さみしい夜の句会報 第107号を発行しました

さみしい夜の句会
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さみしい夜の句会報 第107号(2023.3.5-2023.3.12)

第107回の参加者は102名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。

6月18日に開催される《文学フリマ岩手8》に『満天の星』として出店します。「さみしい夜の句会」合同句集、「トイレの後は電気を消して」「風と雲の交差点」他を販売する予定です。また当日配布可能なフリーペーパを募集いたします。お持ちの方はDMでの連絡をお待ちしております。

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◆ 参加者(102名)

抹茶金魚、凪ちひろ、菊池洋勝、上崎、石原とつき、萩原 アオイ、しまねこくん、太代祐一、みさきゆう。おはな、こたろう、屑乃ハコ、流天、たろりずむ、syusyu、花野玖、Take、おひたし中田、水也、しろとも、うさ蒼、西脇祥貴、馬勝、うめたかな、水の眠り、星見冬夜、元さん、秋鹿町、鴨川ねぎ、みゆう、森砂季、1人用こたつ、おかもとかも、霧島あきら、何となく短歌、とるばどーる、西沢葉火、海馬、石川聡、mine、はかなし、蔭一郎、石原とつき、須賀善昭、ゆくりなく、む~みんママ、電車侍、かのん、みおうたかふみ、藤井皐、雷(らい)、片羽anju 雲雀、Eureka、雲心、fuu_、小沢史、もゆら、上峰子、せば、相見美緒、Ryu_sen、Emily、水戸充希、hyuutoppa、涼閑、ヨダレウルフコマソン(仮)、久久カナ、紅志野みのり、森内詩紋、一福千遥、のんのん、梓川葉、とうか、モンモン、さー、まつりぺきん、ゆりのはなこ、水彩、KBLib、高良俊礼、PERCHES、岩瀬百、斌、輪井ゆう、未紀、涼、日下昊、haruwo、蟻男(アリヲ)、宮坂変哲、汐田大輝、うたたね凛、和泉明月子、みくたん、弌定住佳、山田真佐明、狭山香、風の日の扉、千春、Somekawa Yukio、月波与生

