UnsplashのGabriella Clare Marinoが撮影した写真
さみしい夜の句会報 第238号(2025.9.7-2025.9.14)
第238号の参加者は58名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。
あたらしい人からの投句があると先にプロフィールを読みます。読んで短詩に限らずいろいろなことをやっている方であることを知ります。そして「さみしい夜の句会」や川柳社満天の星で何か一緒にできないだろうかと考える。すべては縁です。縁を感じてこちらか連絡することもありますが、連絡してくるのも全然OK。面白い川柳を創りましょう。
◆ 参加者(58名)
クイスケ、紺野水辺,、空野つみき、やぶ、森器、しまねこくん、笛地静恵、千葉羅点、鈴木正巳、ぺろぼっこ、天然石アクセサリーkiki’s、鈴木雀、ねるの いつ、しろとも、西脇祥貴、秋月祐一、fuu_、西沢葉火、雷(らい)、汐田大輝、宮坂変哲、涼、片羽 雲雀、季川詩音、山羊の頭、石川聡、蔭一郎、ゆうたま、石原とつき、よしぴこ!、akao、岡村知昭、山田真佐明、しんいち、リコシェ、ひいらぎ、霧雨魔理沙、塩の司厨長、ゆりのはなこ、ひいらぎ、水の眠り、青海波、まどけい、ひろいなた、不思議な話のアイン、高田つき、何となく短歌、雪平千星、crazy lover、涼閑、souko守宮、都まなつ、t o d o r o .、なさわご、もりまりこ、わたなべじゅんこ、問答無用の仕事師にLonging/Loveです、ShunSaito、月波与生
◆ 川柳・俳句
鳥籠にピアノを置いてほしいです 空野つみき
シロップを羊の群れにかけるだけ 空野つみき
道化師の瞳の星に住んでいる 空野つみき
絵本での私の肉はピンク?ブルー? クイスケ
かさぶたのにおい味わうコンシェルジュ クイスケ
死の陰に座す夜汽車溶け去る クイスケ
縁側に濡れたこけしが並び立つ クイスケ
直さずに読む鏡文字秋の夜 紺野水辺
ねずみねじ小指のとどかないギター 都まなつ
だるまさんがころんだ 脳に風穴 アイン
やわらかい墓になってくルッキズム アイン
お手紙とひとつだけ顔置いておく 蔭一郎
山頂にアップルパイが落ちてくる 蔭一郎
空気から剝がれてしまう白木槿 蔭一郎
扇風機ひらがなひとつしか言えぬ 季川詩音
おっさんのおでこが示すバーコード 季川詩音
なんとなく路面電車にいる苺 季川詩音
米屋です米屋ですから桃を剥く 岡村知昭
品行の悪いゼリーが臍に来る 汐田大輝
歴代の春樹の頸を鉢に挿す 汐田大輝
サンリオの時価総額が天城越え 汐田大輝
父の日は水中で息をする田中 汐田大輝
禿に塗るひまわり油 汐田大輝
歴史から学ぶゆりかご 汐田大輝
クラッチに挟まったまま冬を越す 汐田大輝
ジコハサンするかしないか猫じやらし 秋月祐一
事もなしみたらし生活研究所 秋月祐一
おしなべてへそからしたが罪である 石川聡
おしなべてクローンのつむじ単位はg 石原とつき
西洋の過度に数学的な花 宮坂変哲
褒めるのもセクハラになる世界線 宮坂変哲
ガトリングガンに変身あけび食う 宮坂変哲
高原の霧やセロリの荷に積もる 鈴木正巳
仏壇の父母に絶やさぬ今年米 鈴木正巳
何度もみた絵葉書の今日の港みる 雷
倉庫に香水の残り香ある張り紙 雷
ひとつめの積み木をのせるところから suzume Suzuki
苗字だけ変えて中身は芋嵐 しまねこくん
端つこが一個欠けても碇星 しまねこくん
eこそが生殺与奪の権をもつ リコシェ
*
学舎に夏の残り香花子さん やぶ
たましいを本のページへおきわすれ 笛地静恵
しどろもどろに泥田坊 笛地静恵
音楽かと思ってウサギになった駅 千葉羅点
熱は敵 ぼくのCPUが壊れるからです ぺろぼっこ
いいわけもなくとめどない ねるの いつ
背中腰レシピどおりに丸めてる しろとも
五度撮るとほつれ出す中島みゆき 西脇祥貴
寂しさをあつめて速し時の波 fuu_
歌を忘れたアカペラは 西沢葉火
逢っている盲導犬のせいにして 西沢葉火
祝勝会終えて未来が鳩になる ゆうたま
天候の 予測外れて 大荷物 涼
恍惚と謝罪しながら腐る桃 よしぴこ!
