UnsplashのDylann Hendricks | 딜란が撮影した写真
さみしい夜の句会報 第203号(2025.1.6-2025.1.13)
第203号の参加者は69名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。
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◆ 参加者(69名)
しまねこくん、しろとも、胡椒黒、蔭一郎、片羽雲雀、西脇祥貴、石川聡、輪井ゆう、人見佐一、わたなべ、源一、塩の司厨長、谷下弱弱(たにしたつよし)、吉永定、水の眠り、朝森たけ、みみみ、鯖虎、季川詩音、西沢葉火、しんいち、笛地静恵、nes、ホワイトアスパラ、折戸みおこ、ハッカ飴、汐田大輝、武井窓花、みずがきなか、円山すばる、何となく短歌、菊池洋勝、リンネリンク、白石ポピー、雷(らい)、涼閑、佐々木スリランカ、影藤遥香、大月、古城エッ、あまおと、ゆりのはなこ、souko、狢川 久恒、佐倉、牛田悠貴、恭仁涼子(くにりょうこ)、馬勝、まどけい、みくたん、山羊の頭、えみ、砂原妙々、千春、りんさん、岡村知昭、海馬、クイスケ、成瀬悠、鷺沼くぬぎ、P先(たかぎぷりん)、Tatsuo Kanase、栗山 心、名犬 ぽち、かれん、杉村消毒店、み⃰な⃰実⃰、まさけ、月波与生
◆ 川柳・俳句
横顔が反乱めいている小鳥 汐田大輝
小指から天使になってゆく小春 汐田大輝
おとうとと書いたタグから外してく しろとも
眦の白き凝視をハインリヒ 笛地静恵
フィヨルドな会話だったと思い知る しんいち
たましいの先付けとは雨のにおい 蔭一郎
半世紀眠るナイフがポケットに 輪井ゆう
指輪ならとっくに飲んでいまは海 胡椒黒
サンズイの辺りから吸ふ蜆汁 しまねこくん
海賊の義足を焚べるどんど焼き しまねこくん
見逃して呉れよ雪達磨ぢやないか しまねこくん
寿司の化石たちのパビリオン クイスケ
おおむね天国は中耳炎 クイスケ
初夢の茄子を昼まで抱いたまま 海馬
芸名で髭を生やすといいですよ 海馬
左から笑い始めたマンドリン 成瀬悠
正しさに指を挟んで外来語 nes
踏切や桃の匂いの印度象 岡村知昭
*
シーサイド歌留多ときみの手をとって 片羽雲雀
査察される笑窪に中島みゆき 西脇祥貴
蛇口から真冬のメロディ 石川聡
北口で小さく手を振る君 わたなべ
懲りもせず道を探して歩く人 源一
続かないしりとりをして日向ぼこ みみみ
問わぬもの菓子が奇数か偶数か 鯖虎
この星は誰かがまいた金平糖 季川詩音
刃の上のピタゴラス 西沢葉火
人生の仕舞い方すらWebサイト 塩の司厨長
処暑見舞いけだものの首届きけり 人見佐一
水分が足りないゼリー状の独楽 西沢葉火
介護士の断る仕事残る月 菊池洋勝
日記の今日になる 雷
真夜中に光る裸足の人魚姫 涼閑
ORBISが光るアピチャッポンとぼく 大月
さなぎには戻れないこと記しけり ゆりのはなこ
私とて食うときは食う槌の子を souko
無人駅 凍てつく風の たまり場よ 狢川 久恒
民話レベルの少年時代 牛田悠貴
着ぶくれて人権マンがやってくる 馬勝
色鳥も恋をするなり日記書く まどけい
平凡に 非凡見出す 至福術 みくたん
妄想を昨日の夢と勘違い 山羊の頭
野良犬を見たことのない君たちへ えみ
泣かせてよホワイトアウトしてしまう 千春
しずけさを さびしとするか ねむりさえ りんさん
*
小声で話す時の〈ぬ〉の濡らし方 月波与生
◆ 短歌
いつの間にかあなたが呉れた靴下も脱げているから冬はつとめて 砂原妙々
この星はひとりぼっちの星だから群れでいたってひとりなんだよ 佐倉
人工の雪でいいから人工のダイヤモンドを僕にください 胡椒黒
吊り橋を揺らさなくなって私たち手を繋ぎ合う大人になった 水の眠り
泡立てたシャンプーうまく流せないあなたの残したシャワーの角度 水の眠り
*
傷ついた翼を休め空を見上げる終わりなき夢の途中で 人見佐一
臆病になってしまった行動を変えたくて少し熱い湯に浸る 谷下弱弱
パーの癖、君を表す 受け入れることの強さも差し伸べる手も 吉永定
真夜中の赤い点滅信号は一人ぼっちで交通整理 朝森たけ
ややこしい世界を生き抜く皆様へ ご無事でしょうか、息してますか ホワイトアスパラ
目の前の客が呪文を唱えてる梅田のスターバックスコーヒー 折戸みおこ
いつもよりちょっぴり長いトイレットペーパー使って贅のかぎりだ ハッカ飴
雪が降りはしゃいで一呑み千鳥足舌打ちのたうち帰り道 谷下弱弱
錠剤は色々ないろかたちしてラベンダーは春に目を覚ます 武井窓花
布団から出てる爪先から死が足音立てて近づく気配に みずがきなか
ペンを取るこぼれた涙を宝石にするため心へ金継ぎをして 円山すばる
冷たさの裏に隠した優しさで冬の夜風は私を撫でる 何となく短歌
しんしんと降り積む雪の冷たさに吐く息も凍る冬の夜の帰り道 リンネリンク
一枚の紙の重さを確かめて過ぎた夕また爪を切っている 白石ポピー
コンロに落ちた灰を拭く のばしてものばしても愛おしいなんで 佐々木スリランカ
明日の仕事の事を考えると寝る前からだるい時ってあるよね手当くれないかな 影藤遥香