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◆ 7・7詩、5・7・5詩

スーパーの袋で夢と見破った 上崎

爛漫とフローリングに虚無が咲く 上崎

指先に砂漠の柔らかさが見える 藤井皐

お茶漬けはお茶目線だと苦情あり 霧島あきら

甘エビの寿司に跨がる無免許で 霧島あきら

教科書は犬のしっぽといっしょだね 海馬

送りバント背中が急にかゆくなる 海馬

うちがわの苺からそとがわの林檎へ 海馬

モリスエの難度はDや春出水 たろりずむ

東京のうどんみたいな春の闇 たろりずむ

尾てい骨ほのかに残す獣臭 水の眠り

新世界今日から君は元五歳 さー

起死回生の死のところから動けない 紅志野みのり

初蝶やシンメトリーに風は吹く 屑乃ハコ

天秤の右と左に雛人形 しまねこくん

そりゃ錆もでる錆もでる錆も 雷

おねしょにはマーブルチョコの鮮やかさ 秋鹿町

止むまでは雨と呼ばれる 西沢葉火

幼虫の時はうねうねするひじき しまねこくん

初蝶やボタン師匠の死亡説 馬勝

サバ缶を終点とする画家の手記 海馬

食べ頃のアボカドに似て夜の川 霧島あきら

来世またバターでいたら恥じらおう 西脇祥貴

診察券「これでどこまで行けますか?」 しろとも

どことなく似ている人と並んでバスを待つ しろとも

奥襟はご自由にお取りください おかもとかも

本屋でも耳を探してみましたか まつりぺきん

蛤へ掛ける醤油の試食かな 菊池洋勝

分団をつまんでみせた誕生日 太代祐一

根を張れぬ代りに帆を張り海を知る おはな

春場所やあーと言う声こだまする こたろう

春の雨傘さすあなた過ぎてゆき 流天

止めよ春雷少年の手にナイフ syusyu

ボタンより欲しいものあり卒業期 花野玖

春彼岸漆黒の羽根境内に うさ蒼

黄昏にパンタグラフの花が咲く 森砂季

奈良を過ぎ草青む如酔ひにけり 石川聡

花いまだ酔止薬で初消費 須賀善昭

駆け落ちる夢からさめて涙雨 ゆくりなく

闇夜の中から亡き猫の声がする む~みんママ

老梅の 翁の如き 笑顔かな 電車侍

根拠なく なお一歩出す 啓蟄や かのん

つっこみを受け入れるお好み焼き屋 みおうたかふみ

鶯も野良も鳴く哭く水温む 片羽雲雀

初蝶やオリエンテーション待つ間 雲心

デイジー デイジー HAL 遠からじ fuu_

デイジーを毟ってほうら月になれ 小沢史

ぶらさがる苺光って何色 上峰子

夜の香のあるやと思う梅白し せば

空っぽの京都の冬のコロナ禍よ 相見美緒

ひとときの昆虫食に身をまかす Ryu_sen

宝石に見えぬ宝石春の闇 hyuutoppa

ふる郷は夢の水辺にいつもある 涼閑

蒲魚に微笑がえしリクエスト ヨダレウルフコマソン(仮)

fashionable fashionableと鳴く雲雀 のんのん

こそばゆい またねの代わり また明日 梓川葉

歌い出し前のめってもオブラディダ とうか

絞り出すハンドクリーム春までに ゆりのはなこ

あきらめにこんにちはする門出かな KBLib

喪失は言語化されず冷えてゆく 高良俊礼

渇望がつぎの響きを呼びよせる PERCHES

向かい風毛穴の詰まる春を行く 岩瀬百

響くのはモラハラのやさしいことば 斌

沈丁花香りを探して過ぎる春 輪井ゆう

ドトールにコーヒー飲みに行きたいな 涼

ゆきずりの淋しさを買う花つばき haruwo

ちょっと 明る過ぎるよお月さん 蟻男(アリヲ)

