さみしい夜の句会報 第132号(2023.8.27-2023.9.3)
第132回の参加者は76名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。
10月1日に開催予定の「まわりみち句会」は『さみしい夜の句会』の番外編で、青森県弘前市にある書店「まわりみち文庫」さんの店内にて句会します。スペースの関係上10名と少人数の句会ですが、北海道、島根県からも申し込みがあり楽しみです。投句も受け付けておりますので(10日締切)#まわりみち句会 で一句ご投句ください。題は〈まわりみち〉です。
◆ 参加者(76名)
とるばどーる、修平、しまねこくん、ひうま、宮坂変哲、ダリア220、凪ちひろ、雪上牡丹餅、さー、雷(らい)、あやめ、syusyu、佐竹紫円、西脇祥貴、海馬、上崎、燕雀之心、日月 星香、元さん、西沢葉火、なさわご、おかもとかも、うつわ、マトリョ、温(ハル)、水の眠り、まつりぺきん、石川聡、須賀 善昭、蔭一郎、まつもともとこ、汐田大輝、雪の空𝒮𝒪ℛ𝒜、Nichtraucherchen、萩原 アオイ、鷺沼くぬぎ、ゆりのはなこ、輪井ゆう、石原とつき、片羽anju 雲雀、りゅうせん、hyuutoppa 突波、Take、碧乃 そら、鴨川ねぎ、花野玖、透影 弦、岡村知昭、何となく短歌、奥 かすみ、花乃、もふもふ、moca、藤野、萬某、うたたね凛、黒音、たろりずむ、岩瀬 百、東こころ、みや、しろとも、阿笠香奈、涼閑、流天、Born Slippy(モンモン)、古城、みくたん、森砂季、M*A*S*H、星野響、こはく、crazy lover、donkey、月波与生
◆ 7・7、5・7・5 (川柳・俳句)
水蜜桃いつ軌道からはぐれたの 星野響
海を汚す日あかんぼが空を指す 海馬
居心地の良い缶詰の研究室 修平
夏服で腹を壊した洗濯機 さー
くらげ降る暮改広場はとこしへに 西脇祥貴
どん底の真下を掘ってみたい夜 修平
対岸に過去分詞また流れ作業 おかもとかも
虫籠に演技を見抜けない男 しまねこくん
交差点あたりに咲いた口内炎 上崎
浮ついたシャトルバスとは縁を切る りゅうせん
月からの非通知通信耳のびる 汐田大輝
ベルトから上の部分が虫籠で しまねこくん
床板を押すと出てくる俺らしさ おかもとかも
光熱費いつも馴れ馴れしい魚眼 おかもとかも
残念な話を聞いたままでいる 雷
握手したあと手に残る秋の海 蔭一郎
瓢箪の下がるのきした足ぶらり 水の眠り
貞操の渋滞に赤い羽根 水の眠り
どんなに抗ってもししゃもは校則ときどき群馬 石原とつき
指切りげんまん「そこまで葉緑素を馬鹿にする?」 石原とつき
都合よく切り取りましょう星月夜 ひうま
I love you 言えて言えない愛してる 宮坂変哲
濡れた股そのままでいる十七夜 ダリア220
潮を吹く専売特許買い取った 雪上牡丹餅
空蝉の爆ぜたふうせん片付ける あやめ
好きな娘の名を言はされて西瓜喰ふ syusyu
ミス多き日の帰り道草の花 佐竹紫円
行く夏を惜しんで鳴く虫の音よ 日月 星香
名古屋常勤のシャチホコ 西沢葉火
おやすみと月に手を振るこんな夜 なさわご
怖れをも遥かに凌ぐ好奇心 マトリョ
日没に歩を裏返すThursday まつりぺきん
おばあさんと日傘が坂を浮いてゆく 石川聡
夏の朝定礎は堤康次郎 須賀 善昭
謝れば笑顔になった夫の瞳 まつもともとこ
天人の唐草は青空に映え Nichtraucherchen
満月が昨日だったのは気のせい 鷺沼くぬぎ
留守電に残る声まだあたたかし ゆりのはなこ
こっそりと荷物を棄てゲリラ豪雨 輪井ゆう
ネフェルティティのアイデンティティ 片羽雲雀
隙あらば大金盥ビオレU うつわ
天牛やBの縦棒切れば3 hyuutoppa
街灯の背伸びしてゐる月夜かな 花野玖
満月の夜カピバラになれぬ夜 岡村知昭
バスソルト入れてみたいが皮膚が拒否 花乃
姑と波長の合わぬ熱帯夜 もふもふ
居座るのか往生際の悪い先輩だ うたたね凛
中国は人口テロや水澄めり たろりずむ
何度目の運命ですか夏の花 東こころ
パフュームになれない夜の天花粉 しろとも
出来れば優しい人で居たい 阿笠香奈
2番線ホームの別れ明日も雨 涼閑
大工打つカナヅチの音虫すだく 流天
星空をちくわでのぞく婚約者 森砂季
農業を廃業しても居る案山子 M*A*S*H
みんな集まる 濡れている人もいる 月波与生
◆ 5・7・5・7・7(短歌)
マス目に沿って向かったらズルした人が早かった それでいいんだ 比島アルト
秋という季節を忘れた星だから夏休みは二度あってもいいよね 鴨川ねぎ