あの星に手が届くなら摘み取って君に届ける幼馴染よ 古城エッ
きみがもし先に死んだらあの庭の薔薇と一緒に弔いの日々 あまおと
ワンオペで張り切る彼女は死んだ目の先輩の頬にポカリをあてる 恭仁涼子
◆ 詩・短文
いろいろなことに手を出すよりも、軸を決めて一つのことに専念すべし。
長いこと続けている人には敵わないのだから。そして、余裕が出てきたら別のことにもチャレンジしてみる。勿論、これまでにしてきたことも続ける。
長いこと続けている人には敵わないのだから。(季川詩音)
◆ 作品評から
教科書に似合うコーデを考えて nes
~教科書はコーデを組み立てる小道具のひとつであるが今回は教科書を主役としてコーデを考えろという。さて何の教科書ならあなたらしいコーデになりますか?(月波与生)
過不足のないダダよりダダダ 海馬
~ダダというとウルトラマンに登場した異形の星人を思い出すが「ダダ」という響きは過不足がないのだという。ダダダだと過なのか不足なのか?ではダでは? 音を使った川柳は楽しい。(月波与生)
たましいの先付けとは雨のにおい 蔭一郎
~無季俳句でも素敵だが敢えて現代川柳として。A~とは~B(である)の言い切り構文で川柳味。
掲句はAの部分(たましいの先付け)だけでも一句になるぐらい発想に飛躍がある。そして先付けと雨の匂いの取り合わせい更なる飛躍。魂と雨は「天」を想起させる点。天は魂が上っていく場所、雨が降りてくる場所。という空間把握感覚で語同士の不即不離を保っているし、一句の中で前半部分と後半部分同士が回収しあっているのでポエジーに統一感がうまれているのかな。語のあしらいに蔭一郎ワールドが出ている。巧い。(石川聡)
海賊の義足を焚べるどんど焼き しまねこくん
~え?烏賊の義足 。という空目(何本要るの?とか)(鷺沼くぬぎ)
小指から天使になってゆく小春 汐田大輝
~小春(こはる)。旧暦十月。朝晩は冷え込む、昼は陽射しが暖かい。散歩。指先から温まってくる。小指の先からという感覚の繊細。天使という比喩を自然に体得。「こゆび」と「こはる」の音の照応。気持ちのいい句。(笛地静恵)
~〜から+なってゆく(次第にそのような状態になっていくニュアンス)構文。に、ko-yubi 、ko – haru というO母音とカ行のK 子音を揃えた語が文頭と文末に置かれてフレーム構造になっています。身体の一部を読みこんだ身体性川柳で、掲句では小指は実感を伴う可視的詩語。小春は初冬の時候季語で可視というよりは季節の佇まいを感じる詩語、天使は通常不可視でイメージを優先する詩語。3つの異なる性質のわかりやすい語が詩語として置かれているみたい。バランスよいです。
定型韻律も数行並んでいる句の中から、掲句のようにキランと光るように読み手の脳みそに刺さって来る句が出てくるのはどうして?ということを考えると、語彙の選び方、並べる順番、並べるための構成(今回は構文や韻揃え)といったレトリックが整っている場合が多いのかな?と思います。勿論そうじゃない場合もあるだろうし、あくまで自分の読みの嗜好からの感想なんですけどねー。惹かれる句には理由がある。と言う話w良い句をありがとうございました。(石川聡)
錠剤は色々ないろかたちしてラベンダーは春に目を覚ます 武井窓花
~好き(P先(たかぎぷりん)
吊り橋を揺らさなくなって私たち手を繋ぎ合う大人になった 水の眠り
~いいですね。いい短歌ですね。ただ、水の眠りさんには悪いけど?まだ、揺らしている、俺。(Tatsuo Kanase)
秋はもうプラスチックの葉の名前 輪井ゆう
~思い出すのは竹内まりやの「プラスティック・ラヴ」。でもこちらには寄せないで「葉の名前」と広がりを持たせたのがよかった。(月波与生)
大雪に卒塔婆突き刺す鶴彬 大月
~鶴彬は15歳の頃〈暴風と海との恋を見ましたか〉という恋の句を詠んでいる。時代が違えばもっと素敵な川柳をたくさん遺したことだろう。(月波与生)
一枚の紙の重さを確かめて過ぎた夕また爪を切っている 白石ポピー
~良いですね〜。寒さが忍び寄ってくるみたい。(栗山 心)
見逃して呉れよ雪達磨ぢやないか しまねこくん
~いよ。見逃す。(名犬 ぽち)
ORBISが光るアピチャッポンとぼく 大月
~テツandアピチャッポンの金縛り(かれん)
上様と初めて書かれた領収書ポニーテールをちょんまげにする 水の眠り
~カミサマと読んだりジョーサマと読んだりしながら恥をかいて大人の怪談を登っていく。経費で落ちない領収書で財布がパンパンになる頃にはいっぱしのサムライ。(月波与生)
猿にだけ分かる写真集を編む 牛田悠貴
~以前『猿でもわかる~』というハウトゥー本が流行ったがこちらは「猿にだけ分かる」読んでみたい気もするが分かりすぎる自分がコワイかも。(月波与生)
無人駅 凍てつく風の たまり場よ 狢川 久恒
~続けて ありし時の君を思わん なんちゃって。(杉村消毒店
平凡に 非凡見出す 至福術 みくたん
~上手い。みくたん、その術を持ってる。(み⃰な⃰実⃰)
泡立てたシャンプーうまく流せないあなたの残したシャワーの角度 水の眠り
~下の句とてもステキです(まさけ)