2022-07

さみしい夜の句会

さみしい夜の句会報 第72号を発行しました

第72回の参加者は84名でした。  ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。  7月8日。  安倍前首相が暗殺されました。事件の詳細については正確な続報を待ちたいですが、考えてしまったのは言葉のもつパワーです。政権末期、政策の失敗やモリカケ、桜を観る会の疑惑で「アベヤメロー」の声が強くなったとき、「アベシネー」の声も聞かれました。まもなく安倍首相は辞任し、そして今回の事件です。小さな声が増幅され大きなパワーとなって現実の事となったようにも見えます。  言葉には言霊がありますから詩歌を創作する人間として、より丁寧に扱う必要があることを実感しました。
月波与生の川柳

月波与生の川柳 #1 無言館

無言館 無言館の開け方春の始めかた 始めたら無人にできぬ駅ピアノ ピアニストみようみまねを解いてゆく 難解な解体ショーは七日目に 七人の知らん子が来て牛洗う 蝸牛や平らになった土饅頭 土星語を話さぬ土星人の猿 猿山を富士と名付ける太閤記 太陽がふたつ書かれたDNA パスワード“absurd"で閉じる無言館 花盗人ぬすむ無罪らしき罪 無花果の青さすべてが敵だった
おとなが読む絵本

#6 だいじょうぶくん

作   魚住直子 絵   朝倉世界一 発行日 2022年3月 発行社 ポプラ社 (1,480円+税) ともだちがいなくても楽しく生きている大人もいれば ひとりだと死んでしまいそうな大人もいます。 環境が変わって新しい人間関係になじめなかったそうたくん。 どのようにして新しい環境になじみ友達を作ったでしょう。 ともだちのつくり方を忘れた大人に この本は語りかけます。
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今日の川柳

#5 雨の音 確かなレとか君のファとか 高橋由美

雨が降っている。 ではなく「音」としているのでこの句の「音を聞いてくれ」ということになる。 確かな「レ」、何だろう。 レはレモンのレ、レの音で始まる歌だろうか? ということで調べる。 ほう、「君が代」が「レ」から始まり「レ」で終わる歌らしい。 これはこれで面白し、確かな「レ」なのだけと、多分違うだろう ということで却下。
句会

まつりと詩歌 作品募集

日本現代詩歌文学館では現在「まつりと詩歌」というテーマにて展示会を行っておりますが 開催中の展示にちなみ「まつり」を題材とした詩歌作品を募集しています。 川柳部門にて、本サイトの管理人である月波与生が選者となっております。 たくさんの「まつり」作品をお寄せください。
今日の川柳

#4 老人は死んでください国のため 宮内可静

この句が最初に登場したのは1997年12月、作者の宮内可静さんは78歳だったという。 なので、若者が老人に向けて書かれた川柳ではない。 老人が(自分を含む)老人に対して詠んだ川柳だ。 当時は賛否両論で騒然だったと樋口由紀子さんが金曜日の川柳で書いている。 実は高齢者の自殺は他の年代に比べても多い。 二十代も三十代も四十代も多いが景気が良くなって経済的に潤ってくると減る。 だから現在は危険なのだけど。 しかし七十代は他の年代ほど影響を受けにくい。 世の中がどうあろうと一定数の高齢者は常に死を選ぶ傾向があるのだ。 その理由は「迷惑をかけたくない」である。 そう考えたとき、この句は宮内さんの内面から湧いてきた自分の声に聞こえやしないか。
満天の星

さみしい夜の句会(月波与生編短詩集Ⅰ)の紹介

2021年2月から始まったTwitter句会『さみしい夜の句会』の2021年の作品を中心まとめた第一合同句集。参加者29名の短詩作品各20編の他、「さみしい夜」「短詩について」をテーマにしたエッセイ19編を収録。さらに29名の作者紹介、川柳作家楢崎進弘氏による句評を収録した。 「さみしい」と感じた人が書き込みたいときにすぐ書き込みが出来て、それを読んだ誰かからすぐにレスポンスがある句会が開催できないか、と考え瞬間的に立ち上げたのが『さみしい夜の句会』になります。 句会、としたのはぼくが川柳人だからで、書き込みは川柳に限定していません。毎週発行している句報では、5・7・5詩、7・7詩、それ以外の詩と表記してあり、つまりは書き込む人にとって詩であればいいとしています。そして詩を読んだ人は「いいな」と思った作品に少しでもコメントを残す。 参加ルールとしてはこれだけです。 (月波与生 「さみしい夜の句会前夜」)
川柳のいま

#2 くちびるにウエハースと川柳ステーション2022~川柳の話  

6月28日(奥付によれば)、なかはられいこさんの句集『くちびるにウエハース』が発行されました。 前句集『脱衣所のアリス』からは21年ぶりの句集とのこと。 21年ぶりとはいえその間に発表された作品は「We ARE!」、「ねじまき句会」で読めるので 句集にはどの句を載せてどの句を落としたのかにも興味がありました。 全5巻でもよかったのに。
満天の星

『川柳の話』第3号 目次から

特集は「細川不凍を読む」 細川不凍の最近作50句とエッセイ 清水かおり、湊圭伍、桑野晶子による作品論 木本朱夏、真島久美子、月波与生による不凍作品を読む「向日葵鼎談」 を掲載。 第二特集は 蔭一郎、しまもと菜浮、真島凉、真島芽と真島久美子、月波与生にる川柳競作 他に「2021年心に残った川柳」アンケート発表 海月漂の川柳ショートショート 真島久美子「川柳のこれからを考える~子供川柳教室から2」 月波与生 「疾走する川柳3」の3回目 など
今日の川柳

#3 お別れに光の缶詰を開ける   松岡瑞枝

光の缶詰を開けると 過去が消えて自分も別なものになってしまうのだろう 見えていたものが見えなくなってしまうのだろう 光の缶詰だからね だから普通は開けない 開けない限りはあなたとわたしの関係は維持される でも 缶詰を受け取ってしまった時点で あなたとわたしは別れることになっていたのである だって 光を見たいじゃないですか しっかり 目を開けて お別れに光の缶詰を開ける 松岡瑞枝 (句集『光の缶詰』(編集工房・円、2001年))
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