UnsplashのAMIRALI NASIRIが撮影した写真のAMIRALI NASIRIが撮影したイラスト素材
さみしい夜の句会報 第288号&第289号(2026.8.23-2026.9.6)
第288号&第289号の参加者は48名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。
誌上大会を開催していると、他の誌上大会にもできるだけ投句し、その際こちらの案内文を同封して投句をお願いしています。これが縁で交流が始まる柳社・柳人もあれば、なしのつぶて(要するに一方的に投句のお願いはしてくるが協力はしてくれない柳社・柳人)のところもあります。ニンゲン界ですからいろんな人がいていいのですが、交流の実相がおのずと見えてくる、誠に興味深い方法であると認識しております。川柳に限りませんが、何事も最後は人間力だなあと、他社の誌上大会の案内を眺めながら思う次第です。
◆ 参加者(48名)
クイスケ、七澤銀河、汐田大輝、鈴木正巳、カオルル、代本版、しまねこくん、田面木 擬き、雪上牡丹餅、田中美蟲角、笛地静恵、、空野つみき、ひよどりよりこ、Nichtraucherchen、岡村知昭、非常口ドット、桑原 雑、つきの さかな、、しろとも、片羽 雲雀、石川聡、三明十種、coma、スフレ、まどけい、、鈴音りんか、akao、季川詩音、小沢史、もふもふ、雨声、宮坂変哲、みや、白水ま衣、佐井杜有、山羊の頭、織部ゆい、不思議な話のアイン、青海波、水の眠り、塩の司厨長、夜船 モモ、水彩、英霊の軌跡、アカリ、やぶ、白石ポピー、よし、月波与生(四九名)
◆ 川柳・俳句
しゃぼん玉の前にしゃっくりでしたね 代本版
真珠抜いてくつろげる人形なの 代本版
パチスロで燃やす記憶の下半身 汐田大輝
洗濯挟みにできない仁徳天皇の忌 汐田大輝
黄金の茶室にプラタモリの抜け殻 汐田大輝
路上ではできないナウマン象の真似 汐田大輝
六割の市民の臍がすでにない 汐田大輝
縦笛で鴨の死因を精査する 汐田大輝
不器用な沼をホルンでおびき出す 汐田大輝
まだ生きていればみんなが叔父になる 汐田大輝
グラサンをペテルブルクの色にする 汐田大輝
カマキリに喰われたあとに眼が残る 汐田大輝
動かない白雪姫に差す油 汐田大輝
樹海から音波を放つこびとたち 七澤銀河
長渕がギターを燃やす長い夜 七澤銀河
終わらない夜の観覧車の軋み 七澤銀河
グーグルに書き残された失念日 七澤銀河
紫蘇香る部屋、真ん中ですけべ怪談 クイスケ
寝てる間にタイムマシンに乗せられる クイスケ
汗だくでエンボス加工してみせて クイスケ
露草の露の生まるるとき開く カオルル
稲妻や笑ふ喪服の男たち カオルル
お使ひの途中蜻蛉の国に寄る カオルル
足元のフューシャで染めた十三夜 片羽雲雀
未遂だけあつめて焼いたマドレーヌ 片羽雲雀
夕立で赤い妊娠検査薬 しまねこくん
ディズニーが居ないディズニーランド秋 しまねこくん
否定から入れば赤くなる蜻蛉 しまねこくん
虫籠に入る哲学者は僅か しまねこくん
点線で描けば秋の噴水に しまねこくん
蟋蟀が野菜と言い切れば野菜 しまねこくん
昼寝するけつを刺す虫刺さぬ虫 しまねこくん
段落の隙間も余白にも残暑 しまねこくん
芸術は鏡に映るハンマーだ 白水ま衣
白昼夢のようにイートインスペース 白水ま衣
小手先の技術で火星人に会う 雪上牡丹餅
井戸端で国家機密を話し合う 雪上牡丹餅
憎しみも氷のように溶けるのか なさわご
溶けきれぬ絵蝋燭あり葉月尽 小沢史
美大出や気か幾何学的に稲を刈る 鈴木正巳
