なのか、分からないと言いたいところですが、分かるような気がします。(雷)
尻濡れてからが楽しき潮干狩り 鈴木正巳
~十三湖では蜆採りが解禁になる夏、大勢で賑わう。確かに「尻濡れてからが楽しき」である。子ども達は蜆採りに飽きて泳いじゃうからね。(月波与生)
とろろ吸うマダムの口で嘘をつく 山田真佐明
~マダム川柳を書けば宇能鴻一郎ばりにうまい。小さくてのナンバーワンを取れる領域です。個性を大切に。 (月波与生)
やわらかき音叉の回廊に菫 蔭一郎
~体調がいいのか最近絶好調!(月波与生)
スローな武士の巻き戻し Nichtraucherchen
~「スローなブギにしてくれ」だよね、元は。いわゆる「命みじかしタスキに長し」系の言葉。面白い。(月波与生)