独り居の秋刀魚綺麗に焼き上がる akao
花狩りておどるおなごの肉のシワ 山田真佐明
過呼吸のオルガンだって来たらいい しんいち
雨が降る紅葉にノラに雨が降る ひいらぎ
球根を 植えて豪雨を 語り継ぐ 霧雨魔理沙
コレステローリングサンダース電気 塩の司厨長
四月馬鹿馬鹿は馬鹿です三鬼の忌 ゆりのはなこ
うしろむいて ひとつだけ顔 置いてきたよ ひろいなた。
九九の日や足りない物を買いに行く まどけい
耳たぶに三日月乗せて貴方へと 東こころ
転がるか走るか速いほうで行く 涼閑
月食の星空見上げ癒される 涼
つぼみ会ライダーはみな六十代 souko守宮
寂しさは春夏秋冬色違い なさわご
葉桜になる速度で愛したい もりまりこ
*
ウイルスチェックする恋人の動画 月波与生
六人にひとりはネット川柳家 月波与生
◆ 短歌
袋からどの子が抱かれて寝るのだろうゲームセンター戦利の遺品 水の眠り
*
まなかひにアルゲリッチのやうな猫 秋はしづかに待ち焦がれてた 森器
日々とはまるで、 不具合がそのままの、 未完成な階段だ。 天然石アクセサリーkiki’s
命日をかさねる度に薄くなる柔らかくなる静かな怒り 片羽雲雀
波の音耳の奥で満ち引きを 躰のなにかと共鳴してる 青海波
食を待つことができずに寝室の月明かるくて伏せるしかなく 何となく短歌
日々を埋める埋めて余白を無くしてくいらない思考を踏み潰してく 雪平千星
戻らないたどり着いたら心地よく歪み音色と台風一過 crazy lover
こうじゃなかったとリプライを消した指と私をどうか憎んで t o d o r o .
◆ 詩
太陽の元、歩き
背くことなく
暗闇の中、ひっそり
陽の目を見ずも
変わることなく歩く
時に振り返るが
立ち止まることなく
それが己れの道
歩き疲れた、なら休もう
誰も気にしちゃ、いないさ(山羊の頭)
そばにいても潮騒
電話ボックス、青い
砂糖水につけこむ
貝殻をしまう箱
指だけで泳ぎたい (高田つき)
◆ 作品評から
たましいを本のページへおきわすれ 笛地静恵
~とても良い内容だったりすると、魂が引き込まれるというか、本の中に置いてきてしまったかのように憔悴し切ってしまうときってあると思います。(季川詩音)
苗字だけ変えて中身は芋嵐 しまねこくん
~離婚や、結婚して苗字が変わっても中身は変わらない。確かにそうです。SUPER EIGHTの横山裕さんの言葉を思い出しました。グループ名が変わるときに、「グループ名変わっても何も変わらない。僕に関しては苗字も数回変わった。」って。(季川詩音)
流れ星すったもんだで白塗りで 江口ちかる
~以前の職場の先輩が「すったもんだ」を多用する人で自分が元でのトラブルも「すったもんだあって…」とか話していた。彼に平和な老後は訪れているだろうか。(月波与生)
ライダーはみな五十歳同窓会 souko守宮
~仮面ライダーは1971年に誕生したので今年53周年。バイクを乗る人も高齢化が進んでいると聞く。750ライダーと言っても通じないのでは。「みな五十歳」に実感がこもる。 (月波与生)
何度もみた絵葉書の今日の港みる 雷
~何回も見たはずなのにまた今日も見る。何回も見たはずなのに、なんか少し感じ方が違う。色褪せとかそういうのを感じるのかもしれません。(季川詩音)
歴史から学ぶゆりかご 汐田大輝
~「歴史から学ぶゆりかご」。歴史から学ぶことは多いです。狙って用いた表現なのかはわかりませんが、「ゆりかご」というのを見て、「ゆりかごから墓場まで」という言葉を思い出しました。(季川詩音)
空気から剝がれてしまう白木槿 蔭一郎
