さみしい夜の句会報 第141号を発行しました

さみしい夜の句会
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さみしい夜の句会報 第141号(2023.10.29-2023.11.5)

第141回の参加者は60名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。

「川柳人」という川柳誌がある。創刊は明治38年発刊の「川柳」が前身で後に大正川柳→川柳人と続く。発行人は井上剣花坊で新興川柳派を支援。鶴彬の「手と足をもいだ丸太にしてかえし」の初出は川柳人である。「川柳人」は現在も佐藤岳俊さんによって発行が続いて2023年11月で972号を数える。ネットの中にいると尖がったコトばかりに目がいくが、「川柳人」のような〈長く続いてきた川柳〉も気に留めておいてほしい。

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◆ 参加者(60名)

うつわ、しまねこくん、円山すばる、石川聡、片羽 雲雀、何となく短歌、佐竹紫円、水の眠り、syusyu、古城エッ、西脇祥貴、しろとも、雪夜彗星、温(ハル)、元さん、とるばどーる、思雨(スイ)、花野玖、中村マコト、西沢葉火、東こころ、石原とつき、富永顕二、燕雀之心、海馬、佐々木ゆか、夭夭雷、りゅうせん、Tatsuo Kanase、Take、みさきゆう、鴻鵠之志、萩原 アオイ、菊池洋勝、汐田大輝、たろりずむ、岩瀬 百、凪ちひろ、上崎、馬勝、ぱさ、比島アルト、涼閑、おかもとかも、ゆう(かっしー)、雷(らい)、まつりぺきん、蔭一郎、donkey、crazy lover、石原とつき、小沢史、かれん、輪井ゆう、吉岡繁樹、白石ポピー、尾崎豊、びんほう猫ミケ、な、月波与生

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◆ 7・7、5・7・5 (川柳・俳句)

谷折りにするひとりきりにちようび 小沢史

再会は雨と珈琲ほどの距離 輪井ゆう

ハロウィンがなかった頃のちらし寿司 雷

滑舌が良いも悪いも菊人形 しまねこくん

卵産む隙間時間に二つほど 小沢史

秋桜サラブレッドの糖度ゼロ Tatsuo Kanase

デカダンが押し寄せて来る秋の海 Tatsuo Kanase

来週はもっと木曜 西沢葉火

強い風(だれかが黒鍵だけを弾く) 上崎

座り込む人から聞こえる効果音 岩瀬 百

お出かけですか玉座の小陰唇 西脇祥貴

【急募】サンドバッグの敬称 西脇祥貴

特別な夜を終わらせサングリア 東こころ

太陽は痩せたアリクイムシの夢 汐田大輝

天心に月の卵を撒き散らす 汐田大輝

夢で飼う犬種がはっきりしない犬 りゅうせん

御利用は計画的に文化の日 しまねこくん

耳ザワリ子持ちシシャモの子のような 石川聡

ポプラぼくらも落ち葉しそうな 石川聡

湯豆腐は崩れて君が話しだす 中村マコト

一個ずつ林檎のコインパーキング しまねこくん

ユーチューブ鳥啼く声に耳澄ます うつわ

種採のできぬ墓標としての花 片羽雲雀

うら枯れて風とどまらず吹きぬくる syusyu

恋う人とbadendの夢で逢う しろとも

空が見る先にあるのは曼珠沙華 雪夜彗星

カーテンの隙間から覗く下弦の月 思雨

一山に季語の溢るゝ文化の日 花野玖

死にタヒと思へば鐘が鳴るナリ 富永顕二

ウォーホルの毛が見ているムール貝 海馬

フリーエージェントの行方温め酒 菊池洋勝

マクドナルドエンタイトルツーベース たろりずむ

擬音奏者の閨の声 馬勝

黄昏の波立つ海であるあなた 涼閑

昨年の手帳の予定埋まりだす かしくらゆう

立てこもり犯捕まりてより夜食 池田 突波

目には目を歯にはMSXを まつりぺきん

バラ肉をたくさん集めて咲かせよう おかもとかも

前世は木琴でしょうきっとそう 蔭一郎

足して引いて足して引いて donkey

引き算を使ってなんぼの足し算じゃ crazy lover

コンコン、パカで割れずに水子供養 かれん

小指に絵を描くエロティックな人の 月波与生

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◆ 5・7・5・7・7(短歌)