満月や釣宿にある潮位表 鈴木正巳
サイレンや谺返しや震災忌 鈴木正巳
リリアンといふウロボロス Nichtraucherchen
標識に絡まっている希少部位 空野つみき
叫べないラナンキュラスの日記帳 空野つみき
竹藪に舐めたい指が生えてくる 空野つみき
ケチャップに威厳があれば秋だった coma
*
森林のなかの森からのようこそ 田面木 擬き
お好み焼きが好みではない 雪上牡丹餅
胡瓜指し道を教へる八百屋かな 田中美蟲角
捕らはれのカブト虫ゐて路地の宿 田中美蟲角
独りでものみくだす梨光る朝 ひよどりよりこ
その前に木馬を叩きたい竹刀 岡村知昭
風鈴のエコーに爆ぜる鳳仙花 桑原 雑
秋夜長青い猫の名呼んでみる しろとも
旅先で友に逢う、な背表紙 石川聡
蜜の流れている林檎 石川聡
草担ぐあゆみ止まりて残暑かな 三明十種
秋虫の悲鳴に少し安堵する 水彩
花火墜ち手放しきれぬ縫いぐるみ スフレ
早起きし二百十日に猫に餌 まどけい
秋の蚊帳われのこころを締め出しぬ 鈴音りんか
秋夕焼け溶けて明日は能天気 akao
保護猫と私を包む毛布かな 季川詩音
長月へカウントダウンの病める夜 もふもふ
どうせ私がフレネミー ふくろうたかこ
私に夢と希望の夢と 山田真佐明
どちらかといえば犬より樅が好き 佐井杜有
ブーメラン突き刺さったまま曝葬 アイン
バンカーに入った暑さかも晩夏 塩の司厨長
君が云う友愛の色を頬に塗る 夜船 モモ
*
抱きしめて背中のタグを読んでいる 月波与生
◆ 短歌
さよならは二度と会わないことじゃなくもういらないと宣言すること つきの さかな
*
酷暑お見舞い申し上げます昭和の風の風鈴より 笛地静恵
耳に入る笑い全てが嘲笑かいっぱい食べていっぱい寝よう 非常口ドット
くちずさむ息と息の間流れてく世界の涯の行けるところまで 雨声
才能も努力も足りない俺たちは星を見上げて彷徨っている 宮坂変哲
届かない背中を追いかけて今日も夕暮れのまま引き裂いている みや
アイツの…悪臭放つクッション 丸洗いだよスッキリさっぱり! 山羊の頭
不意打ちの優しい記憶 もしかして 信じてみたい 今のわたしも 織部ゆい
酷いほど赦されるような気もしてて削れた皮膚に爪を立ててる 青海波
六秒で消火できない溶岩が髪の先から漏れ流れゆく 水の眠り
◆詩・短文
※詩の投稿ありませんでした。
◆作品評から
蟋蟀が野菜と言い切れば野菜 しまねこくん
~何か基準を決めないといけない。とりあえず蟋蟀に従うことにしたのです。蟋蟀が一番偉いんだという価値観があったのです。スイカも、ネギも蟋蟀もなにもかも野菜となったのです。(季川詩音)
サイレンや谺返しや震災忌 鈴木正巳
~おはようございます 良い句だと思います 勉強になりました ありがとうございます(英霊の軌跡)
胡瓜指し道を教へる八百屋かな 田中美蟲角
~指で教えればいいのに、手に持っていた胡瓜のほうで指してしまうところに、八百屋さんの手が止まらない感じが出ていますね。教えられた側は、道より先に胡瓜を見てしまいそうです。(アカリ)
井戸端で国家機密を話し合う 雪上牡丹餅
~懲戒処分が下るところまではイメージできました。現代への風刺にも思えます。何でもかんでも書き込んだり喋ったりする若者への警鐘と読みました。(季川詩音)
昼寝するけつを刺す虫刺さぬ虫 しまねこくん
~本当にけつはやめて欲しい。そもそも、我々はけつを出して寝るべきではないのかもしれません。(季川詩音)
段落の隙間も余白にも残暑 しまねこくん
~なん残暑 草間彌生の時おわる(やぶ)
