さみしい夜の句会報 第290号を発行しました

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さみしい夜の句会報 第290号(2026.9.6-2026.9.13)

#さみしい夜の句会 報第290号(2026.9.6-2026.9.13)を発行します。

第290号の参加者は34名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。

9月10日、第5回「満天の星」誌上川柳会を締め切りました。
まだ取りまとめが終わっていませんが、有料大会になってから最高の応募数になっています。(第1回は無料大会)宛先を見ると7割以上の投句がネットの人でもなく、句会大会でお会いしたことのある人ではなく、初めてお名前を拝見する方です。芥子粒のような柳社ですが見えない人達に支えられているなあと痛感しております。そして、大いなる感謝の気持ちでおります。
たくさんの投句、ありがとうございました。

◆ 参加者(34名)

佐井杜有、クイスケ、七澤銀河、汐田大輝、鈴木正巳、カオルル、代本版、桑原 雑、雪上牡丹餅、しまねこくん、雷(らい)、片羽 雲雀、田中美蟲角、Nichtraucherchen、雨声、ひよどりよりこ、季川詩音、しろとも、まどけい、石川聡、青海波、binnai、非常口ドット、涼、笛地静恵、つきの さかな、水彩、不思議な話のアイン、ふくろうたかこ、Tohiki Horikoshi、落とし子、アカリ、ユリ、月波与生

◆川柳・俳句

秋霖や海女ばかり来る美容室 鈴木正巳

雁鳴くや聖菓の予約始まりぬ 鈴木正巳

指先が食い込むほどのモランボン クイスケ

家老が値上げされていく音 クイスケ

ちゃんとした画材ばかりがいなり寿司 クイスケ

肌色の絵の具で蟹を塗るサロメ クイスケ

短刀を抜き出すまでの社交術 七澤銀河

逃げ延びる三兄弟は終電で 七澤銀河

猿おらぬ猿山秋の雨止まず カオルル

秋場所や不味き飯なきとんかつ店 カオルル

生霊の背中を夜がのびていく 汐田大輝

松脂が垂れるジュリエットの瞳 汐田大輝

荻窪は十二単衣の群生地 汐田大輝

木刀で叩きつづけた火星人 汐田大輝

み仏の片目うっすらセミクジラ 汐田大輝

コロッケに金木犀が混ざる昼 佐井杜有

ハンバーグからタマネギを抜いた罪 雪上牡丹餅

バファリンの半分だけを作る店 雪上牡丹餅

坂道は秋になつても坂のまま しまねこくん

秋麗諭吉の顔はうろ覚へ しまねこくん

命日が積もり秋めく吸い殻や 片羽雲雀

   *

秋雨や夢のつづきをみまかりぬ 桑原 雑

スコップが荷台で冬に近くなる 雷

野良猫にひとこへかけて捥ぐ茄子 田中美蟲角

秘密をバラす万華鏡 Nichtraucherchen

覗く味噌怖るる厨衣かづき ひよどりよりこ

毛虫焼きジェンダーレスを唱えたり 季川詩音

生きてたら どうせ最後は みんな死ぬ 涼

ハヤシの日カレーを食べてふて寝せり まどけい

鏡花忌の網で炙って油揚げ 笛地静恵 

秋虫の悲鳴に少し安堵する 水彩

天ぷらが溢れてる北方領土  アイン

まろき月反逆の生をかばう ふくろうたかこ

   *

ぺらぺらの言葉をあつめ塔にする  月波与生

◆ 短歌

青色の星には無い寂しさが君にはあってアラザンの白 青海波

八月を点滅させるふみきりは渚の足裏の砂時計です 石川聡

結局は森には触れずそして犬だった がしかし否定できず雨声

   *

どうしても今会わないと明日には会いたいなんて思わないから binnai

満月は夜を喰らって膨らんで空が近くて落ちそうになる 非常口ドット

好きだよは終わりの始まりなんだろう?知ってる だからひとりでいいの つきの さかな

◆詩・短文  

 ※詩の投稿ありませんでした

◆作品評から

秋雨や夢のつづきをみまかりぬ 桑原 雑
 ~もっと哀しくなってますね(落とし子)

ケチャップに威厳があれば秋だった coma
 ~「もしケチャップに威厳があったなら」という奇抜な仮定から、季節の感触へつなげる発想がユニーク。安価で親しみやすい調味料の代表であるケチャップの重厚感のなさと、深みや寂愁を帯びた「秋」という季節の空気感。(月波与生)