鳴門の渦潮に見えてくるうどん 汐田大輝

煙草吸う一番星見つけた 宮坂変哲

かぶりついたホットドックがクワガタで うたたね凛

クロッカス ガストも値上げ ボロッカス みくたん

死にたいと想うくらいが幸せで 弌定住佳

春めきてソウルシンガー聴く朝に 山田真佐明

春風が連れ去ってゆく君の笑み 狭山 香

旅に出ませんかと紙ヒコーキ届く 月波与生

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◆ 7・7、5・7・5以外の短詩 

背負ってるモノを降ろしてみたけれど タトゥーのようなアザは消えない mine

ふきんしんなものがどんどんけずられてえいりなふきんしんがのこった たろりずむ

「盲腸にルビふってみたの」なんて?「“住めば都”。ギリギリセーフかな」体育館裏 石原とつき

ポッキーを逆から食べてイマジナリーポッキーゲーム 春のせいだよ 久久カナ

AIはきっとあなたが好きだからまず小指から食べるのだろう 蔭一郎

引き抜くと次が出てくる機能ってウェットティッシュに必要ですか たろりずむ

わんぱくと名のついている公園に遊具などなく試されている 霧島あきら

病院に一人で行けるが羨まし所詮は隣の芝と思うが 凪ちひろ

「ねえ今夜」「そうだねしよう」の言葉たち食洗機の中泡に溶けてく 萩原 アオイ

あの「ー(音引き)」は甘さかつ弱さから 毅然と振る舞う勇気が欲しい みさきゆう

ブンブンと耳のあたりを飛び回り安眠妨害ヒト型のムシ Take

眠るのが怖い夜更けがあってもいいどうか明日よ満ち足りていて おひたし中田

とびおりる明日の道が見えている終わらない夜終われないまま 水也

運賃は消えない表示スイミングスクールバスの揺れ方に酔う うめたかな

あれからも季節は巡りまた咲くの花には何も罪はないけど 星見冬夜

悲しみのめぐる季節が何度でも優しい明日が笑顔で降りる 元さん

指先が君に触れたら青春が吹っ飛びそうで怖かったんだ 鴨川ねぎ

明日にはこの寂しさが止んでいて無口な私に戻っているか みゆう

片付けを先延ばしては丸まったティッシュを眺める1人の時の日 1人用こたつ

隈蒼く顔に影さす姿見て気丈に振る舞う限界を知る 何となく短歌

夕闇に夜が滲んでくる時刻御魂は君の傍にいるから とるばどーる

生きものは不具合で唯一の命aiは許せるか多様性 Eureka

春の嵐この想い春風に乗せとどけてほしい愛しい人へ もゆら

下書きは描けば描くほど上手くなるそれを信じてまた絵に向かう Emily

朝日さえ届かぬ場所にとどまった意識は半ば闇に溶けゆく 水戸充希

あわゆひらなごりゆひらにゆひらげと名歌の功罪相半ばして 森内詩紋

深淵にポツンと光る点ひとつ 明日の希望か落ちゆく我か モンモン

自信など付かなかったなそもそもさ愛とか恋とか信じられん 水彩

ワームムーンの光に誘われる地虫たち上の空 日下昊

針が0時を跨ぎ奏でる鐘は誰が為に鳴り、馬車は何引く モンモン

心凍てどうにか生きているんだな私だけが泣けないでいる 和泉明月子

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◆ 詩

せんせい定年だったんだって
カフェひらいたんだって
手作りパンだって
手がこわい(抹茶金魚)

今日の傷
昨日の痛み
明日の陰
抱えて生きる
泣きながら歩く(はかなし)

たまにはひとり
背を丸めて
うずくまろう
いろんな算段
月に投げ捨て(一福千遥)

柔らかい
日の光が
降り注ぐ
夢の中で
あなたの
幻を見た
側にいて
願ったら
涙が出た(未紀)

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◆ 作品評から

爛漫とフローリングに虚無が咲く 上崎
 ~爛漫と咲くのが虚無。しかもその場所はフローリング。
自嘲のような、諦観のような。昔、そんな光景を実際に見たような気がします。(まつりぺきん)

診察券「これでどこまで行けますか?」 しろとも
 ~診察券を差し出すポーズで、バスの入り口、入院の受付、銀河鉄道の中という三パターンの情景が同時平行で浮かんできて、鳥肌がたちました。(さー)

送りバント背中が急にかゆくなる 海馬
 ~おそらくこの人バットで背中掻き始める……。大事な試合なのに……。(太代祐一)

スカスカの腹にイチゴをはめてみるちょっとピースが合わないけれど さー
 ~合わないのを知ってイチゴをはめたのはそれが好きだからかそれしか無かったからか。それでもスカスカの腹は満たされて進むことができる。(月波与生)

怪獣が出たら名前を付ける部署 たろりずむ
 ~初めて見る怪獣なのに科学特捜隊員がすぐ名前を呼ぶのはおかしいと思っていたら名前を付けている部署があるらしい。テレビには映らない人々の空想で成立していた虚構。(月波与生)

「きょう嘘をつかれた人は5億人」ジョンズ・ホプキンス大学調べ 霧島あきら
 ~ウソツケ、今日嘘をつかれた人は5億人よりもっと多い気がする、と真面目に考えた瞬間あなたも「嘘をつかれた人」になる。(月波与生)

婦人部の揉めごと公民館に春 岩瀬百
 ~公民館を利用する趣味のサークルは女性中心のところが多い。そして春は役員改選の総会が始まる。役員総会はは至るところで揉め組織は分裂と再生を繰り返すのだ。(月波与生)

東京のうどんみたいな春の闇 たろりずむ
 ~好き。(風の日の扉)

新世界今日から君は元五歳 さー
 ~わーお誕生日にこんな言い方があるとは!おめでとうございます。
でも、ちょっぴり惜しむような気持ち。親心ですね。(花野玖)

本屋でも耳を探してみましたか まつりぺきん
 ~本屋さんにも耳が売ってなかったんでしょうね。
なぜか怖い感じがしないでホッコリするので不思議です(森砂季)

指先に砂漠の柔らかさが見える 藤井皐
 ~この句上手いですね!好きです♪(千春)

うちがわの苺からそとがわの林檎へ 海馬
 ~なんでしょうすごいキラー感……。~から~へ構文のパワーとスピードが、苺と林檎なのに加速しているような、苺と、林檎なのに……!!
前野健太さんのパンチライン”バックからトゥザフューチャーまで”を思い出しました。苺と林檎にもその距離があるのかも。(西脇祥貴)

どことなく似ている人と並んでバスを待つ しろとも
 ~共感します。(Somekawa Yukio)

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◆ 第107回句会報ダウンロードはこちらから

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