~川柳として読む。木槿の花言葉には「繊細な美しさ」もある。確かに木槿の花びらには極上の縮緬のような独特の美しさがある。それを「空気から剥がれてしまう」としたクオリア(個人の主観的な質感)表現は卓抜で真似ができない。蔭一郎氏の独壇場。羨ましい。(石川聡)
過呼吸のオルガンだって来たらいい しんいち
~オルガンは空気が流れでリードが振動して音が出る仕組み。空気を吸うために生まれたような楽器だ。だから過呼吸になどならない印象。なのにオルガンが過呼吸というズラし設定に柳味を感じます。語源は古代ギリシャ語「organon (ὄργανον)」=臓器の意もあるから、どことなく人の身体感覚にちかい語の響きがあるのもポイントだとおもいます。 過呼吸になっちゃうオルガンは一種の落ちこぼれ的存在にも読めますが、結五の「来たらいい」という優しさを伴ったフレーズによって心温まる救いがもたらされる一句ですね。(石川聡)
端つこが一個欠けても碇星 しまねこくん
~カシオペア座の和名が碇星なんだって。五つの星を結んで初めて碇になるから、一つ欠けても駄目。だから欠けても「怒り星」になっちゃうんだろうな。と、勝手に読んでみる。面白い。 碇星は秋季語だから俳句なんだけど、内容的には川柳味が満天、じゃない満点な感じ(石川聡)
歌を忘れたアカペラは 西沢葉火
~「アカペラは」に続く言葉はなんだろうと考えてしまいました。あえて曖昧にすることで、読み手に想像をかき立てることができる良さが「ジュニーク」にはある気がします。(季川詩音)
山頂にアップルパイが落ちてくる 蔭一郎
~山頂だと拾いにいけませぬ(わたなべじゅんこ)
しどろもどろに泥田坊 笛地静恵
~水木しげるの妖怪図鑑などによると、泥田坊は恐ろしげな妖怪だが、この句の泥田坊には、どこか愛嬌がある。「どろ」の三連発も強烈。(秋月祐一)
クラッチに挟まったまま冬を越す 汐田大輝
~「クラッチに挟まったまま冬を越す」。小さい動物か、虫か。色々想像できますね。「なんでこんなところにこんなのがいるのよ!」とびっくりしてしまうときって確かにあります。SNSでバズる(話題になる)あのシーンです。(季川詩音)
ケルン積む軍手や朝の露しみる 鈴木正巳
~写生句として読めば「ケルン積む」の静かさは魅力的。軍手に喋らせなかったのも好感。(月波与生)
(ここに季語)停める車のない体 雷
~(ここに季語)が面白い。読み手がそれぞれの季語を入れたらいいのだろう。メタ俳句(川柳でもいいが)的挑発。(月波与生)
枯木に夜がぶらさがった女を抱く 石原とつき
~「女を抱く」で終わる句。無頼でカッコイイが着地がすべて「女を抱く」で済んでしまいそうな感じもする。俗っぽいので使い方が難しい言葉。(月波与生)
ジコハサンするかしないか猫じやらし 秋月祐一
~自己破産ではなくカタカナの「ジコハサン」。身体のあちこちが自分勝手に散らばり出す錯覚を覚えました。漢字の自己破産は深刻なお金の事態ですが、カタカナになって、より自分の存在の危機の度合いが高まったかのよう。「ジコハサン」の向こうには、バラバラの自分が待っている?(岡村知昭)
なんとなく路面電車にいる苺 季川詩音
~一句のなかに「路面電車」「苺」と言葉の斡旋がおもしろい。わたしはこの「苺」を擬人化して読まず苺そのものとして読んだ。苺が「ある」のではなく「いる」のだ。しかも「なんとなく」。いい意味で地に足がつかない感覚が心地良い。(蔭一郎)
六人にひとりはネット川柳家 月波与生
~根拠もないのにそう言われると妙に納得してしまう。言われてみればそうなのかもしれない。というか、陰謀論や、偽情報などの拡散はこういうところからはじまるのかもしれません。根拠もないけれども数字で断言されると納得してしまう。この作品は現代社会への警鐘なのかも。(季川詩音)