標識に絡まっている希少部位 空野つみき
 ~街角のありふれた「標識」に、肉生々しい「希少部位」が絡みつくという強烈なシュールさ。具体的な説明を削ぎ落としたことで、読み手の想像力を刺激する。(月波与生)

溶けきれぬ絵蝋燭あり葉月尽 小沢史
 ~「葉月尽(8月末日)」という夏の終わりを告げる季語に、鮮やかな「絵蝋燭」の残り火・溶け残りを重ねる。過ぎ去る夏への心残りと、完全には消化しきれなかった思いや時間が蝋の姿に投影されている。

小手先の技術で火星人に会う 雪上牡丹餅
 ~「火星人に会う」という壮大なスケールの出来事に対し、「小手先の技術」という不釣り合いな言葉をぶつけたユーモアが秀逸。現代的な脱力感とナンセンスな面白さが同居する。(月波与生)

白昼夢のようにイートインスペース 白水ま衣
 ~日常の象徴である「イートインスペース」を「白昼夢」と解釈する感性が光る。「イートインスペース」の無機質でどこか現実感の薄い空間にぽつんと座っているときの、世界から少し浮き上がったような浮遊感や寂寥感が表現されている。(月波与生)

夕立で赤い妊娠検査薬 しまねこくん
 ~「夕立」「赤」という激しい色彩と、結果を突きつける検査薬の対比が鮮烈。天気の急変(夕立)が持つ不安感や不穏さが、検査薬を目の前にした主人公の騒がしい心境とシンクロする。(月波与生)

稲妻や笑ふ喪服の男たち カオルル
 ~切れ字「や」を用いた古典的な調べに、「喪服」と「笑ふ」という本来相容れないはずの語を衝突させる二物衝突の句。稲妻という一瞬の光が、喪の場に潜む不謹慎な笑いを照らし出す装置として機能している。(月波与生)

紫蘇香る部屋、真ん中ですけべ怪談 クイスケ
 ~読点で場面を切り、嗅覚(紫蘇)から聴覚・語りの場(怪談)へと感覚を横滑りさせる構成。「すけべ怪談」という俗語的な軽さが、怪談の持つ湿った恐怖感を脱臼させ、笑いに転化する。(月波与生)

樹海から音波を放つこびとたち 七澤銀河
 ~「樹海」という死のイメージを帯びた場と「こびとたち」という童話的存在の取り合わせが異化を生む。音波という不可視の現象を放つ主体として小人を置くことで、恐怖と可愛らしさが同居する不穏な空気が漂う。(月波与生)

パチスロで燃やす記憶の下半身 汐田大輝
 ~「記憶の下半身」という異化された身体像が強い。パチスロという消費的な時間浪費と、性的なニュアンスを帯びた身体部位の焼却が二物衝突を起こし、理解遅延を生む。その逸脱強度こそが書き手の持ち味であり、意味の手前で立ち止まらせる力を持つ句。(月波与生)

しゃぼん玉の前にしゃっくりでしたね 代本版
 ~「しゃぼん玉」という無垢で軽やかなイメージの直前に「しゃっくり」という生理的な身体反応を置く。二物衝突というより時間軸上の衝突で、「でしたね」という回想の口調が距離感を作り、読み手に一拍の理解遅延を強いる。(月波与生)

秋麗諭吉の顔はうろ覚へ しまねこくん
 ~なんかもう忘れてしまったんですよね。顔が変わってしまったので。だから使わない諭吉のお札を集めているんです。(季川詩音)

野良猫にひとこへかけて捥ぐ茄子 田中美蟲角
 ~ひとこえかけてから捥ぐ、の順番だと、茄子のほうにも聞こえていそうですね。猫に言ったつもりの言葉が、手の中のものに先に届いている感じがしました。(アカリ)

天ぷらが溢れてる北方領土  アイン
 ~きっとそうだったらもっと平和だったのかもしれません。私のものだ、こっちのものだと争うことはなかったのかもしれません。食べ物が溢れている、それは物理的であっても面白い。(季川詩音)

雁鳴くや聖菓の予約始まりぬ 鈴木正巳
 ~…予約始まり?早すぎませんか?でも面白い(ユリ)

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