UnsplashのAnnが撮影した写真のAnnが撮影したイラスト素材
さみしい夜の句会報 第287号(2026.8.916-2026.8.23)
第287号の参加者は35名でした。ありがとうございました。参加された方の1作品以上を掲載しました。掲載のない方、誤字脱字等ありましたらDMにてご指摘下さい。投句はテキストにてお願いします。テキスト以外の投句は週報に反映しませんのでご注意願います。
29日の四万十川川柳大会参加のため次回288号の週報は289号と合併号になります。月跨りになりますがよろしくお願いいたします。また第5回「満天の星」誌上川柳大会の締切が9月10日となっております。こちらもよろしくお願いいたします。
◆ 参加者(35名)
クイスケ、七澤銀河、汐田大輝、鈴木正巳、Nichtraucherchen、しまねこくん、ひよどりよりこ、麻乎a.k.a踊る最下層、石川聡、カオルル、片羽 雲雀、笛地静恵、岡村知昭、空野つみき、雷(らい)、つきの さかな、奇妙丸、水彩、しろとも、桑原 雑、田中美蟲角、ナル、砂原妙々、山田真佐明、季川詩音、非常口ドット、山羊の頭、不思議な話のアイン、まどけい、雨声、舞風 奏、ベルトランの泪、sei、落とし子、月波与生
◆ 川柳・俳句
全員が白雪姫でいたい街 汐田大輝
年度末に向けてセンジュナマコの抱負 汐田大輝
グスコーブドリ画伯が喰らう干し葡萄 汐田大輝
心からフキの煮物になってみる 汐田大輝
湿っぽい草のにおいを放つひと 七澤銀河
汗としてぬるっと蘇生するパスタ 七澤銀河
目から火をアズナブールにスカーフを 七澤銀河
人妻を泣かせて消えたポロネーズ 七澤銀河
和解したサルとバナナを分け合って 七澤銀河
不倫までしてる個体を枯死させる クイスケ
冷やし中華に遺体を添えて クイスケ
なんだかね、サロメの骨が見たいって。 クイスケ
自分しか分からぬ意味を飲む真水 雷
岩壁にそれぞれの巣と冷温庫 空野つみき
耳の裏からネレッロ・マスカレーゼ臭 石川聡
わたしよりバナナな顔でバナナ剥く 岡村知昭
ぎつくりもぎくりも尺取虫の腰 しまねこくん
トンネルを掘ればトンネルごと祭 しまねこくん
息切れを煙草のせいにせず立秋 しまねこくん
地獄のサタンだね死体 Nichtraucherchen
理力の方が賢さう Nichtraucherchen
お使ひの途中蜻蛉の国に寄る カオルル
*
ゆく雲が声かけるもの秋の人 ひよどりよりこ
梨の木の傾くばかり偏頭痛 笛地静恵
僅かながら 涼も漂ふ ぬるき風 奇妙丸
普通だと言われる為に生きている 水彩
はつあきのすいかは自我をもてあます しろとも
斑猫に曳かれ解かれ森の底 桑原雑
イエス描き終えし 硯を洗いけり 鈴木正巳
百までは生きられさうな涼味哉 田中美蟲角
風鈴の途切れ途切れて熱夜溶く ナル
夏日の絵真夏日の絵猛暑の汗 山田真佐明
母の日や父を殺した負傷兵 季川詩音
川がまずかった 川はまずかったね アイン
休みの日川柳作る人でなし まどけい
恨み言マリーゴールド見ぬ夏の 片羽雲雀
*
熱夜ですねじを拾って帰ります 月波与生
◆ 短歌
メンソールの煙を吐けば街灯のまわりに淡い海が生まれる 砂原妙々
*
ああもう開く事すら面倒なのだ 安心させることすら面倒 麻乎a.k.a踊る最下層
背の高いすこしさみしげな百日紅 見おろす丘の呼吸は浅く 片羽雲雀
ひとりにしないでもう一人の自分が私を責めてくるの 暗闇 つきの さかな
南極の永久凍土を溶かすほど世界で上がる悪意の温度 非常口ドット
何処に居て何をしてても自己嫌悪 許されたいの 社会に世間に 舞風 奏
◆詩・短文
誰かと一緒の自分を知る
誰かと違う自分を知る
どっちもこっちも我儘ばかり
嗚呼、今日もどうにかやり過ごせたかな
身勝手な自分も (山羊の頭)
◆作品評から
背の高いすこしさみしげな百日紅 見おろす丘の呼吸は浅く 片羽雲雀
~丘の上に白い花びらを散らしている百日紅がすっと立っているところを思い浮かべました。「呼吸は浅く」なので、白い花と思ったのですが、どうでしょうか? 「のっぽのサリー」というリトル・リチャードのちょっとやばい曲もありましたね。Beatlesのカバーで有名ですね。(ベルトランの泪)
年度末に向けてセンジュナマコの抱負 汐田大輝
~「年度末に向けてセンジュナマコの抱負」。どんな抱負なんでしょうか。いきなり問われたセンジュナマコもさぞかし驚いてることでしょう。(季川詩音)
理力の方が賢さう Nichtraucherchen
~理論よりも、あらゆる力の方が正しいのではという考え。クレーマーなどに成功体験を与えてしまったがゆえに、力技で乗り越えようとする人の方が賢く見えてしまった。いや、ずる賢いというべきか。(季川詩音)
イエス描き終えし 硯を洗いけり 鈴木正巳
~おはようございます。俳句とイエス様の墨絵素晴らしいです。俳句が理解できます。(sei)
斑猫に曳かれ解かれ森の底 桑原雑
~なんと悪夢のようで惹かれますね。斑猫がデカい。奥に鬼?(落とし子)
梨の木の傾くばかり偏頭痛 笛地静恵
~世の中への不満、政治への不満などが浮かぶと、なんだかあらゆるものも傾いているような気もします。何もかもが歪んでいる。そう考えてるうちに頭も痛くなります。(季川詩音)
揚げたての晩夏の匂う割烹着 佐井杜有
~「揚げたて」の油の匂いと「晩夏」の季節感、そして「割烹着」という生活者の姿が一体となり、台所に流れる時間を豊かに立ち上げている。夏の終わりの気だるさと日々の労働の温かみが同居する。(月波与生)
恋と嘘見抜く手前で服を脱ぐ 七澤銀河
~理性的な判断よりも先に、身体的行為が先行してしまう人間の危うさを的確に捉えた句。「見抜く手前で」という時間差の描写が、思考と欲望のずれ、判断力の追いつかなさを描く。恋愛における理性と本能の相克を提示している。(月波与生)
権限が失効してひらけ野原 代本版
~組織や規則の縛りからの解放感を、風景の変容として描いた発想の飛躍がいい。「ひらけ」という呼びかけ的な語感が呪文めき、閉塞から解放へのカタルシスを演出する。(月波与生)
欠けていく太陽欠けていく素顔 クイスケ
~「太陽」と「素顔」という異なる次元のものを「欠けていく」という一語で結び付けた対句構造。日食的なイメージと、人間の仮面が剥がれ本性が現れていく過程が重なり合う。反復のリズムが呪文のような効果を生んでいる。(月波与生)
手帳から磯の香りがする刑事 汐田大輝
~手帳という日常的な小道具に「磯の香り」という異質な感覚を衝突させた句。刑事が抱える事件と、彼自身の過去や郷愁が二重写しになり、読み手は具体的な事件内容を知らぬまま、その人物の背後にある物語を想像させられる。(月波与生)