旅先で友に逢う、な背表紙 石川聡
~さとしさーん、ありがとうございます。このように紹介してくださったことはもちろんですが、 なにより「友」が嬉しくて、ししおどり鳴りまくりです!!!!!(白石ポピー)
わたしよりバナナな顔でバナナ剥く 岡村知昭
~バナナな顔」という形容の飛躍がユーモラスで、剥く主体である「わたし」よりも対象のバナナのほうが表情豊かだという逆転構造。日常の瞬間に潜む自己と対象の境界の曖昧さを、軽妙なリズムで描き出している。(月波与生)
岩壁にそれぞれの巣と冷温庫 空野つみき
~自然の岩壁に営巣する野生の生態と、文明の産物である「冷温庫」を並列することで、野生と人工が違和感なく共存する奇妙な景色を作り出す。「それぞれの」という語が個々の生の営みの独立性を強調している。(月波与生)
冷やし中華に遺体を添えて クイスケ
~夏の風物詩である冷やし中華の「錦糸卵」や「ハム」の代わりに「遺体」という究極の異物を添える。生と死、涼と冷たさが同一線上に並べられ、日常にひそむ違和感を突きつける。(月波与生)
人妻を泣かせて消えたポロネーズ 七澤銀河
~優雅な舞踏音楽が「人妻を泣かせて消えた」という無責任な男の身振りへと転じることで、音楽の華やかさの裏にある享楽性、刹那的な色恋を、皮肉たっぷりに語る。(月波与生)
年度末に向けてセンジュナマコの抱負 汐田大輝
~「センジュナマコ」という奇妙な生物名と「年度末」「抱負」という極めて事務的な人間社会の語彙が衝突する。海鼠のような不定形で捉えどころのない存在に、決算期特有の焦燥や建前めいた目標設定を仮託することで、組織人の空疎な自己啓発を笑い飛ばす。(月波与生)
耳の裏からネレッロ・マスカレーゼ臭 石川聡
~シチリアの赤ワイン品種という具体的な固有名詞を、身体の「耳の裏」という思いがけない部位の匂いに結びつける奇抜さ。隠しきれない情欲や記憶の湿り気を巧みに暗示している。(月波与生)
自分しか分からぬ意味を飲む真水 雷
~言葉にできない孤独な了解を「真水」という透明な液体に溶かし込み、それを「飲む」という内面化の行為で受け止める構成。他者に伝わらない意味を抱え続けることの渇きと、それでも生きるために飲み下すしかない諦念が、シンプルな語彙の中に沈んでいる。(月波与生)
不倫までしてる個体を枯死させる クイスケ
~人間関係の破綻を「個体」という生物学的・突き放した語で捉え、「枯死」という植物的な死を与える不倫。感情を排し、不倫という主題が社会的スキャンダルから生態系の淘汰の話へとずらされている。(月波与生)
目から火をアズナブールにスカーフを 七澤銀河
~シャンソン歌手アズナブールの気だるく情熱的なイメージに、「目から火」という身体表現と「スカーフ」という優雅な小物を並置する構成。命令形の連打が儀式めいたリズムを生み、異国情緒と燃焼するような感情を一気に畳みかける疾走感が魅力的。(月波与生)
全員が白雪姫でいたい街 汐田大
~童話の主人公に街全体が「でいたい」と欲望する構図。誰も王子を待っていない不穏さが漂う。個の顔を持たず均質な「白雪姫」を志向する群衆の姿は、承認欲求や自己演出が飽和した現代の消費社会そのものの寓話として機能する。(月波与生)
捕らはれのカブト虫ゐて路地の宿 田中美蟲角
~雨の路地と捕らわれのカブト虫、句の世界が写真にそのまま現れていて胸に残ります。(よし)
蜜の流れている林檎 石川聡
~何らかの返礼品などのキャッチコピーにありそうですよね。美味しそうだなと思いました。流れているが、好きです。甘さが強調されていると思います。(季川詩音)