お煮しめの味はいつしか母になり濃い味にがての家族ができた 水の眠り
お盆には帰ってこれない将来が天涯孤独にじわりと迫る 萬某
旱星 スーパームーンに照らされたモアイ像の列に並びたし 碧乃 そら
あれもしたい、これもしたいと思っちゃう寝るしかないのに、風邪ひきの午後 凪ちひろ
やなことがあった夜は…ただただ寝るそんな夜は いい夢を見る 燕雀之心
十六夜の闇も溶かして月を浴び心の隙間忍び込む夜 元さん
君だって抜け出したいともがいてる思って手助け自己満言われ 雪の空𝒮𝒪ℛ𝒜
願掛けのように伸ばした爪先の折れて終わりの近さ占う 萩原 アオイ
誰もいない深夜の公園待ち人は知らない世界へ誘うあなた Take
痛いなら跡を隠すよ。だからほら、いちにのさんでにって笑った。 透影 弦
円い月をただそのままに愛せずに翳り求める己の冥さ 何となく短歌
心臓が君の手に触れ打った夏 夜空の花のように消えゆく奥 かすみ
ひかりの海に飛び込んであなたは飛び立つのでしょう、私はひとり 月色萌果
あれは、そう 君のとなりに人生がまだ輝いていた頃のこと 藤野
一度きり跳ねたカエルの着地点見つからないのに君はそこにいる 黒音
ヤリング、カギ、ネックレス絡まって出てくるときの死ぬ蝉の声 岩瀬百
灯火を分け与えるとそういえば少女は笑う背伸びの煙 みや
勝ち上がる小柄に不利な組手でも帯しめ直し鼓舞に応える 古城
泡沫と 忘れ得ぬ想 秋の波そっと届けて 密輸恋箋 みくたん
◆ 詩
夕暮れの雲の間を 北へ南へ鳥が飛ぶ
帰るところがあるんだね
明日もこの空を飛んでくれるといい
君らが帰った方角を しばらく眺めていた(とるばどーる)
煙草の煙を吐きながら
怒哀の靄も吐き出して
空に散らばり消えてゆく。
天空に居るキミに
助けてほしくて。 (温(ハル))
◆ 作品評から
プッテぃんと割るあまりにも永い夜 行
~「プッテぃん」はなかなかいい音を持ってきたと思うが「うっふん」でも「あっはん」でも句の魅力がそんなに落ちないのが辛いところ。(月波与生)
へーヒーコターャジス人恋の色褐 森砂季
~川柳書きが一度は書いてみる句です。ボクも似たようなの作りました。無数の屍の上に花は咲きます。(月波与生)
ネフェルティティのアイデンティティ 片羽雲雀
~これは七七ですね。(西沢葉火)
尾灯(テールランプ)「コッチ見ろ!!」AM02:02 まつりぺきん
~まつりぺきんは第2形態に入ったようだ。(月波与生)
とりあえずビール以外のふくらはぎ 海馬
~「ふくらはぎ」の句は先に〈歩いたことないリカちゃんのふくらはぎ 八上桐子〉という鮮烈なのがあるので使いにくいのだけど、上手く躱してリカちゃんとは世界を作る。(月波与生)
あなたへの裸体をしまふ処暑の風 syusyu
~「夏をあきらめて」を思い出しました(古いですね)桑田佳祐があれだけの言葉と音で描いた世界を17音で表現されたのは見事です。(月波与生)
主義あれど種なしシャイン・マスカット 石川聡
~うまいなあ。こういう句を書ける人は川柳の大会なら賞取り屋さんになれる。明るく楽しい川柳ライフが待っているよ。(月波与生)
たくさんの小わけにされたしあわせをネオンの町で少女がくばる 比島アルト
~「たくさん」は街角で配られるポケットティッシュだったりコンビニのレジの人の笑顔だったりするのだろう。日々あなたへ配られるしあわせ。(月波与生)
どこまでもするめの味の宇宙とは 太代祐一
ヌードルの3分のちの嫌な声 太代祐一
~「するめの味の宇宙」がどこまでも続くのはとてもイヤだと思う。ヌードルの句もイヤな感じが伝わって来て面白い。 (月波与生)
裏方でずつとかかはりたき佞武多 syusyu
~自分は青森の人間なので佞武多(ねぶた)祭りには鳥肌が立つほどの愛着がある。「ずつとかかはりたき」が祭りのはかなさを言い表してが切ない。(月波与生)
どん底の真下を掘ってみたい夜 修平
~「ただ楽しめています。」素晴らしいですね!
これが実は一番大事だと、個人的には思っています(笑)(まつりぺきん)
都合よく切り取りましょう星月夜 ひうま
~わー 季語がステキに皮肉(こはく)
指切りげんまん「そこまで葉緑素を馬鹿にする?」 石原とつき
~青汁の緑は葉緑素の緑だと思い込んで飲み込むべし。約束破って指切りげんまん針千本飲むよりはずっとまし。葉緑素を飲み込んで、あなたは草木の仲間入り、とならないのは葉緑素をまだバカにしてるからではありませんか?(岡村知昭)
瓢箪の下がるのきした足ぶらり 水の眠り
~残暑の中、もう秋の匂いが。日陰で涼んでいる姿が浮かびます。(crazy lover)
貞操の渋滞に赤い羽根 水の眠り
~うまい!(donkey)