おっさんのおでこが示すバーコード 季川詩音
~バーコードしてませんが、おでこって長くなるんですよ←ほぼ実体験 (宮坂変哲)
~バーコードが示すのは おでこより 頭頂部周辺の気がします(問答無用の仕事師にLonging/Loveです。)
褒めるのもセクハラになる世界線 宮坂変哲
~世界線という表現が好きです。どこの分岐でこの世界線になったのか、別の分岐の先ではセクハラではないのか、想像が膨らみます。 (なさわご)
独り居の秋刀魚綺麗に焼き上がる akao
~魚が綺麗に焼けたときの喜びは本当にすごいです。でも、独り居だから誰にも自慢できないのが悔しいです。でも独り居だからこそ小さな喜びがより大きく感じるのかもしれません。(季川詩音)
カッコいいセリフ強制されるBAR 宮坂変哲
~内藤陳が経営していたバー「深夜+1」を想像させる。チャンドラーやハメットは名セリフの宝庫だがあれを強制されるのは苦行だろう。(月波与生)
マジンガーZ乗り捨て大花野 TATSU
~巨大ロボットが朽ち果てている花野とは終末を感じさせる絵である。ラピュタではなくマジンガーZを選んだところに男気を感じる。(月波与生)
余所者はテクノカットで温かい 空野つみき
~「テクノカット」とは懐かしい言葉と思っていたが、先日NHKラジオで六角精児がテクノポップ特集をやっていたのでまだまだ現役だったりする。あのヘアスタイルは余所者感あるし。(月波与生)
倉庫に香水の残り香ある張り紙 雷
~「ある貼り紙」には何が書かれているのか。職場の人事か、健康診断の日程か。「香水の残り香」漂う倉庫は、居心地よろしくなさそう。貼り紙の内容も、あまり気持ちよくなさそう。まったく残り香も貼り紙も、ぼくの気持ちを滅入らせてくれるよ。でも倉庫の仕事は、まだまだ続く。(岡村知昭)
逢っている盲導犬のせいにして 西沢葉火
~盲導犬はあくまで先導役。自分を抑えて、誘導に徹します。それなのに「犬が行きたがってさあ」との濡れ衣。恋に焦がれてまわりが見えないふたりなんかほっとけばいいのに、己が役目を果たすべく、逢引の終わりを待つ盲導犬のけなげさときたら。いいんだよ、怒っても。(岡村知昭)
日々とはまるで、 不具合がそのままの、 未完成な階段だ。 天然石アクセサリーkiki’s
~美しいですね。たしかに不具合がそのままであり、階段を登るかのように日々を過ごしています。不具合を直すことなくそのままだからこそ美しいのかもしれません。未完成だからこそ毎日が豊かになっているのかもしれません。(季川詩音)
仏壇の父母に絶やさぬ今年米 鈴木正巳
~気のせいではなくて、本当に嬉しいんだと思いますよ。米不足と言われてる世の中で、今年のお米をお供えしてくれた。最高の親孝行です。(季川詩音)
ガトリングガンに変身あけび食う 宮坂変哲
~ちょうしにのって皮の内側こそいで食べたら一日中口の中がにがかった。(ShunSaito)
やわらかい墓になってくルッキズム アイン
~「やわらかい墓になってくルッキズム」。世の中では、見た目の偏見が話題になることが多く、いずれは死後も、見た目についても噂されるんじゃないかと思うときがあります。「あの人はこんな人だからああいうお墓なんだよ」って。想像するだけでも恐ろしいですね。(季川詩音)
転がるか走るか速いほうで行く 涼閑
~子どもの頃を思い出しました。ピクニックとかで、良さげな小さい山みたいなのを見つけてどう行くかみたいな。「負けないからな」と気合が入り速い方を選んで進んでいく。走る人もいれば転がる人もいました。無邪気な気持ちがあるからこそできたことです。(季川詩音)