トーテムポールトーテムポール積み上げるものがないのは誰のせいなの みさきゆう

ほのめかす友へ手紙の返事書く連れてってくれと書けないごめん 円山すばる

ひとりだと独りきりだと気づくから雑踏の中好んで歩む 何となく短歌

陽だまりのような笑顔につつまれて目が覚めた朝 遠いまぼろし 佐竹紫円

ウユニ湖の水でうすめた青絵の具プレゼン前の心染めたし 水の眠り

噂ほど悪女でないのわたくしは 生卵なんか投げたりしない 水の眠り

飲み会の雑踏の中立ちすくむ白湯が飲みたいもう帰りたい 古城エッ

霜月に黄金の陽射し夏のようコスモス照らし太陽に向く 元さん

なるほどポルターガイストなお化粧にいざ鎌倉 石原とつき

秋風に洗濯物の影揺れるつられて僕の選択揺れる 燕雀之心

黒飴を父に購うCTスキャン検査待つ間の口のさみしさ 佐々木ゆか

緋の色のガーベラを見た あの花は少しあなたの「赤」に似ていた 夭夭雷

女子アナの「三連休」の一言にムカつきながら会社へ向かい Take

風の谷金の野に立つ者の如(ごと)錦纏(まと)ひし母の凱旋 鴻鵠之志

滑り台一番上からぶら下がる我が子ダッシュでレスキューしに行く 凪ちひろ

かぶとむし埋めたとこすら忘れてくように出会いを重ねてばかり 萩原 アオイ

静心求め眺むる月影に消ゆる事無き霜月の罪 ぱさ

涙を落とすそんな時、突然に 何かを失い得たのだろう 比島アルト

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◆ 詩

夜空を見上げ深呼吸
大丈夫 大丈夫と
おまじない
草木の匂い
走る車のタイヤ音
眠たそうな雲
どこかの家の部屋灯り(温 (ハル)

同じ空の下 包帯巻いてる子らが泣く
明るい照明の中で スマホを操る私
同じ時間が流れているのに
時間は須く平等だけど
人の平等なんて観念の話でしかない
寿命の切り売りができるなら
貴方は泣く子らにどれだけ差し出せますか?(とるばどーる)

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◆ 作品評から

恋う人とbadendの夢で逢う しろとも
 ~掲句を読んでいたら、なんか、deadend、West End Girls、
ベッドの上で魚になったあと(井上陽水)、などの語群がばーっと脳に来ましたw(石川聡)

湯豆腐は崩れて君が話しだす 中村マコト
 ~湯豆腐が崩れたとたんに、好きな人が堰を切ったようにおしゃべりなった。とても物語性を感じるし、季節とか人間模様も感じられて惹かれます。(石川聡)

デカダンが押し寄せて来る秋の海 Tatsuo Kanase
 ~デカダン
1.道徳や健全な気風が崩れた結果の病的な気風。
2.芸術上の一傾向。 反権威主義、反道徳主義、悪魔主義、病的趣味など反既成を特徴とする。
3.衰微・衰退。
1&3と解せば、今の日本ほどデカダンにまみれた時期は無いかもしれない。国の秋。(石川聡)

種採のできぬ墓標としての花 片羽雲雀
 ~切ないです。俳句なのでしょうが、現代川柳として読んでも味わいが。(石川聡)

【急募】サンドバッグの敬称 西脇祥貴
 ~仏の顔 (吉岡繁樹)

耳ザワリ子持ちシシャモの子のような 石川聡
 ~つぶつぶプチプチで美味しいけれど想像したら耳がザワザワしました(片羽 雲雀)

夢で飼う犬種がはっきりしない犬 りゅうせん
 ~夢なのでいろいろはっきりしないのですが、夢でなくても犬種がはっきりしない犬って、いますよね(笑)でも犬とはっきりしていれば、別にそれで良いのでは…という逆説のようでいいなぁと。(まつりぺきん)

ウユニ湖の水でうすめた青絵の具プレゼン前の心染めたし 水の眠り
 ~何よりも清らかな、心にすっと溶け込むような青色になりそうですね。美しいです……!(佐竹紫円)

ポプラぼくらも落ち葉しそうな 石川聡
 ~「落ち葉する」、開発しましたね素敵な単語(白石ポピー)

飲み会の雑踏の中立ちすくむ白湯が飲みたいもう帰りたい 古城エッ
 ~わかります。飲み会でつくる笑顔のシワの数数えてくれるあなたが欲しい(尾崎豊)

とわんとわん炭酸水を注がれたグラスに月の光をゆらす かきもちり
 ~何といっても「とわんとわん」がいい。その分後半「グラスに月の光をゆらす」がワリを食って平凡に感じられてしまうかも。(月波与生)

嘘泣きと言えずに続く終わりの会 中村マコト
 ~「終わりの会」は学校を思い出すが「終礼」はやっている職場も多いのでは。早く帰りたいのにどうでもいいことで終わらない地獄。(月波与生)

霜月に黄金の陽射し夏のようコスモス照らし太陽に向く 元さん
 ~11月なのに昼は夏のような日が続き…季節感がわからないですね (びんほう猫ミケ)

潮騒がヘッドフォンから漏れてきてみんな無言の満員電車 蔭一郎
 ~やや書き過ぎの感もあるが魅力的な情景を切り取った。良質な映画のオープニングのよう。(月波与生)

深爪の痛みに鶴が来てくれる 蔭一郎
 ~爪が割れてしまうので爪は浅く切る派なのだが、鶴が来てくれるなら深爪してもいい。「来てくれる」でおつうを感じさせてくれる。(月波与生)

秋風に洗濯物の影揺れるつられて僕の選択揺れる 燕雀之心
 ~洗濯=選択がダメですね。もっと普通でいいと思いますよ。(月波与生)

引き算を使ってなんぼの足し算じゃ crazy lover
 ~哲学を感じる。深いじゃあないかい。(な)


噂ほど悪女でないのわたくしは 生卵なんか投げたりしない 水の眠り
 ~いい御歌だと思います (とるばどーる)

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◆ 第141回句会報ダウンロードはこちらから

第141回句会報(PDF)

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