今日の川柳 #2 ぼくら逃亡 海がなければ海創る 岩村憲治
川柳人としての起点をどこに持つか、を考えた時個人的にはこの句がそうなんじゃないかと考える。ぼく(ら)のらも甘いしうっとうしいし「海創る」なんては今は中学生すら言わないだろうとは思う。だがこの句の海は寺尾俊平の「川柳のユートピアの建設」に呼応しているように思えるし何よりわくわく感に溢れている。「逃亡」が効いているのだ。何からの逃亡だろう。ここはひとりひとりちがっていい、とにかく逃亡するのだ。で、うっとうしい(ら)が生きてくる。理由はそれぞれみな違うが、ぼく(ら)で逃亡するのである。海も創っちゃうのである。わくわくするじゃないか。ということで、川柳のことを考えるときぼくはこの句を起点としていきたいと考えている。
